優雅で俊足!イタリアングレーハウンド(イタグレ)を知ろう!

2022.12.04

優雅で俊足!イタリアングレーハウンド(イタグレ)を知ろう!

イタリアングレーハウンドは、ほっそりとしたボディと深い腹部が特徴的な小型犬です。近年、日本でも人気の出てきた犬種で、日本では「イタグレ」、イギリスなどでは「IG」の愛称で親しまれています。華奢な体ですが筋肉質で、「サイトハウンド」として活躍した歴史から、非常に俊足です。今回は、イタリアングレーハウンドの歴史を紐解き、特徴や性格、気をつけたい病気などをご紹介します。

イタリアングレーハウンドとは

イタリアングレーハウンド

日本では「イタグレ」の愛称で親しまれているイタリアングレーハウンド(Italian Greyhound)は、世界的にも人気があり、海外では「IG」「Iggy」という愛称で呼ばれています。2021年のジャパンケネルクラブ(JKC)の犬籍登録数は、3,055頭で20位です。

◆歴史

イタリアングレーハウンドは、サイトハウンド(優れた視覚と走力によって猟を行う狩猟犬)として、またその俊足で「レース犬」として活躍してきました。

イタリアングレーハウンドの祖先は、古代エジプトの王族が飼っていた小型のグレーハウンドとされています。遺跡に残る壁画などに、グレーハウンドと思われる犬の姿とともに、小型のグレーハウンドらしき犬も描かれており、歴史の長さを物語っています。

元々はグレーハウンドを小型化して固定された犬種と考えられていますが、どのように小型化されたかについてははっきりとしていません。

小型のグレーハウンドは、紀元前5世紀ごろにはエジプトから地中海を経てトルコやギリシャ、ローマ(イタリア)に渡りました。上流階級の愛玩犬であったグレーハウンドは、16~17世紀ごろのルネッサンス期に著しい発展を遂げます。
南ヨーロッパ全域で人気となり、特にイタリアで王侯貴族に格別に愛されるようになりました。この時代の名だたる画家たちの絵画や、花瓶や食器などの美術品にも、イタリアングレーハウンドの姿が見られます。

18世紀後半に、さらなる小型化のために健康面を軽視した近親交配が繰り返され、その結果、虚弱な体質になってしまいます。さらに2度の世界大戦の影響で、頭数が徐々に減っていき、一時は絶滅の危機に瀕してしまったのです。

その後、アメリカにいた19世紀初頭に渡ったイタリアングレーハウンドの子孫をイタリアに逆輸入する形で、健康な犬種とする繁殖が行われ、現在の姿になりました。

日本には、江戸時代には輸入されていたと言われています。

◆特徴

イタリアングレーハウンドの被毛は、オーバーコートだけのシングルコートで、長さは1cmほどと極めて短いです。換毛期の大量の抜け毛に悩まされることはありませんが、短い毛が常に生え変わるため、思った以上に抜け毛が多いです。
スムースコートで、滑らかな被毛の表面にはつややかな光沢があります。すべすべで、シルクやサテンのような触り心地です。

小柄でスレンダーな体躯に、小さな頭、細くとがったマズル、丸くて大きな目が特徴です。足は細く華奢ですが、全身は引き締まった筋肉質の体型をしています。
耳は、付け根が高く、後方に向かって小さく折りたたまれた「ローズイヤー」です。生まれつき立ち耳の子や、片方がローズイヤー、片方が立ち耳の子もいます。

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前脚と後脚をそれぞれ揃え、背筋を使って跳ねるように走るサイトハウンド特有の走り方をします。これは「ダブルサスペンションギャロップ」と呼ばれ、疾走する姿はとても美しいです。

◆寿命

イタリアングレーハウンドの平均寿命は、12~15歳と言われ、比較的長生きをするといわれる小型犬としても、やや長い方です。2021年のアニコム家庭どうぶつ白書における平均寿命(2019年度)は、14.6歳でした。

◆性格

イタリアングレーハウンドは、走り回ったり、何かを追ったりすることが大好きで活発な犬です。一方で、穏やかで感受性が高く、やや神経質な一面も持ち合わせています。

このため、少し人見知りをする傾向があり、初めての人には距離をおきます。攻撃性はなく、むしろ他の犬からの攻撃でケガをすることに注意が必要です。
家族に対しては忠実で従順、甘えん坊の面もあります。その分、家族が側にいないことが苦手な子になりがちで、お留守番は苦手です。

犬の知能検査では60位に入る賢さから、簡単なしつけは入りやすい一方、頭がよい分、「飼い主より自分が上」と判断するのも早いため、毅然とした態度でしつける必要があります。
内気で繊細な犬種であり、飼い主の気持ちには敏感なので、大きな声で強く叱ったりすると、大変ストレスを感じます。飼い主との信頼関係を損なう結果になるので、大きな声はNGです。言い聞かせるようにすると良いでしょう。

ストレスを感じやすいですが、我慢してしまう辛抱強さがあるため、飼い主さんは気づきにくいかもしれません。運動不足や、子供などから過剰に構われることなどは、ストレスになりやすいです。

◆大きさ

イタリアングレーハウンドは、サイトハウンドの中で最も小柄です。
JKCの犬種標準では、男の子・女の子とも体高32~38cm、体重は5㎏以下と規定されています。

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イタリアングレーハウンドの毛色

イタリアングレーハウンドの毛色は単色です。

JKCの犬種標準では、グレー、ブラック、イザベラ(ペール・イエローのようなベージュ)と、これらの色のさまざまな色調が認められ、ブルー(青みがかった灰色)、フォーン(金色がかった茶色)、レッド(赤みがかった茶色)、シール(赤みがかった黒色)、クリームとバリエーションがあります。

