にんにくは危険?犬ににんにくを与えてはダメな理由!

2021.01.23

にんにくは危険?犬ににんにくを与えてはダメな理由!

疲労回復や滋養強壮効果のあるにんにく。臭いに気をつければ血行促進や免疫力の向上など嬉しい作用がたくさんあります。しかし、犬にとっては、逆に身体に害を与えてしまう怖い食べ物。にんにくが犬に与える害と対処法をお伝えします。

【掲載:2019.07.09  更新:2021.01.24】

犬ににんにくは絶対NG!?

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◆様々な料理に使われるにんにく

にんにくは、食欲増進や滋養強壮、肉の味付けや油への香り付けなど様々な料理に使われています。すりおろしや粉末、そのままと使い方も様々。主に料理のアクセントとして使う方が多いのではないでしょうか。

人間にとっては、滋養強壮など体に良い効果をもたらし害は無く、むしろ体に良い成分がたくさん入っています。抗菌作用もあるので、臭いさえ気にならなければ色々な用途に使えます。

そんなにんにくですが、どうやら犬の体には合わないようです。犬がにんにくを食べると様々な症状を引き起こしてしまいます。貧血や下痢や嘔吐、犬の体に何が起こっているのでしょうか。

◆にんにくはネギの仲間

まずは、にんにくがどのようなものなのかを知っておきましょう。

にんにくは、ヒガンバナ科ネギ属で、ネギの仲間なのです。成長しすぎたにんにくを見たことがある方は分かるかもしれませんが、ネギのように緑の茎が伸びており、そこだけを見ると「ネギの仲間なんだな」というのが分かると思います。

もしかすると、ネギの仲間というのでピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうです、玉ねぎ同様ににんにくは犬にとっては危険な食べ物です。摂取することで、赤血球に異常が生じ、最悪の場合死に至ります。玉ねぎと同じ成分がにんにくにも含まれており、摂取すると様々な症状を引き起こします。


犬がにんにくを食べたときにおこる症状は?

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◆胃腸炎

人間にとっては害がなくても、犬がにんにくを摂取してしまった場合には、貧血や嘔吐や下痢などを伴う胃腸炎を引き起こします。

この場合の症状は、腹痛、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こし、同時に脱水なども誘発されます。

人間の場合も、にんにくを過剰摂取することで体の中の常在菌をにんにくの強い抗菌作用でやられてしまい、腹痛下痢嘔吐を引き起こすことがありますので注意してくださいね。

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◆溶血性貧血

にんにくに含まれる、アリルプロピルジスルファイドという成分により、犬の赤血球は変異を起こし破壊されてしまいます。結果、溶血性貧血を引き起こし貧血になってしまうのです。

その他にも血尿や腹痛など、愛犬の体に様々な症状を引き起こします。

アリルプロピルジスルファイドは、加熱しても毒性は消えません。しかし、人には影響はないので、このような中毒症状が起きるのは犬や猫などにのみです。

・溶血性貧血とは?
ネギ類を食べることで溶血性貧血を引き起こすのは、犬や猫などだけです。

溶血性貧血とは、血液中の赤血球が破壊されることで、全身へと酸素の供給が行き渡らなくなってしまった状態です。
赤血球は、全身へと酸素を行き渡らせる役目を担っていますが、溶血(破壊)されてしまったことにより、正常な赤血球の数が減り酸素の供給が少なくなり貧血になってしまいます。

・溶血性貧血の症状
溶血性貧血の症状は主に、以下のような症状です。

・ぐったりしていて元気がない
・運動や動くことを嫌がる
・口内粘膜が蒼白
・白目が黄色く見える
・尿の色が濃くなる

酸素がうまく全身に供給されていないため、正常時よりも体力を消費し疲れやすくなります。同時に息切れなども多くなります。

私達も貧血になると、どうもだるかったり動きたくなかったりしますよね?犬も同じように、貧血になるとだるく酸素もうまく供給されないので、頭もぼんやりしてきます。

身体機能だけではなく、犬の目や口内にも症状が出てきます。
また、大量に赤血球が破壊された場合はヘモグロビンが尿と混じり血尿として出ることがあります。

これらの症状が現れた場合はすぐに動物病院に連絡をしてください。

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犬がにんにく中毒を引き起こす量は?

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にんにくを大量に与えたら害は起きるが、少量なら問題ないのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、深刻な症状がある以上全く問題がないと言い切ることは出来ません。

研究では、犬の体重1kgあたりにんにく15~30gが犬の血液に悪影響を与える量だとしています。

大量摂取しなければ体に害は無いと言えますが、玉ねぎと同じネギ属であること、個体差・犬種による差の可能性があること、貧血・嘔吐・下痢などの症状が出ることがわかっていること、これらを考慮すると、あまりにも与えるリスクが高いと言えます。

