犬の乳腺腫瘍とは
乳腺腫瘍とは、その名の通り乳腺の前後にできる腫瘍であり、犬の腫瘍の約半分の確率を占めるほど、高い確率で出現しやすい腫瘍です。
人で言うとまさしく乳がんになりますが、犬の場合には乳腺が5対あり、その中のどれかが腫瘍化した状態が乳腺腫瘍になります。
乳腺腫瘍は未避妊の雌犬に起こりやすく、避妊することによりある程度防ぐことができると言われています。
また、乳腺腫瘍は50%以上が良性であると言われており、早期発見することが何よりも大切です。
悪性の場合には、転移のスピードがはやく肺への転移がもっとも見られます。
雌犬に多いと紹介しましたが、雄犬も発症することがあり、雄犬の乳腺腫瘍は悪性であるケースが多いです。
乳腺腫瘍の原因や特徴を紹介いたします。
犬の乳腺腫瘍の原因
乳腺腫瘍はガンの中でも最もポピュラーな病気であり、全犬種かかる可能性があります。
乳腺腫瘍の主な原因は、性ホルモンが関与していると考えられています。
また、成熟する前から肥満体であると乳腺腫瘍になるリスクが高まるとされています。
乳腺腫瘍は老化とともに発生しやすく、7歳以上のシニア期の犬に多い病気です。
稀に若年性で発症することもあり、日常的に愛犬のお腹をさわるようにして、乳腺周りに変化がないかチェックすることを習慣化しましょう。
犬の乳腺腫瘍の症状
乳腺腫瘍は早期発見が大切です。
乳腺腫瘍を見つけるために、主な症状について紹介します。
毎日の健康チェックの参考にしてください。
◆しこりができる
犬の乳腺腫瘍で1番わかりやすい症状は、乳腺周りにできるしこりの有無です。
乳腺をさわったときに何か固いものがふれる、柔らかい出来物がある、湿疹のようなものができているなど皮膚になんらかの変化を感じます。
しこりの形はその子により、ばらつきがあり大きさも様々です。
一つだけでなく、複数できることもあります。
多くの場合には、犬自身が気にしたりすることはほとんどなく、飼い主さんが愛犬を触って気づく、トリミングの際にトリマーさんに指摘されるなどが主な発見の仕方になります。
犬が気にしていなければ、病院に連れていかなくても良いのでは?と感じる方もいるかもしれませんが、乳腺腫瘍が悪性だった場合は侵攻のスピードがとても早く、最悪死に至ることもあります。
良性腫瘍だったとしても、腫瘍が大きくなると自壊して炎症をおこし感染症になることもあるため、しこりに気付いた時点でかかりつけの動物病院を受診しましょう。
犬の乳腺腫瘍にかかりやすい犬
乳腺腫瘍は全ての犬種がかかる可能性がありますが、特にプードル種やスパニエル、テリア種がかかりやすいと言われています。
最も気をつけなければならないのは、未避妊の雌犬であり繁殖の予定がなければ、避妊するのが最大の予防策になります。
さらには、出産経験のある雌犬も繁殖の予定が終了次第、避妊手術を受けることが望ましいです。
注意したいのは、年齢を重ねてから避妊手術を受けても乳腺腫瘍のリスクを回避する確率が下がるので、できればアダルト期のうちに避妊手術を受けることが望ましいです。
犬の乳腺腫瘍の治療法
腫瘍の状態により、治療法は変わってきますが、乳腺腫瘍と診断された場合の主な治療法について紹介します。
乳腺腫瘍について知りたい方は参考にしてくださいね。
◆外科手術
乳腺腫瘍の第一治療法として、外科治療があげられます。
乳腺腫瘍の周りを外科手術により取り除きます。
乳腺腫瘍が発生した側の乳腺を全て除去する手術を行うことにより、再発の防止率が上がりますが、年齢や腫瘍の状態により外科手術の範囲は異なります。
外科手術できるかできないかは悪性か良性か、腫瘍の発生した部位、腫瘍の癒着がないか、他の臓器に転移していないかにもより異なります。
手術の詳しい範囲など獣医さんと相談しながら決めるようにしましょう。
◆抗がん剤
外科治療と合わせて抗がん剤を投与する治療を行うことがあります。
また、外科手術できない時場合にも抗がん剤を投与することにより、乳腺腫瘍が大きくなるのを防いだり、侵攻を遅らせるために用いられることもあります。
