1.犬の口内炎はなぜできるの?
2.犬の口内炎の原因
2-1.歯周病
2-2.感染症
2-3.外傷
2-4.免疫力の低下
3.犬の口内炎の症状
3-1.食欲不振
3-2.よだれが多くなる
3-3.口臭
3-4.口内の腫れ
犬の口内炎はなぜできるの?
歯肉・頬の内側などの口の中、またその周辺の粘膜に起こる炎症を総称して「口内炎」といいます。
歯肉にできれば「歯肉炎」、唇にできれば「口唇炎」、頬の粘膜にできれば「頬粘膜炎」といったように、炎症部位によって診断名が変わってくるのです。
犬の場合も、これらの部位に何らかの原因によって炎症が起きることで、口内炎の症状がみられるようになります。
犬の口内炎の原因
口内炎には大きく分けて、「系統性口内炎」と「潰瘍性口内炎」があります。
系統性口内炎は他の病気の周辺症状として発生した一時的な口内炎を指します。反対に潰瘍性口内炎とは、潰瘍を伴う原因不明の慢性口内炎のことをいうのです。
口内炎を発症する原因は様々ですが、いずれの場合にも共通する代表的な原因として挙げられるものを紹介していきましょう。
◆歯周病
犬の歯に付着した歯垢・歯石、およびそこに含まれる細菌・炎症物質が刺激となって、口腔粘膜に炎症・潰瘍が生じることです。慢性潰瘍性歯周口内炎(接触性口内炎)ともいわれ、犬の場合、これが口内炎の原因となるケースが多いようです。
◆感染症
多くの微生物(細菌・ウイルス・真菌など)によって、口内炎が引き起こされるケースもあります。
これらを感染症といいますが、この場合、口腔粘膜に炎症・びらん・潰瘍などが見られることが多いようで、さらに肉芽形成(粘膜が腫瘤状になる)が認められることもあります。
口内炎の原因となる感染症ウイルスには、ジステンバー・バルボ・犬伝染性肝炎など、細菌でいうとレプトスピラなど、真菌だとカンジダ症などが挙げられます。
◆外傷
異物(針・植物のノギ・魚の骨・プラスチック・おもちゃなど)を口に入れたことによる口腔内のケガ、落下事故・交通事故・火傷・感電・漂白剤や石油などの化学物質、刺激性・毒性のある植物への接触などが、原因として挙げられます。
◆免疫力の低下
感染症・代謝異常・栄養不良などによって、愛犬の体の免疫力が低下した際にも、口内炎を発症しやすいといわれています。このため糖尿病・腎臓病などの病気、ジステンパーのような感染症などの症状の一つとして口内炎がみられる場合があるのです。
代謝異常は糖尿病・腎臓病・泌尿器疾患などによって、栄養不良はビタミンの欠乏・栄養不足などが原因となって引き起こされることがあります。
また愛犬が、天疱瘡やエリテマトーデス(紅斑性狼瘡)などの免疫介在性疾患を持っている場合にも、口内炎が生じる場合があります。
犬の口内炎の症状
犬が口内炎を発症した場合、以下の様な症状が主にみられるようになります。愛犬に普段とは違う異常が見られた場合、また以下のような行動や状態が見られた場合は、口内をチェックしたり、動物病院を受診して獣医さんへ相談してみましょう。
◆食欲不振
片側の歯だけで物を噛んだり、食べたものをこぼす、食後に食物を吐出する(嘔吐ではない)などの様子が見られ、
痛みや違和感などから食欲不振に陥る可能性があります。また、食事中に奇声をあげたり、柔らかいものしか食べなくなる、口を開こうとしなくなるなどの状態が見受けられるケースもあるでしょう。元気が無くなったり、食欲不振によって体重低下に陥る場合もあります。
◆よだれが多くなる
口をくちゃくちゃしたり、床や地面に擦りつける仕草、また口の周りの被毛が濡れている場合は、口内炎によってよだれが多くなっている可能性が高いです。また、出血によって血の混じったよだれが出るケースもありますので、普段遊んでいるおもちゃや前脚に血液や唾液が付いていないかチェックしてみましょう。
◆口臭
口臭も普段よりも臭うようになります。突然口臭が強くなったように感じた場合は、口内炎がその原因となっている可能性も考えられるでしょう。
◆口内の腫れ
口の中に、赤い発疹(ブツブツ)・水疱・潰瘍などができ、赤く腫れたりただれたりしている部分が見受けられます。愛犬がその痛みや違和感から、前脚で口の周囲を気にするような仕草を見せたり、あくびなどで大きく口を開けるのを拒むような様子も見られるでしょう。
犬の口内炎の治療法
愛犬がもし口内炎を発症してしまった場合、どのような検査や処置、治療法が行われるのでしょうか。
動物病院によっても違いはありますが、主な治療例を紹介していきますので参考にしてみてください。
◆検査方法は?
