【獣医師監修】猫が下痢を繰り返す!その原因がキャットフードって本当なの?

2020.12.24

【獣医師監修】猫が下痢を繰り返す!その原因がキャットフードって本当なの?

猫の飼い主さんの中には、日々の排泄物をチェックして、健康状態の目安にしている方も多いことかと思います。 とくに猫の便には体調の変化が表れやすく、便秘や下痢などの症状が出ている場合には、体の中で何かしらの異変が起きている証拠と言えるでしょう。 中でも下痢は繰り返すことが多く、注意が必要な症状となりますので、原因の追究が必要になってきますよね。 猫が下痢をする原因として、どんな理由が考えられるのでしょうか? そして、下痢を繰り返す猫ちゃんやお腹が弱い猫ちゃんには、どのようなキャットフードを選ぶと良いのでしょうか。

愛猫が下痢をしてしまった!

下痢をした猫

猫の理想の便は一般的に、硬すぎず柔らかすぎない状態で、薄い茶褐色の便と言われています。

人間の人差し指程度の太さや長さがあり、猫砂が便に付くか付かないかぐらいの粘度が丁度良いとも言われていますので、健康状態の目安にしておくと良いでしょう。

便の水分が増え、液状や液状に近い状態を「下痢便」と呼び、腹痛や腹部に不快感を伴った状態のことを「下痢症」などと呼びますが、これらの総称として「下痢」と呼ばれることがほとんどです。

言葉を聞くだけでも辛さが蘇るような下痢ですが、このような症状は人間だけでなく、猫にも見られることがあります。

猫が下痢をしている場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?

◆ストレスによるもの

猫は自由奔放なイメージを持たれることが多いですが、実はとても繊細な心を持った動物でもあります。

少しの変化にも敏感に反応してしまうため、不満が募ってしまえばその分ストレスとして蓄積され、ときには問題行動を起こしてしまうことも。

心因性のストレスは病気に直結することも多く、初期症状としてお腹を下してしまうことがよくあります。

私たちも極度の緊張やストレスを感じると下痢をすることがあるように、猫も同じでストレスによって下痢をしても不思議ではないのです。

もし愛猫が下痢をしていたのなら、何かしらのストレスを抱えているのかもしれませんので、原因を探ってあげましょう。

◆フードの切り替え

猫は食べ物でも、下痢を起こしやすいと言われています。

とくに慣れ親しんだキャットフードから新しいキャットフードへの切り替えは、猫ちゃんに負担をかけやすく、消化不良を起こすことも多いようです。

人間と違って猫は腸も短いため、野菜などの食べ物は消化に時間がかかるので、キャットフードの主成分は肉か魚のものが多く存在しますが、それでも猫の年齢や体質によっても消化にかかる時間はさまざまです。

キャットフードの種類によっても消化のしやすさは異なりますので、急なフード切り替えをしてしまえば、猫の体はびっくりしてお腹にダメージを与えてしまうことも否めませんよね。

いかなる場合であっても、キャットフードの切り替えのタイミングは、慎重に行う必要が高いと言えるのではないでしょうか。

◆病気の可能性

とくにストレスを溜めた様子もなく、キャットフードの切り替えもしていないのに下痢をしているのであれば、病気の可能性も考えなくてはいけません。

猫の下痢で病気の症状がもっとも出やすいのが、感染性の下痢です。

ウイルス(パルボウイルスやコロナウイルスなど)や細菌(サルモネラ菌や大腸菌など)によるものから、寄生虫(トキソプラズマや線虫など)が原因となり、下痢の症状が出ると言われています。

ほかにも内臓疾患(肝炎・胆管炎・膵炎など)や、一部の内分泌系の病気(甲状腺機能亢進症)でも下痢の症状が出ることがあるようです。

下痢の原因が病気の場合は素人判断では難しく、下痢の原因に心当たりがないのであれば、すぐに動物病院に連れていき、獣医師さんに診てもらうようにしましょう。


キャットフードが原因で猫が下痢する理由

猫が下痢をする理由は様々ですが、飼い主さんが普段から気を付けるべきなのは、キャットフードが原因となる場合です。

キャットフードは猫が毎日口にするものですが、なぜ下痢の原因になり得るのでしょうか?

◆切り替え

前述してある通り、キャットフードの切り替え時に、猫が下痢することが多いと言われています。

昨今では豊富なキャットフードの中から、猫ちゃんの好みによって選ぶことが可能ですが、メーカーによっては水分量の違いや、原料の含有量など、商品によって製造方法も様々です。

今までのキャットフードに胃腸が慣れていれば、新しいキャットフードで消化不良を起こしたとしても不思議ではないので、フードの切り替え時は徐々に慣らしていくことが鉄則と言えるでしょう。

◆食べすぎ

キャットフードの食べすぎでも、下痢を起こしてしまうことはよくあります。

とくに食べ物への執着が強い猫ちゃんは、飼い主さんにご飯をもらったとしても、「もっとちょうだい!」とおねだりしてくることがありますので、ついついあげすぎてしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。

自分の食べられる容量を超えてしまえば、消化が追いつかずに下痢や嘔吐をすることがあるので、一日に与える分量は必ず守ってあげてくださいね。

◆アレルギー

猫ちゃんの中には特定の食べ物にアレルギーを持っている子も居ますので、そのような危険性があることも考慮しておく必要があります。

食物アレルギーの場合は主にタンパク質に反応することが多く、猫にとって必須栄養素であるタンパク質は必ずキャットフードに含まれているので、食事をするだけで下痢をしてしまうことがあるようです。

