1.犬にバナナを与えても大丈夫
2バナナの栄養素.
2-1.糖質
2-2.食物繊維
2-3.ミネラル
2-4.ビタミンB6
2-5.トリプトファン
3.犬にバナナを与えるメリット
3-1.エネルギー補給に
3-2.おなかの調子を整える
3-3.食欲増進効果
3-4.抗酸化作用や高血圧予防
3-5.ダイエット
3-6.愛犬の精神の安定にも
犬にバナナを与えても大丈夫
結論から言えば、バナナは犬に与えても大丈夫な果物です。
バナナには、犬に有害な成分は含まれず、果物としては低カロリーで、愛犬に与えるのにおすすめの食べ物と言えるでしょう。
犬は甘いものを好む傾向があるため、バナナが好きな子は少なくありませんが、もちろん嫌いな子もいます。食べないワンちゃんに無理に与える必要はありません。
また、与える際には注意も必要なので、本記事も参考に上手に活用してみてくださいね。
バナナの栄養素
ここでは、バナナに含まれる主な栄養素について解説していきます。
※各栄養素の含有量は、全て100g当たりの値です。
(出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂))
◆糖質
糖質とは、3大栄養素である炭水化物のうち、食物繊維を除いたもので、エネルギー源となる栄養素です。でんぷんやオリゴ糖などの多糖類、ショ糖や乳糖などの二糖類、ブドウ糖や果糖などの単糖類の総称で、分解されることによって単糖類になり、エネルギー源として利用されます。
また、エネルギー源として体を動かしたり、脳を働かせたりするだけではなく、体つくりや体の修復にも使われます。
バナナには、利用可能炭水化物として、18.5gが含まれています。
◆食物繊維
バナナに含まれる食物繊維は、水溶性のペクチンと不溶性のセルロースの2種類です。
ペクチンには、便に水分を含ませ柔らかくする働き、セルロースには、便の量を増やす働きがあり、便秘改善が期待できます。
また、ペクチンには、腸の中の食べ物に含まれているコレステロールと胆汁酸を同時に排出する働きもあります。胆汁酸を排出し、新しい胆汁酸を作る時に、肝臓は悪玉コレステロールから胆汁酸を生成します。つまり、ペクチンが増えれば、悪玉コレステロールを減らすことにつながり、大腸がんの予防に役立つとされています。
生のバナナには、水溶性食物繊維0.1g、不溶性食物繊維1.0gが含まれています。
◆ミネラル
バナナには、カリウム360mg、マグネシウム32mg、リン27mg、カルシウム6mg、モリブデン7μgと豊富なミネラルが含まれています。
マグネシウムは、カルシウムやリンとともに骨や歯を作る働きがあります。また、骨の中にも存在し、骨に弾力を与えます。
カルシウムとナトリウムには動脈を収縮させて血圧を上げる働きがありますが、マグネシウムが細胞内に存在するカルシウムやナトリウムの量を調整して、血圧を正常に保っています。
モリブデンは、糖質や脂質の代謝を促す働きがあります。
◆ビタミンB6
ビタミンB6は、0.38g含まれています。
ビタミンB6には、タンパク質の代謝をサポートする働きがあります。タンパク質は代謝によって分解されてアミノ酸となり、脳の活性化や神経の活動、筋肉や皮膚を作るのに使われます。
また、ビタミンB6が足りなくなると、口内炎になることがあります。
◆トリプトファン
「トリプトファン」というアミノ酸が、10mg含まれています。
トリプトファンは、体内で代謝されて「セロトニン」という神経伝達物質を生成する必須アミノ酸の1つです。必須アミノ酸は体内で作り出すことができないため、食事から栄養分として摂取しなければなりません。
セロトニンは、体内で特に重要な働きをしている神経伝達物質の1つで、不足すると心のバランスが崩れて、睡眠障害やうつ状態、不安感などが引き起こされます。
バナナに含まれるトリプトファンは、10mgです。
犬にバナナを与えるメリット
◆エネルギー補給に
バナナは、消化の良い果物です。
また、ブドウ糖、果糖、ショ糖の3種の糖質を多く含むので、消化吸収の早い良質なエネルギー源となります。
スポーツ選手などが試合前や試合中のエネルギー補給として食べることでも知られていますが、犬にも同様の効果が期待できます。
このため、食欲のない時などにトッピングとして与えると、エネルギー補給になるでしょう。
◆おなかの調子を整える
前述の通り、豊富な食物繊維は便秘改善につながるほか、水溶性のペクチンには悪玉コレステロールを減らすことも期待できます。
また、腸内の善玉菌の「エサ」となり、善玉菌を増やす働きがあるオリゴ糖も豊富で、腸内環境を整えることが期待されます。
バナナは、食物繊維とオリゴ糖を同時に摂ることができ、便秘の予防や改善に適しています。
◆食欲増進効果
犬は、甘いものを好む傾向があります。このため、バナナを好きなワンちゃんも少なくありません。
食欲がない時などに、バナナを少しトッピングしてあげることで、食欲を引き出すことができるかもしれません。
◆抗酸化作用や高血圧予防
バナナには、ポリフェノールが豊富に含まれています。
ポリフェノールには、体内の活性酸素を取り除く働き(抗酸化作用)や、血液中のコレステロール値を下げる働きがあります。コレステロール値を下げることで、高血圧予防が期待できます。
◆ダイエット
