1.ドッグフードの『酸化』って何?
1-1.酸化したドッグフードが及ぼす影響とは
1-2.酸化したドッグフードの見分け方
2.ドッグフードの正しい保存方法
2-1.ドッグフードの保存容器を選ぶときに重視したいポイント
3.ドッグフードと酸化防止剤(抗酸化物質)
3-1化学合成酸化防止剤(合成抗酸化物質).
3-2天然酸化防止剤(天然抗酸化物質).
【掲載:2020.08.13 更新:2024.04.16】
ドッグフードの『酸化』って何?
酸化とは『物質と酸素が反応して起こる変化のこと』であり、本来の定義としては『対象の物質が電子を失う反応』とされています。
食品の中には、酸化の現象をプラスに捉えてあえて利用しているものもありますが、基本的には食品の酸化は劣化として扱われます。
酸化による劣化を生じやすい食品成分として、脂質・タンパク質・アミノ酸などが挙げられますが、ドッグフードにも肉や魚、その他食材のタンパク質や脂質が含まれていますので、袋を開けた瞬間から酸化が始まってしまうのです。
ちなみに、一度酸化したものは元に戻ることはありません。
ドッグフードが酸化すると品質や味が変わっていくので、愛犬がフードを食べなくなることがあったり、栄養素が減る・成分が変化することから、酸化したフードを食べ続けることで、体に良くない影響をもたらすこともあります。
ドッグフードに含まれる脂質は、犬のエネルギー源になるほか、皮膚・被毛の健康維持など様々な働きをする重要な栄養素である為、犬のごはんとしては欠かせない成分となります。
ですので、ドッグフードの酸化を気にする際は、フードをどうするかではなく、『どのように保存するか』『どのくらいの期間で食べきるか』を意識すると良いでしょう。
◆酸化したドッグフードが及ぼす影響とは
酸化したドッグフードを与えたときに起こりうる健康被害としては、栄養不足になるパターンと消化器系の症状を引き起こすパターンが考えられます。
前述の通り、ドッグフードは酸化すると、本来の栄養素が損なわれていきます。
総合栄養食表記のあるドッグフードの場合、基本的に犬に必要とされる栄養素がドッグフードと水で補えるようになっていますが、酸化したフードを与えていては犬が体に必要となる十分な栄養補給ができない状態になります。
消化器系症状としては、主に嘔吐・下痢の原因になりやすく、継続的にこのようなフードを与え続けると最悪の場合は肝機能低下、腎泌尿器障害、動脈硬化やアトピー性皮膚炎など様々な病気の原因になることもあります。
◆酸化したドッグフードの見分け方
ドッグフードのパッケージに書いてある情報としては未開封の状態の賞味期限がほとんどで、ドライフードの場合基本的に具体的な消費期限は記載されていません。
『開封後はお早めにお与えください』という風な記載はありますが、一体どれくらいの期間であげきるのがよいのでしょうか。
一般的に、ドライフードは開封後1カ月以上(高脂質のフードは2週間程度で食べきることが理想とされています。
その他、『触るとべたべたする・湿気っぽい』『臭いがキツい』『変色している』『以前よりも愛犬の食いつきが悪い・食べた後に下痢や嘔吐をする』といった異変がフードや愛犬に見られた場合には、完全に酸化してしまっているので、速やかに新しいフードに切り替えます。
ドッグフードの正しい保存方法
開封後のドッグフードが酸化する原因としては、主に3点挙げられます。
- ドッグフードに含まれる油の質が良くない
- 保存容器に空気が入っている
- 保管環境が良くない
ドッグフード自体の油が問題となる場合はフードの見直しを検討する必要がありますが、飼い主さんのフードの保存方法に問題がある場合もあります。
ドッグフードの正しい保存方法は、出来るだけ空気に触れないようしっかりと密閉し、高温多湿を避けることです。
ドライフードを開封した後は、密封性の高い保存容器(犬用のドライフード保存容器や密封性の高い未使用のゴミ箱など)に移し替えるのが良いでしょう。
ドライフードの場合は毎日開け閉めするので、小分けのジップロックなどの保存容器に1回分の食事量を分けて入れておくのもおすすめです。
