1.犬のイボの特徴と原因は?
1-1.どんなものをイボと言うの?イボとほくろの違い
1-2.犬のイボの原因は「パピローマウイルス」
1-3.犬の皮膚は弱い
2.犬のイボの良性と悪性の見分け方は?
2-1.良性のイボ
2-2.悪性のイボ
【掲載:2019.05.14 更新:2022.10.12】
犬のイボの特徴と原因
イボってなんですか?どのようなものですか?こう聞かれると、いまいちよくわかりませんよね。思わず愛犬や自分の身体を探してしまった方もいるかも知れません。
それでは、まずはイボの定義とホクロとの違い、そして犬の皮膚の弱さを考えていきましょう。
◆どんなものをイボと言うの?イボとほくろの違いは?
イボは皮膚の上にできる突起物で、皮膚から盛り上がっている小さいもののことを指します。
私達人間のイボも定義は同じで、犬も人も年齢を重ねることでイボが出来ることが多いです。色は、白・肌色に近い傾向にあります。
ほくろの場合は、メラニン色素を含んだ細胞が一箇所にあつまり出来たものです。ほくろは黒い塊が少し盛り上がった感じになります。
◆犬のイボの原因は「パピローマウイルス」
イボの多くは、パピローマウイルス(皮膚乳頭腫)というウイルスが原因だといわれています。このパピローマウイルスは珍しいものではなく、自然界に一般的に存在しており、人間のイボの多くの原因でもあります。
パピローマウイルスは「ウイルス」の名の通り、傷口から入り込みます。乾燥、皮膚のバリア低下により傷が付きやすい状態になったり、紫外線などにさらされ皮膚の状態が悪くなっていると、傷が付きやすくイボが出来る原因にもなってしまいます。
◆犬の皮膚は弱い
「えっ、でも犬たちは、毛に覆われているのだから丈夫なのでは?」「人間と違って直接皮膚にダメージはいかないのでは?」と思う飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、犬は皮膚が弱く、乾燥や紫外線によるダメージでイボや皮膚疾患になりやすい動物なのです。
飼い主さんの中には、アレルギーや繊維などに過敏に反応してしまったり、日頃の水仕事によって手が悲惨なことに…なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私達は、薬を予め塗ったり飲んだり、手袋をしたりと、予防や保護、予めの対処を自分ですることが出来ます。
一方で犬たちは人間と違い、乾燥や紫外線への対処を自ら出来るわけではないので、自ずと皮膚疾患が多くなってしまいます。
自衛が出来ないだけではなく、元々犬たちは皮膚が弱くイボやできものなどの皮膚疾患が出来やすい動物です。皮膚にイボやできものが出来る確率は、人間のおよそ34倍で、これだけでも犬たちの皮膚が弱いことがわかります。
犬のイボの良性と悪性の見分け方は?
人と比べて犬の皮膚が弱く傷つきやすいことは分かりましたが、イボ自体は問題ないのでしょうか?
イボに問題があるかどうかの判断は、色や硬さなどで判断することが出来ます。最終的な判断は獣医師による検査が一番確実と言えますが、以下の特徴と当てはめてみて、一種の判断材料にしてみてください。
迷ったり不安な時は、すぐにかかりつけの獣医師に相談してくださいね。愛犬の病気の早期発見と早期治療に繋がります。
◆良性のイボ
良性のイボの場合は、サイズは1cm未満で白や黄色など人間のニキビに近い明るい色合いであることがほとんどです。イボ自体も柔らかい感触のものが多く、大きさも大きくなることはあまりありません。
自然治癒することがほとんどですが、何かの拍子でイボが潰れてしまったり、引っ掻いてしまった時は、傷口から菌が入り出血や化膿などが起きたり、また新しくイボが出来る原因になりますので、適切な治療を受けてくださいね。
治療後も気にする、傷口を舐め回すようであれば、これ以上治りが遅くならないよう、化膿をしないようにエリザベスカラーを使用することをおすすめします。
◆悪性のイボ
良性のイボと大きく異なる点は、「赤黒い色をしている」「サイズが良性のものより大きい」「時間と共にどんどん大きくなっていく」場合が多い点です。
硬さもごりごりとした非常に硬いもので、色はほくろに近く、出来る場所も皮膚だけではなく、口腔や眼球などにも出来るものがあります。
これらを放置しておくと肺などに転移し、激しい痛みや呼吸困難等、生命活動に支障が出てきてしまいます。
悪性のイボから考えられる病気は色々あります。口腔や眼球にも発現し肺などに転移する「黒色腫」、皮膚ガンの一種で、カリフラワー状の赤く硬いしこりが出来る「扁平上皮癌」があります。
早期発見から早い段階で獣医師に相談することで、愛犬の苦しみを少なくすることが出来るかもしれません。不安だと思ったら、ぜひかかりつけの獣医師に相談してみてください。
犬のイボの治療法は?
