犬の階段やスロープのメリットや選び方など

2020.09.13

犬の階段やスロープのメリットや選び方など

小型犬の場合は脱臼や亜脱臼、大型犬の場合は股関節形成不全を発症する犬が多くいますが、これら病気の予防や怪我リスクの軽減に役立つのが、犬用の階段やスロープの活用です。今回は、犬の階段やスロープのメリットや選び方など幅広くご紹介致します。

【目次】
1.犬の階段やスロープとは?

2.犬の階段やスロープの使う目的は?
 2-1.からだへの負担を減らす
 2-2.ジャンプは怪我のリスクがある

3.特に階段やスロープを使用したい犬種
 3-1.椎間板ヘルニアの好発犬種
 3-2.股関節形成不全の好発犬種
 3-3.膝蓋骨脱臼の好発犬種

4.犬の階段のメリット・デメリット
 4-1.メリット
 4-2.デメリット

5.犬のスロープのメリット・デメリット
 5-1.メリット
 5-2.デメリット

6.犬のスロープと階段の選び方
 6-1.犬の体重
 6-2.滑らない素材
 6-3.耐久性
 6-4.スペース

7.犬用階段やスロープを使用するときの注意点

8.四肢や関節、腰に配慮した商品

9.まとめ

犬の階段やスロープとは?

犬の四肢や関節、腰などへの負担軽減のために使用する階段やスロープですが、犬の階段は人が使用する一般的な階段が小さくなったようなものをイメージすると分かりやすいかと思います。
人の階段と違うのは手すりがなかったり、滑りにくい素材が四肢の接触部分に使用されていることです。
スロープは平面になっているため、使用場所によって角度調整ができるフラットタイプの階段のようなものですが、この場合も犬の負担軽減のために接触部分に滑り止め素材が使用されていたり、加工が施されているものが殆どです。
スロープに関しては、中型犬や大型犬が車を乗り降りする際によく使用されます。


犬の階段やスロープの使う目的は?

犬の階段やスロープを使う目的は、主にからだへの負担軽減と病気や怪我の発生リスクを軽減するためです。

◆からだへの負担を減らす

階段やスロープは、四肢や関節、腰などのからだの負担軽減のために使用されます。
ソファーやベッドなど極端な段差などが犬の生活空間にあったり、中型犬や大型犬で車への乗り降りの際抱き上げることができない犬の場合は、犬種問わず使用したいアイテムです。
 

◆ジャンプは怪我のリスクがある

ジャンプは、地面と接触する際に極端に四肢や腰に負担がかかりやすく、脱臼や骨折を中心とした犬の怪我リスクを高めます。
また、股関節形成不全やヘルニアなどの病気の発症リスクを高めたり、病気を進行させてしまう危険性もあります。


特に階段やスロープを使用したい犬種

犬の場合は猫のように四肢が柔軟に動く構造でないため、全犬種において極端な段差があるような場所では階段やスロープが必要になりますが、その中でも特に注意が必要な犬種についてご紹介致します。

◆椎間板ヘルニアの好発犬種

ダックスフンドやペキニーズ、シーズー、プードル、ウェルシュコーギー、コッカースパニエル、ビーグルなどの椎間板ヘルニアの好発犬種は、階段やスロープを特に使用したい犬種です。
椎間板ヘルニアは軟骨異栄養性犬種に多く発症すると考えられており、年齢問わずに若年齢から起こりやすいので注意が必要です。
また、椎間板ヘルニアはジャンプなど外からの刺激(衝撃)に対してもろいという特性を持っているので、若いうちから階段やスロープを使用する癖をつけておくと良いでしょう。

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◆股関節形成不全の好発犬種

股関節形成不全は大型犬に多く、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバー、ロットワイラーなどの大型犬やバーニーズマウンテンドッグやニューファンドランド、セントバーナード、グレートピレニーズなどの超大型犬が好発犬種です。
股関節形成不全は、先天的な原因で発症したり、成長期の好ましくない栄養摂取などが原因となることもありますが、フローリングを中心とした滑りやすい場所での生活や極端な段差が多い場所など、犬の生活環境が大きく関わっていることもあります。
先天的原因か後天的原因かによっても異なりますが、股関節形成不全に関しても年齢問わず発症する危険性があるため、階段やスロープなどの活用を早い段階で行うことをおすすめします。

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◆膝蓋骨脱臼の好発犬種

膝蓋骨脱臼などの脱臼の好発犬種は主に小型犬で、トイプードルやチワワ、ポメラニアンなどに多くみられます。
飼い主さんの膝の上からジャンプした程度であっても脱臼してしまう危険性が高いので注意が必要です。
また、外方脱臼に関しては大型犬やダックスフンドにも多くみられるので、いずれにせよ衝撃や負担軽減のために階段やスロープの活用が理想的です。

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犬の階段のメリット・デメリット

ここでは、犬の階段のメリットとデメリットをご紹介致します。

◆メリット

犬の階段のメリットは、ソファーなど何かしらの高さのあるものとの接続部分の固定が必要ないという点です。
しかし、家具との高さを合わせる必要があるため、あらかじめ使用場所の高さを測ってからその高さに合った商品を選ぶ必要があります。

