1.犬の目が白い!考えられる病気とは
1-1.白内障
1-2.瞬膜が出ている
1-3.核硬化症
1-4.角膜ジストロフィー
1-5.角膜炎・角膜潰瘍
2.犬の目が白くなった時の対処法・治療法
2-1.白内障の場合
2-2.瞬膜が出ている場合
2-3.核硬化症の場合
1-4.角膜ジストロフィーの場合
1-5.角膜炎・角膜潰瘍の場合
犬の目が白い!考えられる病気とは
犬の目が白いと感じた時に思い浮かぶことといえば、人間にも見られる白内障という病気だと思います。
もちろん高齢化に伴い白内障になる犬も多いですが、実際は犬の目が白くなる病気にはさまざまな目の部位の異常や病気が関わっていることが多いものです。
まずは、愛犬を見守る飼い主さんが「なんだか目が白いな」と感じる原因になりうる、代表的な犬の目の病気について知ってみましょう。
◆白内障
犬の目が白いと感じる有名な病気の1つでもある「白内障」は、カメラのレンズのような役割を果たす水晶体が白く濁ることで、視力の低下を引き起こします。
水晶体は、目に入ってくる光を屈折させて、目の奥にある網膜へと届けるのに必要な部位ですが、一度白く濁ると徐々に光を通さなくなっていき、自然に元に戻ることはありません。
シニア期の犬に発生するイメージを持つ飼い主さんが多い病気ですが、犬の白内障は6歳未満で発症する若年性の白内障や、遺伝が原因でよく発症する犬種の血統が関わっているケースも多く、年齢だけで白内障のリスクの程度を判断できないのです。
また、白内障は視力の低下だけでなく、目に強い痛みを引き起こすぶどう膜炎や緑内障、網膜剥離などの合併症を、進行すればするほど引き起こす危険が高いやっかいな病気でもあります。
さらには、糖尿病の犬が白内障を発症する確率の高さも指摘されているため、糖尿病治療中の犬の目が白い時は、特に要注意です。
◆瞬膜が出ている
犬の目がしらには、人にはない第三眼瞼と呼ばれる「瞬膜」が備わっています。目の表面の保護や、涙を行き渡らせて目を乾燥させないためにこの瞬膜が眼球を覆うと、白い膜が犬の目のふたをしているように見えるため、びっくりされる飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、眠っている時や瞬きをした時などに一時的に見える程度であれば、元から犬に備わっている自然な機能であり、健康上の問題はないため大丈夫です。
ただし、瞬膜が出たまま戻らない、左右で瞬膜の出方が異なるといった場合には、犬が目に痛みを感じていたり、病気の存在を知らせるサインかもしれません。
瞬膜が腫れて変形する「チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)」や、神経の障害によって起きる「ホルネル症候群」、腫瘍や膿が瞬膜を押し出して戻らなくなっていることも考えられるので、病気の有無をきちんと確認してあげましょう。
◆核硬化症
犬の核硬化症は、目が白いという特徴的な症状が、白内障にとてもよく似ている老化現象の1つです。
核硬化症では、レンズの部分にあたる水晶体の内部にある核の水分量が、加齢とともに減って硬く変化し、目に入る光の屈折率が変わるため、外から見ると光の加減で犬の目が白く濁って見えます。
けれども、白内障のようにレンズそのものが光を通さなくなる事態は引き起こさないため、視力への影響はなく、犬に目の痛みや違和感も与えないとされています。
◆角膜ジストロフィー
犬の黒目に部分的な円形、もしくはだ円形の白い濁りが見られるのが、「角膜ジストロフィー」と呼ばれる目の病気です。はっきりとした発症の原因はわかっていませんが、遺伝が関わっている可能性が指摘されています。
