【獣医師監修】犬が目を細める理由って、何?

2022.06.22

【獣医師監修】犬が目を細める理由って、何?

愛犬が目を細めるような表情をすることはありませんか? 犬が目を細めるのは、目の調子が悪いときだけではありません。 今の感情を伝えたいとき、ちょっと落ち着きたいときなど、犬は、さまざまな理由で目を細めるような仕草をします。 ここでは、犬が目を細めているのはどのようなときか?犬はなぜ目を細めるのか?について、ご紹介します。

犬が目を細める理由

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愛犬が、時折目を細めるような表情をする、ということはありませんか?
犬は、目の動き(アイコンタクト)で感情を伝えることができる動物だといわれています。犬が目を細める場合には、単に眩しいとか、目の調子が悪いというだけでなく、表情で飼い主さんに気持ちを伝えようとしていることも考えられます。
では、愛犬は、どのような感情から目を細めているのでしょうか。
ここでは、犬が目を細めるときはどのような気持ちでいることが多いのか、ご紹介していきます。

◆緊張している

まばたきをしながら目を細めたり、目を細めながら視線をそらしたりするようなときは、緊張している状態にあるといえます。
たとえば、散歩中にほかの犬からコミュニケーションを求められたときや飼い主さんに叱られている最中にこのような表情がみられるような場合は、緊張しながらも相手に対しては敵意がないことを表すために目を細めていると考えられます。

◆ストレスを感じている

眠そうでもないのにあくびをしたり、しょぼしょぼと目を細めたりするような場合は、ストレスを感じていると考えられます。ストレスを感じているとき、犬は、あくびをしたり、目を細めたりすることで、自分自身を落ち着かせようとします。
たとえば、動物病院や慣れない乗り物での移動中などに目を細める様子が見られる場合は、ストレスを感じながらもなんとか落ち着こうとしている可能性があります。

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◆リラックスしている

犬は、緊張していたり、ストレスを感じていたりするときばかりでなく、リラックスしているときにも目を細めることがあります。
リラックスしているとき、犬は、うっとりとした表情で目を細めます。
たとえば、飼い主さんに撫でてもらっていたり、飼い主さんと寄り添って座っていたりするようなときに目を細める様子が見られる場合は、気持ちがよかったり、心地よかったりして、リラックスしている状態だと考えられます。
犬は、ストレスや不安を感じたときに自分を落ち着かせるためだけでなく、他の動物や人間への服従や甘えているときなどにも目を細めるようなカーミングシグナル(ボディランゲージ)で気持ちを表現しています。

◆眠たい

犬も人間と同じように、眠たくて目が閉じてしまいそうなときやウトウトしているようなときには、思わず目を細めてしまうことがあります。
このようなときは、状況や愛犬の表情からも、「あ。眠たいんだな。」ということがわかるでしょう。リラックスできていて、とても気持ちのいい状態ですね。
また、寝ているところを起こしてしまったようなときにも、同じように、目を細めるようなしぐさをすることがあります。このような状況も、人間と同じだと考えれば納得でしょう。

◆目に異常がある

犬が目を細める場合、もちろん、実際に目そのものに異常がある場合も考えられます。
目の異常といっても、眩しいとか、目に何かが入ってしまったというような一過性の異常によるものだけでなく、目の病気が疑われるような場合もあります。
たとえば、目を細めるだけでなく、目ヤニや涙も出ていたり、目を細める回数が頻回だったりするような場合は、速やかに獣医師の診察を受けるようにしましょう。


犬が目を細める病気

犬も、目に違和感があるような場合には、目を細めることがあります。
では、犬に発症する可能性のある目の病気には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、犬が目を細めるときに疑われる病気について、ご紹介します。
なお、愛犬にここでご紹介するような症状がみられる場合は、早めに獣医師の診察を受けることをおすすめします。

◆結膜炎

結膜炎は、結膜が炎症を起こす病気です。どのような犬種でも、年齢を問わず発症する可能性がありますが、特に、目が大きく、鼻が短い犬種に多い傾向があります。
なお、犬が結膜炎を起こす原因として、次のようなことが考えられます。

・感染によるもの(細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など)
・アレルギーによるもの(花粉、ハウスダスト、食物など)
・物理的な刺激によるもの(異物、乾燥、逆さまつ毛など)

結膜炎を発症すると、白目が赤くなる(結膜充血)症状がみられます。また、涙が出たり、目やにが多くなったりすることもあります。
このような状態で、さらに犬が目を掻いてしまったりすると、炎症が進み、結膜が腫れて膨らんでしまうこと(結膜浮腫)もあります。
愛犬が目を細めるのに加え、白目が赤くなるような症状もみられたら、速やかに獣医師の診察を受けましょう。

