相棒が帰ってきて、おやつを貰っている姿をじーっと見つめ、そこからはおもむろに玄関へ直行。眉のあたりに皺をよせて、またきちんとおすわり。やっと心の準備が整ったようだと見れば理解できます。私が、リードを持っていくと、一応抵抗してみたり、紐を咥えてみたり、事細かに思いつく限りのストレス発散方法を披露。一通り終えると、じっとまた宙を見ています。きっと何かほかにやることはないか、小さな頭で考えているんだと思います。小さい頃は、日々を追うごとに、そのルーティーンは増えていました。こちらとしては、早く散歩に連れて行きたいという気持ちと面白い挙動を見ておきたい気持ちと半分半分。結局は、毎日朝夕と家族の誰かがお付き合いします。でも、よく考えてみれば、父が一番テリオに付き合っていたと思います。
ようやく門から外に出たら、少し進むと飛び上がり、また進むとお座りというように、テリオのその日の気分によってちょっとずつ変化はあるものの、遅々として前は歩きません。それをニコニコしながら、隣人が見ていました。そこの男の子からは、「テリオちゃんは歩くの下手だね」と言われていました。余談ですが、その子もいまや中学生です。いつもゴールにたどり着く前に、家に帰ることになっていました。
その中でも印象に残っているのは、父とテリオコンビで散歩した際、なかなか帰宅しないのを心配し、母と妹と私で様子を見に行ったときのことです。初秋の頃、とっても夕日が綺麗な日でした。田んぼのあぜ道で、あのコンビが立ち止まっています。なんと夕日を一緒に眺めているのです。母が「パパどうしたん?」と遠くから声をかけると、父は「テリオが哲学している」と答えたのです。思わず、家族全員で大笑い。テリオは、はじめて遠吠えをしました。その後、散歩の距離も更新したのです。
いろいろな思い出をプレゼントしてくれた、そのテリオも亡くなりました。まだ治療法が確定していない心臓の病気でした。突然のことで、とっても悲しく、父が声を上げてないていたので、獣医さんや看護婦さんももらい泣きしていました。もともと心臓が悪くて、運動がしんどかったのかもしれないなあと今になってみて思います。しかし、お散歩に行きたくないテリオは毎日、くすくすという笑いを提供してくれ、これを書いている瞬間にも心を和ませてくれ、本当にありがたい出会いでした。
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