1.食性とは
1-1.どちらも食べる!雑食動物
1-2.お肉なしでは生きれない!肉食動物
1-3.食べるのは植物だけ!草食動物
食性とは
食性とは動物が食べる食物の種類や食べ方に関する習性のことです。
皆さんも一度は耳にしたことがある「雑食性」「肉食性」「草食性」という言葉は”その動物がどのような種類の食べ物を食べるか”で分類している言葉ですが、食性は他にも「単食性」「広食性」など食物の選択範囲で分類することもあります。
動物によって食性が異なるのはもちろんですが、必要な栄養素も変わってきますので、ペットを飼育する上でその動物の食性を理解することは非常に重要です。
まずは、「雑食」「肉食」「草食」それぞれにどのような特徴があるのか見てみましょう。
◆どちらも食べる!雑食動物
雑食とは「動物性の食品も、植物性の食品も食べる」という食性のことです。
近年はヴィーガンやベジタリアンという、植物を主食とする人たちもよく知られるようになりましたが、私たち人間は大半が雑食です。
肉や魚といった動物性の食べ物と、穀物や野菜といった植物性の食べ物、どちらも摂取することで、必要な栄養を摂っています。
動物性の食品を食べなくても生きることができる動物と言い換えることもできます。
身近な動物ではカラス、タヌキなどがいます。
◆お肉なしでは生きれない!肉食動物
肉食とは、主な栄養を動物性の食品から摂る食性のことです。
お肉なしでは生きることが出来ない動物であるとも言えます。
身近な肉食動物は猫です。ご存知の方も多いかと思いますが、猫は完全な肉食動物です。真性肉食動物とも言われますが、多くのタウリンやビタミンAといった特定のビタミンを体内で生成できない為、動物性のたんぱく質からそれらの栄養を摂取する必要があるのです。
肉食動物だからといって、肉以外の食べ物を食べていない、食べてはいないわけではありません。
野生の肉食動物は、草食動物の内臓も食べます。内臓自体の栄養素はもちろんのこと、獲物の胃の中にある未消化の植物や植物由来の栄養素を摂取していると考えられています。
したがって、肉食動物が肉以外のものを全く食べないとは言えず、「肉に含まれる栄養素が必要な動物」と考えるのが妥当です。
◆食べるのは植物だけ!草食動物
草食は、植物から全ての栄養を摂る食性です。肉類は全く食べません。
動物が必要とする栄養素のうち、最も重要なものは、体を作る元となるタンパク質です。草食動物は、タンパク質をほとんど含まない植物から、必要な栄養を得ています。
例えば、やはりペットとして人気のあるウサギの場合、盲腸が大きく発達していて、この中で常にバクテリアによる発酵が行われています。この発酵によって植物のセルロースなどが分解され、ウサギは分解されたものを吸収することで栄養を得ているのです。
犬は肉食?雑食?
