1.犬に与える水はどんなものがいい?
1-1.水道水
1-2.浄水
1-3.ミネラルウォーター
1-4.水素水/酸素水
【掲載:2019.08.14 更新:2021.05.11】
犬に与える水はどんなものがいい?
「体はほとんどが水でできている」と言われています。犬の体は、年齢や健康状態にもよりますが、約60%が水でできているそうです。
水が犬の体内に取り入れられると、呼吸によって蒸発する際に熱を奪うことで体温調整をしたり、老廃物を追い出す排泄力を促したりします。水は生きる上で欠かせません。
犬が1日に必要な水分量の目安は、体重1kgにつき、約50~60mlです。
我が家の犬は体重3.5kgなので約175~210ml、お友達犬は13kgなので約650~780mlの飲み水を必要とします。
ひとことで「水」といっても、水道水、浄水、ミネラルウォーター、水素水など、その種類はたくさんあります。
体の半分以上を占める水がそんなに大事な役割を担っているならば、いったいどんな水が体にいいのでしょうか?
◆水道水
日本のように水道水をそのまま飲むことができる国は15か国しかありません。国で定められている水質基準は50項目あり、またそれは常に見直され毎年改正しているようです。
このように日本の水道水は安全に飲めるようにしているので、基本的にはそのまま飲んでも大丈夫です。
ただし、安全が故に、消毒のために使用される塩素量もそれなりに多いです。塩素が犬の体にどれほどの悪影響を及ぼすのかはわかっていません。
また、塩素を使用することでどうしてもトリハロメタンが生成されてしまいます。
トリハロメタンは、まだ研究段階のため断定には至っていませんが、発がん性があるかもしれないと勧告されている物質です。
浄水場では人体に影響がないと判断されるレベルまでトリハロメタンの低減化を行っていますが、完全には除去できません。
そのため、犬に飲ませるのはちょっと不安と思う方もいると思います。
そんな方におすすめなのが、煮沸です。水道水は15分以上煮沸し続けることで塩素もトリハロメタンも除去できます。
注意点としては「15分以上煮沸し続ける」ということです。トリハロメタンは沸騰して100℃になると、最大5倍まで増加する特徴があります。その後15分~20分間煮沸し続けると水蒸気とともに蒸発し、トリハロメタンを除去します。
煮沸する時は、蒸気をなるべく逃がすように鍋やヤカンの蓋を開けておくといいでしょう。こうすることで、水道水をより安全な飲み水として使用できます。
ただし、使用する上では注意が必要です。煮沸することで塩素も除去されるので消毒効果はなくなります。そのため、保管はおすすめできません。
使用する分をその都度煮沸することになるので、日常生活においてはあまり現実的ではないかもしれません。でも、覚えておくと有事の際に役に立つと思います。
◆浄水
水道水は浄水器を通すことで、煮沸するよりも簡単に塩素やトリハロメタンなどを除去できます。
浄水器は、フィルターに水道水を通してろ過することにより、有機物や細菌などを取り除く効果を期待できるのが特徴です。
フィルターによって取り除かれた有機物や細菌などは浄水器内に溜まり続けるので、浄水効果を維持するために、浄水器のタイプにあった掃除が必要です。
また、飲水容器は、空気中に浮遊する細菌や飲水時に菌が付着すると消毒効果のある塩素を除去した浄水はあっという間に菌が繁殖してしまいます。
そのため、飲水容器をこまめに洗い、常にきれいな水を飲めるようにしておく必要があります。
浄水器のタイプは大きく分けて5種類に分かれます。住環境に適したタイプの浄水器を選ぶことができます。
1.蛇口直結型
蛇口の先に取り付けるタイプです。コンパクトで取り付けや取り外しが簡単なので掃除がしやすいですが、フィルター容量が小さいため、2~4か月ごとにカートリッジ交換が必要になります。
蛇口のサイズや形状によっては使用できないこともあります。
2.据え置き型
キッチンシンクの上に備え付けて使用するタイプです。取り付け用の部品が付属しているので自分で簡単に設置できます。
フィルター容量が大きく、カートリッジ寿命は1~2年が主流ですが、中には6年とかなり長いものもあります。
水道と接続するホースにカビなどが発生することがあるので、掃除の際はカートリッジの他にホースの汚れにも注意が必要です。
3.ピッチャー型
ポットに入れた水をフィルターで浄水するタイプです。蛇口形状やキッチンシンクスペースを気にせず、どの住環境でも利用できます。