しかし、犬の乳腺腫瘍には抗がん剤治療は効果があまりないこともあり、抗がん剤治療のみで根治をすることは、不可能とされています。
また、乳腺腫瘍の場合は広範囲にがん細胞が点在していることもあり抗がん剤はあくまで手術できない時の対処療法や手術の効果を高めるために用いられる治療法です。
◆放射線
ガン治療となるとイメージするのが、放射線治療になりますがこちらの治療も、抗がん剤同様に乳腺腫瘍の範囲が広くなりやすいことから、ピンポイントで放射線を当てることが難しく、効果は薄いと言われています。
犬の乳腺腫瘍の治療は外科手術が第一治療法であり、抗がん剤も放射線も対処療法や手術の効果を高めるために併用して行われる治療になります。
また、犬の乳腺腫瘍は年齢が高く、腫瘍が大きいほど悪性の可能性が高い傾向にあります。
外科手術が1番効果的な治療法になりますので、お腹を日頃から見るようにして乳腺腫瘍ができていないかチェックしましょう。
犬の乳腺腫瘍の予防法
犬の乳腺腫瘍ができないように、日頃の生活から予防したいものですが、残念ながら犬の乳腺腫瘍を完全に予防することは難しいです。
健康的な生活を送るように心がけて、他の病気と一緒に乳腺腫瘍も予防していきましょう。
健康的な生活をおくるためには、以下のことに気をつけて過ごしてみてくださいね。
ポイントを紹介します。
肥満に気をつける
冒頭で紹介したように、犬の乳腺腫瘍1歳までの成犬になるまでに肥満体であると、発症のリスクが高くなります。
犬の乳腺腫瘍の他にも、肥満は糖尿病や高血圧などのさまざまな病気のリスクが高くなります。
肥満は病気だけでなく、足腰に負担がかかることから怪我のリスクも高くなるため良いことが一つもありません。
愛犬の食事の管理は飼い主さんの大切な役割であり、低脂質、高タンパクの食事を意識して愛犬のご飯の量を調節しましょう。
さらに、肥満の原因としておやつの与え過ぎなどがあげられます。
愛犬が可愛い顔でおねだりしてくると、ついついおやつを与えすぎてしまうものですが、総合栄養食のドッグフードと新鮮な水さえあれば、必要な栄養は取れているため、おやつをプラスして与えるときにはご飯の量を調節するなど、少ないかな?くらいでおやつをやめておくのが大切になります。
適度に運動する
適度な運動はストレス発散や筋肉の衰えをふせぐためにも、大切です。
散歩の時間は飼い主さんとの絆を深めるコミュニケーションの機会でもあり、歩行に異常はないか、トイレの際のチェックなどにより、健康状態を知ることができます。
ストレスは万病の元であり、外の刺激を適度に取り入れることにより健康的に活動して、毎日をアクティブに過ごすことができます。
さらには、適度に運動することにより血流が良くなり新陳代謝が促されるため、身体に酸素が行き渡り細胞の生まれ変わりを助ける効果もあります。
血流をよくして代謝をあげることにより、免疫力を高めることも可能です。
栄養バランスの取れた食事
身体の資本は食べ物で決まります。
家庭犬は自ら食べ物を選ぶことができないため、飼い主さんが栄養バランスのとれた食事を用意してあげるのが、大切です。
犬は本来肉食であり人よりも多くのタンパク質が必要になります。
低脂質、高タンパクの食事を与えるようにしましょう。
また、ドッグフードだけでは摂取しにくいビタミン、ミネラルを食材から摂取するようにしましょう。
特にシニア犬は食事量が減少するため、栄養価の高い脂質の低いドッグフードをチョイスするようにします。
ライフスタイルに合わせたドッグフードを選ぶことは大切なことであり、健康的に過ごすために重要になります。
まとめ
犬の乳腺腫瘍について紹介しました。
乳腺腫瘍は全犬種がかかりやすい病気であり、ガンの中でもポピュラーな病気です。
悪性の場合には、侵攻スピードも早く早期にたいしょが必要になります。
愛犬の身体を日頃から触って特にお腹周りは注目するようにしましょう。
健康診断を定期的に動物病院で受けることも有効ですよ。
本記事を参考に愛犬とのより良い生活のヒントにしていただければ、幸いです。
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