トイマンチェスターテリアの歴史
トイマンチェスターテリアのルーツは、イギリス原産のブラックアンドタンテリアと言われています。
ブラックアンドタンテリアは元々、「ネズミ獲りゲーム」や「ウサギ追いレース」などの賭博に用いられていた犬種で、さらに足が速くなるようにウィペットやブレーハウンドといった他の犬種と交配させられるなかで生まれたのがトイマンチェスターテリアでした。
その後、動物愛護の観点からネズミ獲りレースやウサギ追いレースは禁止されたほか、無理やりな乱繁殖と小型化や体重制限といった改良によって健康被害が出始めたトイマンチェスターテリアは、19世紀後半になるとその人気が落ちてしまいました。
第二次世界大戦後になるとブラックアンドタンテリアは絶滅し、トイマンチェスターテリアもイギリス国内に数頭のみになるまで数を減らしていました。
その後、熱心な愛好家たちによって体重と体高の制限が緩和され、積極的にブリーディングが行われた結果、トイマンチェスターテリアは健康的な個体数を増やしていきました。
時代とともに「ミニチュアブラックアンドタンテリア」や「イングリッシュトイテリア」など何度か呼び名が変わりましたが、現在では「トイマンチェスターテリア」で定着しています。
トイマンチェスターテリアの性格・特徴
トイマンチェスターテリアは一般的に、明るく優しい性格で知られています。
温厚で好奇心が強く、愛情深いのが特徴です。
飼い主や家族に対しては人懐っこく、時にイタズラ好きでやんちゃな一面も見せてくれます。
一方で、トイマンチェスターテリアは神経質で繊細な面も持ち合わせており、初対面の人や犬に対しては臆病な態度を取ることもあるでしょう。
加えて、元々は猟犬であったことから狩猟本能に長けており、番犬に向いていると言われています。
もし他の犬や人にしつこく吠えたり、警戒心を持ち続けたりするのをやめさせたいのであれば、子犬の頃から無駄吠えをしないようにしつけておく必要があります。
また、トイマンチェスターテリアは自分より小さい動物に対して興味を持ちやすい習性があるので、ウサギやハムスターなど小さなペットも飼っている場合は、同じ空間でトイマンチェスターテリアを放し飼いしないように注意が必要です。
トイマンチェスターテリアの寿命・病気
トイマンチェスターテリアの寿命は、平均して15~17年前後と言われています。
一般的に、犬は大型犬よりも中型犬、中型犬よりも小型犬の方が寿命が長いと言われています。
トイマンチェスターテリアは超小型犬に分類されるため、小型犬の中でも特に平均寿命が長いのが特徴です。
そのため、小型犬がよく患う病気や怪我に注意しておけば、基本的に長生きできる犬種と言えるでしょう。
トイマンチェスターテリアの毛色
トイマンチェスターテリアの毛色として認められているのは、ブラック&タンの1色のみです。
ブラックとタンの色はそれぞれ混ざることなく、隣り合うことで色の境目がくっきりとしています。
毛は短く直毛で、光沢があるのが特徴です。
トイマンチェスターテリアの値段
トイマンチェスターテリアの値段は、平均して20万円前後と言われています。
ただし、トイマンチェスターテリアは他の犬種と比べて希少な犬種であることや、ブリーダーによって使用しているドッグフードや予防接種の有無が異なるため、個体によっては50万円前後の値段が付けられているケースもあるようです。
トイマンチェスターテリアの飼い方
トイマンチェスターテリアを飼育するうえでは、具体的にどのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。
ここではトイマンチェスターテリアの飼い方を4つのポイントに絞ってご紹介します。
◆食事
トイマンチェスターテリアの食事は、年齢や状態に適したドッグフードを中心に与えましょう。
食事の頻度としては、生後半年までは1日あたり4回、生後半年以降は1日に2回が目安となります。
ドッグフード以外のおやつを与えすぎると、太りやすくなってしまうので注意が必要です。
栄養バランスの整ったドッグフードを基本とする食事を徹底していると、トイマンチェスターテリア独特の光沢あるスムースコートをキープしやすくなります。
もし、与えるドッグフードの種類や頻度、量について疑問や不安がある場合は、飼い主さん一人で解決しようとせずに動物病院やブリーダーに相談してみることをおすすめします。
◆散歩
犬にとって運動は必要不可欠ですが、トイマンチェスターテリアに長時間の散歩は必要ありません。
