【獣医師監修】原因不明の犬の皮膚病「アロペシアX」ってどんな病気?症状、治療法、予防法は?

2017.12.16

【獣医師監修】原因不明の犬の皮膚病「アロペシアX」ってどんな病気?症状、治療法、予防法は?

アロペシアXとは、ポメラニアンやトイプードルなど数種類の犬種に起こる原因不明の脱毛症のことです。アロペシアXは罹患する犬種の半数がポメラニアンであることから、ポメラニアン脱毛症とも呼ばれています。 原因不明のため、様々な検査を行い、全ての皮膚トラブルの可能性が消えた時に残る脱毛症がアロペシアXと診断されることが多いようです。痒みは無く、体幹部の左右対称の脱毛が特徴のアロペシアXは、原因が不明であるために特効薬が存在しません。今回はアロペシアXの症状や治療法について、詳しくご紹介します。

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●アロペシアXって何?

Alopeciaとは、直訳すると「脱毛症」で、原因不明であるということから「X」が付き、アロペシアXという言葉になりました。

アロペシアXとは、ポメラニアンやトイプードルなど数種類の犬種に起こる原因不明の脱毛症のことです。
脱毛症X、成長ホルモン不全症、偽クッシング症候群など、アロペシアXは様々な別名で呼ばれています。罹患する犬種の半数がポメラニアンであることから、アロペシアXはポメラニアン脱毛症とも呼ばれています。

◆アロペシアXを起こす犬種は?

「ポメラニアン脱毛症」と呼ばれている通り、アロペシアXを罹患する犬の中でポメラニアンは多く、半数を占めています。
その他、トイプードル、パピヨン、サモエド、シベリアン・ハスキー、アラスカン・マラミュートなどの北欧系の犬種にも多くアロペシアXは報告されています。

アロペシアXは1歳から4歳ほどの低年齢時や、未去勢の雄犬に発症することが多いようです。

◆アロペシアXに罹患した犬たち

アロペシアXに罹患すると、このような脱毛の症状がみられます。


◆アロペシアXの症状は?

アロペシアXの症状について詳しくご紹介します。

1.脱毛

アロペシアXの多い症状は左右対称に起こる脱毛です。
皮膚は黒く色素沈着することも多く、頭部と脚の毛が抜ける事はあまりありません。

2.被毛の状態の変化

アロペシアXに罹患すると、毛艶が悪くなり、皮膚、被毛共に乾燥状態になります。
皮脂欠乏状態に近い状態になり、カサカサ、シワシワといった状態になる犬が多いです。
皮膚の張りもなくなるため、老犬に近い皮膚状態になります。

3.痒みが無い

カビやダニ、ノミが原因の皮膚病やアレルギー性皮膚炎と異なり、痒みが無いのがアロペシアXの特徴です。
痒みが無いため、皮膚の発赤や引っ掻き傷による創傷、炎症からの症状悪化などは無く、単純にアロペシアXの症状のみの悪化に限定されます。

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アロペシアXの原因は?

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皮膚疾患で動物病院に来院し、様々な検査をしても原因が不明の場合に診断されるケースが多いアロペシアXですが、その原因は未だに不明です。そのため、来院してすぐにアロペシアXだと断定されるケースはほぼ無いです。

副腎皮質機能亢進症であるクッシング症候群に似ている事から、偽クッシング症候群と呼ばれる事のあるアロペシアXは、クッシング症候群同様に内分泌ホルモン異常が原因なのでは、という説もあります。

内分泌ホルモンとは、脳下垂体前葉ホルモン、成長ホルモンや甲状腺ホルモン、性ホルモンなどが該当します。それらの内分泌ホルモンの減少による不足状態や、分泌不足が引き金になっているという考えもあります。

ホルモンが関与しているという考え方から、去勢・避妊手術が引き金になったという犬もおり、アロペシアXの別名である「去勢反応性皮膚疾患」という言葉もこの考えから来ています。

いずれにしても、アロペシアXは未だ解明はされておらず、原因は不明です。


アロペシアXの診断方法は?

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アロペシアXは未だに原因不明の脱毛症のため、他の皮膚トラブルの可能性を考え、様々な検査を行い、全ての皮膚トラブルの可能性が消えた時に残る脱毛症がアロペシアXと診断されることが多いです。

検査は状態に合わせて、疑わしく思えるものをピックアップして行います。
皮膚疾患の代表的な検査は以下のとおりです。

・直接押捺検査(スライドガラスに皮膚を押し付けて採取し、顕微鏡で確認する方法)
・皮膚掻爬試験(糸状菌、毛包虫、ダニ疑いの時に行う、皮膚を削りとり顕微鏡検査する方法)
・真菌培養検査(毛を抜き取り、日をおいて培養されるかどうかを確認する)
・血液検査
・アレルギー検査(血液を採取し、検査センターに送付し検査してもらう)
・甲状腺ホルモン検査、副腎皮質ホルモン検査(血液を採取し、血清分離の後に検査センターで検査してもらう)


アロペシアXの治療法は?

