「血統書」というのはその犬の「家系図」であり「戸籍」でもあります。
どのような親から生まれ、先祖はどのような犬であるか、誰が繁殖したのか、そのような情報が沢山盛り込まれているもの。それが「血統書」なのです。
見慣れないと、何を意味しているのかわからない事も多いと思います。
では血統書をどのように見れば良いのか、例を参考にして見ていきましょう。
血統書の表面の見方
① Name of Dog
COLLECTION JP FORTO これが繁殖者がJKCに登録した犬の名前です。
犬舎名+JP(ジャパンの略)+犬の名前 になっています。逆に、犬の名前+JP(OF)+犬舎名 の場合もあります。
名前の上にはこの犬がチャンピオンであることを示す「CH」とチャンピオン登録された日(12年3月)が同時に記載されています。
この他にCALL NAMEを登録することも可能です。
CALL NAMEというのは繁殖者が付けた名前ではなく、飼い主がつけた名前の事です。
例えば、自分の犬に血統書名である「フォート」ではなく「マロン」と名づけたとします。
JKCの会員であれば、手数料を支払うことにより血統書に「CALL NAME マロン」と表記する事が出来ます。
② Breed
ここには「犬種」「犬の登録番号」「性別」「生年月日」「毛色」「繁殖者」「所有者」が記載されています。
パピヨンという犬種は登録番号がPPで始まりますが、これは犬種によって異なります。この番号はJKCが自動的につける固体識別のための登録番号です。
その横にある「CD1」というのは「家庭犬訓練初等科」に合格したことを表します。
性別の「MALE」はオスという意味で「FEMALE」はメスという意味です。
毛色の「TRI」はトライカラーを表しています。これはブリーダーが申請したまま記載され、各犬種のスタンダードに基づいた毛色が記載されます。
右側の「繁殖者」のところに、繁殖したメスを持っているブリーダーの名前「YUKARI TOYAMA」と犬舎の場所「YOKOHAMASHI」が記載されています。
「所有者」を自分の名前にするためには申請が必要なので、後ほど説明します。
その下に「DNA」とJPで始まる番号が書かれています。
チャンピオンになる時、JKCにDNAを登録する必要があり、そのときに発行される固体識別番号です。
たまに勘違いをされる場合があるのですが、これはあくまでも個体識別のためのDNAの登録であり遺伝性疾患などのDNA検査とは異なります。
繁殖者が個人的に「JAHD」などの機関にて「股関節脱臼(HD)」や「肘関節脱臼(ED)」の検査を行った場合、血統書に検査結果を追加記載することが出来ます。
③ 家系図
ここから下は家系図になります。点線の上部は父犬の血統図、下部は母犬の血統図です。
家系図の表記方法は、登録者の国籍や時代により異なっているため統一されていません。
詳しい見方を知っておくと面白いと思います。
マイクロチップやタトゥがある場合、繁殖者が登録すると家系図の各犬の名前の下の部分に「ID番号」として記載されます。
- SIRE(サイヤー):「父犬」
- DAM(ダム):「母犬」
- G.SIRE:父方の祖父犬
- G.DAM:父方の祖母犬
- G.SIREこちらは母方の祖父犬の事が記載されています。
- G.DAMこちらは母方の祖母犬の事が記載されています。
- G.G.SIRE:父犬の父方の曾祖父犬
- G.G.DAM:父犬の父方の曾祖母犬
- G.G.SIRE:父犬の母方の曾祖父犬
- G.G.DAM:父犬の母方の曾祖母犬
- G.G.SIRE:母犬の父方の曾祖父犬
- G.G.DAM:母犬の父方の曾祖母犬
- G.G.SIRE:母犬の母方の曾祖父犬
- G.G.DAM:母犬の母方の曾祖母犬
この血統書で言うと父犬の名前の上に「INT.CH, CH/03.4」と書かれています。
CH/03.4とはJKCで2003年4月にチャンピオンになったという事です。
INT CHは、インターナショナル・ビューティー・チャンピオンを意味し、400頭以上の大きなインターナショナルドッグショーなどのチャンピオンクラスで4回以上一番になった犬に与えられる称号です。
(以後INT CHはインターチャンピオンと表記します)
母犬の名前と登録番号と生年月日、毛色が書かれています。
母犬には特に取得したタイトルは無いことがわかります。
INT.CH, CH/99.9, CH(AM), OS/06 とは1999年9月にチャンピオンになり、インターチャンピオン
であり、AM(アメリカ)チャンピオンであり、OS=アウトスタンディング・サイヤーであるという意味です。
アウトスタンディング・サイヤーとは規定の期間内にチャンピオン犬を15頭以上作出した優秀な種牡であるとJKCに認定された犬に与えられる称号で、血統書の名前の前に「*」の印がつきます。
通常日本で繁殖されJKCに登録した犬には(パピヨンの場合)PP-00000/00という形式の登録番号がつきます。
PP-00000/00-O という形式の登録番号はJKC以外の団体からの登録犬につけられます。
海外から輸入された場合もこのような登録番号が使われます。最後の「O」はOTHERのOです。
AKC(アメリカン・ケンネル・クラブ)の登録番号も記載されています。
この犬はアメリカから日本に輸入された「外産犬」だという事がわかります。
CH/01.1, CH(ENG)とは2001年1月にチャンピオンになりイギリスでもチャンピオンを取得しているという意味です。
KC(ザ・ケンネル・クラブ)というイギリスのケンネルクラブの登録番号も記載されています。
この犬はイギリスから日本に輸入された犬だと言う事がわかります。
この祖母犬にも「*」がついています。特に記載はありませんがこの祖母犬もOD=アウトスタンディング・ダムであり、期間内にチャンピオン犬を8頭以上産んだ優秀な台牝であるという事がわかります。
この犬は「*」の記載はありませんが、名前の上にOSとありますので、優秀な種牡であるとわかります。
SKKはスウェーデンの登録番号です。
登録番号と生年月日と毛色だけで特にタイトルは持っていません。
以下の曾祖父・曾祖母の説明は省きます。上記の説明を参考にご覧にになってみてください。