カートリッジ寿命は蛇口直結型と同じく2~4か月です。
ポットは持ち運びができる1~3L程度が主流です。冷蔵庫で冷やしておけるので、冷たい水をすぐに飲むことができます。
4.蛇口一体型
蛇口に洗浄能力を備えているタイプです。蛇口を交換するだけなので、最近はDIYが可能なものもあります。
蛇口にカートリッジを内蔵するため、カートリッジ部分は太めのデザインになります。タンクがなくコンパクトですが、カートリッジ寿命は2~4か月と短いです。
カートリッジ本体はコンパクトなので、保管に場所をとりません。
5.アンダーシンク型
キッチンシンクの下に備え付けて使用するタイプです。カートリッジがシンク下にあり、給水・排水ホースの接続があるため、交換が少し手間になります。
カートリッジ寿命は1年と長いです。
蛇口もシンク回りもスッキリするので、カウンターキッチンやアイランド風キッチンなどの見せるタイプに導入を推奨されています。
浄水は管理を正しく行えば安全でおいしい水です。
最近ではペット専用の浄水器も販売されており、長時間家を空けることが多い場合でも常にきれいな水を飲めるようにする環境を作ることもできるようです。
◆ミネラルウォーター
ミネラルウォーターはスーパーやコンビニに必ずと言っていいほど売られています。食品衛生法で定められた基準を満たしているので、犬にも安全な水です。
ミネラルが豊富な水を飲むとカルシウムやマグネシウムを過剰に摂取することになり、尿結石になってしまう恐れがあるともいわれています。
しかし、これは医学的根拠のないことだそうです。
尿結石とは、おしっこが作られて体外に排泄されるまでの尿路に石ができ、血尿や頻尿、排尿困難などの症状を出す病気です。
尿中にマグネシウム、カルシウム、リン、シュウ酸などのミネラル分が過剰に排泄され、その尿が溜まった状態になる場所で石が作られます。この石は体内で形成されるため、体内のミネラル量に左右されます。
コップに塩を限界まで溶かした水を置いておくと、水が蒸発し、コップの底に塩の結晶ができる現象と同じです。
塩をミネラル分に置き換えると、食事によってミネラル分を摂取した上、更にミネラルウォーターを飲むとやっぱり過剰摂取となって尿結石になりやすいのでは?と思うかもしれません。
しかし、体内のミネラル量はさまざまな仕組みによって調節されているので、単純にミネラル摂取量を制限すれば、尿中に排泄される量が減るというわけでもないようです。
ミネラルウォーターが絶対にダメということでもないようですが、食事でミネラル分を摂取できていれば、飲水はミネラルウォーターではなくてもいいということですね。
でも、外出先で水を切らしてしまったときなどは、ミネラルウォーターを購入して水分補給を欠かさないようにしましょう。
◆水素水/酸素水
水素水は活性酸素を取り除く効果があるといわれています。
体のサビを作る活性酸素は、呼吸をする生物の体内で作り出されます。食べ物に含まれる抗酸化物質により体の酸化を抑えますが、老化により活性酸素が体内で増えてしまうと、動脈硬化や糖尿病、皮膚炎や腎疾患などの病気を引き起こしてしまいます。
副流煙の吸引、ストレス、運動不足、ペットフードに入っている添加物なども体の中で活性酸素を増やす原因になります。
水素水の犬に対する効果については研究や治療例が少なく、はっきりとした効果の実証はされていませんが、治療に水素水を取り入れる獣医師や、その効果を期待して水素水を犬に与えている飼い主さんもいて、効果があったという声も上がっています。
シニア犬に水素水を与えたら、尿のにおいが少なくなった、毛並みがよくなった、ごはんをよく食べるようになったなど、あくまでも飼い主さんの主観ですが、成果があったという声がありました。
また、腎不全にかかった犬に水素水を与えるようになって数か月ですが少し数値がよくなったといわれた、という声もあります。
アレルギーやアトピー、腎疾患、皮膚炎などの症状がある犬に、高濃度の水素水を飲ませる、または点滴をしたところ、改善の効果があったという獣医師もいるそうです。
消化器官の洗浄化や代謝を促すので、慢性的な皮膚疾患や下痢などによいとされています。水素水を治療に取り入れる動きもあり、今後の症例が期待されます。
最近ではペット用の水素水が販売されています。あくまでも自己責任の範囲となりますが、元気になってほしいときに試してみるという、選択肢の一つにはなるのではないでしょうか。
犬に適した飲用水の温度は?
