テチチってどんな犬?チワワの原種と言われている古代犬に注目!

2023.12.03

テチチってどんな犬?チワワの原種と言われている古代犬に注目!

トイプードルと並び、圧倒的な人気を誇る小型犬のチワワ。 大きい目や耳、感情豊かな表情など、とてもかわいい犬種なのはご存知のとおりだと思います。 そんなチワワの原種なのではないかと言われている「テチチ」という古代の犬種をご存知でしょうか? 今回は、そんなテチチについてや、本当にチワワの原種なのかをご紹介していきます。

チワワの先祖と言われる「テチチ」

テチチ

今回初めて「テチチ」の名を聞いた人もいるのではないでしょうか。
それもそのはずで、テチチは現在では絶滅したとされている古代の犬種なのです。

テチチはチワワの先祖と言われており、チワワの元になった犬種とされています。
9世紀にメキシコに居住していたトルテック族がテチチを飼育していたことがわかっていることから、原産地はメキシコをはじめとした南米大陸と推測されています。

メキシコや南米では人間のお墓の中からテチチのものと思われる犬の骨も発見されているので、南米大陸で人と密接な関係を築いていたということは確かなようです。

◆テチチの見た目

現代では既に絶滅していると言われている「テチチ」ですが、一体どのような見た目をしていたのでしょうか。

9世紀と昔のこととなると写真などはもちろん残っていませんので、発見された文献や当時の壁画から推測されることになってしまいますが、テチチの見た目の特徴は以下の通りと言われています。

テチチの外見の特徴

・骨格はがっしりしているが比較的痩せている
・大きさは現在の小型犬ぐらい
・鼻口部分は長め
・脚が長い
・ピンと立った耳
・丸いシルエットの頭部
・垂れた尻尾
・茶色、黒、白、クリーム色などの被毛をもつ

上記の特徴や、壁画や文献に描かれた絵からは、テチチは狐のような見た目に近かったことも推測されています。
また、メキシコシティにあるメソアメリカの考古・民族資料を収集・展示する国立人類学博物館には「トウモロコシを運ぶテチチ像」が展示されていて、さらに実物のテチチのイメージを掴むことができます。

◆テチチの性格

人類と一緒に生活を共にしていたであろうテチチ。
そんなテチチはどのような性格だったのでしょうか。

人類と一緒に生活を共にしているだけあって、凶暴であったとは考えにくいでしょう。
これも残っている文献からの推測の域を出ませんが、一説によるとテチチは子犬の頃から吠えることは少なく、家畜として人間との関係も良好で、人間の子供の遊び相手も任されていたとされています。

また、人間が狩りに行くときに狩猟のお供としても連れて行ったとされています。
そのことからテチチは穏やかな性格で、人間に従順な面も持ち合わせている犬種だったのではないでしょうか。


テチチの歴史

テチチの見た目やどのような犬だったのか、イメージが出来たところで、そのテチチにはどのような歴史があるのか少しご紹介します。

◆テチチは食用の犬だった!

9世紀には家畜として人間と生活を共にしていた古代の犬種、テチチ。

狩猟に連れて行く狩猟犬としての一面も持ち合わせていますが、一番の目的はなんと「食用」だったようです。

食用として飼育していたのは前述したトルテック族ではなく、トルテック族の次に繁栄したアズテック族だと言われています。
アズテック族はテチチを食用の犬に適したものにするため、去勢をして穀物などを大量に与え肥育したと推測されています。

それを証拠づけるかのように、前述した国立人類学博物館に展示されているテチチの像は、腹部に丸みを帯びていることが伺えます。
また、特別な日に食べるいわゆる「ごちそう」のようなものではなく、日常的に食べる一般的な食材とされていたこともわかっています。

◆テチチは神聖な犬ともされていた

人間のお墓の中からテチチのものと思われる犬の骨も発見されたと前述しましたが、これはテチチが神聖な犬として儀式に用いられたのではないかと推測されています。

とくに青系の毛色のテチチは神聖なものとして特別とされていました。
また、赤い毛色のテチチは主人の火葬と一緒に焼かれ、悪霊から主人を守ったり、生前の罪を引き受ける、というような意味合いが込められていたようです。

テチチは食用だけでなく、生贄として重要な役割を担っていたのでしょう。

◆テチチが絶滅した理由

人間と密接な関係を持っていた古代の犬種テチチ。
現在は生きたテチチの姿を見ることができません。

テチチは絶滅したとされていて、その原因はスペイン人による制服です。
1519年スペインの探検家や軍が南米を襲来し、多くを植民地としていきました。
その際にアズテック文明も崩壊し、多くのテチチが主人を失うことになりました。

元々食用として飼育されていたテチチですから、スペイン人も同じくテチチを食用として食べていきました。
その数はなんと10万匹以上だったと言われています。

多くのテチチが食用として食べられ、飼い主も失ったことで、テチチの個体数は次第に現象し、絶滅の一途を辿ったとされています。
記録ではテチチは19世紀ごろには絶滅したと考えられています。