原因不明のアロペシアXには、これといった特効薬がありません。そのため、様々な方法を試して、犬に合う治療法を探ることが多いです。

治療法にはどんなものがあるのか、ご紹介します。

1.サプリメント投与

発毛効果のあるホルモン剤のメラトニンやRhizopus属のカビの一種であるリゾープス麹より抽出した物質を使用したR&Uといったサプリメントの投与で経過観察をするという治療法があります。
ただし医薬品では無いため、結果が出るのに時間がかかることもあります。

また、毛艶や皮膚の乾燥防止のためにサプリメントを投薬するパターンも多いです。

2.去勢・避妊手術を行う

ホルモン異常の可能性が否めないという観点から、去勢・避妊手術を薦められるケースもあります。特に去勢していないオス犬には有効に働く結果になることもあります。

ですが、手術をしても変わらない、といった報告も多いため、一種の賭けに近い治療法だとも言えます。

3.内服薬を投与

ホルモン剤や、抗アレルギー薬、ステロイドなどを症状に合わせて投薬する治療法もあります。

アロペシアXで内服治療に用いられる事のある薬は、前立腺肥大の薬である酢酸オサテロンや、クッシング症候群の薬として知られるステロイドのトリロスタンなど多種あります。

アロペシアX自体が原因不明なため、投薬は短い期間で行い、長期間の投薬治療はしないケースが多いです。

4.薬用シャンプーで薬浴

薬用シャンプーを用いて、皮膚状態の改善をすることを目的とした治療法です。症状に応じて獣医師が処方するため、動物病院で購入します。

薬浴(薬用シャンプーで身体を洗うこと)の基本は、ぬるめのお湯を使うことです。
シャンプーは直接使わずに、深いタッパー容器などで希釈してから使います。コツはシャンプー液を付けた後、しばらく時間をおくことです。そうすることでシャンプーに入っている薬用成分が浸透し、皮膚状態をより良く改善に導く効果があります。

5.洋服を着せる

アロペシアXの特徴は、頭部や四肢の脱毛が無い、という点です。体幹のみの脱毛の場合が多いため、脱毛している体幹部に服を着せて皮膚の乾燥を防ぐといった治療法を指導することもあります。

アレルギー性疾患では無いため、洋服の種類は手持ちの普段着で構いません。脱毛が気になり、外出や散歩に気兼ねする、といった方にも洋服を着せる治療はおすすめです。

6.食事療法

スキンケアに特化した食餌に変える、という治療法です。
オメガ3やオメガ6系不飽和脂肪酸や、銅、亜鉛などを配合して健康な皮膚や毛艶を保つ効果のあるものや、抗活性酸素物質であるビタミンE、Cやタウリン、ルテインを配合し、健康維持に特化したものなど、スキンケア用フードは各メーカーから販売されています。

スキンケア系フードはアレルギー性皮膚炎の犬の処方食として使われているものもあり、アレルゲンカットのものも多く、安心して食べさせる事が出来ます。

原因不明のアロペシアXですから、お試し間隔でフードを変えてみる、といった方も多いです。


アロペシアXの予防法は?

アロペシアXは原因不明であることから、これといった予防法も特にはありません。ですが、ストレスが引き金になった可能性があるという報告もあることから、ストレスフリーに過ごす事が予防策になる可能性があるとも言えます。

具体的にどんな方法があるのか、ご紹介します。

1.ブラッシングする

犬のブラッシングは死毛を取り除くと当時に、皮膚に対してのマッサージ作用もあります。皮膚や被毛の状態を整えておくことが、アロペシアXの予防にも繋がります。
また、ブラッシングの際には必ず被毛をかきわけて、被毛の根元からブラシをかけるため、皮膚以上や脱毛があった場合には早期発見することができます。

早期発見したから完治に至ったという報告もありますので、特に被毛の量が多い犬種は注意が必要です。

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2.適切な運動量を保つ

適切な運動量は散歩や、室内での遊び、ドッグランなど公園での遊びで得る事ができます。

犬種や犬の大きさによって運動量には差がありますが、牧羊犬や狩猟に使役した犬種は運動量が多い事が一般的です。健康の基本は運動ですので、しっかりと適切な運動量を取れる様気を付ける事が大切です。

3.質の良い食餌を与える

犬の食餌は値段なり、という言葉もあるほど、犬の食餌は値段によって差があります。極端に安価な食餌を避け、質の良い食餌を与える事を心がけましょう。

手作りフードの家庭では、栄養素が偏らない様に注意が必要です。

4.生活リズムを整える

全ての基本は生活リズムです。朝はカーテンを開けて朝日を浴びさせ、適切な運動と睡眠を確保することが大切です。
昼夜逆転の生活をしている家庭の場合、犬も知らずにストレスを抱えている事がありますので注意が必要です。


まとめ

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特にポメラニアンに多いアロペシアXは、原因不明の脱毛症です。アロペシアXが原因不明であるという点からも、急激な改善は難しく、長期的な治療と付き合っていかなくてはいけません。
痒みなど、犬自身の負担は無いため、色々な治療法や原因の探り方を試し、その犬にあった方法を見付ける必要があります。

早期発見のためには、定期的にブラッシングをし、被毛に埋もれている皮膚の状態をしっかりと把握することが大切です。

アロペシアXに限らず、皮膚病は早期発見が第一です。なんだかおかしい?と思った時には直ぐに動物病院に行く様にしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※


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St.Elmos

St.Elmos

動物看護士、トリマー、愛玩飼養管理士などの資格を持っています。 家族の一員としてのワンちゃんネコちゃんにまつわる情報をお伝えできればと思います。

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