犬の背中にしこりができる原因
犬にしこりが見つかった場合、良性のしこりの場合もありますし、癌などの悪性の腫瘍の場合は、早期の治療が大切になってきます。
そもそも、どうしてしこりができるのでしょうか。その原因を探っていきます。
◆良性のしこり
良性のしこりにもさまざまな種類があり、よく見られるものは以下のようなものです。
◉乳頭腫:パピローマウイルスへの感染が原因となってできる良性のしこりです。
白色のカリフラワーのような形をしたもので、いわゆる「イボ」と呼ばれるもので、痛みはありません。
◉皮脂腺腫:皮脂を分泌する皮脂腺が異常に増殖することが原因となるしこりで、黄白色をしたドーム状になることが多いです。老犬によく見られます。
まれに悪性の腫瘍に移行する場合もあるので注意が必要です。
背中によく見られるのはこの皮脂腺腫であることが多いです。
◉脂肪腫:皮下組織に脂肪の塊ができることが原因となるしこりです。
通常は数年かけて大きくなるのが特徴ですが、急速に大きくなるものは悪性の腫瘍が疑われます。
◆悪性のしこり
注意したいのは悪性のしこりです。
代表的な悪性のしこりは以下のようなものになります。
◉乳腺腫瘍:女性ホルモンが関与されると言われている腫瘍で、高齢のメスによく見られます。
この腫瘍は背中ではなく乳腺に腫瘍が形成されますが、良性と悪性の割合は半々なので注意が必要です。
見つかった場合は切除して病理検査を行い、悪性のしこりの場合は適宜治療を行います。
◉悪性リンパ腫:リンパ球が異常に増殖するのが原因でできる腫瘍です。
リンパ球は免疫を担う白血球の一種であり、それが腫瘍化することで感染症にかかりやすくなると言われています。
発見した場合は抗がん剤などで治療を行います。
犬のしこりの診断方法
犬の背中にしこりを見つけた場合、それが本当にしこりなのか、また、どのような種類のしこりなのかを診断する必要があります。ここでは主な診断方法をご紹介します。
◆視覚的チェックと触診
まず、犬の背中を撫でているときや、トリマーさんから背中に違和感があると言われたときなど、しこりをよく観察し、色や大きさや形状など視覚的なチェックをしましょう。
そして、1〜2週間後に同様のチェックを行います。
急激にしこりが大きくなっていたり、形状や硬さが変化している場合は悪性の腫瘍の可能性もありますので、早急に獣医師の診断を仰ぎましょう。
変化がない場合も素人判断は危険ですので、動物病院の受診をおすすめします。
◆検査
犬の背中にしこりが見つかった場合、良性の腫瘍か悪性の腫瘍かの判断は検査をすることが一番確実です。
まず、しこりの大きさを確認し、細い針を患部に刺して細胞を採取し検査します。
この場合は麻酔は必要ありません。
それでも判断がつきにくい場合は、腫瘍の一部〜すべてを切除して病理検査をし、良性か悪性かを判断します。
犬の背中にしこりを見つけた時の対応
愛犬の背中にしこりを見つけたとき「大丈夫だろう」と放置しておくのはNGです。
では、どのような対応が必要なのでしょうか。
◆動物病院を受診する
犬の背中にしこりが見つかった場合、一番確実なのは早急に動物病院で診断を受けることです。
悪性の腫瘍だった場合は、どれだけはやく治療を開始するかによって、その後を左右されます。
早めに治療を開始することで愛犬への体の負担も減らせますし、治る可能性も高くなります。
また、早めの治療により処置も簡単に済んだ場合は医療費もその分安く済み、金銭的な負担も軽くなります。
特にしこりが急激に大きくなるような場合は悪性の腫瘍の可能性が高いですので、なるべく早いうちに動物病院にかかるようにしましょう。
◆しこりについて記録しておく
「犬のしこりの診断方法」でもご紹介した通り、犬にしこりを発見した場合は、目視や触診でしこりについて記録しておきましょう。
その際、しこりの色や形状、大きさ、しこりの周りの皮膚の状態、脱毛があるかないかなどをわかるように記録し、それらがわかりやすいように写真も撮っておくといいでしょう。
また、実際に触ってみて、背中のしこりが固いのか、ぶよぶよと柔らかいのかも確認しましょう。
柔らかい場合は炎症を起こしていたり、膿が溜まっている場合も考えられます。
細かく記録をしておくことで獣医師も診断をしやすくなりますし、適切な治療を受けるための手がかりにもなります。
犬の背中のしこりの治療
犬の背中にしこりが見つかった場合、経過観察をしながら治療をせずにそのまま過ごす場合や、すぐに治療を行ったほうがいい場合もあります。
良性・悪性でそれぞれ治療をするのかしないのか、どのような治療が必要なのかが変わってきますので、代表的な例をご紹介します。
◆良性のしこりの場合
良性のしこりでも、積極的な処置はせずにそのまま経過観察をするものと、治療が必要なものとで分かれます。