テチチがチワワの原種と言われている理由

テチチはチワワの原種であると考えられていますが、一体どのような理由からそのような説となったのでしょうか。

主に唱えられている3つの理由をご紹介します。

◆見た目が似ている

チワワ

テチチがチワワの原種と言われている理由の1つ目が「見た目が似ている」ことです。

チワワといえば、世界最小の純血種の犬であり、大きな目と大きな三角形の耳、アップルヘッドと呼ばれるまん丸の頭が特徴的です。
テチチの外見の特徴であるといわれている『小型犬である』『狐のような見た目』『ピンと立った耳』『丸いシルエットの頭部』『垂れた尻尾』という点がテチチとチワワで似ていますよね。

実際にはテチチは現在のチワワより少々大きめのようですが、この「見た目が似ている」ことがテチチがチワワの原種と考えられている理由のひとつとされています。

国立人類学博物館に展示されている「トウモロコシを運ぶテチチ像」を見ても、チワワに共通する見た目を確認することができますので、是非興味があれば足を運んでみて下さいね。

◆「チワワ」の名前の由来より

テチチがチワワの原種と言われている理由の2つ目が「チワワの名前の由来」です。

チワワの名前の由来はご存知でしょうか?
チワワのことが大好きな人はご存知の方も多いと思いますが、その犬種名の由来は、メキシコ最大の州「チワワ」の名前に由来していると言われています。

後述しますが、テチチは南米大陸原産とも言われており、なんとこのメキシコ最大の州であるチワワにはテチチが存在したとされている記録が多く残されているのです。

テチチとチワワ、時代は違えど同じ場所に生存し、名前も似ているとことから、繋がりがあると考えられているようです。

◆テチチとチワワの遺伝子情報の一致

テチチがチワワの原種と言われている理由の3つ目が「テチチとチワワの遺伝子情報の一致」です。

実はチワワはどこの原産の犬なのか、長い間不明瞭なままでした。
メキシコ、中国やヨーロッパなど様々な説があがっていましたが、2013年にスウェーデンにある王立工科大学の進化遺伝学者であるピーター・サボライネンら研究者により、『チワワには1000年前からメキシコに存在していた古代犬と同じDNAが残されている』という発表があったことから、チワワはメキシコ原産であるという裏付けがなされました。

この発表に登場するメキシコに存在する古代犬こそ、テチチであった可能性が高いのです。

チワワがメキシコ原産の犬種のDNAを持つと証明されたこと、「メキシコの古代犬」に該当する犬がテチチであった可能性から、テチチがチワワの原種であると言われているようです。

◆テチチ=チワワではない

ここまでテチチの特徴や歴史、チワワの原種と考えられている理由をご紹介してきましたが、注意しておきたいのは「テチチはチワワではない」ということです。

チワワはメキシコ産の犬種であることは研究の結果わかりましたが、テチチが進化したものではありません。
チワワの歴史として最も広く知られているのは、チワワの元となる犬はメキシコで発見され、チワワという犬種として定着したのはアメリカであるという説です。

1850年頃にメキシコのチワワという町で3頭の小さな犬たちが発見され、発見地にちなんでチワワと名付けられた犬たちは、発見者によりアメリカへと渡ることになります。
そこで、犬種の固定化が図られることになり、チャイニーズクレステッドドッグなどが交配に使われ、現在のチワワに近い形となったとされています。

そのため、テチチが進化して自然と現在のチワワになったわけではなく、チワワは人の手による品種改良によって生まれた犬種となります。
テチチはあくまで「チワワの元となった犬種である可能性が高い」だけで、チワワとは別の犬種であり、現代のチワワはアメリカ原産です。

先程現在のチワワに近い形と表現しましたが、現代のチワワにはロングコートが存在しますよね。
これはパピヨンやヨークシャーテリアなどとスムースのチワワを交配されていますので、始めにアメリカに渡って犬種の固定化がすすめられていたチワワとはまた少し異なります。


まとめ

今回は、すでに絶滅してしまった古代犬「テチチ」についてご紹介してきました。
「テチチはチワワの原種では?」とされていながらも、近年までは確実な確証がありませんでした。

ですが、2013年の研究結果の発表により、その説がかなり有力なものとなりました。
チワワの元と考えられているテチチは、以前は人間の食用の他に、狩猟のお供として、そして神聖な動物として、またときには子供の遊び相手として人間と密接な関係を築いてきました。
現在、チワワは人間のパートナーとして大切な存在となっています。

それはテチチが人間にとって大切な存在だったことからも受け継がれているのではないでしょうか。
まだわからないことも多いテチチの歴史や生態ですが、これからさらに研究が進み、当時の姿や生活が明らかになるかもしれません。



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