野生の力・人間よりも感知能力の高い猫たち

嫌いなニオイ・嫌いな音についてお話する前に、まず猫の圧倒的な能力の高さを見ていきましょう。共同生活する人間と比べて、いかに優れた感知能力を持っているのか、をチェックしていきます。
まずは嗅覚から見てみましょう。ご自宅の猫が、食事前に鼻をピクピクさせて色んなものを探っているのを見たことがありませんか?実は、犬の鼻の能力の高さに隠れがちですが、猫の嗅覚は人間の数万~数10万倍はあるといわれています。ちなみに犬の嗅覚は人間の100万倍なので、確かに影が薄くなりますね。
よく、「せっかく奮発したのに食べてくれない」という餌についての猫あるあるですが、彼らは餌がおいしい・まずい・腐っている、という状態を見分けており、味よりも生存する上で必要な情報を嗅ぎ分けているのです。また、特殊能力として食べ物がどんなタンパク質で構成されているかを判断できたりもします。
次に聴覚。自宅の飼い猫が、突然辺りをきょろきょろ見回し始めることはありませんか?視線の先を追うも何もなく、「まさか幽霊…?」なんて恐怖心を覚えることでしょう。しかし、これも猫の本来の野生動物としての力のひとつで、絶大な聴覚の賜物なのです。つまり、「見えている」のではなく「聞こえている」のです。
反対に、猫の視力は非常に悪いです。数値で言えば人間の0.1から0.3くらいの視力しかなく、メガネをしないとNGなレベル。その視力を補ってあまりあるほどの鋭い聴覚を持っています。本来猫は夜行性であり、暗闇の移動が主なものであるため、視力は最低限しか必要ありませんでした。真っ暗な森の中で狩りをするために必要な能力、「聴覚」が発達したのです。
足音や鳴き声、飛行する音など全ての些細な音から、外敵までの距離や大きさ、動きの様子などを把握していました。嗅覚では負けますが、こちらは犬をはるかに凌駕します。特に高音域の聴き分けが素晴らしく、人間は最高でも20khzの高音を聞き分けるのが限界ですが、犬は40khz、猫は80khzという、超音波の域まで可能です。
何もないのにきょろきょろしている場合、数十メートル先の猫や犬の歩く足音、鳥の飛ぶ音、そして屋根裏のネズミの鳴き声に反応しているのでしょう。
いずれにせよ、人間には聞こえない音・感じ取れない匂いを感知している、凄い生き物なのです。
気を付けて!猫が嫌いなニオイはこれ
そんな優れた嗅覚を持つ猫、彼らが嫌いなニオイを嗅がされたら、どれだけストレスがかかるのでしょうか。人間でも、臭いニオイ・嫌いなニオイを嗅がされたら、軽度でも気分が悪くなったり目眩を覚えたり、頭が痛くなったり、吐き気がしたり、といったように不調が出るのは当たり前。それの一万倍のダメージがあると考えると…恐ろしいことだとは思いませんか?今すぐ猫の嫌がるニオイの元を断ちましょう!

まずは柑橘類です。果物の中でも特にみかんやオレンジ・レモンが嫌いなニオイとなっています。
その理由は、野生で暮らしていた頃の名残り。柑橘類特有の酸っぱい匂いは、食べ物が腐ったときに発生する匂い、つまり酸っぱい匂いを連想させるのでしょう。彼らは生肉が主食であったため、すぐ腐りやすい生肉は、その状態によっては食中毒を引き起こし、最悪の場合生死を左右する程のもの。そのため嗅覚が発達したと言っても過言ではありません。
とはいえ、自らみかん・レモンを直接食べることはしないし、特にみかんは生活習慣に溶け込んだものなので、さほど用心しなくても大丈夫。気をつけたいのは本物のみかんではなく、みかん味・レモン味など人工的なジュース・お菓子、芳香剤・防臭剤などに含まれた柑橘系の香りが特に猫の嫌がるニオイのようです。
次に、フローラル系の洗剤・香水も嫌いなニオイのようです。香りの強い洗剤・香水に含まれる化学成分が、どうも猫に不快と感じさせるものを含んでいるようで、ストレスを与えてしまいます。また、ボディソープ・シャンプーでも、匂いの強いものに関しては苦手な場合もあります。あなたがお風呂を済ませて部屋に戻ったら、猫が異様に身体を擦り付けてきたという経験はないでしょうか?これは甘えている訳ではなく、ボディソープやシャンプーの強い匂いによって猫の匂いが消えてしまったことに不安を感じて、慌てて自分の匂いを付け直している行為、とも言われています。シャンプーやボディソープを使うな、とは言いませんが、香りの弱い物を選んであげましょう。

