犬がジャンプするのはなぜ?
突然ですが、あなたの愛犬は何か要求がある時、どのような行動を取りますか?
・ じーっと見つめてくる
・ クゥンクゥンと甘えた声で鳴く
・ お皿やリード、おもちゃを傍に持ってくる
・ 吠えたり、飼い主さんの服を引っ張る
など、要求の仕方は様々かと思います。
いたずらっ子だと、吠えても欲求が満たされない場合は、なにか物に当たるなどして、飼い主さんを困らせてしまうこともあるかもしれません。
そういった困った癖の中のひとつに「ジャンプ」があります。
犬は、飼い主さんに何か要求がある時、また嬉しい時、興奮している時、相手に威嚇している時など、感情を表す行動のひとつとしてジャンプをします。
犬がジャンプするシチュエーション
では主に、どういう時に犬はジャンプしてしまうのでしょうか。
私たち飼い主が、愛犬がジャンプしやすいシチュエーションを理解することで、事前に予防することが出来ます。
◆散歩中
愛犬がうれしそうにお散歩している姿を見ると、とても微笑ましいですよね。
大好きな飼い主さんとお散歩すること、草花のにおいを嗅ぐこと、色々なお散歩コースを歩くことなど、お散歩好きな犬にとって、その時間は楽しくて仕方がないのです。
そして、それはやはり興奮しやすい状況であるということでもあります。
また、犬にも合う・合わない犬や人がいます。工事現場などのうるさい場所が苦手な犬もいます。吠えたり興奮する要素が多い道は、できるだけ避けて通ると良いでしょう。
◆ほかの犬と遊んでいる時
仲のいい友達ワンコと遊ぶのは、コミュニケーション・ストレス発散にバッチリです。ですが、楽しくなりすぎて興奮してしまうかもしれません。
その場合は、落ち着くまで一旦遊びを中止し、様子を見ながら再度遊ばせましょう。
◆ケージから出たい時
ケージから出たい時、出た瞬間にもうれしくてジャンプする犬もいます。
ケージから出たがってジャンプする時は、落ち着くまで出さないようにしてください。ジャンプしているうちは、ケージから出られないと理解させることが大切です。
◆ソファーに登りたい時
飼い主さんの傍にいたい、居心地がよくてお気に入りの場所になっている、高いところに登って遊びたいなどの理由から、ソファーに登りたがる犬も多くいると思いますが、犬種によっては、大きなケガの原因にもなります。
例えば、骨が細く薄いトイプードルやミニチュアピンシャー、骨が出来上がっていない子犬は骨折の恐れがあります。ミニチュアダックスフンドやコーギーなどの胴長短足の犬は、高いところの登り下りで腰を痛める危険性が高いです。
ローソファーであれば背が低いので、犬を飼っていても安心です。
犬がジャンプするのは危険?
犬の骨格は、四足歩行に適した造りになっています。そのため、後ろ足だけで立ったりジャンプすることは、腰や背骨、足に大きな負担がかかってしまうのです。
◆腰を悪くする危険性
“椎間板ヘルニア”をご存知でしょうか。私たち人間にも聞き覚えのある言葉ですね。
椎間板ヘルニアとは、骨と骨の間にある椎間板が飛び出し脊椎や神経を圧迫してしまう症状で、痛みや麻痺、ひどい場合は歩行が出来なくなります。
◆膝を痛める危険性
椎間板ヘルニアの他に起こりやすいケガとして、膝蓋骨脱臼があります。登り降りの衝撃で、足の関節が正しい位置からずれてしまい、膝のお皿がずれた状態になっています。
高いところの登り降りの際や遊んでいて、愛犬が突然キャイン!と鳴いたらどこか痛いサインです。普段どおりに歩いていても、しばらくして突然足を引き摺ったり、歩けなくなることもあります。
ぴょんぴょん跳ねてかわいく見える仕草ですが、ジャンプはとても危険な行為といえます。
犬がジャンプするのを防ぐ方法
今、愛犬のジャンプにお困りの飼い主さんはもちろん、これからもジャンプする癖が付かないように気をつけたい飼い主さんも、以下のことをぜひ参考にしてくださいね。
◆散歩中
お散歩中の注意点は、出来るだけ愛犬の行動を制御することです。リードを長く持ってしまうと、行動範囲が広がって自由に動きすぎてしまいます。
リードを持つ手を腰の高さにして愛犬の傍に立った時、首元でリードが少したるむくらいがちょうどいい持ち方と言われています。
そして、ジャンプをしはじめたら、すぐに立ち止まります。落ち着くまでその場を動かず、ジャンプをやめたら褒めてあげてからお散歩を再開しましょう。
◆ケージ