また、15g以下であれば必ずしもすべての犬に症状が出ないという研究もされていません。

貧血や腹痛、嘔吐などの症状が確認されている以上、少量とはいえ愛犬ににんにくを与えるのはおすすめしません。

もし、うっかり愛犬が少量でもにんにくを口にしてしまったら目に見える症状が無くても一度獣医師に見てもらってくださいね。


犬がにんにくを食べてしまった時の対処法

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◆なるべくすぐに動物病院へ

犬がにんにくを摂取してしまったら、量や身体的な症状が現れていなくても獣医師の指示に従い診療を受けてください。その際に、食べてしまった量や動物病院につくまでの症状があれば獣医師に伝えてられるよう記録しておきましょう。

見た目元気そうに見えても体内で起きていることはわかりませんし、血液中で起きていることならなおさらです。

◆犬がにんにくを食べた時の治療法

犬がにんにくを食べてしまった場合、効果的な解毒剤などが無いため、重症化した場合は輸血が必要となります。

すぐに吐かせること、ビタミン剤の投与など、または利尿剤などを使った対症療法が行われます。

◆にんにくや玉ねぎを食べてしまった時の吐き出させ方

食べさせないことが一番良いですが、うっかり食べてしまった場合、またはすぐに獣医師の診察を受けられない場合は、強制的に吐かせることで症状の緩和が見込めるかもしれません。

オキシドールか飽和食塩水を使い、強制的に吐き出させましょう。
吐き出させることが出来るのは、誤食してから1時間以内。それ以上経過してしまうと、誤食したものが胃を通過してしまっているため効果が薄いとされています。

以下の方法はあくまで一例です。愛犬の体調や病歴、犬種などで変わってきますので、すべての犬に対してこの通りに行くとは限りません。

このようなことが起きる前に獣医師に吐かせ方や手順を聴いておくこと、獣医師と連絡がとれる場合は獣医師の指示を受けることをおすすめします。

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◆オキシドールを使って吐き出させる

オキシドールで胃の中に酸素を発生させ吐き出させる方法です。

犬の体重5kgに対して1ccのオキシドールを飲み込ませます。
オキシドールを飲み込ませることで、胃の中に酸素が発生し吐き出します。スポイトやシリンジで口の横から流し込み、そのまま犬の口を抑え上を向かせることで飲み込んでくれます。

過酸化水素は犬の体には害はないの?と思いますよね。多くの生物には、過酸化水素を分解するカタラーゼという酵素を持ち合わせています。このカタラーゼによって、少量であれば体の中に入った過酸化水素は酸素へと速やかに分解されます。

◆飽和食塩水で吐き出させる

飽和食塩水の場合は、体重1kgに対して2~4mlの飽和食塩水を飲ませてください。
こちらもシリンジなどで、同じように飲ませることが出来ます。

飽和性食塩水を使う場合は、一度目で吐き出さなかった場合はそれ以上行わないでください。吐かないからと言って何度も繰り返すと過剰な塩分摂取により、塩中毒になってしまいます。

◆吐き出させた後は?

どちらかを3回程度繰り返します。だいたい長くても10分程度経ったら吐き出します。吐き出した後は、胃液を薄めるためにも水を飲ませてあげてくださいね。

吐き出して、水を飲ませたら早急に動物病院に連絡をとってください。その際に、どれくらい食べてしまったのか。いま出ている症状などをお伝え下さい。


飼い主が出来ること

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愛犬がネギ中毒にならないように何が出来るでしょうか。

中毒になって、愛犬を無理に吐かせたりしたくないですよね。愛犬につらい思いをさせないためにも、愛犬がいたずらしそうな場所、誤食してしまうような場所には置かないことが大切です。

また、誤食の時だけではなく、いざという時のために動物病院にすぐ電話をかけられるようにしておく、夜間診療をしてくれる夜間でも相談に乗ってくれる動物病院を予めリサーチしておくと、何かあったときに慌てることなく行動できます!

誤食・誤飲は防ぐことが出来ます。買ってきた食材などは高い場所に置くか、すぐに冷蔵庫などにしまってしまいましょう。


まとめ

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にんにくが犬に与える危険性と対処法をお伝えしました。

人間にとっては健康にも良く、料理に使えば食欲をそそるにんにくですが、玉ねぎと同じように犬にとっては貧血や下痢・嘔吐などの原因となってしまう怖い食べ物であることがわかりました。

大量摂取しなければ、という研究結果は出ていますが、人間と同じように犬にも個体差があります。少量でも症状が出てしまう犬は、欠片でも具合が悪くなってしまいます。見た目や犬種などでは、判断できないので少量でも与えるのはリスクが高いです。

中毒症状を引き起こし、苦しい思いをさせないためにもにんにくを含むネギ類、犬に与えてはいけないものは、犬の近くに置かない、いたずら・誤飲・誤食をしないように犬が興味を持つような場所・手の届くところには置かないようにしましょう。

そして、なにかあった時のために夜間診療が出来る動物病院を予め探しておくことや愛犬に合った詳しい対処法などを獣医師に元気な時に聞いておくことで慌てずに対処することが出来ます。

愛犬と健康的な日々をお過ごしください。



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ユーチカ

ユーチカ

動物が大好きで、幼少期から動物と一緒に生活しています。今は、柴犬と猫2匹(元野良)と暮らしています! ペットと楽しい日々を送れるような役立つ情報を皆さんとシェアして行きたいと思います。

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