1.犬に焼き芋を与えてもいいのか
2.犬に焼き芋を与える際の注意点
2-1.与えてもいい量を知る
2-2.食べやすいように小さくカットする
2-3.焼き芋の皮は取り除く
2-4.火傷しないようよく冷ます
2-5.焼き芋の焦げた部分は与えない
4.犬に焼き芋を与えない方がよい場合
4-1.病気を患っている場合
4-2.肥満気味の場合
犬に焼き芋を与えてもいいのか
さつまいも自体に犬の健康を害するような成分は含まれていませんので、さつまいもを焼いただけの焼き芋は犬に与えても問題ありません。
さつまいもは食物繊維が豊富で、ビタミンCやビタミンEなどのビタミン類も含まれている為、与えることで犬にとっても良い効果も期待できます。一方で、さつまいもはでんぷんが多くカロリーが高い食材でもあるので、与える際には注意が必要です。
犬に焼き芋を与える際の注意点
犬に焼き芋を与えるうえでいくつか注意すべき点がありますので紹介します。
◆与えてもいい量を知る
通常、主食となる総合栄養食以外のおやつやトッピングは、1日に必要なカロリーの20%以内に留めておくことが望ましいです。
焼き芋はビタミンなどの栄養も多く含まれていま炭水化物を多く含むため、必要カロリーの20%を置き換えると全体の栄養バランスが崩れる可能性があります。
与える際には1日の必要カロリーの10%程度に留めておく方がよいでしょう。
犬の体重による焼き芋の適量の目安は、以下の通りです(去勢・避妊済みの健康な成犬の場合)。
※1日に必要なカロリーは、「獣医師広報板 犬のカロリー計算」を参考にしています。
大まかに体のサイズで分けてご紹介しましたが、これらはあくまで目安です。愛犬の体調や状況を考慮して与えてあげてくださいね。
◆食べやすいように小さくカットする
焼き芋を喉に詰まらせることがないように、手で一口大にちぎったり、小さくカットして与えましょう。
さつまいもは縦に繊維が伸びているので、繊維を断つように、長い方に対して垂直に切ると良いでしょう。
また、すり潰してしてペースト状にするのもおすすめです。
◆焼き芋の皮は取り除く
犬も皮を食べることができないわけではないのですが、やはり消化に悪いです。消化不良や腹痛、下痢の原因となるので、与えない方が無難です。しかし、皮と皮の近くには「ポリフェノール」や「ヤラピン」栄養素が特に多く含まれているので、どうしても与えたい場合には小さくして少量あげるだけにしましょう。
皮だけ与えると喉に引っ付いてしまう可能性もあるので、ホクホクとした実も少量ついている方が飲み込みやすく、安全かもしれません。
皮に限ったことではないですが、食べている最中は目を離さないようにしましょう。
◆火傷しないようよく冷ます
犬は、基本的に食べ物を咀嚼せず丸呑みします。焼きたての焼き芋をそのまま与えると、口の中や食道などの粘膜をやけどすることがありますので、必ず人肌以下に冷ましてから与えてください。表面が冷めていても中は熱いままということもあるため、与える前にしっかりと確認しましょう。
万が一、口の中や周辺を痛がったり、食欲不振になったりと、火傷の症状が見られる場合には動物病院に相談してくださいね。
◆焼き芋の焦げた部分は与えない
食べ物の焦げた部分は発がん性があるとされているので、避けましょう。
また、焼き芋を包んでいる紙やアルミホイルを食べてしまわないように気をつけてあげてくださいね。
犬に焼き芋を与えるメリット・デメリット
犬に焼き芋を与えることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。また、どのような注意点があるのでしょうか。
さつまいもに含まれる栄養素と合わせてみてみまししょう。
◆整腸・便秘解消
メリット1つめは、整腸・便秘解消が期待できる点です。
食物繊維とヤラピンの排便を促進させる働きが相乗効果となり、慢性的な便秘の改善が期待されます。また、胃粘膜を保護する働きもあるので、弱った胃腸の調子を整えてくれます。
◆免疫機能や代謝の向上
メリット2つめは、免疫機能や代謝の向上が期待できる点です。
豊富なビタミン類は、病原菌の侵入を防ぎ、皮膚や粘膜を強化する働きをします。風邪の予防になったり、ストレスの軽減にも効果があると言われています。
さつまいものビタミン類は、さつまいものでんぷんがビタミンを包んでいることで、加熱しても通常よりビタミンが壊れにくいという特徴があります。ですので、焼き芋の場合、効率的にビタミンの摂取をできることが期待できます。
◆アレルギー発祥の可能性
デメリットというよりは、どちらかというと与える際に気を付けたい点です。
さつまいもは、特にアレルギーを起こしやすい食べ物ではありませんが、どのような食材でもアレルギーを起こす可能性があります。