ケージはどのようなタイプのものをお使いですか?サークルのみで天井が開いているものは、上から出られると覚えてしまうと、脱出しようとジャンプしてしまいます。
ケージに入れている時にジャンプするようであれば、天井がついたタイプのものに替えるといいでしょう。
また、ごはんやおやつをあげる時は、上から与えないようにします。はやく食べたい一心で、ジャンプして飛びついてくるからです。
愛犬も飼い主さんもケガをする恐れがありますので、しゃがんで目線を近くに合わせてから与えるようにしましょう。
◆ソファー
ソファーなどの高いところの登り降りは、足腰や背骨に大きな負担がかかるとお伝えしました。飼い主さんが気を付けていても、愛犬のお気に入りの場所になっている場合は、どうしてもソファーに登ってしまうと思います。
その場合は、ジャンプして登り降りしないように、ステップ(階段)を設置するといいでしょう。
設置してすぐは、初めて見るものに戸惑い、ステップを使用してくれないかもしれません。その場合は、大好きなおやつや食べ馴れているドッグフードをステップに置いてみたり、上手く登れたらたくさん褒めてあげるといいですよ。
犬のジャンプ癖をしつけるトレーニング体験談
以前、私は動物看護士になるためにペット専門学校に通っており、そこでは学校犬としてトイプードル2頭を飼育していました。そのうち1頭のひどかったジャンプ癖を直すため、長期間に渡っておこなったトレーニングのお話をさせていただきます。
◆ジャンプ癖がついた理由
その犬は、遊ぶのもお散歩もいつも全力。そして、食べることが何よりも大好き!ごはんやおやつの時間になると、興奮して走り回る元気いっぱいな男の子です。
ある時から、ごはんを催促して吠えるようになってしまいました。
「吠えたら要求が満たされる」ことを覚えてしまうと、吠え癖がついてしまいます。吠えたら無視したり、その場から離れることを繰り返すと、吠えることはほぼ無くなりました。
しかし、吠える代わりに始まってしまったのが、ジャンプでした。
お散歩やごはんなどの時間に人の姿を見つけた時や、他の犬を見つけると一緒に遊びたくて興奮し、ここぞとばかりにジャンプをして甘えます。
愛犬がジャンプするのは、なにか要求があり、それを分かってほしくてしているのです。
◆ジャンプ癖を直すためのルール
ジャンプ癖を直すために、学校全体となって気を付けて接していたことがあります。
① ジャンプしはじめたら、無視する
② 落ち着かない時は、その場から離れる
③ ジャンプをやめたら、たくさん褒めてあげる
全員でこれを徹底しました。
「お散歩の時間だ!うれしい!早く行こう!」
「ごはんが食べたい!おやつが食べたい!ちょうだい!」
「手に持っているものはなに?気になるよ見せて!」
など、何でもうれしい!たのしい!な好奇心旺盛な性格のため、すぐ興奮してすべての要求がジャンプに繋がっていました。
しっぽをブンブン振りながらジャンプして甘えてきますが、ぐっと堪えて無視をします。ちょっとかわいそうですが、これが一番大事なことです。
それでも落ち着かない時は、一旦離れてしまいます。そして、犬がジャンプをやめたのを確認したら、大げさにたくさん褒めてあげてください。
ジャンプをすると人がいなくなる、ジャンプをやめると要求が満たされる と、覚えてもらうためです。
ここで注意していただきたいのが、飼い主さんが諦めないことです。
かわいそうだから今回だけ…などと、その時々で態度を変えてしまうと、「さっきは良くて、どうして今はダメなの?」と、愛犬は戸惑ってしまいます。
一度トレーニングすると決めたからには、最後まで諦めずに取り組みましょう。そして、家族全員がそれを徹底することが重要です。
犬のジャンプに関するまとめ
今回は、犬の困った癖、”ジャンプ”についてお話させていただきました。
しつけトレーニングは、時には飼い主さんの心を締め付けてしまうほど、かわいそうで心苦しく感じることがあるかもしれません。ですが、愛犬がジャンプするようになってしまうと、骨折や椎間板ヘルニアなどの、今後の生活にかなり支障が出てしまうほどの大きなケガや事故の原因になりかねません。
愛犬にはいつまでも健康で長生きしてほしいですよね。そのようなケガを予防するために、すでにジャンプ癖がついてしまっている場合は、家族全員で協力し合って、出来るだけ早いうちにトレーニングして直していきましょう。
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