1.熱中症とは?
1-1.熱中症はいつから注意が必要?
2.なぜ犬は熱中症になりやすい?
2-1.犬が熱中症になりやすい理由①全身が被毛におおわれているため
2-2.犬が熱中症になりやすい理由②発汗ができないため
2-3.犬が熱中症になりやすい理由③短頭種であるため
3.室内犬の熱中症の原因
3-1.室内犬の熱中症の原因①室内の温度設定
3-2.室内犬の熱中症の原因②窓辺での日光浴
3-3.室内犬の熱中症の原因③飲み水がない、水分補給ができない
5.室内犬の熱中症予防法
5-1.室内犬の熱中症予防方法①エアコンをつける
5-2.室内犬の熱中症予防方法②カーテンをしめ遮光する
5-3.室内犬の熱中症予防方法③犬の居場所にひんやりグッズを置く
5-4.室内犬の熱中症予防方法④いつでもきれいな水を飲めるようにする
熱中症とは?
・直接日光に当たっておこる日射病
・高温多湿の場所に長時間いることで起こる熱射病
暑い環境の中で発症するこれらの病気を総称して熱中症と呼びます。
◆熱中症はいつから注意が必要?
熱中症の発生時期は5月初旬から9月頃までとされており、夏本番の7・8月にピークを迎えます。
月別の熱中症の発生率は下記の通りです。
◎5月…5%
◎6月…12%
◎7月…40%
◎8月…35%
◎9月…8%
このように時期でいうと7・8月の発生率が非常に高いですが、時間帯としては午前より午後の方が熱中症の発生率が高いと言われています。暑い日、涼しい日を繰り返す時期には特に注意が必要となります。
注意すべき点は気温だけではありません。湿度の高さ、風の有り無し、地面・建物からの放射熱等も、熱中症の発症を促す要因となります。
犬は60日程で身体が暑さに順応するといわれているので、まだ暑さに慣れていない初夏の時期、風が無く湿度の高い日や、地面からの放射熱が強い場合は、低い気温でも熱中症にかかりやすくなるので気を付けましょう。
なぜ犬は熱中症になりやすい?
◆犬が熱中症になりやすい理由①全身が被毛におおわれているため
全身を被毛に覆われている犬は、夏の暑さに弱い動物です。犬種によって差はありますが、暑さに弱い犬種の方が多いといえます。
◆犬が熱中症になりやすい理由②発汗ができないため
人間は発汗することで体温を調整することができますが、犬の汗腺は主に肉球にしかないため、発汗での体温調節はできません。
犬は汗をかいて体温調節をするかわりに、主に口から水分を失うことで体温を下げます。
暑い日や運動の直後など、犬が舌をだしハアハアと息をしているようすを見たことがあるでしょう。この浅い呼吸を「パンディング」と呼びます。
このパンディングという呼吸が、犬が自力で体温を下げるためにできる唯一のことです。
しかしこのパンディングだけでは十分に体温を放熱できないので犬の体温調節は難しいと言われます。
◆犬が熱中症になりやすい理由③短頭種であるため
パグやフレンチブルドッグなどの短頭種と呼ばれるペチャっとした顔の犬種は、マズルが短いため、鼻腔の中が狭くなっておりパンディングによる体温調整が難しいのです。
汗をかいて体温調節ができないうえに、パンディングもしにくいということは、他の犬に比べて熱中症になりやすいのも納得ですよね。
また短頭種はマズルが短いためマズル内で空気が冷却されず、暑い空気が直接体内に入ってくるため更に体温調節しにくくなっています。
ブルドッグやペキニーズなどマズルの短いワンちゃんを飼っているお家はエアコンの設定をもう一度見直してみましょう。
室内犬の熱中症の原因
◆室内犬の熱中症の原因①室内の温度設定
冷房の効いた室内でも犬は熱中症になってしまうことがあります。それは人間が快適に感じる温度と犬のカラダにとっての適温が違うからです。
一般的に、犬が快適に過ごせるとされている室温は25℃~26℃とされています。
一方環境省は夏の冷房時の室温を28℃にするよう推奨していますが、犬にとってはもっと低い室温が良いということですね。
なかには室温が30℃近くにまで上昇していても、省エネのために扇風機のみで過ごしているというご家庭もあると思いますが、その考えは愛犬を苦しめているかも…。基本的に「人が暑いと感じたら、犬はもっと暑い」ということを念頭に置いておく必要があります。犬に合わせて室温を調整してあげるのも飼い主の大事な役目です。夏場は必ずエアコンをつけて部屋を冷やしてあげましょう。
また、高齢者とペットのみで暮らしている世帯も注意が必要です。
成人と比べると、高齢者は感覚が鈍くなり暑さを感じにくくなっているため、真夏でも平気で冷房をつけずに過ごす人もいます。
そういった環境で暮らしていると、人とペットともども熱中症になってしまい重症化してしまうこともあります。
◆室内犬の熱中症の原因②窓辺での日光浴
窓から差し込む日差しを好み窓辺で眠るワンちゃんは多いです。
ですがこの行動は要注意。窓際は強烈な日差しによりかなり温度が高くなっています。
日光浴をしているワンちゃんに触れたとき、毛が熱くなっていると感じたことはありませんか?暑い日は長時間の日光浴を避けましょう。
また被毛の黒い犬は白い犬に比べてさらに熱を吸収してしまうので特に注意が必要です。
◆室内犬の熱中症の原因③飲み水がない、水分補給ができない
こまめな水分補給が、熱中症予防の基本です。どんなに部屋が涼しくても水分をとっていないと熱中症にかかる確率が高くなってしまいます。
