1.子犬がしゃっくりする原因とは
1-1.ごはんの問題
1-2.不安や興奮、ストレス
1-3.寝言
2.子犬のしゃっくりの対応
2-1.落ち着かせる
2-2.水を飲ませる
2-3.気を反らす
子犬がしゃっくりする原因とは
先程まで元気に走り回っていた子犬が突然しゃっくりをし始めたり、スヤスヤと寝ていた子犬が目を瞑ったまま大きなしゃっくりをし始めて心配になったことのある方は多いかと思います。
そもそもしゃっくりはどのようなメカニズムで起きるのでしょうか。
実は人も子犬もしゃっくりが起きる原因は一緒で、肺の下に位置する横隔膜が痙攣することにより引き起ります。
しゃっくりというと「ヒック」のような音が出てしまいますよね。これは、横隔膜の痙攣に連動して声帯の筋肉の閉塞が起こることで「ヒック」という音が発生します。この現象が一定期間繰り返されることをしゃっくりと呼びます。
人間や動物において横隔膜が痙攣を起こす根本的な理由は明らかにはなっていないようですが、横隔膜周辺にある横隔神経並びに迷走神経といった神経組織や、横隔膜をコントロールしている延髄内の呼吸中枢が刺激されることが引き金になると考えられています。
また、特に子犬の場合は横隔神経と横隔膜の発達が成長段階であるため、しゃっくりを起こすともいわれています。
では、どのようなことがしゃっくりを引き起こす刺激になるのでしょうか?1つずつご説明していきます。
◆ごはんの問題
子犬は成長期のため、フードを与えると早食いしてしまうことが多く、その際に一度に大量の食べ物が胃に入って胃が急に広がってしまうことや空気も一緒に飲み込んでしまうことが刺激に繋がる可能性があると考えられます。
また、フードの粒が大きいとその分、少ない量でもすぐに胃が広がってしまうことや冷たいままのウェットフードなどを与えることにより、体が急激な温度変化に驚いて胃や腸などの筋肉が収縮し、横隔膜が刺激されるため、しゃっくりが出やすくなるともいわれています。
子犬が食後や食事中によくしゃっくりを起こしているとしたら、与えているごはんやごはんを食べる環境が原因の可能性があります。
◆不安や興奮、ストレス
新しい環境に来たばかりの子犬は、私たちが考えている以上にストレスや不安な状態にあることが多く、そのため過度のストレスや不安感などが原因となり迷走神経が過剰に緊張してしまい、しゃっくりが引き起こされる場合もあります。
また、子犬はまだまだ精神的にも発達段階のため遊びなどで過度に興奮して呼吸が乱れることもあり、それによって呼吸中枢が刺激されてしまうとも考えられます。
◆寝言
子犬が眠っている間に「ヒック」といった音を連続してさせることがありますが、これはしゃっくりではなく、「寝言」の可能性が高いでしょう。
今の科学では犬も人間と同じように夢を見ているのか、やレム睡眠・ノンレム睡眠が存在しているかなどは残念ながらわかっていませんが、もし子犬が寝言を言っているならば、飼い主さんと遊んだりしている夢を見ているかもしれませんね。
子犬のしゃっくりの対応
一般的にしゃっくりをすることで命に危険が及ぶことはないといわれており、また一時的な原因によるしゃっくりならば何もしなくても数分で自然に止まることも多いため、しゃっくり以外に異常が見られなければ数分間は見守ってみましょう。
しかし、長い間続いている、少し苦しそうにしている時などは以下の方法で止めてあげることをおすすめします。
◆落ち着かせる
不安や興奮、ストレスなどが原因でしゃっくりが起きているときは、子犬を優しく撫でてあげたり、そっと抱っこしたりして落ち着かせてあげることが有効と考えられます。
このとき、飼い主さん自身が落ち着いて、安定した気持ちで子犬に接してあげることがポイントとなります。
しゃっくりが続いていることによって飼い主さんもパニックになってしまいがちですが、飼い主さん自身の焦りや不安を愛犬は敏感に感じ取ってしまい、ますます、しゃっくりが止まらなくなってしまうという悪循環を避ける必要があります。
飼い主さん自身が気持ちを落ち着けた状態にて、愛犬の頭や喉、お腹などの普段撫でられて喜ぶ場所を優しく、声掛けをしながらゆっくりと撫でてあげましょう。
◆水を飲ませる
人間の場合は、しゃっくりを止める方法として何かを食べたり飲んだりするということが有効だと考えている方も多くいますが、子犬の場合は無理にフードや水などを口に入れることはおすすめできません。
というのも、しゃっくりをしている最中に無理に何かを食べさせたり、飲ませたりするとフードや水が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎になってしまう可能性が高いからです。