与える水の種類は色々ありますが、その水を飲ませる温度も色々あります。
私たち人間は、暑い夏にはキンキンに冷えた飲み物を飲んで体を冷やし、寒い冬にはホットドリンクを飲んで体を温めます。
犬も、私たち人間と同じ感覚でしょうか。
◆キンキンに冷えた水
冷たい水は犬の体には好ましくありません。猛暑の中で少し体を冷やす目的で小さな氷を1つなめさせる程度であれば問題ありませんが、10℃以下の冷たい水は、おなかを冷やしたり、体調を崩す原因になりえます。
また、シニア犬に冷たい水を飲ませると、内蔵に負担がかかったり、内蔵の機能が低下することがあります。
大量のキンキンに冷えた水は、犬に与えないようにしましょう。
◆常温
水の温度は、常温(15~20℃)で問題ありません。冷たすぎたり熱すぎたりすると体に負担がかかってしまいます。
ただし、寒い時期は水をあまり飲まないこともあります。また、シニア犬はのどの渇きに鈍感になるため水を飲まないことが多いようです。
季節や犬の年齢に応じて多少温度調節をしてあげるといいかもしれません。
◆ぬるま湯
シニア犬にはぬるま湯(20~35℃)が体に負担がかからないといわれています。暑い時期でもぬるめの水を好んで飲む犬もいるようです。
なかなか水を飲まない場合は、ぬるめの水を与えてみてはどうでしょうか。
◆お湯
胃腸が弱い犬にお湯(35~40℃)を与えると、胃腸の機能が高まる効果が期待されます。また、代謝が高まりダイエットや冷え性対策にいいともいわれています。
ただし、あまり温度が高過ぎると、やけどをしてしまい、水を飲むことが怖くなってしまう可能性もあります。温度には十分気をつけましょう。
犬の水のみに役立つグッズ
きれいな水を必要量与えることが大事だということはわかりますが、常に水を管理できるかというと、難しいですね。犬を家に残して長時間不在にすることもありますし、飼い主さんの具合が悪く、寝込んでしまうこともあります。
そこで、どんな時でも犬にとっていい飲水環境を整えることができる自動給水器「ピュアクリスタル」を紹介します。
常に水を循環しながら新鮮な水を維持するフィルターで浄水し、おいしい水を作る環境システムです。
低消費電力でお財布にもやさしく、また、サークル固定できるものや多頭飼育用、小型犬用、中型犬以上用など、犬種・用途に合わせて選べるように10種類もあります。
掃除の頻度は、本体が1週間に1度(夏場は2~3日に1度)、ポンプが月に1度程度です。
掃除を怠るとカビが発生してしまいますので、十分注意しましょう。
まとめ
犬の体の約60%を占める水は、その役割も重要です。幸いにも日本の水道水は、安全に犬に飲ませることができます。
でも、健康に長生きしてもらいたいと思うと、もっと安全な水を飲ませてあげたいものです。
体調や年齢、環境などに応じた種類や温度の水を選び、大切なパートナーの一生を、より楽しいものにしていきたいですね。
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