1.犬が他の犬の耳を舐める理由
1-1.自分が上だと示している
1-2.愛情表現
1-3.遊びの誘い
1-4.本能
1-5.味がするから
犬が他の犬の耳を舐める理由
◆自分が上だと示している
多頭飼いをしているおうちや、近所に仲の良い犬がいる場合などには、犬が他の犬の耳を舐めているシーンを見たことがあるかもしれません。
犬が別の犬の耳を舐めるのは、順位付けの意味があるとされています。
基本的には立場が上の犬が、自分より下だと思っている犬の耳を舐めていると言われています。
また、犬が耳や耳の後ろを舐める行為は単に犬同士の挨拶であるケースもあるようですが、この場合にも上位の犬が下位の犬を舐めることが多いようです。
ですが、犬にとって舐めるという行為はあくまで本能の一環であり、決められたルールに則って行っているわけではありません。
ですので、下位の犬が自分よりも上だと認識している犬に対して、ご機嫌伺いや尊敬の意を示すために先に舐めるということもあるようです。
◆愛情表現
犬は愛情を示すために、他の犬を舐めることもあります。他の犬との信頼関係を築き継続させるために、このような行動を取る場合があるのです。
既に深い絆で結ばれている犬同士であれば、人間のコミュニケーションでいうキス・ハグの様に、お互いを舐め回すこともあるでしょう。
犬は「舐めること、舐められることによってエンドルフィンが放出され、リラックス効果をもたらして幸せな気持ちになる」と発表しているトレーナーもいます。
この場合は互いの信頼関係と絆の強さが大切であり、社会的階層はあまり問題にはならないそうです。
◆遊びの誘い
遊びに誘う時、遊ぶ準備ができていることを示すために、他の犬の顔や耳を舐める場合もあります。これはすでに知り合いの犬に対してはもちろん、初対面の犬に対しても行う可能性があるでしょう。
遊びたくて仕方がない状態であれば、身体の前半分を低くしてお尻を高く上げる「プレイバウ」という姿勢に加えて、他の犬の顔をペロリと舐めることもあります。
他の犬に対して、「ねぇ、遊ぼう!」と一生懸命誘いをかけている、なんとも愛らしい状態ですね。
◆本能
母犬が子犬を舐めている場合は、グルーミングや排泄を促しているなど、お世話のためにしている行動だといえるでしょう。
子犬を舐めることは、母犬と子犬との愛情のやり取りなのです。ちなみに、子犬の頃に母犬から沢山なめてもらうことで、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンという物質が分泌されます。
これにより、心の安定を保てるそうです。併せて、食べ物の消化を手伝ったり、血行を促進するなど、物理的な効果も得られるようですよ。
多頭飼育をしている家庭の同居犬同士にも、絆を深めるためであったり、お世話する意味で、みられる場合があるでしょう。
反対に、子犬が他の犬の耳を舐めたり噛んだりしているような場合は、単純に動いて面白い、楽しいからという理由で行っていると思われます。
◆味がするから
単純に何らかの味やにおいがしていることが原因で、相手の耳や顔を舐める場合もあります。
ご飯の後で食べ物が付着していたり、塩分を感じて舐める子も多いでしょう。
もしかするとその舐められている犬の耳に異常があり、ニオイがしていたり、膿んでしまっていたりといつもと状態が違っている場合もあります。
しきりに舐めるようであれば、一度飼い主さんが確認してみるとよいでしょう。
犬にとって舐める行為とは
犬は自分の体や人間の手や顔、おもちゃや他の犬に対しても、舐める行為を行うことが当たり前です。
というのも、舌は犬が持つ感覚器の中でも、刺激や苦みを感じることが出来る部位ですので、犬は舐めることで情報を得ようとする習性を持っています。
また、舐める行為は情報を得る為以外にも、前述したように犬同士のコミュニケーションの一環として行われます。
犬は元々群れで生活してきた動物であり、同じ群れで過ごす仲間同士で舐め合う行為が行われていました。
この行為は、社会的グルーミング(ソーシャル・グルーミング)と呼ばれるもので、相手に対する尊敬・服従心・順位付けを示す目的や、単なる愛情表現、他にもお互いの被毛を清潔にする効果があったり、犬同士の対立解消のきっかけになったりと様々な意味を持ちます。
特に猫や犬は、信頼できる人間に対しても愛情の印としてグルーミングをするといわれています。
実際に犬と接したことのある人であれば、一度は顔や手を舐められたことがあるのではないでしょうか。
舐めるという行為も決して無意味に行っているわけではなく、舐める部位や相手・対象によって、心境や理由は大きく変わってきます。
犬が耳を舐めているのはやめさせた方がよい?