この部分的な白い混濁は、目の表面を覆う角膜にコレステロールやリン脂質、カルシウムなどが沈着してしまうことで発生しますが、濁る範囲の拡大による見えにくさはあるものの、完全な失明に至るケースや、炎症による痛みを伴うことは少ないとされています。
ただし、角膜の中でも奥の方にある「内皮」と呼ばれる部分で発生する「角膜内皮ジストロフィー」では、角膜の内部の水分が過剰になる障害(角膜浮腫)が現れることが多く、犬の目の白い濁りが角膜全体に広がって見られることもあります。
その場合は、視力が低下したり、角膜の組織が欠ける「角膜潰瘍」による痛みや、目が細菌感染を起こしやすい状態を引き起こすこともよくあるため、適切な対処が必要です。
◆角膜炎・角膜潰瘍
角膜の傷や欠損は、角膜内皮ジストロフィーのほかに、犬の日常的な行動によるケガや異物の混入、細菌・ウイルス感染、逆さまつ毛(異所性睫毛)や涙の分泌量の異常など、さまざまな原因によっても発生します。
例えば、散歩中に草むらに顔を突っ込む、物にぶつかる、猫と遊んでいた時にパンチをされて、たまたま目に当たってしまったなど、犬と暮らしていれば遭遇しやすい、ささいな出来事が原因となることも少なくありません。
角膜表面に傷や炎症が起きると、部分的に、もしくは黒目の全体的な白い濁りとして現れることがよくあり、犬が痛みから目をしょぼしょぼさせて、前足で顔をかいたり、涙が増えるといった症状が同時に見られることも多いでしょう。
犬の目が白く濁り、急に目を気にしだした際には、原因として思い当たるできごとがなかったか、ぜひ思い返してみてください。
犬の目が白くなった時の対処法・治療法
犬の目が白いと感じた時には、原因に合わせた適切な対処を行う必要があります。
原因となっている犬の目の病気によっては、進行を遅らせることが重要なものや、すぐに治療を始めないと深刻な状態になってしまいかねないものも少なくありません。
犬の目が白くなる病気ごとに、どんな対処法・治療法があるのかを確認してみましょう。
◆白内障の場合
犬の初期の白内障では、サプリメントや点眼薬で進行を遅らせることがメインとなります。ただし、犬の白内障用の点眼薬は、犬の目の白い濁りを改善したり、確実に進行を遅らせることができるというデータは残念ながら少なく、あくまで補助として活用している場合が多いでしょう。
白内障による犬の目の白い濁りや、視力の低下を根本的に治療するのであれば、人工の眼内レンズを埋め込む外科手術が必要です。しかし、犬の白内障の手術を行うことができる動物眼科医は、まだ国内にそれほど多いとは言えず、手術に必要な設備や機材が整った動物病院も、どこにでもあるわけではありません。
また、全身麻酔や手術後の合併症のリスクなども考える必要があり、中には外科手術が適さない目の状態である白内障の犬もいるため、必ず動物眼科を専門とする獣医師と相談し、行うかどうかを決定するようにしましょう。
さらに、白内障が引きがねとなるぶどう膜炎や緑内障などの二次的な症状・病気については、犬の目の状態に合わせて、炎症や細菌感染を抑えたり、眼圧を下げる点眼薬などを処方してもらい、すぐに治療を始めることが大切です。
◆瞬膜が出ている場合
自然な反応として、犬の目を白い瞬膜が覆っているだけなのであれば、特別なにかをする必要はありません。
しかし、瞬膜が出たまま戻らなくなっているチェリーアイでは、炎症を鎮める点眼薬などで戻りやすくしたり、重症化している場合は外科手術で元の場所に戻す整復手術を行います。
飼い主さんが自宅で無理やり瞬膜を戻そうとすると、犬の目を傷つけて、眼球の傷や炎症から目が白く見える異常事態を引き起こしかねないので、必ず動物病院で処置をしてもらいましょう。
◆核硬化症の場合
核硬化症は、犬に対して視力の低下や炎症を伴う痛みなどを引き起こすものではなく、老化現象の1つとされているため、一般的には治療を必要としません。
