1.犬にかまぼこは少量であれば大丈夫!
2.犬にかまぼこを与える際の注意点
2-1.塩分
2-2.アレルギー
2-3.持病のある子
2-4.添加物
2-5.具材の種類
3.かまぼこの板は危険なので与えないこと
3-1.犬がかまぼこ板をかじる危険性
3-2.犬のかまぼこ板の誤飲を防ぐための対策
犬にかまぼこは少量であれば大丈夫!
犬がプリプリとした食感や魚の風味を気に入って、おすそ分けをおねだりすることも多いかまぼこは、一度に食べる量が少量であれば、一般的には犬が食べても問題のない食品です。
かまぼこは、魚肉をすりつぶしたものに塩などの調味料を混ぜて、蒸す・焼く・揚げるなどの加熱調理をし、固めることで作られています。
かまぼこと言えば、木板に白とピンクのものが乗っているイメージが強いかもしれませんが、実は笹かまぼこや薩摩揚げ、かに風味かまぼこ(カニかま)、ちくわなどもかまぼこの1種で、地域によってかまぼこの種類は多様です。
ただ、犬にとってはおいしいかまぼこも、主食ではなく、あくまで「おやつ」や食欲がない時の「トッピング」といった位置づけとなるため、あげ過ぎは避けましょう。1日に必要なエネルギー量(カロリー)のうち、約10%程度までに留めることが重要です。
犬にかまぼこを与える際の注意点
かまぼこを犬にあげたいと思った時には、1回にあげる量以外にも、気をつけてあげるべきポイントがあります。
犬の健康を守るためにも、注意点をふまえた上でかまぼこをあげるかどうかを検討してみましょう。
◆塩分
人間が食べるかまぼこを1食あたりで換算すると、想像するよりも含まれる塩分は少ないと言われていますが、人間よりも体が小さい犬にかまぼこをおやつとして与えるには、必要量以上に塩分を摂取してしまう可能性があります。
かまぼこによる犬の塩分過多を防ぐために、沸騰させて火を止めたお湯にかまぼこを1分間入れ、その後水に1分間つけるといった、かまぼこに含まれる塩分を低減させる方法もあります。
ただし、この塩抜きによって、厳密にかまぼこからどのくらいの塩分がカットされるのかや、犬にとってちょうどいい範囲の塩分量になるのかどうかは判断しづらいでしょう。
犬にかまぼこを与える時に塩分量が気になる場合は、あらかじめ減塩されたかまぼこを選んだり、犬用に塩分を調整してあるかまぼこを選ぶと安心です。
また、誤解してはいけないのは、「ナトリウム」は犬や人間が健康的に生きていくためには大事な栄養素であるということです。
塩分を気にするあまり、主食なども含めた犬の食事から、ナトリウムなどのミネラル成分を極端に減らしたりはしないようにしてください。
◆アレルギー
かまぼこの主な原材料は、スケトウダラなどをはじめとした白身魚のすり身です。また、加工する時には弾力性の補強材として、じゃがいも・小麦・とうもろこしなどのでん粉が加えられたりしています。
犬にも人にも安全性が高い素材のみで作られた高品質なかまぼこでも、原材料に対して体の免疫が過剰に反応し、アレルギー反応を引き起こす可能性はゼロではありません。魚アレルギーはもちろん、その他の原材料による食物アレルギーのリスクは十分ありえます。
また、元から何らかの食材に対してアレルギーを持っている犬であれば、同じ製造ライン上で使用されている食材のタンパク質に反応してしまうこともあるので、包装表示はよく確認しましょう。卵、乳、小麦などの特定原材料は、パッケージに注意書きがされています。
初めて犬にかまぼこを食べさせる時には、ごく小さな切れ端から試してみて、食後に口や目の周りの皮膚のかゆみや赤み、時間が経ってからの嘔吐や下痢などの症状が出ないかチェックしてみてください。
◆持病のある子
元から持病を抱えていて、専用の食事療法食を食べていたり、投薬が続いている犬の場合は、かまぼこを犬に与えても良いかをかかりつけの獣医師に必ず確認しましょう。
せっかく病気の種類に合わせて栄養バランスが調整されたご飯を食べていても、かまぼこなどのおやつを与えてしまうと、適切に調整された栄養バランスが崩れ、療法食としての効果がきちんと発揮されなくなります。
中でも、ナトリウムのとり過ぎによって体調の悪化を招く可能性がある心臓病や腎臓病などを抱えている犬は、より注意が必要です。
犬にかまぼこをおやつとして頻繁に与えることで、ナトリウムが体内で過剰になると、ナトリウムに引っ張られて多くの水分が体の中に滞留し、心臓や腎臓の負担が増します。そして、浮腫や体内循環の悪化が起こった結果、体調が急変するリスクもあるのです。