耳に執着して舐め続ける子も中にはいるのですが、これは止めさせるべき行為なのでしょうか?
必要不可欠な社会的グルーミングであったり、愛情表現が理由で行われる行動ですが、この行為によって問題が起こる場合があるのか、またそんなときはどんな対処法をとるべきなのか、しっかりチェックしておきましょう。注意点や情報を集めて学習しておけば、万が一の時にもすぐに対応できて安心です。
◆基本的には問題ない
犬の舐めるという行為は犬にとっては、身近でごく普通の行為です。基本的に問題はないといえるでしょう。
ただし、あまりにも耳を舐めることに強い執着心を示すような場合は、少し注意が必要かもしれません。
舐め方が執拗で行為が長時間続く、注意しても止めないなど、異常なまでに執着しているようであれば、一種の病気となっている可能性もあります。
ストレスなどが原因で自分の意志と関係なくある行動を繰り返すようになる、強迫性障害や常同行動などの疑いがでてきます。このような場合は、獣医師に相談の上、止めさせた方がよいといえるでしょう。
また、耳を執拗に舐める行為が子犬に見られる場合は、子犬にとって他の犬の耳が楽しい遊具のような存在になっていることが原因であると考えられます。さらに、成犬の耳周りの皮膚は若い動物にとって魅力的な匂いやフェロモンを放出しているためだとの見解もあるようです。
成犬は子犬に対して寛容であることが多いのですが、全ての犬が忍耐強いわけではありません。トラブル発生防止のためにも、相手が嫌がる素振りを見せた場合には引き離すことをおすすめします。
◆耳のケアはしてあげよう
耳のニオイが他の犬を引き付けて、舐められる行為に至るケースももちろんあります。そのニオイが感染症や外傷による出血が原因である場合も考えられるでしょう。
健康上の問題を考えても、これらが疑われる場合は舐めさせるのを一旦止め、動物病院を受診してください。共通感染症である可能性もゼロではありませんし、舐められることで酵母・細菌の繁殖を助ける環境を作り出し悪循環に陥る可能性も十分あります。
このような耳の病気を予防するためにも、愛犬の耳のケアは定期的に行なわなくてはいけません。
以下内容をしっかり覚えておき、正しい耳のケアをしてあげてくださいね。
◎耳汚れのチェックは週1回程度、耳掃除は月に1~2回位の頻度で行う。
※散歩後、寝る前などタイミングを決めて習慣化すると良い。
◎綿棒・耳かきは使用せず、基本的にはコットンで掃除する。
◎消毒用アルコール・ウェットティッシュ類は使用しない。
※消毒作用が強すぎて、肌のバリア機能低下や、常在菌まで消してしまう恐れがある。
◎汚れの侵入を防ぐ役目をもっているため、基本的に耳毛を抜かない。
◎過度に耳掃除をしない
※必要異常な耳掃除はかえってトラブルを起こす原因となる。奥の場所にある耳垢や皮脂を取ろうとするのはNG。
ちなみに、耳掃除を過剰に嫌がる、耳垢の色がおかしい(赤黒い、黄色い、茶色い)、痒みを感じている、異臭がする、耳垢がドロッとしている、などの異常がある場合は、既に感染症などを発症している可能性があります。すぐに獣医師に相談するようにしましょう。
犬の健康な耳垢は、黄色みがかった白色で、量は少なく、臭いやベタつきもありません。トラブルがなければ、耳の中に赤みや痒みありませんので、定期的に観察をして万が一異常が起きた時にすぐに気付けるようにしておきましょう。
まとめ
犬が他の犬を舐める行為は、本来持つ習性の名残であったり、愛情表現や社会的グルーミングが主な理由だと紹介してきました。
仲良しの犬同士であれば、特に問題に発展することのない、微笑ましい状態として見守っても問題はないでしょう。ただし、相手が迷惑そうにしていたり、嫌がる素振りをみせていないかは、しっかり気をつけて観察しておきましょう。あまりにしつこくて怒らせてしまい、喧嘩に発展するというケースも無いわけではありません。
また、耳の病気などが原因のケースも実際にあるので、その点はしっかり注意してください。定期的に耳の状態をチェックしたり、適切なケアを行うことを徹底し、病気が疑われる場合は早めに獣医師に相談してくださいね。またストレスなどによる精神疾患が疑われる場合も同様です。
耳の病気についてはネット上に記事もたくさん載っていますので、目次を見て気になる症状があればチェックしてみると良いでしょう。
愛犬が他の犬の耳を舐める、または舐められるシーンに遭遇した時には、どんな気持ちなのかな?と想像しながら観察してみてくださいね。
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