ただし、飼い主さんが白くなった犬の目を外から見て、白内障なのか、核硬化症なのかを区別することは困難です。犬の目が白い時に、「青白く見えるかどうか」を1つの基準とするケースもありますが、水晶体(レンズ)の状態をしっかりと確認できる専用の検査器具がないと、確実な判断はできません。
犬の目が白いと感じた時には、必ず目の病気を診断できる検査器具がある動物病院で確認してもらいましょう。
◆角膜ジストロフィーの場合
角膜ジストロフィーの原因がまだ詳しくわかっていないこともあり、この病気を完治させる治療法は見つかっていません。
また、角膜ジストロフィーの症状が軽度な場合は、積極的なケアを行わず、目の経過をよく観察するのみとなるケースもあります。
犬の目の白い濁りが広がり、見えにくさが進んで生活に強く支障が現れた場合は、部分的に角膜を切除する外科処置を行う選択肢も出てきます。しかし、再発のリスクや、犬は視覚の代わりに優れた聴覚や嗅覚をたよりに生活していける可能性なども考えた結果、積極的にはすすめないという動物病院もあるでしょう。
角膜内皮ジストロフィーが進行して、角膜浮腫や角膜潰瘍などが見られる場合では、目の状態を改善させる点眼薬や眼軟膏を対症療法として行うこともあります。
根治治療としては角膜移植ということになりますが、現在の動物医療では、「いつでも」「どの犬でも」受けられる現実的な治療法とは言えないため、難しい選択肢です。
◆角膜炎・角膜潰瘍の場合
角膜炎や角膜潰瘍がある場合は、犬が痛みから目を引っかいたり、物に目をぶつけて悪化させる危険を避けるため、治るまではエリザベスカラーの装着が必要になります。
その上で、炎症を抑えたり、角膜の傷の修復を促す作用がある点眼薬や、細菌感染による重症化を防ぐための抗菌剤を含む点眼薬を中心に、内科治療を行います。
深い潰瘍になっているせいで犬の目が白い時には、点眼薬だけでは治療が難しいこともあります。その場合は、目の保護や治りを早める目的で、一時的にまぶたを縫い合わせる外科処置が必要になることもあるので、獣医師の診察を受けながら最適な治療法を探していきましょう。
犬の目が白くなるのを予防する方法はある?
犬の目が白くなる病気を100%未然に防ぐ予防方法は、基本的にはありません。
日頃から愛犬の目をよく観察して、目の充血の有無や目やに・涙の量などの異常が見られれば早めに受診するという心構えが、愛犬の目の病気の重症化を防ぎ、完治させる治療法の選択肢を増やす対策となります。
ただし、目の傷などが原因で犬の目に炎症が起き、白い状態になってしまう事態は、ちょっとした工夫でケアできます。
室内の犬がぶつかりやすい角をなくし、床に物を置きっぱなしにして転ぶ原因を作らないといった対策や、背丈のある草むらに顔を突っ込ませない、猫と激しくじゃれ合う機会は避けるなど、目の怪我にはできるだけ注意してあげましょう。特に短頭犬種は、鼻先が短い分、目に傷が入りやすい傾向があります。
また、もしも見えにくさがある犬の場合は、散歩は明るい時間に済ませてあげたり、外出時はいざという時に犬の動きをフォローしやすいハーネスに変更しておくのもおすすめです。
まとめ
犬の目が白い時には、「白内障か?」と心配してしまうものですが、実際にはさまざまな病気や怪我が原因で犬の目は白濁します。
そして、目が白いと一口に言っても、その重症度や危険性は犬によって異なります。
何が原因なのかを外から見ただけで判断することは難しいため、きちんと眼科検査を受けて、その時の目の状態にあった治療法を獣医師に提案してもらってくださいね。
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