1.「きな粉」ってどんな食材?
1-1.大豆を加熱したもの
1-2.古い歴史をもつ
1-3.きな粉の栄養
2.犬にきな粉を食べさせても大丈夫!!でも注意ポイントを守って
2-1.アレルギー確認を第一に!
2-2.砂糖を混ぜたきな粉はNG
2-3.きな粉が入った人間のお菓子はダメ
2-4.過剰摂取は禁物
2-5.むせないように注意する
2-6.劣化したきな粉を与えない
3.愛犬にもきな粉を食べさせたい!おすすめのレシピをご紹介
3-1.レシピ①:シンプルにドッグフードにトッピング
3-2.レシピ②:手作りクッキー
3-3.レシピ③:きな粉とミルクのドッグフード
【掲載:2021.10.16 更新:2023.12.01】
「きな粉」ってどんな食材?
まずは、きな粉がどんな食べ物なのか見ていきましょう。
◆大豆を加熱したもの
きな粉は、大豆を原料として、「炒る」という加熱処理が行われています。
加熱したものを挽いて粉状にしたものがきな粉です。
香ばしい風味でとても美味しいですよね。
いったん加熱されているので、そのまま食べることもできます。
ちなみに、同じように大豆を原料としながらも、「生のまま粉状にした大豆粉」は、そのまま食べられません。
◆古い歴史をもつ
きな粉の原料となる大豆は、かなり古くから日本に伝わっていました。
大豆の定番の食べ方は、初めは「炒る・煮る」といったものでした。
しかし、奈良時代になると「挽いて粉にする」という方法も見られるように。
当初は、薬としても使われていたとのことです。
江戸時代には、きな粉に砂糖を混ぜてお菓子にまぶす用途が庶民にも広まりました。
粉状にすると黄色の粉になることから、漢字で書くと「黄な粉」です。
◆きな粉の栄養
きな粉は、大豆を焙煎してからできた食べ物で、栄養成分はとても似ています。
さまざまな栄養素が含まれ、大注目の健康食材です。
・たんぱく質
きな粉には、細胞を構成する主成分となるたんぱく質が含まれています。
人間や動物の体のなかで作られない成分なので、たんぱく質は食べ物から摂取しなければなりません。
きな粉の原料となる大豆には、植物性たんぱく質が豊富。
脂質の少ないたんぱく質を摂取することができます。
体力を蓄え、免疫アップにも働く成分です。
・カルシウム
骨や歯の生成に働くカルシウム。
成長期にはたっぷり摂取したい栄養分ですが、不足すると骨の成長がじゅうぶんではなくなります。
また、年齢を重ねてもカルシウムは大事な栄養。
体にカルシウムの貯蔵が足りなければ、骨がもろくなることもあります。
関節のトラブルも出やすくなるでしょう。
・鉄分
酸素を体に運ぶヘモグロビンの成分となるのが鉄です。
不足すると、酸素の運搬が上手くいかず、貧血になってしまいます。
・食物繊維
食物繊維は、いまや大注目の栄養成分です。
主な効果が便通改善。
胃腸の働きを整えてくれます。
・イソフラボン
近頃注目されているイソフラボン。
大豆に多く含まれていて、活性酸素をおさえる働きがあります。
また、カルシウムとの相性が抜群です。
イソフラボンを摂取することで骨からカルシウムが流出するのをおさえてくれます。
犬にきな粉を食べさせても大丈夫!!でも注意ポイントを守って
栄養成分が豊富なきな粉は、犬にも食べさせても大丈夫な食べ物です。
人間用のきな粉はもちろん、犬用として売られているきな粉もあります。
ただし、「食べる量・食べさせ方・体質・年齢」などによっては体の負担になることもあります。
安心して食べさせるには、いくつかの注意ポイントをおさえてくださいね。
◆アレルギー確認を第一に!
