1.犬にわさびは与えてはいけない!
4.犬がわさびを食べた場合の対処法
4.食べた時間や量をメモする
4.動物病院に連絡する
4.人間の調理・食事中は隔離して再発防止
犬にわさびは与えてはいけない!
ツーンとくる特徴的な辛味のあるわさびは、犬に与えてはいけない食材です。人間にとってはそのほど良い辛さが味のアクセントとなって好まれることも多いのですが、犬にとってわさびは「単なる刺激物」にすぎません。
犬はわさびに限らず香辛料全般への耐性が低いことから、食べてしまうと胃腸の粘膜が過剰に刺激され、胃腸管障害を引き起こしたり、感覚麻痺につながる危険があるのです。
ちなみに、このわさびによるリスクは、日本原産の本わさびだけでなく、より辛味が強い西洋わさび(ホースラディッシュ)であっても起こりえます。また、辛味成分が似ているわさび菜も同様に、犬には与えないようにしましょう。
わさびの栄養素
わさびには、カリウム・カルシウム・リンといったミネラル類、ビタミンB・Cが多く含まれます。ミネラル類は体内の水分バランスやpHの調整、骨の健康維持などに役立ち、ビタミン類は体の疲労回復や抗酸化作用を持ちます。
いずれも犬が生きていくためには必要な栄養素ではありますが、通常は1食あたり少量ずつしか食べないわさびからこれらの栄養を補給しようとするのは、現実的とは言えません。
また、人間においては、わさびの辛味成分である「アリルイソチオシアネート」が殺菌・抗菌作用を持つことから、食あたりや食材から臭みが発生するのを防ぐために、生ものと一緒に食べる習慣があります。
しかし、犬用の手作りご飯などでわさびを使用すると、ツーンとした辛味を犬が嫌がる可能性が高く、人間のような食欲増進効果につながるメリットも生まれにくいです。わさびは加熱をしたり、すりおろしてから時間をおくと独特の辛味が軽減されてまろやかになりますが、あえて犬に与える必要はありません。
犬がわさびを食べてしまった際の症状
犬がわさびを誤って食べてしまった場合には、嘔吐や下痢をはじめとした胃腸炎の症状が現れることがあります。
さらには、わさび独特の辛味が鼻に抜ける感覚が残ったり、舌や口周りに違和感が起こると、
- 前足で口元をかく
- 床に顔をこすりつける
- 流涎(よだれ)、流涙、鼻水、くしゃみ
などが見られるケースも考えられます。
一般的に、犬が食べてしまったわさびがごく少量であれば、激しい症状が出る危険性は低いか、一時的なもので終わる可能性が高いでしょう。
しかし、身体が発達しきっていない子犬や消化管の機能が衰えた老犬、体調が元から悪化していた犬では、わさびの誤食による体調不良が現れやすいことも考えられるため、より注意が必要です。
犬がわさびを食べた場合の対処法
犬がわさびを食べてしまったら、飼い主さんが落ち着いて対処する必要があります。愛犬の健康面への被害を最小限に抑えるために、いざという時の対処法を確認しておきましょう。
◆食べた時間や量をメモする
獣医師が正確に犬の状態を把握し、治療の必要性を診断するためには、「いつ」「どのくらいの量」「どんな状態になったわさび」を愛犬が食べてしまったのか、飼い主さんから情報提供する必要があります。
そのため、犬がわさびを食べてしまった焦りはあるかもしれませんが、誤食したタイミングや摂取量に関するメモをきちんと取っておいてください。さらには、獣医師から実際に診察や治療の必要性があるかどうかを判断してもらうまで、愛犬の状態が悪化していく様子はないかを観察してあげましょう。
もしも気になる症状が現れているのであれば、「どんな症状か」「いつ現れたか」「時間の経過とともに酷くなっていく様子はあるか」も含めて一緒にメモをしておくと、後々の診察時に役立つはずです。
◆動物病院に連絡する
犬がわさびを誤食したら、基本的には動物病院に受診すべきかどうか相談の連絡をすることをおすすめします。特に、犬の様子が普段と違う場合には来院の必要性も高まるため、食べたわさびの量がごく少量であったとしても、自己判断で様子見をせずに伝えてください。
電話で連絡する時には、正確な情報を整理して伝えられるよう、事前に取っておいたメモを参考に話しましょう。
もしも獣医師から応急処置の指示が出た場合はそれに従いますが、無理にわさびを吐かせるなど誤った対処法をすると、犬の体調が思わぬ形で悪化する危険があるため避けてください。
来院の指示を受けた場合は、「何分ほどで動物病院に到着できるのか」を伝えておき、到着後は受付スタッフに「誤食で来院したこと」や、「事前に電話で相談した結果来院することになった」という点を説明すると、受診がスムーズになります。
◆人間の調理・食事中は隔離して再発防止
わさびの誤食後、犬の体調に変化が現れなかったとしても、その後は再発防止策をしっかり整えておきましょう。特に、わさびを食べてしまったことで犬が嘔吐や下痢などを引き起こしたのであれば、予防策はより大切なポイントとなります。