そして、唐辛子・胡椒など香辛料の匂いもNGです。マタタビに近い印象を受けますが、どうやら苦手なようで、万が一唐辛子・胡椒・ペッパー系の香辛料は猫が食べると胃腸炎を引き起こすため、手の届くところに置かないというのはもちろん、香辛料を含んだ食べ物は与えないようにしましょう。
一緒に知っておきたい、猫が嫌いな音

猫が嫌いな音も見ていきましょう。冒頭で述べた通り、人間よりも10倍の聴力を持ち、超音波レベルの高音が聴き取れて、部屋にいながらも室外の音が聴き取れます。そのため、日常生活の中で嫌いな音は人間よりも圧倒的に多いです。
まず、掃除機の音。もともと神経質な生き物なので、大きな騒音自体を嫌がる傾向があります。中には大丈夫な子もいますが、やはり大きな音や低音は、大きな動物のうなり声を想起させるようで、こちらも野生の名残りですね。同様に、ドライヤーの音も嫌いな音に分類されるようです。両方とも大きな音である上に、モーター音には微弱ながらも「キーン」という高音成分が含まれているため、こちらも嫌いな音のひとつの要素となっているようです。人間が金切り声や窓ガラスを引っかく音が苦手なのと同じですね。
反対に、低くて大きい声、特に男性のどなり声などもストレスがたまるようです。こちらも、野生時代の名残りで、先述の大きな動物のうなり声=補食動物を連想させてしまい、生命の危機を感じることから嫌がる個体が多いようです。
余談ですが、男性の汗、特に脇の下の臭いも嫌な臭いと認識しているようで、男性には酷な話ですが、懐かれたいのであれば常に清潔にすることを心がけて、なおかつ優しい声を出すように心がけましょう。
次に、意外な音源として「くしゃみ」が挙げられます。雷や豪雨、強風など自然発生的な大きな音にびっくりするのは猫だけでなく、あらゆる生物共通のようです。さらに人間が発するくしゃみは、突発的に出る大音量の爆発のようなもので、どんなに懐いていても一目散に逃げ出します。厚手の布をあてたり、衣服で口元を覆うなど、ストレスを与えないよう、信頼関係を築いていきましょう。他にも、手を叩く音も苦手なようです。テレビを見て笑いながら叩いたりしていませんか?炸裂音・破裂音に注意しましょう。
他にも、クシ・ブラシを弾く音も嫌な音のようです。人間にはビーンという音しか聞こえませんが、どうやら人間には聞こえない領域の倍音成分が届いているらしく、それが不快に感じるようです。
パソコン仕事をしていると飛び上がってきて邪魔をする、というのも猫あるあるですが、実はキーボードの打鍵の音も苦手。鍵やスプーンなど金属をチャラチャラと鳴らす音も苦手で、高音域に属している工業製品の音も嫌なのですね。
いかがだったでしょうか。猫の嫌いなニオイ・音は意外と身近なものが多いと感じた人も
多いのではないでしょうか。
猫にストレスを与えないためにも、普段からニオイ・音には気を付けてあげましょう。
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