1.ヘルニアとは
3.普段過ごす中でできるケア
3-1.◆運動
3-2.◆トイレ
3-3.◆住宅環境を整えよう
3-4.◆抱っこの仕方(小型犬)
3-5.◆炎症を抑えよう
3-6.◆温めてあげよう
3-7.◆寝かせる時
3-8.◆リハビリ
3-9.◆ご飯
3-10.◆爪を切る、足の裏の毛を切る
ヘルニアとは
そもそもヘルニアとは何かという話ですが、ヘルニアというのは、体内にある器官が、本来あるべき場所からはみ出てしまっている状態の事です。
おへそが出てしまっている「臍(さい)ヘルニア」
脂肪や腸管、膀胱がでている「鼠経(そけい)ヘルニア」
背骨の間にあるゼリー状の組織が飛び出してしまう「椎間板ヘルニア」
などがあります。
椎間板ヘルニアには軟骨異栄養性犬種という軟骨が変化しやすい犬種に起こる「ハンセン1型」と加齢などによって起こる「ハンセン2型」があり、ダックスフンドはハンセン1型の椎間板ヘルニアが多く見られます。
ダックスフンドは短い脚、しっかりとした長い胴が特徴的で、この体型はどうしても背骨に負担がかかってしまいます。ジャンプしたり、急に方向転換したり、些細なきっかけで椎間板ヘルニアを発症する恐れがあります。
なので、ダックスフンドは椎間板ヘルニアにとてもなりやすいです。他の犬種よりも12.6倍は起こしやすいと言われています。
ダックスフンドの生涯において、19~24%の確率でヘルニアが起こると言われています。
ヘルニアによる変化
愛犬の異変に気付き動物病院に連れていくと、ヘルニアと診断。焦る気持ちもわかりますが、落ち着いて獣医師の説明を聞きましょう。
◆ヘルニアのグレード
ヘルニアにはグレードがあり、このグレードに応じて後々の対応やケアが変わっていきます。
「グレード1」
初めて診断を受けて、痛みはあるものの麻痺がないのがグレード1です。運動するのを嫌がったり、段差を上り下りしなくなったり、飼い主が抱きかかえた時に痛みを訴えて泣く場合もあります。
「グレード2」
麻痺や運動失調、歩行はできますが、後ろ足の力が弱くなってしまい、ふらふらと歩くようになる。足をすりながら歩いたりします。
「グレード3」
麻痺で後ろ足を動かせなくなってしまい、前足だけで歩くようになります。
「グレード4」
自分の意志で排尿ができなくなってしまいます。膀胱にはいつも尿だけがたまった状態でぽたぽたと垂れ流しの状態になります。
「グレード5」
深部痛覚がなくなります。これは>一番最後になくなる痛覚までなくなった状態なにも痛みを感じません。
普段過ごす中でできるケア
何とかヘルニアで悩む愛犬を楽にさせてあげたい!そんなあなたでもできるケアをご紹介します。
◆運動
グレード1の場合は、お散歩しても大丈夫ですが、控えた方がよい行為があります。ドッグランに行って走り回らせたり、他のワンちゃんや落ちている物に飛びついていくようなことをさせたりするのは止めましょう。
リードを引っ張る行為はとても危険です。リードを引っ張ることで腰にすごい負担がかかるので、無理やり引っ張るなどはやめるようにしましょう
走り出しそうだと思ったら抱きあげる。走り出さないように努力しましょう。ジャンプをさせる行為もいけません。飛ばないように注意しましょう。
いつもの散歩よりも落ち着いた負荷のない散歩を心がけるようにしましょう。
グレード2の場合はお散歩はやめておいた方がいいです。外に出るのはやめて、家の中で少しうろうろする程度にしておきましょう。
決して走らせたりソファやベッドに飛び乗らせるなどさせないように注意しましょう。
グレード3以降になると獣医から安静療法(ケージレスト)と言われる場合があります。これは、かなり積極的な安静をさせる必要な状態です。辛いとは思いますが、運動や散歩を一切中止して、トイレの時以外は、狭いケージの中で安静にさせ動きを制限させます。
◆トイレ
グレード3のヘルニアになったワンちゃんは自分で排泄ができない場合があります。その場合は獣医師におしっこを抜いてもらうこともできますが、飼い主さんでお手伝いしてあげたい場合は、獣医師の指示に従ってお手伝いしてあげてください。
◆住宅環境を整えよう
ツルツルと滑りやすいフローリングの床は、愛犬の足腰にダメージを受け、痛めやすくなってしまいます。滑り止めやクッション性を考えて、愛犬が良く歩く場所にマットを引いてあげましょう。
フローリングマットや滑り止めのワックスなどもオススメです。
段差にも注意をしてください。愛犬が頻繁に段差を上り下りするような環境にしないように心がけましょう。ヘルニアが悪化、再発などの恐れがあります。
◆抱っこの仕方(小型犬)
正しい抱っこをすることで愛犬への体の負担は大幅に下がります.間違えた抱っこをすることでストレスを与えてしまう事などもあるので、正しい抱っこをするようにしましょう。
抱っこの際縦向きの姿勢を取らせると、背中に負荷がかかりやすく危険です。
次にダックスフンドや小型犬の正しい抱っこの仕方を紹介します。
「正しい抱っこのポイント」
両脇に手を入れて万歳するような持ち方は絶対にやめましょう。
正面からではなく、ワンちゃんを横から抱き上げるようにしなければなりません。まずは、ワンちゃんの前足を片手で掴み、もう片方の手で、ワンちゃんのお尻から包むように抱き上げるのが大切です。
ワンちゃんが地面と平行になるように抱っこするのがポイントで、伏せやお座りをしている時の姿勢だと理想です。
