1.ジャーマンシェパードとは
1-1.歴史
2.ジャーマンシェパードの特徴
2-1.外見
2-2.被毛
2-3.大きさ
3.ジャーマンシェパードの性格
3-1.自信がある
3-2.飼い主に忠実
3-3.落ち着いている
4.ジャーマンシェパードの病気
4-1.寿命
4-2.かかりやすい病気
6.ジャーマンシェパードの飼い方
6-1.しつけを徹底する
6-2.寒さに強く暑さに弱い
6-3.余計な被毛の除去をする
6-4.運動量に気を付ける
ジャーマンシェパードとは
警察犬として知名度の高い、ジャーマン・シェパード・ドッグ!(※以下、ジャーマンシェパードと記載します)このことから、「勇敢でとても利口な犬種」といったイメージを持っている方も多いでしょう。
正にそのイメージ通り、頭がよく運動能力の高い犬種で、我慢強い性格をしているので、なんでもこなすユーティリティ・ドッグとして世界中で活躍しています。
警察犬に限らず、麻薬犬・災害救助犬・盲導犬・俳優犬・探知犬・牧羊犬(牧畜犬)など、使役犬としても幅広い分野で活動しており、またその優秀さと魅力から家庭犬としても愛されている犬種だといえるでしょう。
◆歴史
シェパードの歴史は意外と浅く、現在のシェパードが作出されたのは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのことでした。
基礎となったのはドイツの農家で飼育されていた牧羊犬で、「オールド・ジャーマンシェパード」と呼ばれ、牧畜管理や番犬、荷物を引いたり物を回収するなどして、多様な働きを見せていた知的能力・運動能力の高い犬でした。
この能力の高さに目を付けたドイツの軍人により繁殖計画が始まり、徹底的な作業性向上・訓練性能向上を目的に交配を繰り返し、現在のシェパードが生まれたとされています。
1899年にジャーマン・シェパード・ドッグ協会において、最初のスタンダードが作られたそうです。協会による厳しいルールが加えられた徹底的な管理で、優秀な個体が選択交配され、短い期間での能力向上が可能とされました。
第一次大戦以降は戦時下で軍用犬として働いており、第二次大戦時は世界中で20万頭ものシェパードが活躍していたという記録があるそうですよ。日本にシェパードが入ってきたのもこの頃です。
戦後はその多彩な能力を生かし、警察犬・番犬などに転職していき、20世紀にはアメリカで映画出演を重ねる俳優犬によって、その人気は高まりました。
前述したように、現在でもその高い能力から様々な分野で活躍し、人間にとっても欠かせない犬種の一つとなっています。
ジャーマンシェパードの特徴
万能使役犬ともいわれているジャーマンシェパード。全てにおいて高い能力値をもっている、魅力的な犬種であることが既に感じられますよね。
しかし知れば知る程、その魅力度は更に高まるはずです!まずはその身体的特徴からチェックしていきましょう。
◆外見
シェパードの外見的な特徴の一つとして、その体型が挙げられます。シェパードの体を側面から見ると、腰・お尻の方が下がっているのです。そして体高よりも体長が10~17%程、長いという特徴があります。
筋肉質で強靭なたくましい体つきをしていて、瞬発力・俊敏性・ジャンプ力などに長けているといわれています。
耳はイメージとしても強い立派な立ち耳で、顔つきは凛々しいですよね。しかし実は、赤ちゃんの頃は耳が垂れていて顔も丸めです。成犬になるにつれて耳がピンと立ってきます。
◆被毛
シェパードは、ダブルコートの被毛を持つ犬種です。
毛色には、全身が黒いオールブラック、ブラックにこげ茶~明るい茶色、イエロー、明るいグレー、などの種類があります。日本では、黒地に茶系の色が入った被毛をもつ個体のイメージが強いでしょう。しかし、イエローや明るいグレーなどといった珍しい色も認められているのです。いずれの毛色であっても、鼻を中心に黒い差し毛(マスク)が広がっていることが必須です。
被毛の長さは短毛と長毛の種類に分かれており、短毛をシュトックハール、長毛をラングシュトックハールと呼びます。国内で見掛けることが多いのは短毛のシュトックハールですね。ラングシュトックハールは、たてがみ・尻尾などに飾り毛があり、やや長めの被毛をしています。しかしこの長毛のタイプは、スタンダードで認めていない国も多いようですよ。
また、近年ホワイトシェパードを見掛けることも増えてきたと思います。この犬種は純潔のシェパードから生まれる白い毛色をもつ個体です。毛色が白いだけで、性格・能力的にはシェパードと変わりありません。ただしサイズが、シェパードよりもやや大きい個体が多いそうです。