まず、きな粉の原料が大豆だということを思い出しましょう。
わんちゃんのなかには、大豆アレルギーという子もいます。
アレルギー症状には、
・下痢をする
・吐く
・目や耳が赤い
・皮膚のかゆみ
・けいれんを引き起こす
など、軽症から重症までさまざまなものがあります。
大豆アレルギーを持っているわんちゃんの場合、きな粉の摂取は危険です。
また、「大豆アレルギーかどうか分からない」という場合には、アレルギー確認のため、きな粉を少量から食べさせるようにしましょう。
もし、食べた直後になんらかの体の異変があれば、きな粉アレルギーかもしれません。
◆砂糖を混ぜたきな粉はNG
優しい甘みのある「きな粉」入りのお菓子。
でも、市販のきな粉には、もともと甘い味付けがされているわけではありません。
私たち人間がきな粉を食べるとき、味わい豊かにするために砂糖を混ぜることも多いです。
ただ、砂糖入りのきな粉は、犬にとって糖分の取り過ぎによる健康トラブルの原因になることもあります。
砂糖が原因で、犬の肥満や歯周病などのリスクも高まるため、常習化しないように気をつけなければなりません。
とは言え、一度、砂糖入りの美味しいきな粉を食べると、犬は味を覚えてしまうでしょう。
わんちゃんにきな粉を食べさせるときには、砂糖を入れないものにしてくださいね。
◆きな粉が入った人間のお菓子はダメ
人間向けに売られているきな粉を使ったお菓子はたくさんあります。
きな粉の餅、きな粉クッキーなど、どれも美味しいですよね。
人間用のお菓子はあくまでも人間向きに作られています。
餅にきな粉をまぶしたお菓子は、たとえ小さくカットしても犬の喉にくっつき詰まるリスクが大きいです。
犬が苦しむので、与えるのはやめましょう。
それに、バターと砂糖が大量に使用されているクッキーは、犬にとっては脂肪や糖分が過多となってしまいます。
◆過剰摂取は禁物
きな粉に含まれる食物繊維は、わんちゃんの便通を良くしてくれる魅力的な成分です。
でも、食べ過ぎると消化しづらく、わんちゃんが「吐く・下痢をする」など消化不良になることもあります。
また、きな粉は、食べ過ぎると肥満につながるリスクもあります。
健康食材の大豆を原料としているため、なんとなく「低カロリー」というイメージがあるかもしれません。
でも、きな粉は、意外にも結構高カロリーなのです。
大さじ1杯で31キロカロリーほどもあります。
犬のおやつは「日々に必要なカロリーの20%以内におさえるべき」と言われています。
きな粉のカロリーの分、ドッグフードを減らすなど、調整しながら過剰摂取に注意しましょう。
◆むせないように注意する
きな粉は粉状の食べ物ですから、わんちゃんが勢いよく食べようとすると、口内や喉に引っ掛かる感じで「ガッガッ」とむせる可能性もあります。
特に、シニア犬の場合、体の老化とともに嚥下の力も弱く、むせやすい体質となっています。
シニアのわんちゃんには「粉状のまま」できな粉をあげるのは、あまり向いていないかもしれませんね。
水で溶いてあげるといいでしょう。
◆劣化したきな粉を与えない
賞味期限が記載されている市販のきな粉。
これは、「未開封」「正しい保管方法」の場合に、美味しく食べられる期限を意味しています。
きな粉を購入した時点では、数ヶ月以上も先の期限が記載されていることが多いかと思います。
しかし、いったん封を開けてしまえば、パッケージに記載された賞味期限は当てはまりません。
●開封すると湿気で劣化する
開封することによって湿気を含み、きな粉の油分が酸化することで劣化します。
部分的に固まりとなっていて、劣化に気づくこともあるでしょう。
新鮮なときと比べて、香りも劣っているかと思います。
●密封して保存しておく
きな粉のような“粉”の食品に寄ってくるダニもいます。
保存状態が悪いと劣化スピードが早まるので、密封容器やチャック付のビニールで保存しましょう。
●劣化させない使い方
劣化したきな粉は、「水分を含んで固まる」「カビが繁殖する」こともあります。
きな粉が入っている袋を扱うときには、濡れたスプーンや手はやめましょう。
愛犬にもきな粉を食べさせたい!おすすめのレシピをご紹介
次に犬にきな粉を食べさせるときのおすすめレシピをご紹介します。
◆レシピ①:シンプルにドッグフードにトッピング
最も簡単なレシピが、きな粉をそのままドッグフードにのせるだけです。
きな粉の香ばしいニオイが、ドッグフードに特別感をもたらしてくれます。
ただ、粉のままだとむせる体質の子もいるので、水で液状にしてからの方が安心です。
◆レシピ②:手作りクッキー
きな粉と薄力粉をメインの材料とし、水を加えるだけというシンプルな犬用クッキーを作ってみてはいかがでしょうか。
バターや砂糖が入っていないので、犬でも安心して食べられます。
◆レシピ③:きな粉とミルクのドッグフード
ミルクにドッグフード浸し、そのうえにきな粉をふりかけるだけというお手軽なレシピ。
いつもと違ったドッグフードに、わんちゃんも喜びそうです。
犬のお腹への負担が大きい人間用のミルクではなく、犬用として売られているミルクを使ってくださいね。
大豆が原料の「豆腐」「おから」「納豆」は犬が食べてもOK?
