【獣医師監修】犬の胃捻転の原因、治療法は?大型犬は特に要注意!

2018.06.07

【獣医師監修】犬の胃捻転の原因、治療法は?大型犬は特に要注意!

犬の病気の一つで、胃捻転という症状名を聞いたことがあるでしょうか。この胃捻転は緊急性が高く、命に関わる可能性のある恐ろしい疾患です。発症してしまった場合には、迅速な対応が必要となります。飼い主さんとしては、万が一に備えて病気の知識を得ておく必要がありますね。 今回は胃捻転について、どんな病気なのか、原因は何なのか、そしてどのように治療するのかを紹介します。

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胃捻転とは?

胃捻転とは

◆胃が捻じれてしまう病気「胃捻転」

犬の胃捻転というのは、文字通り、胃が捻転してしまう状態のことをいいます。
何らかの原因によって胃が捻じれることで、胃の内容物が発酵、そしてガスを発生させて胃に充満することで、胃が捻転してしまうのです。

この時、周りの臓器が圧迫されて壊死するなど、全身への影響を及ぼす可能性があります。更に、膵臓・血管などが胃と共に捻転し、血液の循環を妨げることも。

最悪の場合、死に至る危険性を帯びた恐ろしい疾患といえるでしょう。

◆十二指腸が捻じれるパターンが多い

胃捻転において最も多いとされるのは、胃の出口と繋がる「十二指腸」が、右回りに捻じれるパターンだといわれています。
腸がロープのように胃を締め付け、その結果、胃の中の食べ物の滞留、血流悪化と炎症、周辺臓器の圧迫などの様々な障害が引き起こされるのです。

ちなみに、空気を飲み込んだり、胃の中でガスの異常発酵が起こることで病的に膨らんだ状態を「胃拡張」といいますが、これを胃捻転の前段階とすることもあります。この場合、「胃拡張胃捻転症候群」とも呼ぼれるそうです。

胃捻転は、適切な処置を施したとしても、周囲の臓器が受けたダメージが原因で、術後数日で命を落とすケースも多いようです。更に、再発率の高い病気だともいわれているので、可能な限り予防に努めたいものです。


胃捻転の主な症状は?

まずは胃捻転によってどのような症状が愛犬に現れるのか、覚えておきましょう。

・腹部が膨れる
・腹部を触ると痛がる
・嘔吐
・ゲップを頻繁にする
・水を大量に飲む
・えづくが何も吐けない
・大量の涎
・食欲不振
・落ち着きがなくなりウロウロする
・腹部を頻繁に舐める
・呼吸が荒くなる

このような症状が愛犬にみられる場合は注意が必要です。特に、食後すぐにではなく数時間後にこれらの症状が現れるようであれば、更なる緊急性を要する場合があります。一刻も早く獣医さんに診てもらいましょう。


胃捻転にかかりやすい病気は?

胃捻転は、大型犬で胸の深い犬種において好発性が高いといわれています。特に注意が必要とされる犬種も覚えておきましょう。

◆罹患率の高いといわれる犬種

・グレート・デーン
・ワイマラナー
・セント・バーナード
・ゴードン・セッター
・アイリッシュ・セッター
・スタンダード・プードル

◆危険度が高いといわれる犬種

・アイリッシュ・ウルフハウンド
・ボルゾイ
・ブラッドハウンド
・マスティフ
・秋田犬
・ブル・マスティフ

上記犬種の他にも、中型から大型犬では、コリー・ロットワイラー・ラブラドールレトリーバー・アラスカンマラミュート、小型犬では、ミニチュアダックスフンド・ペキニーズ・コッカースパニエルなどが胃捻転の好発品種といわれています。性差・年齢などの関係はないようです。

注意が必要な犬種を全体的にみると、やはり胸が深い個体の胃捻転発症傾向が高いといえるでしょう。

しかし、上記犬種以外であれば発症しないというわけではありません。
飼い主さんは、愛犬の様子に十分注意して予防や対策に努める必要があります。この方法は後述しますので、是非チェックしてみてください。


胃捻転の原因は?

胃捻転

次は、胃捻転に対する知識を深めるために、考えられる発症原因をみていきましょう。

実の所、胃捻転を起こす明確な原因ははっきりしていません。しかし、原因となるであろう危険因子が以下の通りいくつか挙げられています。

◆胃捻転の原因となり得るもの

・食後すぐに運動する
・早食いである
・胃でガスが発生しやすい食べ物を摂取する
・胃で急激に膨らむ食べ物を摂取する
・水を一気に大量に飲む
・ストレス
・遺伝
・加齢

特に胃捻転の危険度が高いものとしては、前述したような好発犬種であること、遺伝によるものが挙げられます。

そして危険性が増すものとしては、胃の周りの靭帯が伸びやすくなることから、加齢やストレスが原因ともなるようです。

◆早食いや食後すぐの運動にも注意

行動面においては、早食い、噛まずに飲み込む、食後すぐの運動に注意が必要ということになります。

胃・腸はがっちりと固定されている臓器ではありません。大量に食べ飲みをした後に運動すると、重くなった胃が動き回り、腸と絡まる恐れがあるのです。
ドッグフードを、個体のサイズに合っていない高い所で与えている場合も、改善するべきでしょう。

◆他の病気からの影響も

膵臓が腫れる「膵腫」や、膵臓摘出後の胃捻転の危険性も高いといわれています。

また、胃拡張の場合にも、胃捻転の症状の重篤化を招く傾向にあるそうです。胃拡張は胃袋が病的に膨らんだ状態なので、腸と絡み合った際に中々解けないという事態に陥るのです。


胃捻転の治療法は?