さらに、腎臓病末期の犬ではタンパク質の摂取量が上がることも、排泄すべき老廃物を体内にたくさん生み出してしまい、尿毒症に陥って寿命を縮める結果につながりかねません。かまぼこの原材料は魚のすり身なので、タンパク質の摂取制限がある犬は気をつけましょう。
持病がある犬にとって、与えるおやつ(トッピング)の種類や量が、時には適切な治療やお家での看護を邪魔してしまうこともある点は理解しておくと良いですね。
◆添加物
彩りとしての着色料や、食品の品質を保つ保存料、食べた時のうまみを調整する化学調味料など、人間用のかまぼこに含まれる添加物は、安全性が確認され、健康上の問題がない範囲で加えられているものばかりです。
ただし、犬がかまぼこを食べる時には、人間用に種類や量が調節されたそういった添加物がどこまで安全と言えるのかは不透明な点もあります。
犬用のペットフードやおやつについては、安全性を保つために「ペットフード安全法」という法律によって、製品に含む添加物の上限や、使ってはいけない種類の添加物を取り決めたりもしているので、添加物の摂取量が気になる人は犬用のかまぼこを選ぶと良いでしょう。
また、人間用のかまぼこにも、保存料や化学調味料は無添加の商品や、家庭用の手作りかまぼこのレシピがあります。注意点として、消費期限が短くなる傾向があるので、傷まないうちに食べきるようにしましょう。
◆具材の種類
かまぼこは、一般的には犬が食べても大丈夫な食品であるとお伝えしましたが、魚のすり身以外の具材も混ぜて作られているかまぼこ製品の場合は、中に含まれる具材の種類をよく確認しましょう。
犬に中毒を引き起こす可能性がある玉ねぎなどのネギ類全般や、犬が消化しにくいイカやタコなどの海産物を含んでいるかまぼこ製品はたくさんあります。
中毒を引き起こす具材でなければ、消化しにくい食材を少量摂取した程度では重度の嘔吐や下痢は起こらず、便中に排泄されるだけかもしれません。
しかし、お腹が繊細な犬などは、食べ慣れない食材や、揚げて作られる種類のかまぼこの油分ですぐに消化不良を引き起こす危険もあるため、犬の体質を理解した上であげるかどうかを決めることをおすすめします。
かまぼこの板は危険なので与えないこと
かまぼこは、少量であれば犬が食べても問題のない食品ですが、付属してくるかまぼこ板は犬に思わぬ事故を引き起こしかねません。
どんなリスクの把握や対策が必要なのか、確認しておきましょう。
◆犬がかまぼこ板をかじる危険性
一般的な板付きかまぼこを使用した時に、板についたかまぼこの残りを犬に舐めさせているという飼い主さんもいます。しかし、少し目を離した隙に、犬が板をかじって破壊してしまう危険性がある点には注意しましょう。
かじることで板が割れると、ささくれだった部分が口の中の粘膜に刺さって出血したり、飲みこめる程度のサイズの欠片であれば誤飲して、尖った部分で食道や胃、腸の粘膜を傷つける可能性もあります。
また、無理にかじると歯が折れる(破折)事故を引き起こしたり、体が小さい犬では消化管閉塞によって開腹手術が必要になるケースも存在します。
◆犬のかまぼこ板の誤飲を防ぐための対策
かまぼこ板は犬に与えないようにすることが大前提です。加えて、処分の仕方にも念入りな対策を心がけましょう。
犬は、かまぼこ板に身がまったく残っていない状態でも、抜群の嗅覚でかまぼこのおいしい匂いを察知し、持ち出してかじることがあります。また、板だけでなく、包装袋を丸々飲み込む犬もいるので、かまぼこ板と同じく注意してください。
犬がかまぼこ板で遊んだり、誤飲しないように、調理後はすぐに処分したり、ゴミ箱あさりをしないようにふたが確実に閉められて、犬が開けられない構造のゴミ箱に捨てるなど、万が一のトラブルを防いであげましょう。
まとめ
かまぼこは、少量であれば犬が食べられる食品とは言っても、与える量や頻度を誤ると、犬に健康上の問題を生み出す可能性があります。基本的には絶対食べさせるべき食品というわけではないので、犬の元々の体質や持病の有無を把握した上で、あげるかどうかを決めてみてください。
また、あくまでおやつとしての位置づけとなる食べ物であり、含まれる塩分や原材料によるアレルギー、添加物に関する懸念もあることを改めて理解しておきましょう。
犬にとっておいしい食べ物をもらえる時間は、キラキラとした顔で喜んでくれることも多いはずです。しかし、犬の健康を損ねるものであってはいけません。
犬用に成分が調整された専用のかまぼこなども使いながら、食事の時間を楽しんでみてくださいね。
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