【獣医師監修】愛犬のあごがガクガクしている?!その原因はなに?

2023.10.15

【獣医師監修】愛犬のあごがガクガクしている?!その原因はなに?

愛犬があくびをした時や、ご飯のあと、また下顎を触ったときなどに、あごがガクガクしているような様子を目撃したことはありますか?痛みを感じているのか、その原因はなんなのか、とても気になりますよね。今回は、犬があごをガクガクさせている時、それがどんな状態なのか、一体なにが原因なのか、という点について注目していきましょう。病気の可能性も考えられるため、しっかりチェックし、適切な対処法をとってくださいね。

犬のあごがガクガクする原因

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愛犬にあごをガクガクさせている様子がみられたら、飼い主さんは心配になりますよね。
実は、犬があごを震わせる理由には、いくつか原因があります。
まずは主な5つの原因について解説していいきましょう。

◆顎関節症

顎関節は、上顎・下顎の骨が噛み合うように形成されており、とても複雑で繊細な部位です。
そんなあごの関節に異常が起こる、痛みを感じる、開閉に支障が出たりする疾患を顎関節症といいます。
愛犬のあごがガクガクと震えていたり、開閉しにくそうな様子が感じられる場合は、顎関節症を発症している可能性が原因の一つとして考えられるでしょう。
先天的な骨の異形成、衝突などによる脱臼や骨折など、顎関節症となる原因にもさまざまあるのですが、軽度であれば、痛みを取る対処療法・外科的治療法などの処置が行えることもあります。

◆歯周病などの口内トラブル

あごの震えや開閉時の違和感には、口内で何らかのトラブルが起こっていることも原因として考えられます。
特に、歯肉に腫れ・炎症が起きて痛みが生じる歯周病が原因となり、あごの動きに支障が出ることは珍しくないのです。
痛みからあごが震えることもありますし、歯肉が後退したことによって歯がずれる・抜けるなどが起因し、噛み合わせが上手くできなくなっている場合も考えられるでしょう。
また、口腔内腫瘍ができている、口周りの筋肉・神経に異常が起きている、といった可能性もありますので注意が必要です。

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◆痙攣や全身の震え

身体全体の震えが影響して、犬のあごがガクガクしている場合もあります。
犬は寒さ・ストレス・興奮などによって体を小刻みに震わせるのですが、これは人間にもみられる状態なので、経験のある方は多いでしょう。この震えが、口元で起こることも珍しくないのです。
また、強いニオイを嗅いだ時の反応として、痙攣のように鼻・口元が震えるケースもあります。
さらに、脳神経に異常が起きることでコントロールができなくなり、痙攣発作を起こすこともあるのです。全身痙攣だけでなく、体の一部に症状が出る場合もあるため、小刻みな震えが見られる時は、十分注意して愛犬を観察してください。

◆不安・恐怖を感じている

病気や怪我などの身体的なトラブルではなく、不安・恐怖・ストレスなどの精神的な問題が要因で、あごが震えることもあります。
緊張状態にあるとき、自律神経のバランスが崩れて身体に震えが起こることがありますが、これも犬に限らず人間にも起こり得ることですよね。
精神的トラブルによる震えだと感じる場合は、状況、場所、表情や行動を観察し、愛犬に強いストレスを与えているものがないか確認してみましょう。
一時的な震えであればそこまで気にする必要はないのですが、長く続いたり頻繁にこのような状態が見られる場合は、他に原因があるのかもしれません。
生活環境の見直しを図ったり、病気などが原因でないか改めて考えてみてください。

◆老化現象

人間同様、犬も年齢を重ねて高齢化すると身体にはさまざまな変化が起こりますよね。
体力や筋力の低下によって、これまでできていた行動や姿勢をとることが難しくなったり、今までに見たことのない行動をとるようになります。
加齢によって現れる老化現象の一つとして、あごの震えが起こる場合も考えられるのです。
関節内の軟骨の擦り減りや筋肉の衰えなどによって、あごの開閉がスムーズにできなくなったり、歯周病にかかる、自律神経が乱れるなど、あごがガクガクする原因は加齢によっても増えるということですね。


犬があくびしてる時にガクガクするのは?

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あくびで大きく口を開けた後や、ご飯を食べた後に顎をガクガクさせている時は、歯周病が原因となっている場合が多いそうです。
歯周病の症状で痛みがひどくなり悪化するほど、顎を震わせて痛みを少しでも和らげようとしている可能性があるでしょう。
動物病院での歯周病の主な治療には、歯周病菌・炎症を抑える抗生剤などの薬を使いますが、ひどくなると顎の骨まで炎症が進んでしまうこともあるので、炎症がひどい末期状態の場合は抜歯が選択されるケースもあります。
ちなみに、全ての歯が末期でなければ、歯石をとることで改善することも可能です。
犬の歯周病を引き起こす原因は、大半が歯石や歯垢によるもので、そうなる前にスケーラーという器具を使い、歯石を除去する根本的な治療を行うのです。
無麻酔下で処置する方法と、全身麻酔下で処置する方法があり、全身麻酔の場合は犬の健康状態・年齢も関係してくるため、しっかり獣医師の先生と相談してみてくださいね。