考えられる原因から日常で注意すべき点がみえてきますが、残念ながら「日頃から注意していたのに突然胃捻転を起こした」といったケースが多いのが実状です。

この場合、迅速な対応・処置が必要となりますが、どのような治療が行われるのでしょうか。万が一に備えて、治療法も覚えておきましょう。

◆胃拡張を解消する

胃にチューブを入れる方法か、または太い注射針などを胃に刺して空気・ガスを抜いて減圧します。

◆外科手術をする

重症であれば全身麻酔後に、捻じれた胃を元の位置に戻すための開腹手術が施されます。

しかし、ただ胃を元に戻した場合、約8割の確率で胃捻転は再発するといわれています。
そのため、胃の一方を縫合して固定する「胃腹壁固定術」が一般的に施されます。この場合再発もしないとされ、数日の入院を要しますが、術後は元気や食欲も回復して、合併症・吐き気がなければ退院となります。

また、胃を部分的に切除することで容積を減らす、という手術法も有効だといわれています。

この他、周囲への臓器にダメージがあれば、患部の修復や摘出、合併症・感染症などに対する治療が施されます。


胃捻転の予防・対策方法は?

胃捻転

胃捻転は、症状の発覚や治療の遅れが、死へ直結する恐れのある危険な疾患です。突然発症するケースが多いとはいえ、少しでもリスクを減らすために、できる予防や対策方法は行うべきでしょう。

胃捻転を予防するために大切なのは、危険因子が重なるのを防ぐことです。日常で守るべきことを徹底して、少しでも胃捻転の発症リスクを下げるよう努力しましょう。

胃捻転の予防・対策法を紹介しますので、参考にしてみてください。

◆食後の運動は避ける

まず徹底したいのは、食後すぐに運動をさせないことです。フードを与える時間は、必ず散歩の後や運動した後にするなどと工夫しましょう。そして食後の数時間は、安静にさせましょう。

◆食事回数を見直す

食事の回数を分けることも有効です。1日に1回の食事だと、空腹によって急いで食べようとしてしまいます。1回の食事量もおのずと多くなりますよね。これでは、胃捻転の起こりやすい状況を作ってしまうこととなるでしょう。

食事は1日数回に分けて与えることが、予防策となります。与えるフードが、手作りフードや缶詰など消化しやすい物だと更に良いでしょう。野菜を加えるのも効果的です。

◆早食いや水のガブ飲みを防ぐ

フードを与える食器には、浅めの大きな皿や、早食い防止用の皿を選びましょう。

現代では、様々なフード用食器が販売されています。フードを入れる部分にデコボコの突起などがついており、早食いを防止できる食器も数種類あります。愛犬に合ったサイズ、機能を持った食器を選んであげてください。

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◆フードの与え方

ドッグフードを食べた後に、大量に水を飲ませないよう気を付けましょう。胃の中でドッグフードが一気に膨らんでしまいます。

前もってドッグフードをふやかしておき、水を含んで膨らんだ状態の柔らかいドッグフードを与えることが予防策となります。

◆ストレスを与えない

ストレスも胃捻転の大きな原因となり得ます。

ストレスは基本的に日常で抱えることが多いですが、例えば飛行機への搭乗やドッグショーなどの出場など、ある出来事に一時的に大きなストレスを抱えるケースがあります。
このような場合には、愛犬の様子を普段より注意深く観察してあげてください。

日頃から、愛犬に大きなストレスがかからないよう注意しましょう。

◆すぐに動物病院で対処してもらう

様々な予防・対策法がありますが、何よりも胃捻転を起こしてしまった後に迅速な対応をとることが重要です。

万が一に備えて、胃捻転の手術が可能である動物病院を調べておきましょう。
行きつけの病院が手術可能であれば問題ありませんが、病院の規模やタイプによっては、すぐに手術を行えない可能性もあります。胃捻転の手術は大掛かりであるため、獣医さんが一人では難しい場合が多いのだそうです。

あらかじめ、何軒かの病院を知っておくということも、緊急を要する場合には大きく役立ちます。


まとめ

はっきりと発症原因が分かっていない、予防策を徹底していても発症するケースが多くある、そして発症すれば命をも脅かすという、恐ろしい疾患の胃捻転。
しかし、何の予防策も取っていなければ、愛犬が発症してしまった際に大きな後悔をすることになるかもしれません。

特に愛犬が好発犬種だという飼い主さん、そして愛犬が胃捻転発症の危険因子を含む行動をとっているという家庭では、少しでもリスクを下げるために、できることから対策を始めてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※


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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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