抱き上げた時に、なるべくワンちゃんを飼い主さんの体にくっつけて重心を飼い主さん側に寄せて抱いてあげるとワンちゃんは安心します。
ただヘルニアでワンちゃんが痛がる場合は無理に抱っこしないようにしましょう。
◆炎症を抑えよう
ヘルニアによる異常箇所が把握できているなら、保冷剤や氷袋などを使ってアイシングしてあげましょう。
アイシングをすることで血管が収縮し、腫れていることによる神経の圧迫も抑えることができます。
幹部を冷やすことによって麻痺作用が働き、一時的に痛みの軽減もできます。
ワンちゃんの体は被毛に覆われているので、保冷剤や氷枕にタオルは必要ありません。30分程度直接患部に当ててアイシングしてあげましょう。
◆温めてあげよう
ヘルニアが回復の傾向がある時に患部を温めてあげることも大切です。季節の変わり目の寒い日や、寒い季節になると、ワンちゃんの血管が縮小して血行が悪くなり、筋肉が固まったり、関節の可動域も狭くなるなど体に悪影響を与えます。
ヘルニアが椎間板ヘルニアであった場合、椎間板が存在する背骨はたくさんの筋肉が引っ張っているので、寒さによって筋肉や関節の動きに支障が出ると、悪化する可能性があります。
ミニカイロをタオルに入れて低温やけどしないように温めたり、お洋服を着せてあげたり、ワンちゃん用の腹巻きなどもあるので、それを着させてあげて温めるなどをしてあげてください。
1枚重ねるだけでも保温効果は上がります。
しかし注意が必要で、飼い主さんの判断で冷やしたり温めたりするのではなく、獣医師に相談してから実行してください。
◆寝かせる時
ワンちゃんに無理な姿勢を取らせないことも大切です。背中を少し丸めて、横に寝る姿勢が背中などに負担がかからない姿勢です。背中を少し丸めることによって、神経への圧迫が抑えられます。
ヘルニアになったらなるべく背中が伸びないようにしましょう。
ヘルニアの時の寝かせ方の決まりは特にないのですが、その子にとって楽な姿勢で寝かせてあげましょう。
◆リハビリ
ヘルニアの手術をしたワンちゃんはすぐにリハビリをします。これは獣医師の方々が行ってくれるので、自分ではむやみに行わず、獣医師の方の指示を聞いてください。
◆ご飯
ヘルニアになった際に食事も大切なケア方法です。ワンちゃんに大切な栄養素をしっかりと理解しましょう。
太っていると関節を痛めやすいので、スリムな体型や標準的な体型を維持することを心がけるようにしましょう。
肉や魚から取れる動物性たんぱく質は、筋肉や骨格作りに役立ちます。消化や吸収がしやすいので、筋肉のもとになりやすく、筋肉をつけることで代謝が上がり、太りにくくなります。
高カロリーや高脂肪なフードは肥満を除き結果的にヘルニアを悪化させてしまいます。カロリーが低く、低脂肪な食べ物がオススメです。
ヒアルロン酸、グルコサミン、コンドロイチンなど、軟骨成分の形成を助ける栄養素が含まれた食べ物がオススメです。コラーゲンも摂取することで、筋肉や靭帯、腱などを構成する大切な栄養素です。サプリメントなどでも補うこともできます。
カルシウムは、一見摂取すればするほどヘルニアに良いもののように思えますが、過剰摂取は病気の原因になる可能性があります。
他の栄養素とのバランスを大切にして、自己判断ですべてを考えないように、獣医の先生などにも相談してケアをしましょう。
ここまでご自分でもできる愛犬がヘルニアになった時のケアの方法をご紹介してきました。ヘルニアにならないための予防や対策についてもご紹介していきます。
◆爪を切る、足の裏の毛を切る
爪を定期的に切ってあげましょう。ワンちゃんは爪が伸びていると歩きづらく、滑りやすくなってしまいます。定期的に足を見て伸びていると思ったら切りましょう。
足の裏の毛も爪と同様伸びていると滑りやすくなってしまいます。
どちらもこまめに確認をして、お手入れをするようにしましょう。
異変を感じたら…すぐに獣医に相談
愛犬の変化にすぐに気が付くことも大切です。何か少しでもおかしいなと感じたらすぐに動物病院に行きましょう。例としてこのような症状が出ていたら注意が必要です。
2. 歩くときに時々足がもつれる。
3. 立ち上がる時に震えている。
4. 食欲がない、元気がない。
5. 抱っこしようとすると嫌がる。
6. トイレでおしっこが出ない。失敗するようになる。
7. 背中を触られるのを嫌がる。
8. 背中を触ると鳴いた
9. 動かないでうずくまってる。
10. 大好きなお散歩を嫌がるようになる。
11. 段差の上り下りを嫌がるようになる。
他にもおかしな所があったらすぐに動物病院に連れていきましょう。ヘルニアの症状は時間が経つほど進行してしまうため早期発見・早期対策が大切です。状態により、手術が必要となる場合もあります。
症状が軽度なうちに治療してあげることで、後ろ足の麻痺や自力で排泄、排尿ができないなどの後遺症なく、いつもの生活を取り戻すことができます。ヘルニアは命にかかわる病気の1つです。普段から愛犬の体調の変化を気にかけてあげましょう。
まとめ
大切な愛犬がヘルニアになってしまった際の飼い主さんで極力できるケアなどを紹介しました。ですが、ワンちゃんによって、症状は様々で、自分でこれをしたらいい!という考え方は、返って悪化させてしまう可能性もあります。
まずは獣医師に相談をしてからケアをしていくようにしましょう。
愛犬と幸せで充実した日々を願っています。
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