犬のあごがガクガクしている時の対処法

愛犬のあごがガクガクと震えている場合、問題となっている原因によって対処法は変わってきます。
主な三つの原因ごとにその方法を紹介していきますので、万が一に備えてしっかり覚えておきましょう。

◆顎関節症

犬の顎関節症の場合、下顎の関節がうまく開かずにガクガクすることが多いようです。
ガムなどの硬いものを食べたあとや、噛み合わせが悪い場合に、軟骨が硬くなり、顎の開閉がしにくくなってしまうのです。
あごの震えの他、舌・口をクチャクチャとさせる症状がみられることもあります。
痛みがありひどくなると、口が完全に開かなくなってしまう可能性もあるため、早めに気付いてあげることが大切でしょう。日頃から愛犬をしっかり観察しておき、早急に異変を感じ取れるようにならなくてはいけません。
犬のあごの状態が軽度であれば、消炎剤の服用や手術などで治すことができるので、放置せずに、必ず動物病院を受診してください。

◆痙攣

犬のあごがガクガクと痙攣している時には、以下のような原因が考えられます。

◎子犬の成長期に起こる歯の生え変わりのストレス
子犬の歯の生え変わりの時期であれば、歯がグラグラしていることに違和感があり、ストレスを感じている可能性があります。
あごをガクガクさせ自分を落ち着かせようとしている、カーミングシグナルだとも考えられるでしょう。
噛んでも良いおもちゃを与えたり、歯ブラシでブラッシングをしてあげると、ストレスの軽減に繋がります。

◎食べたものが歯に挟まっていて気になる
食べ物が歯に挟まってあごをガクガクさえている場合は、丁寧に歯磨きをしてあげることが対処法です。
人間同様、歯の間に食べ残しが残っていることがストレスになるのです。
ペット用歯ブラシなど口内ケアアイテムを利用して、しっかりと汚れを取り除いてあげましょう。

◎発情期間中でニオイに敏感になっている
発情期間中のオス犬に限ったことですが、メス犬のヒート時に出されるフェロモンを嗅いで興奮し、あごをガクガクさせることがあります。
これは、フェロモンをより嗅ごうとする時に起こる反応(フレーメン)に近い行動ではないかと考えられているそうで、ニオイを嗅ぐために鼻を使うのではなく、ヤコブソン器官という特殊な嗅覚器官が働きます。
犬にフレーメンは起こらないとされていますが、中には、あたかもフレーメンのような反応をする個体もいるというわけですね。

◆老化

前述したように、老化の影響が原因で顎が震える場合があります。歯周病が原因となっていることもありますし、寒さや甲状腺機能の低下など、病気が原因しているケースも考えられるでしょう。
老化を止めることはできませんが、歯周病の治療も含めて、少しでも心配な状態が見受けられる場合は、早めに動物病院を受診して検査を受けたり、獣医師に気になる点を相談することをおすすめします。


犬のあごがガクガクしないように予防するには?

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精神的な問題や生理的反応、または他の病気によってあごの震えが見られる場合もありますが、やはり歯石による違和感や歯周病が原因している可能性が高いといえます。
これを予防するために必要なのは、毎日の歯みがきケアです。
歯石が溜まることが歯周病を引き起こす原因となるため、歯石が溜まる前に日頃の歯磨きで口腔内をケアしてあげましょう。
歯や歯茎の隙間に注意して、ペット用歯ブラシや口腔内ケアアイテムを利用しながら、しっかり歯みがきをしてくださいね。
歯みがきが苦手な子も多いですが、子犬の頃から慣れさせておくことも重要です。成犬となってから困らないように、子犬の頃からしっかりとケアを続けましょう。

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まとめ

毎日の食事や散歩も愛犬の健康を守るために重要なことですが、口腔内の問題もないがしろにできません。
紹介してきた通り犬があごをガクガクとさせる原因はさまざまですが、まずは、その原因がなんなのか、しっかり判断しなくてはいけないでしょう。
病気などが疑われる場合は、早めに動物病院を受診して獣医師に相談することがすすめられます。
ストレスだと感じる場合は、原因を突き止めて可能な限りその不安を取り除けるよう対処してくださいね。
日頃から愛犬を観察し、特徴や性格、気持ちを理解できるようにしておくことが、いち早く異常などに気付くコツだといえるでしょう。
ネット上でもさまざまな情報を集めることができます。愛犬の行動が理解できない場合には、それらを参考にし、該当するものがないか探してみてください。プロのドッグトレーナーや獣医師学科卒などの獣医師監修記事もたくさんありますので参考にしてみましょう。
犬の行動にはほとんどの場合、なんらかの理由があります。それがあなたに対して、何かを伝えようとして起こしている行動かもしれませんので、愛犬のことを理解できるよう尽力していけるとよいですね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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