1.犬にアーモンドを与えても大丈夫?
1-1.アーモンドの栄養価
1-2.アーモンドを犬に与えるメリット
2.アーモンドを犬に与えるリスク
2-1.消化不良を起こす可能性
2-2.アレルギー
2-3.塩分の摂りすぎ
2-4.窒息の危険性
3.安全にアーモンドを与えるためのポイント
3-1.少量のみ与える
3-2.細かく刻む
3-3.無塩・無添加のものを与える
3-4.与えてはいけないナッツ類に注意する
犬にアーモンドを与えても大丈夫?
ビタミン・ミネラルなどが豊富なアーモンドは、美容・健康に良いことで知名度の高い人気食材の一つです。犬はアーモンドで中毒を起こすことはほとんどないため、絶対に与えてはいけない食材ではありません。しかし、さまざまな理由から与える際には注意が必要なのです。アーモンドの正しい与え方や、その成分についての正しい知識を身に着けておきましょう。
◆アーモンドの栄養価
そのコンパクトなサイズ感から考えられないほど、多様な栄養価を誇るアーモンド。ビタミン・ミネラル・食物繊維・健康的な脂質など、必要不可欠な栄養素が豊富に含まれている優秀な健康食品なのです。主に含まれるものとして、以下の栄養素を紹介していきましょう。
◎タンパク質
◎ビタミンE
◎ビタミンB2
◎食物繊維
◎不飽和脂肪酸
特にビタミンEは、30gのアーモンドに8.6mgも含まれています。また食物繊維はアーモンドの総重量の1/10以上で、ごぼうの倍近い含有量だそうですよ。さらに脂質の多くは、健康に良いとされる不飽和脂肪酸なのです。中でもオレイン酸・リノール酸が多く含まれています。このように魅力的な栄養素が盛り沢山のアーモンド。人気の高い健康食品だということが頷けるでしょう。
◆アーモンドを犬に与えるメリット
アーモンドは与える上での十分な注意が必要ですが、適切な量を上手に与えることができれば、愛犬の身体へメリットをもたらすことが可能な食材です。どんな効果が期待できるのか、紹介していきましょう。
前述した通り、アーモンドには魅力的な栄養素が豊富に含まれています。生きていく上で欠かせないタンパク質や脂質に加え、細胞の老化を防いだり免疫機能を高めることが期待できるビタミンEを摂取することが可能なのです。主な栄養素について、もう少し詳しく解説していきましょう。
◎タンパク質
体の筋肉・皮膚、臓器を作る上で欠かせない成分であるタンパク質。このタンパク質が摂取不足の場合、免疫機能・抵抗力の低下を引き起こす可能性があります。毎食摂取することを心がける必要があるでしょう。
◎食物繊維
腸内環境を整えたり、蠕動運動を活発化して、排便を促すなどの働きをもつ食物繊維。普段から便秘・軟便気味だったりお腹の弱い子には、特に必要な成分となるでしょう。ただし、過剰摂取すると消化不良を引き起こす可能性があります。与える量には十分注意しましょう。
◎脂質
アーモンドにはオレイン酸・リノール酸という、不飽和脂肪酸が多く含まれていると紹介しましたが、オレイン酸には悪玉コレステロールの低下、そしてリノールさんには血圧調整を行う作用があると考えられているそうです。体内での合成ができない成分であるため、食事から摂取する必要があるのです。ちなみに、アーモンドには美容に良いとされる、ω-3脂肪酸も多量に含まれています。ω-3脂肪酸は、犬の皮膚疾患・関節疾患・心疾患などの症状改善に役立つ物質でもあるそうです。
◎ビタミンE
ビタミンEは脂溶性のビタミンです。体内の脂質の酸化を抑制する、抗酸化作用をもっています。細胞の老化を防ぐ効果が期待できるため、免疫力の向上、動脈硬化予防につながるといわれている栄養素なのです。
アーモンドには人間や犬など雑食動物のエネルギー源となる、炭水化物や脂質、タンパク質などが含まれています。前述したように、脂質やタンパク質が豊富に含まれている他、主なエネルギー源となる炭水化物までもを摂取できるというわけですね。タンパク質は筋肉を形成する上で必要不可欠ですし、脂質や炭水化物は体内でエネルギーを生成するために重要な栄養素となります。さらにビタミンとミネラルも含まれていることから、免疫システムを維持するのにも役立ってくれるでしょう。