基本的には犬がわさびだけを好んで食べようとすることは少なく、お刺身や寿司などを盗み食いしたり、ゴミ箱あさりをした時にうっかり口にしてしまうことが多いでしょう。
そのため、
- 犬の口が届くところに食材を置かない
- 調理スペースはペットゲートなどで区切って犬が立ち入れないようにする
- ゴミ箱は隠したり、犬が開けられない形状のものに変更する
といった対策がおすすめです。
人間用のご飯に強く興味を示してしまう犬であれば、人が食事をしている時はケージやサークルで待ってもらうようトレーニングをするのも良いでしょう。
犬にわさびを使ってしつけをしてはいけない
誤食ではなく、犬のしつけの際にわさびが使われているケースもあります。例えば、家具をかじったり、吠える行動を抑えたくて、わさびの辛味や匂いで犬をびっくりさせるという方法が一般的です。
しかし、犬のしつけでわさびを使うことは推奨されてはいません。一時的な辛味によるショックでその場に限って問題行動が治まることはあっても、慣れが生じると繰り返してしまう犬は多いものです。
また、なぜその行動がダメなのかを犬がわかっていないため、わさびによる影響が及ばないところではその問題行動が続くリスクも存在します。そもそも、問題行動があるからと言って、犬がわさびによるしつけで体調を崩したら元も子もありません。
犬のしつけは、「こうすれば良いことが起きた」などの「喜び」や「楽しさ」を感じさせながら伝えていく方が、犬にお家のルールを確実に理解してもらいやすいです。困った時にはしつけのプロと協力しながら対処することをおすすめします。
その他の犬に危険な香辛料
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◆コショウ
黒・白・赤・青などさまざまな種類があるコショウも、犬に与えてはいけない香辛料です。強い香りと辛味は料理を引き立てる役割がありますが、わさびと同じく犬にとっては刺激が強すぎます。
また、コショウと言えば肉や魚などのメイン料理に使われることが多いため、人間用に調理されたおかずを摂取して、カロリー過多や、犬には不要な調味料による過剰な塩分摂取などにつながることもあるので避けておきましょう。
◆からし
アブラナ科の植物であるからし菜を原料として作られているのが、「からし」です。納豆や肉料理、地域によってはおでんにつける食習慣もあるので、食卓によく登場するという家庭もあるでしょう。
からし菜の辛味成分もわさびと同じものであり、犬の消化管を刺激しすぎてしまいます。和からしはもちろんのこと、洋からしとして知られるマスタードもNGな食べ物です。
◆唐辛子
辛いものが好きな人にとっては、唐辛子の辛味成分である「カプサイシン」が、食欲増進やエネルギー代謝に効果を発揮してくれる香辛料として役立つことが多いでしょう。
しかしこのカプサイシンも、辛いものを食べ慣れない犬の胃腸を刺激して、嘔吐や下痢を引き起こしたり、口腔内のヒリヒリとした強い痛みを与えてしまいます。
一味唐辛子や七味唐辛子としてよく使われる唐辛子には、ハバネロやブート・ジョロキアといった激辛料理で登場することが多い品種もあり、そういった唐辛子を使って作られた人間用のお菓子は、犬が誤食しやすいものの1つです。
◆山椒
「サンショオール」などの成分によるピリッとしびれるような辛味が特徴の山椒は、和え物や佃煮などに幅広く使われています。人間の食べ物と一緒に誤食してしまうことが多いですが、中には林内に自生していたり、家庭でも植栽されているものを犬が食べてしまうケースも考えられます。
山椒もわさびと同じく、少量であれば犬に異常が現れない可能性もありますが、食べ過ぎてしまった時には胃腸に負担がかかりやすい香辛料です。また、中国山椒と呼ばれる辛味が強い「花椒」は、ピリピリとしびれるような痛みが強く出ることもあるので、犬が食べてしまわないように注意しましょう。
まとめ
犬がわさびを食べるとどんな悪影響があるのかは、個体差もあるため一概には言えません。
一度にたくさんの量を食べるのではなく、ごくわずかな量を舐めた程度なのであれば、重い症状が現れる危険性は高くありませんが、万が一のことを考えて誤食後はしっかりと様子を観察しましょう。犬が元気そうに見えても、時間が経ってから症状が現れることもあります。
「わさびが大好き!」という犬は少ないでしょうが、人間用のおいしいご飯に添えられていることも多い薬味です。誤食対策はしっかりと行った上で、もしも食べてしまったら、かかりつけの動物病院でよく相談してみてくださいね。
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