大豆を原料として加工した食品は、たくさんあります。
作り方の過程こそ違いますが、形を変えても大豆の魅力が詰まっています。
大豆からできるきな粉が食べられるなら、ほかの大豆食品も食べられるのでしょうか?
そこで、豆腐とおから、納豆の3つに焦点をあてて、「犬が食べられるのか」についてまとめてみました。
◆豆腐
大豆に凝固剤と水を混ぜ、型に入れて固めたものが豆腐です。
豆腐は、犬が食べてもOKな食材です。
生命維持に重要なたんぱく質が豊富なことに加え、イソフラボンやオリゴ糖、カルシウム、ビタミンなどが凝縮されており、畑の肉と言われるほど健康効果が高いのが魅力です。
「機能性食品」として大注目されています。
口内でホロッと崩れるほど柔らかいですから、そのまま与えてもいいでしょう。
ただ、ミネラルが豊富なため、腎臓の病気を患っているわんちゃんは摂取量に注意が必要です。
また、同じ“豆腐”というくくりでも、「油が多い厚揚げ」は、犬の体の負担になるので食べさせないようにしましょう。
◆おから
豆腐になる過程で作る豆乳を絞りますが、その際に残ったカスを「おから」と言います。
おからも、犬が食べても大丈夫な食品です。
おからには、腸内環境を整えるオリゴ糖、便通をよくする食物繊維が含まれています。
犬に与えるときには、油を使わずに煎って食べるようにしましょう。
ただ、水分を飛ばしたおからは、粉状となって喉にくっつく恐れも。
少し水分を含ませると安心です。
◆納豆
大豆を蒸して納豆菌により発酵させて作られる納豆。
食卓にのぼることも多く、日本では古くから親しまれている食品です。
納豆も犬が食べることができます。
・骨の形成を守るカルシウム
・カルシウムを吸収しやすくするマグネシウム
・高血圧予防になるカリウム
・疲労回復効果のあるビタミンB
・老化予防に役立つビタミンE
・腸内環境を整える食物繊維
など、良質な栄養分がたっぷり含まれている健康食材です。
まとめ
わんちゃんは、「きな粉」を食べることができます。
大豆を成分としたきな粉は、香りも良く、愛犬もきっと喜んでくれるでしょう。
また、大豆からできる「豆腐」「おから」「納豆」も、きな粉同様、犬が食べても大丈夫な食品です。
ただ、私たち人間のような食べ方はできないので注意しなければならない点もあります。
きな粉をはじめ、大豆を原料とした食品に共通して言えるのは、
・初めにアレルギー症状がないか確認する
・大量に与えない
・好みでなさそうなら無理に与えない
・味付けしたものは食べさせない
・病気の治療中なら獣医師に相談する
ということです。
また、粉状になっている「きな粉」は、保存方法によっては傷んでいるケースもあるため注意しましょう。
賞味期限にかかわらず、開封後、1か月以上経ったものは控えた方がいいかもしれません。
新鮮で美味しいきな粉を食べさせてあげましょう。
ふだんと違う食べ物をあげるときには、犬の様子をよく観察することが大事です。
きな粉を正しく美味しく食べて、わんちゃんの健康アップにつなげましょう。
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