愛犬に口内炎の疑いがある場合、まずは他の病気の可能性がないか検査が行われます。疑われる原因によって行われる検査例をあげていきましょう。
ちなみに病理組織検査は生検とも呼ばれています。細胞診で診断がつけづらい場合に患部の一部を切除・採取して行う検査であり、好酸球性肉芽腫症候群や天疱瘡の診断にも有効だそうです。
◆治療方法は?
上記の検査を行った後は、それぞれに適した治療方法が選択されて処置に移ります。
糖尿病や腎臓病、免疫介在性疾患などの元となる病気が明らかであれば、まずその治療が優先されるでしょう。
愛犬に歯垢・歯石付着がある場合は、歯垢や歯石除去をします。また必要に応じて抜歯が行われるケースもあります。
外傷が原因の時は口腔内の洗浄や、炎症部位を切除した後に縫合を行ったり、抗生物質などを投与する処置が施されます。
いずれの場合も必要に応じでいくつかの薬剤を組み合わせて使用され、サプリメントや食事での改善が併用される場合があります。医師の指示に従って自宅でのケアを行い、愛犬の早期回復に尽力しましょう。
尚、人間用口内炎治療薬が市販されていますが、これにはステロイドが含まれています。愛犬に使用すると炎症を悪化させる恐れがあるため、自己判断での使用は絶対にしないでください。
◆予防法はある?
口内炎の予防として最も有効的なのは、口腔内を清潔に保つことです。
歯周病などがある場合は、その治療を行い、普段から歯磨きをしっかりしてあげることが大切なのです。歯磨きが苦手な子も多いですが、ペット用デンタルアイテムを積極的に使うなどして、愛犬が歯磨きに慣れるように努めてください。どうしても難しければプロにお願いするのも一つの手です。トリミングサロンでも歯磨きサービスを行っている所はありますし、獣医師に相談するのもよいでしょう。
また口内炎は全身性疾患から起こることもあるため、定期的な健康診断を受けることもおすすめですよ。
さらに愛犬に与えるおもちゃの材質や形状にこだわるのも良い方法です。壊れやすい固いタイプのものを与えると、ワンちゃんによっては噛むことですぐに壊してしまう場合もあるでしょう。万が一壊れても口内を傷つけないものを選ぶことも重要なのです。
そして、愛犬がいたずらして壊してしまう可能性のあるプラスチックや硬い物などを、届くところに置かないことも日頃から意識して生活してください。これによって、口内への外傷や、誤飲などのリスクを軽減することができます。
口内炎の原因によっては、飼い主さんが気を付けることで予防できる可能性もあるのです。愛犬に痛い思いをさせないためにも、出来ることから始めてみましょう。
まとめ
口内炎を経験したことのある飼い主さんなら分かると思いますが、犬にとっても口内炎はとても辛いことです。
日常的に愛犬の歯磨きなどで予防したり、定期的に口内をチェックするようにして早期発見に努めましょう。早い段階で獣医師に相談したり対処することができれば、口内炎の進行を防ぐことができる場合もあります。
愛犬が口周りを気にしていたり、普段よりも口臭がする、よだれが出るなどといった様子が見られた時は、口内炎の可能性が考えられることを頭の隅に置いておいてくださいね。
ただし口周りを気にする仕草などは、皮膚疾患やアレルギー症状による痒みである場合もあります。判断が難しい場合は、やはり一度動物病院を受診してみましょう。
実際に愛犬が口内炎を患っているという愛犬家さんから情報を得るのも有効的です。ネット記事やツイートを検索するなどして、実際の体験談を知るとイメージも湧きやすいでしょう。
健康的な毎日を愛犬と送るためにも、飼い主さんは日頃から愛犬の様子を観察しておかなくてはいけません。
少しの違和感でも軽視せずに、しっかり愛犬と向き合ってあげてくださいね。
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