◆デメリット

階段の場合は、やはり少なからず段差が生じることがデメリットで、一段一段を低くしようと思うと段差の多い商品を選ぶことになり置くスペースもその分広くとらなければいけません。

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犬のスロープのメリット・デメリット

ここでは、犬のスロープのメリットとデメリットをご紹介致します。

◆メリット

スロープのメリットは、場所に合わせてスロープの角度を変更できる点です。
その他、緩やかな角度にすることで、階段の段差のような場所を歩くことと比較すると負担がかかりにくいのが特徴です。

◆デメリット

大型犬用スロープのデメリットは、ソファーなどの何かしらの高さのあるものとの接続部分の固定が難しいという点です。
車用のスロープの場合は、ずれないよう滑り止めや接続部分が固定しやすい形状になっているものもありますが、場所を問わずに使用する場合は犬が乗った際にずれないよう工夫が必要な商品が多いのが特徴です。
ただし小型犬が使用するような比較的軽量なスロープの場合は、階段のように床側面が固定されている商品が多いので、そのような場合は接続部位の心配がいりません。


犬のスロープと階段の選び方

ここでは、犬のスロープと階段の選び方について簡単にご紹介致します。

◆犬の体重

商品によって適応体重が異なるため、スロープや階段を選ぶ際は必ず愛犬の体重に適した商品を選びましょう。
また、体重が規定内であっても体のサイズに対して小さすぎる場合は転落の危険性があるので、サイズにも注意が必要です。

◆滑らない素材

犬用の階段やスロープは大抵滑りにくい素材を使用していたり、滑らないための加工が施されていますが、選ぶときは四脚との接触部分の素材などについても配慮しましょう。

◆耐久性

犬のスロープや階段を選ぶときは、耐久性にも配慮が必要です。
体への負担軽減のために使用しているのに、破損などが原因で犬が転落してしまったら元も子もないので、しっかりと耐久性を確認してから購入しましょう。

◆スペース

犬用スロープや階段を選ぶときは、置き場所のスペースにも配慮が必要です。
その他、設置したい場所の高さをしっかりと計ってから適した高さの商品を選びましょう。


犬用階段やスロープを使用するときの注意点

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犬用階段やスロープを使用するときは、念のため犬の様子をしっかりと見ていましょう。
はじめは階段やスロープを怖がり登れない犬も多くいますが、おやつなどを利用しながら十分褒めてあげることでトレーニングを行います。
この際、無理に階段やスロープに乗せないよう注意が必要です。
また、階段やスロープを設置した際、家具との間が空いてしまうと、犬の肢がその隙間に挟まってしまい怪我の原因になります。
隙間が大きく空かないよう十分気をつけて設置しましょう。


四肢や関節、腰に配慮した商品

ここでは、犬用階段やスロープを中心に、愛犬の四肢や関節、腰に配慮した商品をご紹介致します。

あまえんぼワンちゃんステップ123

●おすすめ商品

ワンちゃんがソファーやベッドから飛び降りる動作は、足腰の負担となり脱臼や骨折などにつながる可能性があります。膝を痛めやすい室内の小型犬のワンちゃんや、歳をとったワンちゃんに特におすすめです。

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角度調整が細かくできるペットスロープPS-02

●おすすめ商品
ペットスロープ PS-02 ブラウン

ペットがソファーなどへの昇り降りする際、関節を痛める事なく、安全に昇り降りする為のペット用スロープです。角度が調整でき、14段階に高さが自由に変えるので、ご自宅のソファーの高さに合わせる事ができます。

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足腰への負担軽減マット ウィズペットフロア

●おすすめ商品
ウィズペットフロア WPF01 スノー 1枚

ペットと人にやさしい、共生型カーペットです。毛先がカットされているためペットの爪が引っかかりにくく、適度なグリップで足腰の負担を軽減、ケガや脱臼、ヘルニアを予防します。またスムース加工で表面が滑らかになっており、抜毛のお掃除もし易くなっています。

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まとめ

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犬の階段やスロープのメリットや選び方などご紹介致しましたが、犬の場合は四肢や関節、腰への衝撃は様々な病気リスクを高めます。
それぞれの病気の発症リスクが高い犬種はもちろんですが、老犬や既に病気を発症している犬の場合は普段から極端な段差のない生活環境に配慮するよう心掛け、段差がある場所では犬用の滑りにくい階段やスロープを活用することが大切です。
また、段差がない場所であってもフローリングなどの滑りやすい場所での生活はさせない、肉球回りの余分な被毛はカットするなどの配慮も必要です。



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動物看護士(日本能力開発推進協会/日本キャリア教育技能検定協会)、老犬介護士(日本キャリア教育技能検定協会)、犬の管理栄養士(全日本動物専門教育協会)、ドッグトレーニングアドバイザー(日本ペット技能検定協会)等、動物関連資格を多数保有。大型犬2頭、中型犬1頭、小型犬(保護犬)1頭、猫3頭と暮らしながら、役立つペット関連情報を提供しております。


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