さつまいもを与えた後に痒みや下痢・嘔吐などの症状が見られた場合には、アレルギー症状の可能性があるため、動物病院に連絡して、獣医師さんの指示を仰ぎましょう。
また、初めて与えるときには、ごく少量から始め、体調の変化がないか愛犬の様子をよく観察しましょう。
◆結石や肥満につながる恐れ
「さつまいもを与えたから」必ずなる訳ではありませんが、愛犬の体を考慮せずに与え続けてしまうと、シュウ酸やカリウムが過剰になりシュウ酸カルシウム結石ができたり、カロリーオーバーによる肥満、糖尿病といった病気に繋がる可能性があります。
犬に焼き芋を与えない方がよい場合
焼き芋は基本的に犬に与えても大丈夫な食べ物ですが、与えない方がよい場合もあります。
◆病気を患っている場合
尿路結石や膀胱結石の既往歴がある、心臓病や腎臓病を患っているという場合は、焼き芋を与えないようにしましょう。
さつまいもには、シュウ酸が100g当たり0.1g含まれています。ほうれん草などシュウ酸を多く含む食材に比べると多くはありませんが、与える量が多かったり与え続けたりすることでシュウ酸カルシウム結石が出来てしまう可能性があります。特に既にに結石ができたことのある場合や腎臓病を患っているという場合は与えないほうが無難でしょう。
シュウ酸そのものは水に溶けだす性質があるため、さつまいもも茹でることでシュウ酸を減らすことができます。しかし、焼き芋の場合は、基本的に茹でる工程がありませんので、シュウ酸は減りません。
したがって、尿路結石や膀胱結石ができたことのある場合は特に、焼き芋を与えるのは避けましょう。
また、さつまいもにはカリウムが100g当たり480mg(焼き芋では540mg)含まれています。
腎臓の機能が衰えていると、うまくカリウムを排出することができず、体内に余分なカリウムが溜まりやすくなります。
カリウムが体内に蓄積されていくと、低血圧や不整脈などの心臓疾患へと繋がる恐れがあるので、与えない方が無難です。
他に注意すべき点としては、一部の利尿剤にはカリウムを体内に残す作用があります。このような薬を服用している場合、さつまいも等カリウムが多く含まれる食材を食べることで高カリウム血症になる可能性があります。
繰り返しですが、ご紹介した状態に該当する場合はさつまいもを与えるのは控えるか、事前にかかりつけの獣医師さんに相談してください。
◆肥満気味の場合
さつまいもは、食後血糖値の上昇を示すGI値(グライセミック・インデックス)が高い食材です。このため、食べた後に高血糖になり、インシュリンが多量に分泌されます。したがって、肥満気味の犬や糖尿病の子には向いていません。
子犬に焼き芋を与えていいの?
健康な成犬に与えると、さまざまなメリットが期待される焼き芋ですが、子犬にも与えてよいのか気になりますね。
◆子犬には与えない
子犬期は、消化機能がまだ十分に発達していません。ですので、この時期に食物繊維が豊富な焼き芋を与えてしまうと、消化不良から軟便や下痢の原因となる恐れがあります。
また、犬は甘みの強いものを好むため、甘い焼き芋が大好きです。しかし、子犬の頃から焼き芋のような甘味の強いものをあげていると、本来食べるべきドッグフードを食べなくなってしまう恐れがあります。
これらのことから、子犬には焼き芋を与えないようにしましょう。
◆目安は成犬用のフードに替わってから
焼き芋は、成犬になってからのご褒美やお楽しみのおやつとして与えるのがおすすめです。
では、いつから与えてもよいのでしょうか?
焼き芋を与えてよい目安は、成犬用のフードに切り替えて以降と考えてください。通常、子犬用のフードは生後12ヶ月までを対象としているので、1歳を迎えた後には、適量を守りながら上手に活用すると良いでしょう。
人が食べるさつまいもをいきなり愛犬に与えるのが不安な場合は、さつまいも味のクッキーやガムなど犬用のおやつを与えてみるのも良いかもしれません。
まとめ
食物繊維をはじめとして、犬の健康維持に効果が期待できる栄養素をバランスよく含むさつまいもは、おやつやトッピングとして与えるのに適した食材です。
焼き芋にすると、水分が飛ぶため、100g当たりの栄養素は増加します。また、甘みも増すため、嗜好性も高まります。
ただし、さつまいもを人間用に加工したスイートポテトや大学芋、さつまいもチップなどは、糖分や油分が多いいので、犬には与えないでください。
皮を取り除き、よく冷ました焼き芋を、食べやすい大きさにカットすれば、飼い主さんと愛犬が一緒に楽しめる安心なおやつになるので、シーズンにはぜひ取り入れてみてくださいね。
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