動物の食性について踏まえた上で、犬は何の食性と言えるのでしょうか。
結論から言えば、犬は雑食に分類されます。
◆犬の分類学上の位置付け
犬は哺乳類の中の「食肉目」というグループに属する動物です。食肉目とは、共通の肉食の祖先から進化したグループという意味があります。
現在存在している陸上脊椎動物(陸上で生息している背骨のある動物)の中で、昆虫食の動物を除いた肉食動物は、この食肉目だけです。
この点では、犬は肉食動物と言えそうですが、食肉目に属する肉食動物の「肉食の度合い」はかなりバラバラです。
前述の通り、同じ食肉目のネコは完全な肉食動物ですが、犬の祖先であるオオカミは草食動物の肉の他にも、内臓や周りの植物なども食べることから雑食寄りの肉食と言えます。
他にも同じ食肉目で紹介すると、キツネやイタチは肉食ですが、タヌキは雑食です。
そんな中今日の犬が雑食の動物として生きているのには、犬が人間と共生してきた歴史に関係があります。人と犬との歴史は約2万年前からとも言われているほど、非常に長いです。この間、人間から与えられる食べ物を、主に食べるように適応してきたと考えられます。
雑食性の人間が与える食べ物には、当然、穀物や野菜も多く含まれるため、より雑食化が進んだと言われています。
肉を切り裂くための裂肉歯(れつにくし)と呼ばれる歯を持つなど、体の構造や特徴としては、犬がオオカミから受け継いだ肉食動物に特徴的な部分があります。他方、デンプンを消化するためのアミラーゼという酵素は、オオカミよりも犬の方が多いことが分かっており、雑食化が進んだことを裏付けています。
◆犬に必要な栄養素とは
犬に必要な栄養素は、タンパク質、脂質、糖質(炭水化物)の3大栄養素です。
タンパク質は、筋肉や骨などを形成する中心的な栄養素であり、不足すると発育不全や体力低下、抜け毛や毛艶がなくなるなどの症状が現れます。
脂質は、健康を維持するために必要な栄養素です。活発に活動するためのエネルギー源のようなもので、不足すると元気がなくなったり、乾燥肌になってしまったりするほか、ひどいと免疫機能の低下を招き、病気につながります。
腸内環境が整っていないと、犬の健康状態を良好に保つことができません。腸内環境を整えるためには、善玉菌の「エサ」となる糖質が必要です。
さらに、代謝や生命維持には、ビタミンやミネラルなども必要です。
ビタミンは、皮膚、粘膜、眼、骨の健康維持や、体内の代謝向上に重要な働きをします。
鉄分などのミネラルは、動物性たんぱく質をエネルギーに変える重要な栄養素で、一説によると、イヌは人間より多くのミネラルを必要とすると言われています。
◆栄養バランスについて
犬にとっては、5つの栄養素が必要であるとお伝えしました。しかし、ただこれらの栄養素を含んでいればいいわけではありません。それぞれのバランスが大切です。
犬に必要な3大栄養素のバランスは、タンパク質:脂質:糖質=25:15:60とされています。
ちなみに、猫は35:20:45、人間は18:14:68とされており、肉食の猫ではタンパク質の必要量が犬や人間よりも多いことが分かります。一方で、犬は、雑食である人間に近い比率になっていますね。
犬に生肉を与えてもいいのか
近年、犬の祖先である狼は肉食であるとの誤解から、食事もオオカミのように肉食がよいという考え方が広まっています。
そして、肉食の中でも、酵素やビタミンなどが壊れることのない生肉を与えることがベストという考えも少なくありません。
しかし、これまでお話しした通り、犬はオオカミに比べてより雑食性の強い動物である為、犬に生肉を与えることやそれだけで育てようとすることは出来ません。
野生下における「肉食」は、内臓や血液、骨などを含む獲物全体を食べることであり、家庭でこれを再現することは非常に難しく、生肉だけでは栄養に偏りが出るためです。
また、生肉には、細菌や寄生虫がいる危険性があります。これらは、犬の健康に悪影響を及ぼすリスクがありますが、加熱することで死滅させることができるため、肉を与えるなら加熱調理したものがおすすめです。
まとめ
犬が肉食動物であるか、雑食動物であるかについては、現在も議論の分かれるところです。
しかし、肉食に適した歯や口を持つ一方で、犬はオオカミよりも長い消化器を持ち、オオカミにはないでんぷんを分解する酵素の遺伝子を3つ持っています。
これらのことから、長く人間と共生し、家畜化された犬は、祖先である狼よりさらに雑食化が進んだと考えられるでしょう。
オオカミよりも雑食寄りで、人間よりも肉食寄りの犬には、5つの栄養素がバランスよく含まれた高タンパクの総合栄養食がおすすめです。
また、犬種や生育ステージ、年齢など、また個体によって、適したフードは異なります。今回の記事も参考にしていただきながら、愛犬にあうフードを選んであげてくださいね。
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