1.チベタンマスティフとは?
1-1.歴史
1-2.身体の特徴・顔つき
1-3.性格
2.チベタンマスティフの仲間
2-1.イングリッシュマスティフ
2-2.ブルマスティフ
2-3.ジャパニーズマスティフ
3.飼育方法
3-1.お迎えするときに用意するもの
3-2.食事
3-3.しつけ
3-4.運動
3-5.お手入れ
3-6.寿命・病気
チベタンマスティフとは?
はじめにチベタンマスティフはどんな過去や特徴を持っているのか、ご紹介していきましょう。
◆歴史
チベット高原が原産で、古くからチベットの牧畜民が牧羊犬・番犬として飼育していました。
また、紀元前1000年頃にはすでに存在していたと言われ、現在世界中で飼われているマスティフ種の祖とも言われています。さらに、東方見聞録にはチンギス・ハンが征西の際に3万匹ものチベタンマスティフを連れて行ったことが記されている等、歴史上の出来事にも関係のある犬なんです。
そんな古くから人間とともに暮らすチベタンマスティフですが、現在は悲しい状況に置かれています。軍用犬や番犬として飼育されるほど、大きくてタフなチベタンマスティフ。2010年頃にネット上でライオンと戦う動画が流行り、中国の富裕層の間で人気が出て、高い時は2億円で取引されたこともありました。その後流行りが廃れると、もともと家庭で飼えるような犬ではないため、多くが捨てられ野良犬になってしまいました。さらに野良犬になったチベタンマスティフが群れで人や野生動物を襲う事件もおきており、いま中国で問題になっているのです。
◆身体の特徴・顔つき
チベタンマスティフは体高が60cm以上、体重は大きいと100kgを超える「超大型犬」に分類されます。骨太でどっしりと構えるその姿は番犬・軍用犬になるのも納得なほど頼もしいです。
ふさふさの毛はオーバーコートとアンダーコートの二重構造(ダブルコート)になっており、皮膚を保護するオーバーコートは真っすぐの長毛、保湿・保温するアンダーコートは柔らかい毛になっており、特にアンダーコートはチベット高原の寒さにも耐えられるよう密生しています。
特徴的な首周りの毛はライオンのような「獅子型」とスッキリした「虎型」に分けられます。毛色はブラックやブラウン、グレー、レッドなど様々で、タンや白の指し色が入った個体もいます。
顔つきはたれ耳にたれ目と愛らしく、中国犬として有名なチャウチャウにも似ています。
◆性格
チベタンマスティフの性格は一言でいえば「忠誠心が強い」です。勇敢で物怖じしないため、飼い主に何かあれば守ってくれます。しかし一方で、飼い主以外の人とは距離を置く傾向にあります。さらに、元々牧羊犬として飼われていたことから、縄張り意識が強く闘争心が強い一面もあります。
チベタンマスティフの仲間
ここまではチベタンマスティフの歴史や容姿など、基本情報をご紹介しましたが、実はチベタンマスティフから派生したマスティフ種が世界中で飼われています。ここからはマスティフ種の犬についてご紹介したいと思います。
◆イングリッシュマスティフ
イングリッシュマスティフは、イギリスに渡ったチベタンマスティフが品種改良された種です。攻撃性が高かったことから、かつては軍用犬や闘犬に用いられていました。現在家庭で飼われている個体は、さらに品種改良が行われ攻撃性が抑えられ優しい性格になった種類です。
見た目はチベタンマスティフとは違い短めな被毛に覆われ、口元が黒い(ブラックマスク)のが特長的です。四角くがっしりとした体格に筋肉質で、チベタンマスティフの大きな身体を受け継ぎ全犬種の中でも最大級の大きさです。性格は賢く物静かで忠実。しっかりしつけをして、信頼関係を築くことができれば良きパートナーとなるでしょう。
ペットショップで販売されていることはほぼありませんが、日本国内にブリーダーがいるため国内完結でお迎えをすることができます。値段は25~50万円で、血統書などにより変わるようです。1日2回、1時間のお散歩程度の運動が必要なので、お迎えを考えている方は、自分の体力やライフスタイルと相談してくださいね。
◆ブルマスティフ
同じくイギリス出身のマスティフ種であるブルマスティフ。ブルドッグとイングリッシュマスティフを掛け合わせ誕生した種です。かつては主に農場や狩猟地の番犬として活躍していました。現在でも警備犬(ガード・ドッグ)として活躍しており、一般家庭でもよく飼われています。
顔はブルドックの血を受け継いで、特徴的なしわしわの顔をしています。しかし体格はマスティフ種。イングリッシュマスティフよりも少し小さめですが、筋肉質で力強い体格の大型犬です。性格は家庭向きに改良されていることもあり、物静かで温和な性格をしています。しかし警備犬として働いているだけあり、不審者に立ち向かえるだけの勇敢さも兼ね備えています。
イングリッシュマスティフと同じく国内にブリーダーがいます。お迎えを考えている方はブリーダーのホームページやブログを見て連絡をしてみましょう。ブルマスティフも1日2時間程度の運動が必要で飼育は大変ですが、我慢強い性格から頼もしい子供の遊び相手になってくれるようです。犬の飼育経験が豊富でお子様がいる方にはうってつけかもしれません。
◆ジャパニーズマスティフ
マスティフ種の中には日本犬と掛け合わせて作られた犬種がいます。ジャパニーズマスティフとは、実は土佐犬のことなのです。土佐犬は闘犬として有名ですが、そもそも明治時代により強い闘犬を作るため、四国犬にブルドッグやイングリッシュマスティフ、グレートデーンなどとの交配改良があり生まれました。
