膝蓋骨脱臼とはどんな病気?

2016.09.14

膝蓋骨脱臼とはどんな病気?

膝蓋骨脱臼と言う病気をご存知でしょうか? 漢字で書くと少し難しい病気に感じがちですが、実は小型犬に多く、人気犬種と言われているトイプードル、チワワなどによくある病気なのです。 気付いていないだけでもしかするとお家の子もなっているかもしれません。 今回はその発見方法や治療方法などについてお話したいと思います。

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膝蓋骨脱臼って一体どんな病気?

チワワ

その名の通り、膝蓋骨が脱臼してしまう病気です。
別名「パテラ」とも言われ、膝蓋骨といういわゆる「お膝のお皿」が本来あるべき場所から外れてしまったりすることを指します。
なぜ外れてしまうかと言うと、本来その膝蓋骨が位置するべき部分の近くにある足の骨(脛骨と呼ばれるいわゆるすねの部分の骨です)に溝が入っていて、位置がずれにくいようになっているのですが、個体によっては生まれつきその溝が浅い子もいて、その子達は特定のポジションで膝蓋骨が外れてしまうことがあります。
また、溝がしっかりしていてもその膝蓋骨を靭帯と呼ばれる筋肉の一部で押さえているのですが、その靭帯が伸びてしまう場合でも外れやすくなってしまい、脱臼を繰り返す場合もあります。


症状は?

症状は外れる度合いによっても異なります。
靭帯のゆるみなどで、脱臼をするものの、自然と戻る場合などであれば、外れた瞬間だけ違和感を感じ、その足をつけずに挙げたままになりますが戻れば痛みや違和感を感じずに通常時と全く変わらずに歩ける場合もあります。
しっかりと脱臼をしてしまう場合でそのまま戻りにくかったりすると、脱臼をしたままで戻れず足を挙げたままになってしまったり、脱臼をした膝蓋骨が無理に戻ろうとする際に骨と骨がこすれてしまい、痛みを症状こともあるのです。
また脱臼した側の足をかばおうとして反対側の足をねん挫したり痛めてしまう場合もあり、脱臼していない側の足も痛めてしまうこともあるので、痛くなさそうだからと言っても要注意だったりもします。


治療方法は?

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この病気は段階がいくつかに分かれており、手で押したりすると脱臼してしまうものの、自然と戻る軽度のものから、手で押したり足を曲げればはずれてしまうものの、同様にすれば戻るもの、常に外れた状態にはなっているが、手で押してあげれば戻るもの、外れたままになってしまうものの大まかに4つに分けられます。
軽度の場合、戻りやすくするための関節液の成分を定期的に摂取または注射で定期的に投与することで、脱臼を起こりにくくし、痛みが生じた場合鎮痛剤を飲む、脱臼が起こってしまった際は安静にするなどの内科学的治療と日常生活の運動制限で治療することが可能です。
ただし、この場合繰り返す可能性は非常に高いので、脱臼をしたらその都度治療していく必要が生じます。
重度の場合や明らかな慢性的な歩行の異常が見られる場合などに行なうのが外科学的治療で手術により溝を深くしたり、靭帯のつながる位置を変えて張り具合を調整するなどで膝蓋骨が外れてしまわないようにする方法です。


どんなことで気付ける?

膝蓋骨が脱臼するのは足が曲がっているときになります。
起こりやすいシチュエーションとして、高いところから飛び降りたり、ジャンプをしているときに鳴いたり、その後ケンケンをするように片足をつかなくなると要注意と言えるでしょう。
また、膝蓋骨脱臼の起こりやすい子は、生まれつきのお膝のつくりなども関係し、ペットショップなどで購入される場合、すでにチェックされていて、購入時にお話がある場合があります。
外れやすい、膝蓋骨の部分の靭帯が緩いという指摘を受けている場合、外れてしまうシチュエーションが整えば脱臼をしてしまう可能性が高いため、特にジャンプの後など歩き方は気を付けるとよいでしょう。
他にも、外れやすくなってしまっていたり、痛みや違和感をよく感じている子の場合、外れやすい側のお膝周囲をなめたり噛んだりするため、脱毛やよだれ跡がつきます。
その部分だけの脱毛や皮膚炎などが発覚した場合、お膝の異常も疑わしいかもしれません。


予防方法や対策は?

一番大切なのはお膝に負担をかけないような生活をすることです。
お膝に負担をかけてしまうのはどんなことかと言うと、肥満やフローリングの床が挙げられます。
肥満により、重さがかかると、歩く際やジャンプする際に特に後ろ足の股関節やお膝に負担がかかるようになります。
またフローリングでもすべってしまうため、踏ん張ろうと特に後ろ足の股関節やお膝に負担がかかるのです。
対策として、適度なダイエットや、フローリングに関してはワンちゃんの生活するエリアに低反発マットやコルクマットなどの滑らない素材を置くことをお勧めします。
またジャンプを防止するために、飛び乗れそうな場所にあえて階段のようなクッションを置いて、飛び乗り防止をするのも有効だといえます。
他にも膝蓋骨が外れても戻りやすくなるよう、関節液の成分とも言われているコンドロイチンやグルコサミンの多く含まれているサプリメントやおやつなどを積極的に摂取するのも良いでしょう。
他にも関節の状態維持に特化している関節の悪い子用の療法食を常時食べるというのも有効だと思います。

このように特になりやすい小型犬の子は病院での治療だけでなく、日常生活で脱臼を起こりにくくする工夫もしていけると、脱臼の頻度も減り違和感や痛みによる負担も軽減できると思います。
お薬や手術だけでなく、お家でもこのような努力がしていけたら良いですね。


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りなぎ

りなぎ

動物病院での勤務の傍ら、家では6匹の犬(ダックスフント5匹、パピヨン1匹)と一緒に生活しています。 もちろん猫も大好き!です。 私生活では犬だけでなく、子供もいるため、常にいろいろな世代の人と動物が仲良く、よりよい生活をできるようにするためにはどんな知識があるといいのか、どんな生活が理想か、考えることがよくあります。 少しでも皆さんのお役に立てる知識や情報を発信できたらと思います。

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