このようなアレルギーが原因で下痢を起こしているのであれば、アレルゲンの元となる物質を含まないフードへの切り替えが必要になります。

猫が何のアレルギーを持っているかの判断は難しいので、獣医師さんに必ず相談するようにしましょう。


下痢が続いてしまう場合

大きな猫用トイレで用を足す猫

下痢はトイレの回数が多くなるだけでなく、お腹の痛みを伴うことが多いので、この不快感の理由が分からない猫にとっては、この上なく不愉快な状態であると言えますよね。

愛猫に辛い思いをさせないためにも、下痢をしていることに気付いたら、早急に対応してあげなくてはいけません。

おすすめの対処法は、以下の通りとなります。

◆食事内容を見直してみる

猫の下痢はキャットフードが原因となることが多いので、まずは食事内容を見直してみるようにしましょう。

猫のフードは子猫から成猫、そして老猫用としてライフステージに合わせたキャットフードが販売されています。

とくに子猫の場合は、消化器官が成長途中で未発達であるため、キャットフードを食べると下痢を起こしてしまうことがよくあります。

猫の年齢に合ったキャットフードを選ぶことが大切ですし、病気を患っている場合には、症状に合った療法食を与える必要があります。

これらのことを踏まえた上でキャットフードを選ぶようにし、常に愛猫が健康で元気に過ごしてくれるような、食生活を心掛けてあげるようにしましょう。

また、食べすぎも消化が追いつかず胃腸に負担をかけてしまうので、キャットフードやおやつのあげすぎにも注意してください。

◆動物病院へ連れていく

急性的な下痢で症状がすぐに改善すれば、食事内容を見直して様子をみてもかまいませんが、なかなか改善に向かわない場合は心配になってしまいますよね。

下痢が慢性的に続くようであれば、迷わず動物病院に連れていくようにしましょう。

下痢程度で動物病院に連れていくほどでもないと思うかもしれませんが、下痢をしたまま放置した際に嘔吐を繰り返したり血便が出たりといった、ほかの症状がみられるかもしれません。

何か病気を患っていてそのような症状が出ることもあるので、症状が重くなる前に治療を進めていくことが大切です。

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下痢しやすい猫におすすめのキャットフード

ライフステージに合わせたキャットフードを選んでいても、愛猫の体質によっては下痢をしやすい子もいます。

普段から下痢をしやすくお腹の弱い猫には、どのようなキャットフードを選んであげれば良いのでしょうか。

◆ロイヤルカナン ベテリナリーダイエット 猫用 消化器サポート ドライ【療法食】

ロイヤルカナン ベテリナリーダイエット 猫用 消化器サポート

下痢などの消化不良を起こしている猫ちゃんには、消化器をサポートしてくれるキャットフードがおすすめです。

こちらの商品は消化性の高い原材料が使用されている上に、体調不良で食事量が少なくなった猫ちゃんでも、充分な栄養素やカロリーが摂取できるように調整されています。

下痢を繰り返す猫ちゃんのために、しっかりとポイントを押さえたキャットフードと言えるでしょう。

◆ヒルズ プリスクリプション・ダイエット z/d ゼッドディー 低アレルゲン【療法食】

ヒルズ プリスクリプション・ダイエット 猫用 食物アレルギー&皮膚ケア z/d 低アレルゲン

食物アレルギーのある猫ちゃんには、加水分解タンパク質を使用した商品を試してみてはいかがでしょうか。

原材料にアレルギーの原因になりにくい、高消化性の炭水化物を使用しているので、お腹の弱い猫のキャットフードとしても重宝します。

ドライフードが苦手な猫ちゃんであれば、ウェットフードも販売されていますので、好みに合わせて選べるのも嬉しいですよね。

上記商品とこちらの商品は療法食となりますので、猫に与える際には必ず獣医師さんの指示に従ってから与えるようにしましょう。

◆ロイヤルカナン フィーライン ヘルス ニュートリション センシブル

ロイヤルカナン フィーライン ヘルス ニュートリション センシブル 胃腸が敏感な成猫用 生後12ヵ月齢から7歳まで

日常的にお腹のケアができるフードを使用したい場合には、こちらのキャットフードもおすすめです。

原材料は高消化性を重視して胃腸への負担を減らし、高エネルギー密度や優れた嗜好性も期待できるので、グルメな猫ちゃんにもぴったりです。

辛い下痢だからこそ、お腹に負担の少ないキャットフードを選ぶことは大切なので、是非参考にしてみてくださいね。


まとめ

猫によってそれぞれ体質は異なりますが、生まれつき胃腸が弱い子もいれば、生活環境などで胃腸が弱ってしまう子もいます。

元気があっても下痢を繰り返すなどの症状が出るようであれば、飼い主さんは原因をしっかりと追究し、改善に向けてサポートしてあげることも大切です。

まずは毎日口にするキャットフードから見直し、便の様子をこまめにチェックするようにしましょう。

そしてなかなか症状が改善されない場合には、早めに動物病院に連れていき、獣医師さんの指示のもと適切な治療をしていくことをおすすめいたします。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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