ラフコリーの歴史
ラフコリーの起源は、約2000年前。明確ではありませんが、その時代の牧羊犬が先祖だといわれています。
イギリス、スコットランド・ウェールズそれぞれの地方にいた牧羊犬と、他の牧羊犬を掛けあわせて生まれたのがラフコリーで、ボルゾイとの交配も行われたそうです。
当時は牧羊犬に限らず、水難救助犬としても活躍していたといわれています。
1860年代に、ビクトリア女王がスムースコリーを気に入って連れ帰ったことから、兄弟種であるラフコリーにも注目が集まるようになります。当初は、イギリス・アメリカの上級階級の人々に愛される犬種でしたが、映画やテレビで人気を博した「名犬ラッシー」の影響によって、一般家庭での人気が次第に高まっていったのです。
ちなみにコリーという名前は、古いスコットランド語で「黒い犬」という意味だそうです。同じスコットランド原産のボーダーコリーにも当てはまるといわれています。
ラフコリーの特徴
エレガントな容姿や、名犬ラッシーで描かれた飼い主への忠誠心の高さ、温厚な性格などから、世界中に愛好家のいるラフコリー。その外見や被毛にはどんな特徴があるのか、チェックしていきましょう!
◆外見
長いマズルに半立ちの耳、豊かな胸の被毛が特徴的なラフコリー。豪華なえりまきをしているようなその姿から、気品を感じられる見た目であるといえるでしょう。
体高は、オスで約56~61cm、メスで約51~56cm、体重は約20~35kg程度が、一般的だとされています。大型犬に属しており、均整のとれた体つきと、長い足が特徴的です。被毛が豊かなので、実物を目にすると想像よりも大きく見えるかもしれませんね。
平均寿命は13~15歳です。大型犬の中では、長寿だといえるでしょう。
◆被毛(毛色など)
ラフコリーは、ダブルコートでボリュームのある長い被毛をもっています。豪華な飾り毛があるので、歩くたびにフワフワと揺れる姿がとても上品に見えますよね。
毛色には、セーブル・トライカラー・ホワイト・ブルーマールの4種類があります。ブルーマールは、大理石のような斑模様で、レアカラーといわれていますよ。
ちなみにJKCでは、セーブルアンドホワイト・トライカラー・ブルーマールの3色が認められているそうです。
ラフコリーとシェルティーの違い
ラフコリーとよく似た犬種として、シェットランドシープドッグ(シェルティ)が挙げられます。見た目が類似しているため、同じ犬種だと思われることも珍しくありませんが、犬種としては全く別の種類です。
まずは、見分けるポイントを抑えておきましょう。
一番分かりやすいのは大きさの違いです。シェルティは、体高30~40cm程、体重は9kg程で小型犬に分類されています。小型のラフコリーといわれることもあります。ラフコリーと比べて小さいので、動きは素早く、小回りもきくでしょう。
また、額にも注目してみてください。シェルティの方が、マズルと目の辺りの境目に段差があります。これを額段といいますが、ラフコリーの額段は緩やかで、額と真っ直ぐ繋がっているように見えるのです。
そして、毛色にも違いがあります。ラフコリーには4色の毛色がありますが、シェルティには7色あるのです。
種類としては、マール・セーブル&ホワイト・ブルーマール・トライカラー・ブラック&ゴールド・ブラック&ホワイト・セーブルがあり、ラフコリーと比べて豊富です。
更に、性格にも違いがあるのです。ラフコリーは比較的友好的で攻撃的な面もあまり見られない犬種なのですが、シェルティには警戒心が強いという特徴があります。見知らぬ人に対しては臆病になる場合も多く、家族以外に慣れにくい性質をしているそうです。
犬図鑑などで眺めても一見似たように見えるラフコリーとシェルティですが、違う部分が沢山あります。見掛けた際には、これらのポイントを抑えて判断してみましょう。
ラフコリーの性格
ラフコリーの性格として最も特徴的なのが、その賢さでしょう。見た目通り!と感じる方も多いかもしれませんね。学習能力が高く、性格は穏やかで落ち着いているので、初めて犬を飼う愛犬家初心者さんにも向いている犬種だといえるでしょう。
誰に対しても優しく、前述したように友好的なので、小さな子どもがいる家庭や、小動物を飼っている家庭、また多頭飼育をしている家庭でも、仲良く暮らしていくことが可能です。活動的でもあるので、活発な子どもの遊び相手にもなってくれるかもしれませんね。
洞察力にも優れていため、人の気持ちを敏感に感じ取ることもできます。飼い主さんの感情に、そっと寄り添ってくれる優しいパートナーとなるでしょう。
ただし、元々は群れで行動する牧羊犬であったことから、誰かと一緒にいることを好み、一人ぼっちの孤独な時間が長くなってしまうとストレスが溜まります。このため、長時間家を留守にすることの多い方には、向いていない犬種だということを覚えておいてください。
また、性別での性格差も若干あるようです。オスは素直で優しい性格をしており、叱られると落ち込んでしまうタイプが多く、メスには甘えん坊で気の強い面があるのです。
母性からくる面倒見のよさを考えて、多頭飼いの家庭にはメスの方が向いているともいわれています。
もちろん、個体によって個性はありますので、あくまでも目安の性格として捉えておいてくださいね。