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◆外傷

愛犬が茂みなどに首を突っ込んでいることはありませんか?
犬は、遊んでいるときやお散歩のときなどに、草や木で目を傷つけてしまうことがあります。
その他、目に異物が入ったときなどに、自分で目を引っ掻いて傷つけてしまうこともあります。
このような原因から、眼球の表面が傷ついてしまう「外傷性角膜炎」を起こしてしまうことがあります
なお、外傷性角膜炎は痛みを伴うため、目を細めたり、ひどくなると目を開けることができなくなったりする場合があります。
愛犬に目を開けるのが辛そうな様子が見られるときは、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

◆アレルギー

犬のアレルギーも、人間と同じように花粉やほこり、ダニ、食物など、さまざまな原因で起こります。
特に、アレルギーによる目の症状は多くの場合痒みを伴うため、しきりに目を掻いたり、目を細めたりするような行動がみられます。目の周りや白目が赤くなったり、目やにや涙が出たりする症状が現れます。さらにひどくなると、結膜炎を発症し、目やにが多くなったり、常に涙が出ていたりする状態になります。
愛犬が目を細めるのに加え、目を痒がったりするような場合は、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

◆緑内障

犬の緑内障は、眼圧が上昇することが原因で視力が低下していく病気です。
完治することはなく、薬などを使用しながら、視力の低下をできる限り抑えていくような治療をします。
なお、犬の緑内障は、次の2種類に分類されます。

・急性緑内障:早期に治療を開始し視覚回復の見込みがある緑内障
・慢性緑内障:長期にわたり患い視覚回復の見込みがない緑内障

眼圧が高い状態が続くと、早い段階で失明する恐れもあるため、できるだけ早く見つけてあげることが重要です。
次のような症状がみられるときは、緑内障の可能性があります。

・目を細める
・目を触る、気にする
・白目が赤くなる
・角膜が白くなる
・眼球が大きくなる

緑内障は、眼球に圧力がかかるため、痛みを伴うことがあります。そのようなときは、瞬きの回数が増えたり、飼い主さんに目の周りを触られるのを嫌がったりすることもあります。
愛犬がしきりに目を気にしたり、目そのものに異常が認められたりするときは、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

◆逆さまつ毛

逆さまつ毛は、まぶたやまつ毛の生え方の異常によって起こるもので、本来外向きに生えるまつ毛が、通常とは反対に、眼球の方に向かって内側に生える状態のことをいいます。
なお、逆さまつ毛によって起こる代表的な症状には、次のようなものがあります。

・目を細める
・白目が赤くなる
・常に涙が出る
・目やにが増える

逆さまつ毛は、眼球が刺激されるため、痛みを伴います。また、目を掻いてしまうことで結膜炎を発症してしまうこともあります。
愛犬に目の充血などがみられたら、できるだけ早めに獣医師の診察を受けましょう。


その他の犬のカーミングシグナルの一例

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カーミングは、「落ち着く」を意味するCalm(カーム)と「合図・信号」を意味するSignal(シグナル)を組み合わせた言葉で、犬が体の一部や表情を使い、相手に自分の立場や感情を伝えるためボディランゲージのようなものです。
犬のカーミングシグナルは、犬が信頼やリラックスしていることを伝える、不安やストレスを感じているなど、さまざまな感情を表します。
ここでは、代表的な犬のカーミングシグナルについて、ご紹介します。

1) 顔や視線をそらす

相手に落ち着いてもらいたいとき、敵意がないことを表すときの行動

2) おしっこをする

敵意がないことを表したいとき、仲良くしたいときの行動

3) あくびをする

気持ちが高ぶったとき、緊張したときなどに自分を落ち着かせるための行動

4) 姿勢を低くする(プレイバウ)

喜んでいるときの行動

5) 尻尾をふる

好意的に感じたとき、喜んでいるときの行動

このように、犬は表情とカーミングシグナルを組み合わせて、さまざまな感情を伝えることができるのです。

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まとめ

今回は、犬がよくとる目を細める行動について、ご紹介してきました。
犬は、この「目を細める」を含めたさまざまなカーミングシグナルを用いて、常に飼い主さんに自分の感情や状況を伝えています。
そして、飼い主さんは、この愛犬が発するカーミングシグナルと共に、そのときの状況や愛犬の表情などを読み取ることで、愛犬がなぜ目を細めているかを理解することができます。
このことを知っていれば、たとえば、緑内障のような早期発見が不可欠な病気も、愛犬の「目を細める」という行動から、飼い主さんがいち早く気づいてあげることも可能なのです。
そのためにも、日常的に愛犬をしっかりと観察し、愛犬の気持ちをしっかり受けとめて理解してあげるようにしましょう。


 

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