糖質や脂質の代謝を促すモリブデンが豊富なので、肥満傾向の犬に適量を与えることで、ダイエットに役立つことも期待されます。
◆愛犬の精神の安定にも
前述のトリプトファンは、別名「幸せホルモン」とも言われるセロトニンを生成します。
適度に摂取すると、愛犬の精神の安定にも作用することが期待できます。
犬に与えるバナナの適量
生のバナナ100g当たりのカロリーは、93kcalです。これは、お茶碗1/2程度のご飯に相当します。
栄養が豊富な割には低カロリーと言えますが、人間に比べて体の小さな犬にとっては、少量でもカロリーオーバーになりやすいため、適量を守って与えましょう。与え過ぎは、肥満や糖尿病の原因となります。
おやつやトッピングとして少量を与えるようにして、他のおやつと合わせて1日の必要カロリーの10%以内となるようにしてください。
与えてよい1日当たりの適量の目安は、下記のとおりです。
-
小型犬(2~5kg) :20g~40g(大1/6~大1/3本)
中型犬(6~15kg) :46g~92g(大1/3本~大3/4本)
大型犬(20~50kg) :114g~226g(大1本~大1+4/5本)
※避妊・去勢済みの犬の場合
※バナナ大1本=200g(可食部120g)の場合
犬にバナナを与える際の注意点
◆皮は与えない
犬には、バナナの皮を与えないようにしましょう。
有害な成分が含まれているわけではありませんが、食物繊維の多い皮は固く、犬は消化することができません。
嘔吐や下痢を引き起こす恐れがあり、最悪の場合、腸閉塞を起こすこともあります。腸閉塞は命に関わることもあり、非常に危険です。
与える際に皮を剥くことはもちろん、剥いた皮をそのまま放置しないように気をつけてください。
バナナの甘い匂いにつられて誤食する可能性もあるので、ビニール袋に入れて口を閉じる、蓋つきのゴミ箱に捨てるなど、すぐに処理しましょう。ゴミ箱は、犬が倒してしまうことのないよう、入れない場所に置くと、より安心です。
また、バナナ自体も香りが強く、そのまま出しておくと皮ごと食べてしまう恐れもあります。保管する際は、犬の届かない場所に置くようにしてください。
◆細かくカットする
バナナに含まれる水分は約75%であり、果物としてはあまり多くありません。そのため、ねっとりした食感をしています。
また、犬は食べ物をよく噛まず、丸呑みする習性もあります。
喉に詰まらせる恐れがあるので、細かくカットするか、潰して与えるようにしましょう。すり潰して与えると、消化も良くなるので、おすすめです。
ミキサーにかけて、バナナジュースにして与えるのも良いでしょう。
ただし、牛乳でお腹を壊したり、嘔吐したりする子は少なくないので、犬用ミルクやヤギミルクを使いましょう。犬は、牛乳に含まれる乳糖を分解する力が弱いためです(乳糖不耐性)。
ヨーグルトは乳糖が分解されていて、バナナとの相性も良いので、バナナヨーグルトにするのもおすすめです。
◆アレルギーに注意する
どんな食べ物でも、アレルギーを引き起こす可能性があります。初めて与える際には、ごく少量にして、食べた後の愛犬の様子をよく観察するようにしてください。
アレルギーの症状としては、下記のものがあります。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の痒み
- 元気がない
- 目の充血
これらの症状が見られた場合には、早めに動物病院を受診してください。アレルギーが原因とは限らないので、自己判断は避けましょう。与えるときに、与えた量や日時をメモしておくと、獣医師さんの診断の助けになります。
また、バナナの場合、ブタクサと「交差性」があるため、ブタクサのアトピーを持つ犬には与えないようにしましょう。
交差性とは、ある種の動植物のタンパク質にアレルギー反応を示す場合、種の近い動植物のタンパク質にもアレルギー反応が出ることを指します。この場合のアレルゲン(アレルギーを引き起こすたんぱく質)を、「交差反応アレルゲン」と言います。
ブタクサのアトピーを持つ犬に対して交差性を示す食材は、バナナのほか、メロン、スイカ、セロリ、キュウリ、レタス、トマト、リンゴなどがあります。ブタクサのアトピーを持つ子がこれらの食材を食べたからといって、必ずアレルギー症状を起こすわけではありませんが、アレルゲンレベルを上げてしまうことになるので、避けましょう。
まとめ
バナナは、高カロリーで消化が良いので、食欲のない犬に適量与えることで、効果的にエネルギーを補給することができます。また、甘いものを好む傾向のある犬には、食欲増進効果も期待できます。
ただし、高カロリーであるため、与え過ぎは肥満や糖尿病の原因になるので、適量を守りましょう。
また、皮は食物繊維が多くて固いため、消化ができず、下痢や嘔吐、また最悪の場合には腸閉塞を引き起こすことがあります。誤食を防ぐために、剥いた皮をすぐに蓋つきのゴミ箱などに捨てるのはもちろん、バナナ自体も犬の届かないところに保管するようにしてください。
バナナはブタクサと交差性があるため、ブタクサのアトピーを持つ犬には与えないようにしましょう。
バナナは、適量を与えるとさまざまな効果が期待できますし、甘いものが好きなワンちゃんにはとっておきのおやつにもなります。ぜひ、上手に活用してみてくださいね。
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