猫が嫌いな音はどんな音?怖がる時の対処法は?【掃除機・ドライヤー・花火・雷】

2017.06.27

猫が嫌いな音はどんな音?怖がる時の対処法は?【掃除機・ドライヤー・花火・雷】

我が家で飼育している3匹の猫のうち、3歳のオス猫は癲癇の持病を持っています。今は薬で治まっていますが、ひどいときは夜中癲癇の発作を起こし続けました。癲癇の発作の原因となったのは「激しい雷の音」でした。症状がひどい時期は夏だったので、近所で行われる花火やお祭りの音、子供の声、家の掃除機の音やテレビ、ドライヤーの音、スーパーの袋のカサカサ音など、様々な生活音や雨や風の音に反応して発作を起こしていました。猫は総じて大きな音を嫌い、掃除機やドライヤー、雷や花火の音などを怖がります。どうして猫は大きな音を怖がるのでしょうか?

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猫が嫌いな音、好きな音はどんな音?

猫が怖がる音は「大きな音」と、なんとなく思いつくのですが、猫が怖がる音には共通点があるのでしょうか?

◆猫が嫌いな音は「大きな音」

掃除機 ドライヤー 雷 花火 電話

猫が怖がる音の代表的なものとしては、掃除機やドライヤー、雷や花火などの普段聞きなれない大きな音があげられます。その他には、例えばドアチャイムや電話の音、工事の音、洗濯機、ピアノなどの楽器の音も怖がる猫がいます。
また、猫は男性の低い声を怖がり、子猫の声あたりの音程を好む傾向があるといいます。

こうした好みには、あらゆる動物に共通することをアメリカの博物学者、ユージン・モートンが明らかにしました。

◆動物の声色と嫌いな音が関係している!?

モートンは、鳥類と哺乳類を合わせた合計56種類の動物の声を分析したところ、低くうなるような声を出すときは不快・恐怖・怒りなどマイナスの感情を表し、高く鼻から抜けるような声を出すときは興奮・喜びなどプラスの感情を表すという「音程の法則」を発見しました。

猫の怖がる掃除機やドライヤー、雷や花火の音は爆発的で、大きく、また長く続く低音という共通点があります。モートンの「音程の法則」に照らし合わせると、大きく低い音は不快・恐怖・怒りなどマイナスの感情を表していることになります。

また、モートンはカエルや鳥は、体が大きくて闘争能力が高く、攻撃的な個体ほど低い声で鳴くと発表しています。この原則が猫にも当てはまると考えると、猫にとって掃除機やドライヤー、雷や花火の低くて大きな音は、体が大きく力の強い個体が、怒り狂って襲ってくる、という場面を連想させ、怖がるのかもしれません。

◆猫が好むしゃべり方「ぺティーズ」

猫が好む音もあります。先に記したモートンの「音程の法則」では、子猫のなき声あたりの2000~6000ヘルツの音程は猫に興奮・喜びなどプラスの感情を示します。

猫の好きな音はハッピーな感情を呼び起こす「小さくて甲高い」音。猫に好かれようとするならば、囁くように、高めの声で猫に話しかけましょう。

これを日常的に取り入れる話し方があります。言葉を理解できない乳幼児に対し、大人が話しかけるときの万国共通の話し方である「マザリーズ」のペット版「ペティーズ」です。猫に対して赤ちゃんに対して話しかけるようにします。

具体的には猫に対して、高めの声で、短い繰り返しの声かけや単純な言葉使いをし、あるいは「〜だね?」と言った付加疑問文などで話しかけることです。「おいしい?」「お利口だね」「可愛いね」「もうねんねしようか?」「一杯食べたね、偉いね!」という風に。少し恥ずかしいかもしれませんが、猫と仲良くなれると思えば試してみたくありませんか?

いきなり低い大きな声で話しかけたり、笑ったりしたら猫が怖がるかもしれませんよ。


どうして苦手?猫の聴覚について

猫 耳

猫は進化の歴史の中で聴力を著しく発達させてきました。その結果、猫は聴覚の動物と呼ばれるほど。

◆猫の耳の仕組み

耳の構造で三半規管に接する蝸牛(かぎゅう)という器官があります。形がカタツムリ(蝸牛)に似ていることからこう呼ばれています。蝸牛は、音を電気信号に変換して脳へ送る中継装置のような働きを担っています。

蝸牛には音を感じるために不可欠な細胞である有毛細胞があり、有毛細胞からの電気信号を受け取る神経細胞が存在します。神経細胞から出た神経線維(電気を伝えるコードの役割を担い、聴神経と呼ぶ)は、内耳道という骨のトンネルを通って脳に伝えられます。

猫の蝸牛の長さは人の2/3程度であり、蝸牛内にある有毛細胞数は、人間より10,000本少ない12,000本しかありません。
しかし逆に、神経節細胞から伸びる神経線維の数は、人間より10,000本多い40,000本あります。ここに人間よりはるかに広い範囲の音域の音が聞こえる猫の耳の秘密がありそうです。

◆猫の聴力は人間の10倍!