散歩の頻度としては1日に2回、1回あたり20〜30分を目安にしましょう。
日頃からボール遊びなど室内でよく運動しているのであれば、屋外の散歩時間はさらに短くても十分かもしれません。
ただし、トイマンチェスターテリアは手足が細く骨折しやすい犬種なので、骨格がしっかりするまではハイジャンプなどの激しい運動は控えましょう。
◆しつけ
トイマンチェスターテリアは飼い主さんに従順な性格なので、比較的しつけがしやすいタイプといえます。
ただし、先にも述べたようにやや神経質で無駄吠えをしてしまうことも多いので、子犬の頃から他の人や犬と積極的に遊ばせるなど、社交性を磨くことが大切です。
また、トイマンチェスターテリアは寂しがり屋な性格も持ち合わせているので、一般的に長時間の留守番は得意ではありません。
留守番を始めたばかりのころは、寂しさから家具にイタズラすることもあります。
成犬後にいつでも留守番を任せられるように、子犬のうちから自分だけの空間に慣れるよう練習しておきましょう。
◆お手入れ方法
トイマンチェスターテリアは、短く直毛なスムースコートが特徴的な犬種です。
枝毛や抜け毛は少ないため、他の犬種と比べるとお手入れは非常に簡単ですよ。
ブラッシング
できる限り毎日行うことをおすすめします。
ブラッシングの際には爪や耳、口の中もチェックするように心がけましょう。
子犬の頃から爪切りや耳掃除、歯磨きに慣れさせておくのが効果的です。
シャンプー
最低でも1ヶ月に1回は行いましょう。
マンチェスターテリアの特徴である光沢のある毛並みを保つためにも定期的なシャンプーは重要です。
ミニチュアピンシャーとトイマンチェスターテリアの違い
トイマンチェスターテリアとよく似た犬に、ペットとして人気が高いミニチュアピンシャーがあります。これらの犬種は一見するととてもよく似た見た目をしていますが、「原産国」「体重」「色」「性格」に違いがあります。
まず原産国に関して、トイマンチェスターテリアはその名前に「マンチェスター」という都市名が入っている通り、イングランド原産の犬種です。一方で、ミニチュアピンシャーはドイツ原産の犬種となっています。
次に体重の違いについて、超小型犬のトイマンチェスターテリアは一般的に3~4kgの個体が一般的です。他方、ミニチュアピンシャーの平均体重は4~6kgで、トイマンチェスターテリアよりもひと回り大きな体格をしています。
毛色に関して、トイマンチェスターテリアは上述の通りブラック&タンの一色となっています。ミニチュアピンシャーはブラック&タンの個体もありますが、他にもチョコレート&タン、ディアー・レッド、レディッシュ・ブラウン、ダーク・レッド・ブラウンといった色の個体も認められています。
最後に性格について、ミニチュアピンシャーはトイマンチェスターテリアよりも警戒心が強いのが特徴的で、他の犬や人に対してやや攻撃的な番犬のような性格を持ち合わせています。頑固で独立心の強いミニチュアピンシャーは、見知らぬ相手に懐こうとせずに距離を置く習性があります。
トイマンチェスターテリアを飼う時の注意点
トイマンチェアスターテリアは超小型犬で、特に手足が細いため骨折しやすいと言われています。骨折した部位によっては、神経麻痺や歩行障害といった後遺症が残るおそれもあるため、抱っこするときや放し飼いにするときには犬が高所から落ちないような工夫が必要です。
骨折の他にも、椎間板ヘルニアや水晶体脱臼、フォン・ウィルブランド病、レッグペステル症といった遺伝病もトイマンチェアスターテリアに多い病気として知られています。トイマンチェアスターテリアを飼う際は、必ず信頼できるブリーダーから犬を迎え入れるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回はトイマンチェスターテリアがどんな犬なのかについて、その歴史や特徴、平均寿命や平均価格、飼育するうえでの注意点などをまとめてご紹介しました。
小さな身体とツヤツヤした毛並みが特徴的なトイマンチェスターテリアは他と比べて希少な犬種なので、実物を見たことのない方も多いかもしれませんね。
しかし、明るく優しい性格と飼いやすさから、実はペットとして人気の高い犬種なのです。
この記事をきっかけに、ぜひトイマンチェスターテリアをお家に迎えてみてはいかがでしょうか?
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