ホワイトのマーキングは、原則、胸と足だけが許容されます。一方、タンやマール、ブリンドルは、JKCでは認められていません。

イタリアングレーハウンドの毛色は、年齢とともに変化することがあり、例えば、ブラックの子犬が成長とともにグレーに変わっていくケースもあります。


イタリアングレーハウンドを飼う際の注意点

服を着たイタリアングレーハウンド

◆寒さ・紫外線対策

イタリアングレーハウンドは、身体が細く脂肪がつきにくいうえ、被毛が短く、皮膚が薄いため、寒さには非常に弱いです。気温の変化にも敏感な傾向があるので、室内で飼育し、一年を通じて温度と湿度の管理をしっかり行う必要があります

冬の防寒対策として、散歩などで外出する際には洋服を着せましょう。また、短い被毛と薄い皮膚は、紫外線の影響を受けやすいです。紫外線対策としても、服が必要となります。

普通の犬服はイタリアングレーハウンドの細い体には合わないため、専用の犬服が販売されています。また、ネット上にはイタリアングレーハウンド専用の犬服の型紙がアップされているので、ハンドメイドで作ってあげるのもおすすめです。それほど難しくないそうで、愛犬だけの服を作ることを楽しんでいる飼い主さんは少なくないようですよ。

◆適度な運動

イタリアングレーハウンドは、運動能力が高く、活発で遊び好きの好奇心旺盛な犬種ですが、小型犬なので運動量はあまり多く必要としません。
毎日のお散歩は朝夕それぞれ最低30分程度お散歩が出来ればよいでしょう。
サイトハウンドらしく、走ることが好きなので、時にはドッグランで存分に走らせてあげたり、ボール遊びやフリスビーなどの遊びを取り入れたりするといいですよ。

イタリアングレーハウンドには動くものを追いかける習性があるので、「マテ」や呼び戻しのしつけは徹底しておく必要があり、噛み癖をつけないようにすることも大切です。

動作が俊敏なので、逃げると捕まえることが非常に難しいです。首輪のすっぽ抜けやリードが外れることがないように十分な注意をするとともに、引っ張り癖のつかないようなトレーニングを子犬の頃からしっかりと行いましょう。

◆イタリアングレーハウンド用のハーネスや首輪

イタリアングレーハウンドは、首が細く、頭も小さいため、通常の首輪ではすっぽ抜けが起きやすいです。また、首への負担も大きくなるため、イタリアングレーハウンド用の幅が広くてクッション性のある首輪を着用しましょう。

すっぽ抜けしにくいハーネスは、首への負担も小さく、よりおすすめです。首と胸にかかる8の字のハーネスを使いましょう。細身で胸の幅が狭いため、腕を通すだけのタイプだと後ずさりした時に抜けるおそれがあります。


イタリアングレーハウンドの気を付けたい病気

◆皮膚疾患

ブルー・グレー・フォーンなど淡色系のイタリアングレーハウンドは、淡色被毛脱毛症(カラー・ダイリューション・アロペシア;CDA)を発症しやすいです。
CDAは、淡い毛色の部分だけが脆くなり、生えてきてもすぐに毛が折れる病気です。症状が進むと、毛包が正常に形成されなくなり、完全に脱毛します。
遺伝性の疾患とされ、有効な予防法はなく、日頃から毛の状態をチェックして、異常を感じた時にはすぐ動物病院を受診しましょう。

また、短毛のため、皮膚に対するバリア機能が低く、外部からの刺激を受けやすいです。アトピー性やアレルギー性の皮膚炎、膿皮症などの皮膚疾患にもかかりやすいため、皮膚に異変を感じた場合は、早めに獣医師さんに診てもらってください。

◆骨折や脱臼

イタリアングレーハウンドは、身体も四肢も非常に細く、骨も細いため、非常に骨折しやすいです。ベンチ程度の高さからの飛び降りや、フローリングで滑って転んだり、走っていて石に躓いたりしただけでも骨折します。細いしっぽも骨折しやすく、ぶつけただけでも骨折することがあります。

散歩の際には高いところに上がらせないように、ドッグランでは足場の良い場所を走らせるように気をつけましょう。
室内では、ソファなどに上がらないようなしつけが必要です。また、動き回ることができる広いスペースを確保し、家具をあまり置かないようにする、雑貨などを床に置かないようにする、フローリングにはカーペットを敷くなどしてあげましょう。

後脚の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置(滑車溝)から外れる膝蓋骨脱臼も、起こしやすいです。

体重が重くなると脚への負担が大きくなるので、肥満にならないように注意してあげましょう。

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◆歯周病

マズルが細長いので、奥歯などのケアが難しいかもしれません。
できれば毎日が好ましいですが、最低でも月に1度は、歯磨きをして歯垢を取り除いてあげましょう。

歯磨きが難しい場合は、歯磨きガムなどから初めて少しずつケアをしていきましょう。

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まとめ

寝ているイタリアングレーハウンド

スレンダーな体と細い四肢が優美で、小さな頭と丸い瞳が可愛らしいイタリアングレーハウンドは、近年、人気が高まってきています。特に、都心部の住宅地では、小柄なイタリアングレーハウンドは住環境に合うこともあり、見かけることが多いでしょう。
温和な性格は家庭犬にぴったりで、子どもとの同居にも向いていますが、過剰に構われたり乱暴に扱われたりしても我慢してしまうため、ストレスを溜め込みやすいです。飼い主さんが気をつけてあげてくださいね。
イタリアングレーハウンドは寒さに非常に弱いため、洋服は必需品です。可愛い洋服を着せて、オシャレを楽しんでみてはいかがでしょうか。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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