暑い時期は特に、愛犬に新鮮な飲み水を十分に与えられるよう気を付けましょう。
ちなみに、犬にとって必要な一日の飲水量は体重1kgあたり40~60mlほどです。
3kgのトイプードルであれば120ml~180mlということになります。
25kgのゴールデンレトリバーであれば1000ml~1500mlです。
一度愛犬の体重で必要な飲水量を計算してみましょう。
室内犬の熱中症の症状
気温・湿度の高い部屋に居て熱中症になってしまい体温を下げられない場合、全身の臓器はうまく働かなくなり、様々な障害を引き起こします。
熱中症になってしまった場合、対策や応急処置が遅れてしまうと死に直結してしまいます。
ペット&ファミリー損害保険株式会社の調査によると、熱中症が原因で病院を緊急に受信する犬の死亡率は約50%だそうです。
もちろん熱中症にならないことが一番ですが、もし発症してしまった場合には症状が軽度のうちに病院に連れていき正しい処置を行う事が重要になります。
参考:https://www.petfamilyins.co.jp/pns/article/pf20180731/
実際に熱中症にかかると以下のような症状が表れます
犬の熱中症の症状例
- 体温が39℃以上となる
- 心拍数が上昇する
- よだれが過剰に出る
- 歯茎や舌が深い赤や紫色になる
- 下痢
- 嘔吐
- 筋肉のけいれんが起こる
- 元気がなくなり、ぼんやりする
- バランス感覚の喪失
- 虚脱
- 意識消失
- 死亡
以上の症状例は紹介順に、軽度⇒重度の流れの一例となります。
荒い呼吸が治まらない等、初期症状に気付くことができれば正しく対処することで回復の可能性は高まります。
下痢や嘔吐、放心やけいれんがみられる場合には熱中症が重症化していると考えられるため、すぐに病院へ連れていきましょう。
室内犬の熱中症予防方法
◆室内犬の熱中症予防方法①エアコンをつける
エアコンをつけて室内を涼しく保ちましょう。犬が快適に過ごせる室温の目安は25℃~26℃です。
毎日エアコンをつけて室温管理をしているというご家庭でも、人感センサー搭載のエアコンを使用している場合は注意が必要です。
人感センサーはその名の通り人の気配を感知し人に合わせて空調を調節してくれるものですので、犬などの小動物の存在は検知できないことがあります。
愛犬のためにエアコンをつけていたとしても、人感センサーがオンになっている場合はエアコンが「人がいない」と判断して運転を自動停止してしまう場合もあります。
犬だけでお留守番をさせるときは必ずエアコンの設定を見直してから出かけましょう。
◆室内犬の熱中症予防方法②カーテンをしめ遮光する
夏場は窓から強烈な日差しが入ることで室温が自然と高くなってしまいます。
遮光カーテンで日差しをシャットアウトすると、少し快適に過ごすことができますよ。
◆室内犬の熱中症予防方法③犬の居場所にひんやりグッズを置く
ペットショップやホームセンター、通信販売などペット用品を売っているお店を見てみると、ペット用のアルミプレートやジェルマットなど、熱中症対策に役立つ様々なペット用品が販売されています。
こういったアイテムも取り入れて環境を整えてあげましょう。
接触冷感素材を使ったベッドなら寝苦しい夜も少し快適に過ごせます。氷枕などを準備してあげる場合には冷えすぎないようにタオルで巻いてあげるといいでしょう。
◆室内犬の熱中症予防方法④いつでもきれいな水を飲めるようにする
犬がいつでも好きなタイミングでたくさん水を飲めるよう、犬用の飲み水は犬が立ち寄れる複数の個所に設置しましょう。特によく居るリビングなどの場所には、水を自動で循環させてほこりや雑菌をろ過してくれるフィルター式給水器を設置するのがおすすめです。また、普段あまり水を飲まないワンちゃんにも電動の給水器はおすすめです。循環している水を見て興味をもたせ、自然と飲水量を増やすことができます。
フィルター式給水器で有名な「ピュアクリスタル」という商品であればサイズや種類が豊富ですので超小型犬~中型犬以上の犬、多頭飼いにも対応できます。
ピュアクリスタルのメリットは、水が常に循環しているので腐ることがなく常に新鮮でおいしい水を飲ませることができるということです。
また最大容量が4.8Lと大きいためこまめに水を取り替えるという手間がありません。
一般的な給水皿を使用している場合は犬が皿をひっくり返してしまったり、水が蒸発してなくなってしまうということも考えられますので、お留守番時や夏場は特に容量の大きい給水器を使うのが安心です。
ノズル式給水器の飲みにくさや、プレート式給水器の衛生面などのデメリットを解消してくれる便利なピュアクリスタルですが、使用時は電源が必要になりますのでリビングにおくのがおすすめです。
リビングやケージ以外で愛犬がよく居る場所には給水皿をおいて水飲みスポットをつくってあげるといいですね。
室内犬の熱中症防止は室温管理とこまめな水分補給が肝心です。
熱中症は屋外だけではなく、家の中でも起こりやすいということがわかりました。
室内犬を熱中症から守るために犬にとって快適な室温を保つことと、家の中の水飲み場を増やしこまめに水分補給をさせてあげるといいでしょう。
今年も猛暑が予想されていますが、上手に対策して愛犬と楽しい夏を過ごしましょう。
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