まず、いわゆる「イボ」と呼ばれるような乳頭腫は、老犬になるとできやすく、痛みを伴わないため経過観察をしながらそのまま治療をしない場合が多いです。
イボが段々大きくなってきてしまった場合はレーザー焼烙や外科切除を行う場合もあります。
また、日を追うごとに大きくなっていくようなしこりは、しこり自体が犬の生活のじゃまになってしまう場合もありますし、表面の状態が悪化して二次感染をおこしてしまうおそれもありますので、良性のしこりの場合でも進んで外科切除を行う場合もあります。
症状によって対処が異なってきますので、主治医と相談しながら愛犬に最良の治療法を選ぶようにしましょう。
◆悪性のしこりの場合
悪性のしこりの場合は早急に治療を開始したほうがいいケースが多いです。
早期発見・治療を開始することで、治療時に犬の体にかかる負担も減らせますし、治る見込みも大きくなります。
治療法としては、これから悪性になる見込みのあるしこりや、炎症を起こしているようなものは外科切除をして取り除くのが一般的です。
検査次第にはなりますが、切除をしただけで治療終了になる場合もあります。
検査をして癌が疑われる腫瘍の場合は切除した後抗がん剤治療をすることが一般的です。
病気の種類によって、薬の内容や投薬期間が変わってきます。
また、しこりを切除できないような場合は放射線治療を選択する場合もあります。
どのような治療の場合も、愛犬の体に負担にはなってきますので、主治医と相談しながら愛犬にあった治療方法を選択することになるでしょう。
犬のしこりの予防法
犬のしこりの治療方法をご紹介しましたが、できるだけ予防できたほうがいいのは確かです。
しこりに関して確実な予防をするのは難しいですが、なるべく早期発見をして早いうちに治療を開始できると治療時の体への負担も少なくすみます。
ここでは普段の生活でできる、しこりの早期発見の方法や予防方法をいくつかご紹介します。
◆体を触って確かめる
犬のしこりの早期発見のためには、体を触って確かめるのが有効です。
犬は人間と違ってからだ全体が毛に覆われていますので、目視でしこりを発見するのはかなり困難になってきます。
とくに、長毛種や毛量が多い犬種はなおさらになります。
そのため、スキンシップも兼ねて体を触ったり、ブラッシングなどをして違和感などないかを日頃から確かめておくようにしましょう。
日常的に体の様々な場所を触っておくことで、少しの違和感でもすぐに感じ取ることができ、しこりの早期発見につながっていきます。
◆定期的な健康診断
定期的な健康診断も犬のしこりの早期発見に役立ちます。
体の表面にできるしこりなら、前述したように飼い主が毎日触って気づくこともできますが、体の内部に腫瘍としてできてしまっている場合は健康診断などでおこなうレントゲン検査やエコー検査、血液検査などで初めて見つかる場合も多くあります。
健康診断を定期的に行うことで、しこり・腫瘍はもちろん、その他の病気の早期発見・早期治療に繋がります。
今回ご紹介したしこりの症状以外にも、さまざまな病気に有効ですので、定期的な健康診断は受診することをおすすめします。
◆住環境を整える
犬にできてしまうしこりの予防法として重要なのが「住環境を整える」になります。
乳頭腫のようにウイルス性のしこりの場合は運動不足による肥満、睡眠不足やストレスなどからくる免疫が低下している際にできやすいとも言われています。
そのため、犬にとって適切な住環境や飼養環境を整え、ストレスを減らした快適な暮らしをすることが予防法のひとつと言えるでしょう。
今回ご紹介しているしこりだけでなく、ストレスは犬にとっても万病のもとになりますので、できるかぎり快適な住環境を整えるようにしてください。
◆食事と運動
上記でも触れましたが「肥満」も、しこりをはじめ犬のさまざまな病気の引き金になってきます。
しこりで言うなら、良性腫瘍の肥満腫の原因のひとつに肥満があるとも言われています。
肥満にならないためには日々の食事と適切な運動が重要なのは、よくおわかりだと思います。
また、ストレスもウイルスが関与しているしこりには大敵です。
散歩などの運動を十分にすることができないと、運動不足によるストレスが溜まってしまう原因にもなります。
しこりだけでなく、食事の管理と適度な運動はさまざまな病気の予防に繋がりますので、ぜひ習慣として行っていきましょう。
まとめ
今回は犬の背中にできるしこりについてご紹介してきました。
良性のしこりか悪性のしこりかは素人では判断がつかないため、見つけた場合はなるべく早めに動物病院を受診してください。
また、日々のスキンシップを兼ねた全身のチェックが早期発見のカギになってきますので、愛犬と楽しみながら日々のチェックを習慣にしていくことをおすすめします。
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