誤嚥性肺炎は、本来ならば食道に入るはずの水や食べ物などが誤嚥により気管を通して肺に入ってしまい、細菌が繁殖して肺に炎症が起きることをいいますが、重症化すると命の危機にもつながってしまいます。
ですので水を飲ませるっといっても、無理に口に入れるのではなく飼い主さんの指に水やペースト状のおやつなどをつけて子犬の口元に持っていき舐めさせてみましょう。
◆気を反らす
しゃくりが長く続いているだけで、子犬に特に苦しそうな様子などは見られない場合は、おもちゃで気を引いてあげることもおすすめします。
ただ、人間では大きい音を立てたり、体を軽く叩いたりして、びっくりさせて止める方法もよく試されますが子犬の場合は、それらの行為にて恐怖心を感じてしまい、余計に呼吸が乱れる可能性が高いため、行なわないでおきましょう。
子犬のお気に入りのぬいぐるみを目の前で振ってあげたり、ボールを軽く転がしたりすることで子犬の関心をしゃっくりから別のことに気を反らしてあげるようにしましょう。
しゃっくりを予防するには
しゃっくりの原因となる横隔膜の痙攣のメカニズムが、はっきりしていないため、しゃっくりを100%予防することは難しいかもしれませんが、痙攣を引き起こす刺激を減らすことは可能です。
子犬がしゃっくりを起こすときのタイミング別に、予防法についてご説明していきます。
◆早食いをさせない
前述したように、子犬が食後や食事中に、よくしゃっくりを起こしている場合はごはんやごはんを食べる環境が原因の可能性が高いため、それらを見直す必要があります。
子犬が、ごはんを早食いしてしまう傾向にある場合は、まず与えているフードの量が適切かどうかを一番に確認しましょう。もしかしたら、ごはんの量が足りておらず、常に空腹のため早食いしてしまっているかもしれません。
適切な標準給与量は。必ずフードのパッケージに記載されていますし、また個体差によっては必ずしも標準給与量がその子犬に合っているとは言い切れない可能性もあるため、不安に感じた場合はかかりつけの獣医師に相談してみても良いでしょう。
フードの量が適切で、かつ与えている回数も問題なければ、様々な種類の早食い防止用のフードボウルを取り入れてみてもよいでしょう。
また、粒が大きいフードや、冷たいままのウェットフードは横隔膜の痙攣を引き起こす刺激となるだけではなく子犬の消化不良につながる可能性もあります。
フードの粒の大きさにおいては子犬の犬種や口の大きさなどをよく確認して選ぶようにするとともに、ウェットフードは常温か人肌程度に温めて与えるようにしましょう。
◆しゃっくりが出るタイミングを知る
迎えたばかりの子犬がよくしゃっくりを起こしているとしたら、それは過度のストレスや不安感などが原因の可能性も高いため、まずは子犬が今の環境に慣れてもらうことを第一優先に考えてあげましょう。
可能ならば以前にいた場所で使用していた毛布やタオルを寝床に入れてあげたり、静かで温湿度が適切な場所に子犬の居場所を作ってあげるなど、子犬が安心できる環境を作ってあげましょう。
もし、遊びの際に興奮してしゃっくりを起こすようならば遊びの間に、こまめに休憩を入れてあげて子犬が落ち着く時間をもてるようにしてあげましょう。
こんなしゃっくりには要注意
ここまでは、あくまで一過性の刺激などが原因となる、病気ではないしゃっくりについて解説してきましたが、時々、しゃっくりが病気の症状である場合もあります。
例えば、しゃっくりがあまりにも長時間継続したり、痙攣を伴ったりしている場合は脳腫瘍やてんかんの可能性があるため、可能な限りしゃっくりの様子を動画に収めた上でなるべく早く、設備が整っている動物病院を受診するようにしましょう。
また、異物を誤飲して、誤飲したものが食道や消化器に詰まってしまい、しゃっくりを引き起こすケースも考えられます。その場合は食欲不振や嘔吐などの症状も伴って見られることが多いため、しゃっくり以外に何か他の症状も見られる場合も、すぐに動物病院を受診しましょう。
なお、上記で紹介した対応策や予防策を行ってもしゃっくりが止まらなかったり、回数が軽減しない場合などは、そもそもしゃっくりではない可能性もあるため、このような場合も動画を撮影した上で動物病院に相談することをおすすめします。
まとめ
子犬のしゃっくりを、初めて見られた飼い主さんはとてもびっくりされてパニックになってしまうことも多いと思いますが、ぜひこの記事を参考にして落ち着いて対応していただければと思います。
ご紹介してきたように、子犬のしゃっくりも人間のしゃっくりも原因は横隔膜の痙攣です。
苦しそうな様子などを見せていなければ、基本的には大きな問題はありません。
落ち着かせてあげたり、環境の改善をしながら様子を見守ってあげましょう。
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