◆大きさ
シェパードの標準とされる体高は、オスが60~65cm、メスが55~60cmとされています。体長は前述したように、体高より約10~17%長いものが良いとされているそうです。
体重は、オスが30~40kg、メスが22~32kgが標準とされています。
ちなみに体高とは、地面から首と背中の境目付近までの高さを指し、体長は前胸の出っ張っている部分からお尻の出っ張り部分までの長さを指します。
シェパードは大型犬として分類されていますが、大型犬の中では比較的コンパクトなタイプといえるかもしれませんね。
ジャーマンシェパードの性格
その見た目や警察犬といったイメージから、優秀でクール、また攻撃的で怖そう…といった印象を、シェパードに対して抱いている方も多いと思います。
しかし、信頼している飼い主さんや家族に対して、愛情深く、甘えん坊、といった一面も性格として持ち合わせているのです。とても豊かな愛情表現を、家族に対して示してくれる犬種でもあるといえるでしょう。
もちろんユーティリティ・ドッグとして世界中で活躍している点からも分かるように、それをこなすために適した能力・性格をしていることも事実です。優秀な犬種シェパードがもっているという、そんな一面を紹介していきましょう。
◆自信がある
シェパードは自分に自信がつくと、そこに冷静さが加わり、とても落ち着きのある犬種となります。優秀だといわれる所は、成長したシェパードから感じられるその自信にも関係しているのでしょう。
勇敢で辛抱強く、命令・指示に最後まで従おうと行動する責任感の強さは、自分自身がもつ確固たる自信から現れているのかもしれませんね。
◆飼い主に忠実
シェパードには強い警戒心を持つ個体が多いです。これは、防衛犬として作出されたことも一因と考えられます。初対面の他人がおやつなどを与えても食べなかったり、安全だと確認できるまで近づかないなど、相手のことを簡単には信用しない、といった一面を持っているのです。
しかしその分、忠誠心・服従心は強く、飼い主さんや家族、親しい相手を守ろうとする愛情深さがあります。
家族に対しては従順で、忠実に指示を守るのが得意な子が多いでしょう。
◆落ち着いている
シェパードは身体的にも高い能力を誇る犬種ですが、それは知的・精神的な面においてもいえることです。
活発ではありますが、洞察力があり、自分で考える力をも備えています。
普段から飼い主さんの行動をよく見つつ、落ち着いて物事を考えられる点からも、指示や命令に従うことが得意な犬種だといわれているのでしょう。
ジャーマンシェパードの病気
知力・体力共に優秀なシェパードですが、やはり気を付けなくてはいけない病気もあります。
どの犬種においても同じことですが、健康状態を維持することは飼い主さんの使命だともいえますよね。
シェーパードの寿命と、かかりやすいとされている病気を紹介していきますので、しっかりチェックしていきましょう。
◆寿命
シェパードの平均的な寿命は、9~13年前後だといわれています。これは大型犬の中でも、平均的な数字です。
もちろん個体差はありますので、あくまでも平均的な目安だと考えてくださいね。
◆かかりやすい病気
シェパードは以下の病気にかかりやすいとされています。
-
◎胃捻転…胃がねじれてガス・液体がたまる、命に関わる恐ろしい病気です。
◎熱中症…被毛が多く暑さに弱い犬種が気を付けるべき病気です。特に夏など高温多湿の時期に注意です。
◎膵液分泌不全…膵臓から分泌される消化酵素が小腸へ放出されず、脂肪などの分解に問題が起こる病気です。先天的な原因で発症する場合があります。
◎股関節形成不全…股関節の発育・形成に異常が見られる病気です。重度では歩行困難に陥る可能性があります。
もちろん全ての病気に対して注意が必要ですが、シェパードは特に上記の病気にかかりやすいとされている犬種です。
中でも遺伝性疾患においては、過去に行われた極端な近親交配が原因となっているという、残念な経緯があります。これは戦時中に軍用犬として爆発的に広がった際に行われ、戦後は繁殖方法が注意深くなったことで少しずつ解決されてきた問題です。
しかし、外見的特徴でも紹介した「腰の方が下がっている」という独特なスタイルが展示会で好まれており、股関節形成不全の素因を強く持った、足腰の弱い個体が残るといった結果となってしまったのです。
股関節形成不全は、早ければ生後3~4ヶ月程度で発現することがあり、重度となれば歩行困難を招くケースも考えられます。軽度であれば運動による筋肉補強で習性を過ごす場合もありますので、早期発見に努めることが重要となるでしょう。