ラフコリーの気を付けたい病気
ラフコリーが注意した病気として代表的なのは、進行性網膜萎縮症や、コリーアイ(ラフコリー眼異常)などの疾患です。また、皮膚炎や消化器官の病気にも注意が必要でしょう。
遺伝的な病気にかかりやすいので、定期的に動物病院での健康診断を受けてください。
ストレスが溜まったり、欲求不満が原因で胃腸障害を起こす場合もあります。運動・健康管理をしっかり行うことが大切ですね。
ラフコリーの価格
ラフコリーは大型犬であることから、小型犬と比べるとやはり珍しいと感じられるでしょう。ペットショップで見掛けることは滅多にありません。保護犬を里親として引き取るケースも珍しいかもしれませんね。
ラフコリーを飼いたい場合は、ブリーダーからの購入が一番確実です。
価格帯は、血統や子犬であるか(月齢)、またブリーダーによっても差が出ますが、最低でも20万円、最高では35万円以上するでしょう。
希少色であるブルーマールや、全ての毛色と交配できるトライカラーのメスは、他の子に比べて高い値段となる傾向もあるようです。
もちろん、犬の価格は時勢や流行によっても変化するため、事前に子犬の値段を調べておくこと、ブリーダーに問い合わせておくことが推奨されます。
犬を飼うことは、一生を共にすることです。購入後にかかる費用なども計算しておき、飼い主さんの金銭面に合わせた購入をすることが大切ですよ。
ブリーダー自体もそこまで多くないので、信頼できるブリーダー探しも重要です。関東地方の方が、ラフコリーのブリーダーさんが多いようですね。
ラフコリーの飼い方
外見・性格からも大変魅力を感じるラフコリー。ではその飼育方法はどうでしょうか?
散歩の頻度・食事回数・しつけ・お手入れ方法・飼育環境、に焦点を絞って紹介していきます。これからラフコリーを飼いたいと考えている愛犬家さんは、しっかりチェックしてみてください。
◆散歩
ラフコリーは、ある程度の運動量を必要とする犬種です。1日2回、各回30分~1時間程、毎日散歩に連れて行くのが理想的だといわれています。個体によっても差は出ますので、特に運動が大好きな子であれば、1時間の散歩では足りないと感じる場合もあるでしょう。愛犬の様子をみながら、適切な運動量を見極めてください。
そしてドッグランなどの、たくさん走れる、遊べる場所に連れて行ってあげるのもおすすめです。ストレス発散にもなりますし、他の犬と触れ合うことで社会性を養うこともできます。ただし、ドッグランを使用する場合は、底施設のルールをしっかり守り、愛犬から目を離さないことが大切です。
◆食事
餌の回数は、成犬であれば1日2回程度が目安となります。消化機能が心配な場合は、ドライフードに水を加えたり、フードをふやかして与えるようにしましょう。
与えるフードの目安量をしっかり確認し、適切な量を与えるようにしてくださいね。
◆しつけ
ラフコリーは、非常に賢くて物覚えの良い犬種です。しつけをするのは難しくないでしょう。
洞察力も高く、家族の指示や行動を先回りしようとする個体もいるほどです。上手く教えることができれば、ボールの持ってこいの他にも、指示されたさまざまな物を持ってくるようになるかもしれませんよ。
ただし、ストレスがたまると問題行動を起こす場合もあります。これは全ての犬種にいえることですが、特に若い頃は派手ないたずらをしてしまい、飼い主さんを困らせることもあるかもしれません。
心身ともに元気でいるために、運動量やコミュニケーションをたくさん要する犬種だということを、覚えておきましょう。
◆お手入れ
被毛は長毛のダブルコートのため、抜け毛が多い上に、被毛も絡まりやすい毛質をしています。特に換毛期は抜け毛が多くなるので、無駄な毛を取り除いたり、毎日ブラッシングすることが重要です。美しい被毛を保つために、これらのケアを続ける必要があります。
他の犬種と比べると、体臭は少ない方でしょう。シャンプーは、1~2か月に1回の頻度でも十分だといわれています。
ただ、大型犬であることと毛量を考慮すると、自宅でシャンプーするよりも、トリミングサロンなどを利用してプロに任せるほうが安心かもしれませんね。
胸毛・お尻周り・足の毛を整える程度にカットするだけでも、かなり印象が変わる犬種だともいえるでしょう。
◆飼育環境
大型犬であることから、飼育スペースはある程度必要となります。ただし、十分に散歩・運動の時間がとれる場合であれば、マンションでも飼えるでしょう。
屋外・室内のどちらでも飼育可能な犬種ではありますが、現代では室内で飼育している飼い主さんがほとんどです。ラフコリーは、孤独が苦手ともいわれていますので、屋外では飼育する場合は寂しい思いをさせないように注意してあげてくださいね。
まとめ
名犬ラッシーのイメージ通りの性格と魅力をもつラフコリー。興味が湧いてきた方も多いのではないでしょうか?
実際にラフコリーを飼っている方のブログなどを見てみると、飼育する上でのイメージも湧きやすいかもしれませんね。
正しくしつければ、人生の良きパートナーとなってくれることは間違いなしの、おすすめの犬種です!
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