ただし、脂質・炭水化物の含有量が多いためとても高カロリーな食材であるともいえます。100gのアーモンドに含まれるカロリーは606kcalほどだそうです。小さな体の犬にとってはあまりにも多すぎるため、与えることで肥満に繋がる恐れがあることも忘れないでおきましょう。また、過剰な脂質の消化は内臓に負担を掛けることとなり、胃腸炎や膵炎の原因となるケースもありますので覚えておいてください。
アーモンドを犬に与えるリスク
健康維持にとって魅力的な栄養素を豊富に含むアーモンドですが、犬の体にとってはデメリットとして働く要素をもっているのも事実です。
与える上では十分に注意する必要があるでしょう。特に注意すべきポイントを紹介していきますので、しっかりチェックしておいてください。
◆消化不良を起こす可能性
腸内環境を正常に保ち、快便をもたらすメリットをもつ食物繊維。
犬の消化器官は、食物繊維の消化が苦手です。前述した通り、アーモンドにはその食物繊維が豊富に含まれているのです。このため、消化できないわけではありませんが大量に食べすぎると、消化不良を起こす可能性が考えられるでしょう。詳しくは後述しますので、そちらもしっかりチェックしてみてください。
この食物繊維がアーモンドには豊富に含まれていると紹介してきましたが、実は、水溶性食物繊維に比べて10倍以上の不溶性食物繊維が含まれているのです。水溶性食物繊維には、食後の血糖値の上昇を緩やかにしてコレステロールの排出をサポートする作用がありますが、不溶性食物繊維には、腸内で水分を吸い便のカサを増して、便通の改善や腸内の善玉菌のエサになって腸内環境を整えたりする働きがあります。このため、もともと食物繊維を消化しにくい犬にとっては、過剰摂取によりデメリットを生じてしまう可能性があるというわけです。便が大きくなりすぎて排便困難となったり、消化不良によって下痢や嘔吐などの症状が現れる恐れがあるため、与える量には十分注意しましょう。
◆アレルギー
アーモンドには犬にとって有害となる成分はほとんど含まれていませんが、アレルギー症状を引き起こす可能性はゼロではありません。特に、アーモンドは大豆と同じマメ科の植物であるため、大豆アレルギーのあるワンちゃんは注意が必要でしょう。同様のアレルギー症状が現れる可能性が高いため、アーモンドを与えることは避けてください。食物アレルギーによって見られる主な症状を挙げていきますので、万が一に備えてしっかり覚えておいてください。
◎嘔吐や下痢
◎皮膚の痒み
◎湿疹
◎元気がなくなる
◎目の充血…など
ちなみにアレルギーには、食べてすぐに発症するI型過敏症と、数時間以上経過してから発症するⅣ型過敏症があります。人間の場合I型過敏症が一般的ですが、犬の場合はⅣ型過敏症が多いそうです。愛犬がアーモンドを食べて数時間後に、嘔吐・下痢・体を痒がるなどの症状を起こしたら食物アレルギーが原因である可能性が考えられるでしょう。
◆塩分の摂りすぎ
市販されている人間用のナッツ類は、味付けに食塩が使用されているものが多くあります。人間が美味しく感じられる塩分量は体の小さな犬にとっては過剰な塩分となるため、そのまま与えてしまうと塩分過多に繋がってしまうのです。塩分を摂りすぎると、心臓や腎臓機能に負担をかけてしまいます。愛犬の健康を損なわないためにも、人間用のアーモンドフィッシュやミックスナッツなど、飼い主さんが食べているナッツをお裾分けするのは絶対にしないようにしましょう。また、目を離した隙に食べられたりイタズラされないよう、保管にも十分気をつけてください。
◆窒息の危険性
アーモンドは、犬が丸ごと飲み込みやすいサイズと形状をしています。もともと犬には、口の中で食べ物を噛み砕いてから飲み込む習性がありません。このため、小さなアーモンドをそのまま丸呑みしてしまう可能性が大いに考えられるのです。特に小型犬などの小さな犬種は食道が狭いので、固いアーモンドがのどに詰まって窒息する危険性も高まります。また、喉を通過しても腸で詰まると腸閉塞となり、緊急の処置を要する場合もあるでしょう。アーモンドを丸ごと与えるのはとても危険なので、絶対にしないようにしてください。
安全にアーモンドを与えるためのポイント
愛犬の健康維持のために、アーモンドを利用したいと考えている飼い主さんも中にはいるでしょう。愛犬にアーモンドを与える際には、以下のポイントをしっかりおさえておき、安全に食べられるよう配慮してください。
◆少量のみ与える