犬のイボは、ほとんどの場合は良性のイボで自然と治っていきます。ただし、だんだんとイボが大きくなってきた、たくさんのイボが出来ている色が赤黒いなどの場合は、獣医師に相談してください。
イボが良性か悪性かは、病理検査をすることでわかります。病理検査は、イボを取り除き検査するものと、針を刺してそのイボの細胞を取り検査する方法があります。
動物病院での触診や病理検査などの結果、生活に支障があると判断された場合には、イボを切除する手術を受けることになります。
現在では、無麻酔や局所麻酔だけで行えるレーザー手術などがあります。全身麻酔に不安がある小型犬やシニア犬、持病がある犬など対し、負担を減らし手術することが出来ます。
飼い主としては、出来れば負担の少ない方法が良いですよね。病院によっては色々な方法があるので、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
犬のイボの予防法は?
出来ることならイボが出来ないようにしてあげたいですよね。イボが出来ないように私達が犬たちに出来ることはあるでしょうか。
◆ビタミンEをとる
イボが出来る主な原因として、皮膚に出来た傷口からパピローマウイルスが入り込むことが挙げられます。それを防ぐためには、皮膚の健康状態を最良に保つことが重要です。
皮膚の状態を保つためには、ビタミンEを摂取し、食生活を見直し改善することが大切です。
ビタミンEが多く含まれているイワシやかぼちゃ、大豆、場合によってはサプリメントなどを与え、適切な量のビタミンE摂取を心がけてみてください。
ただし、摂取のしすぎは逆に肌や毛に問題を起こしてしまいますので、特にサプリの場合は用量を守ってくださいね。
◆肌のケアをする
肌の保湿やマッサージ、ブラッシングなどもおすすめです。
乾燥や血流の悪さによりイボが出来やすくなってしまいます。そこで、保湿ケアやマッサージ、ブラッシングをするなどの肌・毛のケアをしましょう。
犬用の保湿液があるので、それらを使いマッサージをしてあげましょう。リラックスの時間にマッサージをすることでスキンシップにもなりますし、イボやその他の愛犬の変化にも気づきやすくなるメリットがあります。
ブラッシングは、力を入れてガシガシとするのではなく、力を抜き手首の力だけでやるようにしましょう。散歩から帰ってきたらブラッシングをすることで、ノミやダニの発見、そこからの皮膚病を防ぐことが出来ます。
また、愛犬のベッドやタオルが原因になっている場合もあるので、定期的に洗ったり干したりしましょう。
犬のイボに関するまとめ
・犬は皮膚が弱く、イボが出来やすい。
・イボの原因は主にウイルスによるもので、傷や乾燥などによる皮膚状態の悪化が関係する。
愛犬のイボを発見し、少しでも不安や違和感、愛犬の様子で気になる部分があれば、プロである獣医師の判断を仰ぎましょう。
また、普段からマッサージやブラッシングでイボの発見と観察、愛犬の様子などを注意深くみてあげてくださいね。早期発見早期治療が、愛犬の健やかな生活につながります。
それでは、愛犬と素敵な日を過ごしてくださいね。
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