猫の音程の聞き分けは高い音の方が得意です。これは、ネズミなどの小動物が発する小さな声でも聞き取れるように、聴力を発達させた結果です。そして猫の好きな音は子猫の泣き声に相当する2,000~6,000ヘルツくらいの音域です。逆に猫が怖がる音は野太い男性の声。これは先に述べた通り、大きくどう猛な敵を連想させるためです。

人間よりも10倍の聴力を持ち、超音波レベルの高音が聴き取れる猫は、部屋にいながらも室外の音が聴き取れます。そのため、猫には日常生活の中で嫌いな音、怖い音は人間よりも圧倒的に多いことでしょう。
特に人間が聞いてもうるさく聞こえる掃除機やドライヤーの音、お腹に響くような重低音で爆発的な響きを放つ花火や雷の音は猫にとってとてつもなく大きく、破壊力がある違いありません。また、雷や花火は暗闇に鮮明な光も生じさせます。猫にとっては恐ろしく、異常な現象にしか感じられないことはよく理解できますね。


猫が音を怖がる時の対処法は?

猫 怖がる

人間界を見回してみると、「騒々しい会話」が電車の中の迷惑行為で常に上位を獲得しているという事実があります。こうした事から考えると、猫も「大きな音」や「予期しない音」に対し、人間と同じようにストレスを感じていると言えるでしょう。

◆ストレスから病気になることも

猫はストレスに弱い動物です。ストレスが原因で異常な行動をとったり、病気になったりします。そのようなことになる前にストレスそのものを取り除かねばなりません。

猫がストレスによって引き起こされる病気は様々なものがあります。
一つに染性腹膜炎(FIP)が挙げられます。猫コロナウィルスという、普段は何でもないウィルスが突然変異をおこし、FIPを発症します。変異のきっかけはストレスと考えられています。また、ストレスによりリンパ球が減少すると、腫瘍の発症率が上がる可能性もあります。

その他、特発性膀胱炎の原因の一つにもストレスが挙げられます。特発性膀胱炎の症状は血尿や排尿痛、粗相といった、猫に比較的発生しやすい症状です。

◆猫がストレスを感じている時の行動

猫がストレスを感じている時に行う異常行動も様々です。

・頻繁に鳴く
・去勢したにも関わらずスプレーをする
・突然粗相をするようになった
・闘争的(攻撃的)になる
・性格が極端に臆病になる
・頻繁に下痢、または便秘になる
・食欲がない
・長時間のグルーミング
・服や布などをよく噛む様になる
・隠れる
・猫同士で喧嘩をする
・脱毛が見られる
・睡眠時間の減少

このような行動をとるような猫はかなり大きなストレスを感じていると言えるでしょう。猫が嫌いなもの、怖がるものの原因を取り除かなくてはなりません。

◆猫が音を怖がる時には?

原因が音の場合、音自体をなくしてしまうことは難しいことですが、少しでも猫にストレスを感じさせないような工夫をしましょう。
猫が音を怖がる時の対処法を上げていきます。

・掃除機やドライヤーを使用するときは猫を別の部屋に移す。
・できるだけ音の小さい掃除機やドライヤーを使う。
・雷が近づいて来たときや花火が催されるときは猫を家の中心部に移す。
・カーテンを遮光性の熱いものに変え、外の音が少しでも小さくなるように、同時に不規則な光が部屋に差し込まないようにする。


まとめ

音を全くなくすことはできませんが、少しでも猫に負担をかけないように工夫をすることはできます。

我が家では癲癇の発作が治まった今でも、掃除機の音を怖がる猫のために普段の掃除は箒とフローリングワイパーで行います。ドライヤーはできるだけ使わないようにしていますが、必要なときは猫からできるだけ離れた部屋でドアを閉めきって使います。雷は天気予防を確認し、夕立が起こりそうな日は早く家に帰って、できるだけ猫だけにしないようにしています。

猫がストレスを感じることのないよう、猫の嫌いな音や怖がる音には十分に注意しましょう。



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そらにゃん

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猫が大好きなおばさんです。猫、いいですね! 我が家には「そら♂」「すず♀」「りん♀」のニャンズがいます。 ずっと犬を飼っていて猫暦はまだ二年そこそこと短いのですが、長年の願いだった猫との暮らしに今もウハウハ状態です。ニャンズのおかげで仕事や家事や寄る年波の疲れも吹っ飛びます。 病気がちな「そら」のおかげで獣医さんと懇意になり、通院の度に先生から様々な猫情報を教えていただいてます。 いかにニャンズを満足させられるか、猫じゃらしの振り方を日々研究中。 得意技は猫に錠剤を飲ませること。←ただし「そら」限定!?

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