様々な犬種の血が入っているので、どの種の血が濃いかによって顔つきが違います。見た目は噛まれても怪我をしない、たるみのある皮膚が特長的です。被毛は短く真っ直ぐなスムースコートです。闘犬として飼われていた歴史から、凶暴なイメージが強いかもしれませんが、本来は他のマスティフ種と同じく穏やかで飼い主に忠実です。
土佐犬はお迎えしたい場合、特に注意が必要です。自治体への届け出が必要な場合があったり、鋼鉄製の檻を用意したり、猛犬注意ステッカーを貼ったりと様々な準備を要します。値段としては20万円前後と他のマスティフ種よりも若干安いですが、檻は大体10万円ほどかかるので、それも含めるとあまり変わらない金額になりそうですね。
飼育方法
その大きさや飼育方法から、一般家庭では飼えないと言われているチベタンマスティフ。それでもお迎えしたいときは?チベタンマスティフの生態も含め、お迎え準備や飼育方法についてご紹介します。
◆お迎えするときに用意するもの
もしチベタンマスティフを飼うとしたら、1番目のハードルはお迎え時ではないでしょうか。なぜなら100万円ほど用意しなくてはならないからです。古代犬種であることや、年に1回しか繁殖期がないためにブリーディングが難しく稀少性が高いため、値段も高くなっています。
そして実は、市場にいるほとんどのチベタンマスティフは他の犬種の血が入っています。温厚な性格に改良されたためです。純血のチベタンマスティフは世界で200頭以下と言われているため、純血のチベタンマスティフを迎え入れたければさらに高額のお金を用意する必要があるでしょう。
◆食事
チベタンマスティフは大きな身体を維持するためにご飯もよく食べます。1日に約700g食べると言われ、年間の食事代は市販のドッグフードにしつけ用のおやつも合わせて55~60万程かかります。高たんぱくで低脂質なドッグフードを選び、肥満対策と筋力づくりを意識した食事にしましょう。また皮膚の状態を良くするビタミンもしっかり摂取できるように心がけましょう。
◆しつけ
いっしょに暮らすために最も重要なのがしつけでしょう。従順ながら知的で頑固な一面もあるチベタンマスティフは、きちんと合理的な指導ができる飼い主でなければ飼い慣らせません。身体が大きく筋力も強いチベタンマスティフを人間の力でコントロールするのは大変ですし、最悪の場合事故や大けがにもつながります。実際に海外では、チベタンマスティフに嚙まれ死亡したり大ケガを負ったりする事件も起きています。
しつけをする際にはかなり根気よく続ける必要があります。知能が高いため、しつけをしていけばどんどん身に付きますが、自分で考えて違うと思ったことは従わないという頑固さもあります。実際、チベタンマスティフのしつけは難しく、プロのトレーナーでも難しいと言われています。そのため毎日の関わりの中でしっかりと信頼関係を築き、好みや性格を考えながらしつけをしていく必要があるでしょう。
◆運動
チベタンマスティフは持久力にかけるため、あまり激しい運動はしません。興奮して走り回ったとしても長くは続きません。かつて番犬や牧羊犬として働いていたこともあり、敷地内をパトロールするなどのゆっくりした運動が好きです。そのためにも日常的に歩き回れる広い敷地がある場所で飼うことをおすすめします。
◆お手入れ
健康のために手を抜いてはいけないのがお手入れ。ダブルコートの立派な被毛は毎日ブラッシングしなければ湿気をため込んでしまい、皮膚疾患にかかってしまいます。しかし毎日ブラッシングすることで信頼関係が築かれ、いっしょの暮らしがより豊かになっていくことは間違いないでしょう。
チベタンマスティフにはもう1つ大切なお手入れがあります。それは耳掃除です。たれ耳の犬全般に言えることですが、放っておくと耳垢が溜まってしまうため、耳掃除を定期的に行わないと外耳炎になってしまいます。
◆寿命・病気
チベタンマスティフの寿命は10~14年とされ、一般的な大きさの犬とそれほど変わりません。理由は遺伝疾患が少ないからだと考えられています。しかし病気がないわけではありません。大型犬にありがちな股関節形成不全は特に気を付け、食事や運動に注意する必要があります。
股関節形成不全とは、股関節に異常が起き、歩行を阻害したり関節痛をもたらしたりします。症状が悪化すると寝たきりになることもあります。幼少期から高たんぱく・低脂質のごはんで筋力を上げて予防を行ったり、グルコサミンなどの軟骨成分に作用する成分を含むおやつを与えたりすることも必要でしょう。
また、チベタンマスティフはかつて高山で暮らしていた犬なので、健康でいるには多くの運動量を必要とします。しかし一般のドッグランでは身体の大きさなどから入場を断られてしまう可能性もあります。そのため、一般施設を利用しなくてもたっぷり運動できる環境を用意してあげましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は歴史あるチベット出身の大きな犬、チベタンマスティフについて紹介しました。
チベタンマスティフを実際に飼う人は少ないかもしれませんが、チベタンマスティフの仲間は日本でもたくさん飼われていますから、知っていて損はないでしょう。
もしどこかでチベタンマスティフを見かけたら、ご主人様の敵だと思われないように急に近づいたりしないようにしましょうね。
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