その容器の保管場所としては、光や日光の当たらない涼しい場所(冷暗所)が適切であると言えます。
直射日光を避けるのはもちろんのこと、日光だけでなく、蛍光灯の光でも酸化が進むとも言われているので、出来るだけ冷暗所での保存をおすすめします。
たまに夏場にドライフードを冷蔵庫で管理する方を見かけますが、1回分のドッグフードを小分けにして管理していない場合(中・大袋を冷蔵庫で保管している場合)は、冷蔵庫に入れたり出したりする際の温度差(結露)によってドッグフードがさらに傷みやすくなるので注意が必要です。
その他、海外製のドッグフードも人気を集めていますが、パッケージが海外仕様のもの(並行輸入品など)は特に開封後に保存容器を使用するなどの配慮が必要です。
と考えられており、カビや細菌が増殖する環境が整いやすいので、日本の湿度に合ったパッケジングがされているものがおすすめです。
ウェットフードの場合は、開封後必ず冷蔵庫で保管して、遅くとも次の日中には使い切ります。
ウェットフードはドライフードとは異なり、一般的には酸化防止剤を使用せず缶を密封した状態で煮沸消毒されますので、ドライフードより酸化が速いと考えられています。
◆ドッグフードの保存容器を選ぶときに重視したいポイント
ドッグフードと酸化防止剤
犬の健康被害に影響する「酸化」ですが、ドッグフードが酸化しにくいよう酸化防止剤(抗酸化物質)を使用しているフードもあります。
酸化防止剤には、天然酸化防止剤(天然抗酸化物質)と化学合成酸化防止剤(合成抗酸化物質)がありますが、前者においては全般的に継続摂取することで発がん性が生じるものが多いので極力避けましょう。
抗酸化物質に関しては、ドッグフードの品質を保つために使用されており、脂肪と脂溶性ビタミンの安定をはかることでフードの酸化を防止する役目を補っています。
一般的にドッグフードに含まれる添加物は比較的安全であると考えられていますが、アレルギーの原因になったり継続摂取することで健康被害の原因になりやすいことは否定できません。
◆化学合成酸化防止剤(合成抗酸化物質)
化学合成添加物の中でも特に注意が必要なのが「エトキシキン」。
エトキシキンに関しては人(食品)においての使用が認められていないため注意が必要で、価格が抑えられることが理由でドッグフードに使われていることがあります。
その他、化学合成添加物には、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)やBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)などがあります。
天然の酸化防止剤と比較すると健康被害に対してのリスクが大きい合成抗酸化物質ではありますが、ドッグフードを加工する際の圧力や水分、熱などに対しての抵抗力が強いのが特徴で天然抗酸化物質と比較すると効力が強いと考えられています。
◆天然酸化防止剤(天然抗酸化物質)
酸化防止剤が含まれるドッグフードを選ぶのであれば、ローズマリーやトコフェロール(時にビタミンEとも呼ばれる)、アスコルビン酸(ビタミンC)などの天然由来の酸化防止剤が比較的安心です。
ただし、トコフェロールに関してはドッグフードの酸化を防ぐためには効力が非常に弱いので酸化防止目的としてビタミンEのみを添加しているドッグフードの場合は注意が必要です。
ドッグフードの保存方法に関するまとめ
ドッグフードの酸化や保存容器を中心にご紹介致しましたが、湿気の多い日本ではドッグフードの管理に特に注意が必要です。
ドッグフードの色が濃くなった・脂っぽくなってベトベトする、普段と比較して匂いがおかしいなどの変化があったら、ドッグフードが酸化しているかもしれません。
傷んだドッグフードは犬の十分な栄養源にならず、それに加えて消化器系症状を引き起こしたり様々な病気の原因にもなります。
せっかく品質の良いドッグフードを与えていても酸化していたら意味がないので、夏場だけでなく梅雨や暖房のきいた室内、光がさす場所などに気をつけて、しっかりとドッグフードの管理をしましょう。
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