紹介してきたようにアーモンドがもつ栄養素は魅力的なものであると同時に、与えすぎることでデメリットをもたらす可能性があるのも事実です。与える量には十分な注意が必要だといえるでしょう。目安として、犬が1日に摂取できるアーモンドの量を体重別に紹介していきますので参考にしてみてください。
◎超小型犬(4kg以下)…アーモンド3粒まで(2.5g程度)
◎小型犬(10kg以下)…アーモンド8粒まで(6.0g程度)
◎中型犬(25kg以下)…アーモンド15粒まで(12g程度)
◎大型犬(40kg以下)…アーモンド25粒まで(20g程度)
尚、個体差はありますので、量についてはあくまで目安として、愛犬の様子を観察しながら異変がないかしっかりチェックするようにしてくださいね。
◆細かく刻む
アーモンドを与える場合は、必ず細かく刻んだり、砕いてから与えるようにしましょう。前述したように一粒をそのまま与えてしまうと、喉に詰まらせたり、腸閉塞の原因となる危険性があります。特に子犬や老犬、小型犬は十分注意してくださいね。もし喉に詰まらせてしまった場合は、すぐに動物病院に電話をして獣医師の指示を仰いでください。
◆無塩・無添加のものを与える
人間食用に加工されたアーモンドの多くには、添加物が含まれている可能性があります。さらに、塩・はちみつなどで味付けされているものもよく見かけますよね。そのまま愛犬に与えてしまうと、塩分や糖分を過剰に摂取することとなります。必ず無添加のものや、無塩など味付けがされていないものを与えるようにして下さい。
◆与えてはいけないナッツ類に注意する
アーモンドと同じナッツ類の中には犬にとって害となるものも存在します。それがマカダミアナッツとビターアーモンドです。
マカダミアナッツには、アーモンドと違って犬が中毒症状を引き起こす危険性のある成分が含まれています。発熱・痙攣・嘔吐などの症状が現れる可能性が高く、実際にマカデミアナッツを摂取したことで犬が死亡したケースも報告されているのです。絶対に与えないように注意してください。
ビターアーモンドに関しては、野生種のため食品として市場に出回ることはないですが、注意点として覚えておきましょう。
また、アーモンドを使用した食べ物の一つに、アーモンドチョコレートがありますがこれももちろんダメです。チョコレートに含まれるテオブロミンという成分は、犬にとって毒性物質であり、心臓や神経に異常をきたしてしまう場合があります。普段から愛犬に与えないことを徹底し、保管方法にも十分気を付けてください。
ちなみに、アーモンドミルクやアーモンドパウダーは犬に与えても問題はないとされています。アーモンドミルクは牛乳よりも低カロリーで糖質の含有量が低いとされていますし、乳糖の含有量も少ないため下痢になりにくいと考えられているそうですよ。しかし過剰摂取すると、アーモンドに含まれる脂質によって下痢を引き起こす可能性があるので注意してください。
アーモンドパウダーも基本的には問題ありませんが、高カロリーなのでその点は気を付けましょう。
また、同じナッツ類のカシューナッツやピーナッツも犬が食べても問題のないナッツの一つです。ただアーモンドと同様に高カロリーのため、過剰摂取は厳禁です。脂肪分も多いので消化管に負担を掛けることとなります。与える場合は少量に留めておきましょう。
まとめ
アーモンドには犬にとって有害な成分は含まれていない為、愛犬がアーモンドを食べたからといって慌てて病院に駆け込む必要は基本的にはありません。
しかしご紹介したように、メリットもデメリットも存在する食材なので、積極的に与える食べ物ではないということを忘れないでください。
アーモンドに限らず、愛犬が初めて食べるものを与える際には、はじめに少量を与えてから様子をみることが鉄則です。
食べた後に体調に変化がないか様子を見るようにしてあげてください。
万が一、下痢や嘔吐、痒み、元気がなくなるなど、なんらかの症状が見られた場合は、動物病院を受診しましょう。
診察時には、アーモンドを食べた時間や量、愛犬の様子や症状などをしっかり獣医師に伝えてくださいね。
排泄物や嘔吐物がある場合は、診断材料にもなり得ますので、可能であれば病院へ持っていきましょう。
尚、愛犬の症状や状態によって治療法は異なります。
点滴や入院を要するケースもありますので、適切な対処法がとれるよう先生としっかり相談をして治療を受けるようにしてください。
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