どの病気・怪我においてもいえることですが、何らかの異変や異常を感じた場合は、早めに一度獣医さんに相談することをおすすめします。
ジャーマンシェパードの価格相場
現在のシェパードの価格相場は大体20万~50万円程です。
犬種スタンダードへの近さや、血統・顔・毛色・体の大きさ・月齢などによって大きく変動します。成犬と子犬ではその差は大きいので、価格は事前にしっかりチェックしておきましょう。
愛犬として迎え入れるには、ペットショップやブリーダーから購入したり、保護犬から選択して里親候補となるといった方法があります。
シェパードは、ペットとして人気のトイプードルやチワワ、ポメラニアンなどに比べると珍しい犬種だといえるので、ペットショップで見掛ける可能性は低いかもしれませんね。
しっかりと安心感を得られるブリーダーを探して、見つけるのが一番の早道からもしれません。
ジャーマンシェパードの飼い方
シェパードを家庭犬として迎え入れる場合は、屋内で飼育し、人間の側に置くことが大切です。そうすることで、自分に与えられた役割、家族が求めるものなどを自分自身で考えるように成長し、信頼できる家族の一員となってくれるでしょう。
屋外で放置するなどの飼育方法は、精神的緊張を招き、防衛能力・警戒心を前面に出す結果となります。番犬としては優秀な存在となるかもしれませんが、家庭犬としては性格が不安定となるでしょう。
目的に沿った飼育方法をとること、飼い主さんや家族との強い信頼関係を招くことが最も大事なのです。
更に、シェパードを飼う上で頭に入れておくべき重要なポイントを紹介していきましょう。
◆しつけを徹底する
シェパードは理解力・洞察力に優れており、達成意欲の高い犬種です。紹介してきた通り、従順で賢く、飼い主さんの指示などに応えることに生きがいを感じるのです。
教えたことはそれなりにそつなくこなす個体が多いので、日常で使用する基本的なしつけ・コマンドはもちろん、もってこい遊びなども楽しんで行うでしょう。愛犬が喜んでいるようであれば、触れ合い活動にも参加できますよ。
ただし、魅力の一つでもあるシェパードの大きな体は、引っ張る力も強く、興奮して人や犬に飛びつくだけで怪我をさせる可能性も考えられます。本人に悪気はなくとも起こり得ることなので、「マテ」やクールダウンさせるためのしつけは徹底しておきましょう。
◆寒さに強く暑さに弱い
シェパードはダブルコートの被毛をもつため、寒さに強くて暑さに弱い犬種となります。特に夏場の時期は、外出時や室内の環境に中が必要です。
散歩などは涼しい時間帯を選んだり、定期的に水分を摂らせることが大切です。室内では、愛犬がハァハァしない程度の低い温度設定とし、湿度にも注意してくださいね。
◆余計な被毛の除去をする
短毛種が多いシェパードですが、ダブルコートなので抜け毛は多いです。換毛期であれば、大量の抜け毛は飛び散るでしょう。抜け毛対策が必須となる犬種だといえます。
週に三回程度は、しっかりブラッシングをしましょう。
◆運動量に気を付ける
運動不足はストレスに繋がり、問題行動の原因となります。朝晩1時間程度の散歩が、シェパードには必要だといえるでしょう。
力は強いので「つけ」をしつけておき、散歩中はしっかり飼い主さんについて歩くようにすることが大切です。
ちなみにシェパードの魅力の一つといえる速足は、地面と平行になるほど態勢が低くなり、大きな一歩でスピードも速いです。ドッグランなどでたまには思いっきり走らせてあげると、愛犬自身も喜びますし、飼い主さんもその姿に釘付けになると思いますよ。
まとめ
シェパードはその外見や性格、能力の高さからも、とても魅力的な犬種です。
しかし愛犬として迎え入れる場合は、飼い主さんが飼育できる環境にあるかどうかを前以て考えておいてくださいね。
運動時間は多く必要ですし、ストレスのたまらない室内環境を維持する必要があります。身体も大きいので、食費や医療費、介護費などの金銭的な面でも条件を考慮しておくことが大切ですよ。また、中型犬以上を制御できる程度に、コントロール能力を持つ方に向いている犬種だともいえるでしょう。
飼育環境が整っており、信頼関係をしっかりと築くことができれば、家族の中心として、かけがえのないパートナーとなってくれることは間違い無しの犬種だといえます。
愛らしくも凛々しくもある、ジャーマン・シェパード・ドッグ!魅力満載の素晴らしい犬種の一つです。
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