シャム猫(サイアミーズ)はどんな猫?性格や歴史、かかりやすい病気について

2023.07.06

シャム猫(サイアミーズ)はどんな猫?性格や歴史、かかりやすい病気について

ポイントカラーと言われる顔や耳、脚先、しっぽの濃い色が特徴的なシャム猫は、世界でもポピュラーな猫種です。日本では、1950年代に人気が高まり、純血種の猫と言えばシャム猫というイメージでした。ポイントカラーは成長につれて濃くなるため、最近はSNS上で、「シャム猫の色変わりすぎ選手権」というハッシュタグも話題になりました。魅力あふれるシャム猫について、特徴や歴史からかかりやすい病気までご紹介します。

【目次】
1.シャム猫の特徴
 1-1.見た目
 1-2.性格

2.シャム猫の毛色
 2-1.シャムと言えばポイントカラー
 2-2.シールポイント
 2-3.ブルーポイント
 2-4.ライラックポイント
 2-5.チョコレートポイント
 2-6.サイアミーズ遺伝子
 2-7.多くの猫のルーツになっている

3.シャム猫の歴史
 3-1.「幸運を呼ぶ猫」として古くから愛されてきた
 3-2.アメリカ大統領に贈られた猫
 3-3.トラッドスタイルとモダンスタイル
 3-4.シャム猫にそっくりの「タイ猫」とは?

4.シャム猫のお手入れ方法
 4-1.ブラッシングの頻度は?
 4-2.寒さ対策はしっかりと

5.シャム猫と長く一緒にいるために
 5-1.寿命はどれくらい?
 5-2.特に気を付けたい病気
 5-3.定期的に健康診断を受けよう

6.まとめ

【掲載:2022.01.06  更新:2023.07.06】

シャム猫の特徴

シャム猫

シャム猫という品種名は、原産国タイの旧国名「シャム」に由来しています。
日本では一般に「シャム」と呼ばれていますが、海外での呼び方は「サイアミーズ」です。
まずは、シャム猫の特徴から見ていきましょう。

◆見た目

シャム猫は、骨格が細く、スレンダーでしなやかな体つき、長い脚を持つ優美な猫です。
猫の体型分類では「オリエンタル」に属します。
体重は、オスで3.5~6㎏、メスで3~5㎏の中型の猫です。
スレンダーな体は華奢に見えますが、抱っこするとずっしりと重く筋肉質で、動きも敏捷です。
頭はスムーズなクサビ形をしていて、顔もスリム、大きな耳が印象的で、顎から耳先に向かってきれいな逆三角形を描いています。
神秘的なブルーの瞳とポイントカラーが、純血のシャム猫である条件となっています。

◆性格

シャム猫は、非常に賢く、気難しい性格をしている反面、コミュニケーションを取ることが好きで、遊ぶことも大好きです。
警戒心が強い面もありますが、慣れてくると甘えん坊になり、飼い主さんには忠実です。
教えると、おもちゃを取ってくる「もってこい遊び」もできるようになる子がいるようです。
それだけに、長い時間を1匹だけで過ごすことは苦手で、多頭飼いに向いています。
猫だけではなく、他のペットとも仲良く過ごすことができる猫です。
また、よく鳴く「おしゃべりな」猫として知られていて、鳴き声で飼い主さんとのコミュニケーションを図ろうとします。


シャム猫の毛色

◆シャムと言えばポイントカラー

ベースの毛色は白っぽいベージュですが、やはりシャム猫と言えば、ポイントカラーです。
ポイントカラーとは、顔、耳、脚先、しっぽ、オスの睾丸の濃い色を指します。
ポイントカラーは、成長につれて変わっていき、生まれたばかりの子猫は非常に薄いか、ポイントカラーがありません。
シャム猫のポイントカラーは、「シールポイント」「ブルーポイント」「ライラックポイント」「チョコレートポイント」の4種類があります。

◆シールポイント

シールポイントのシャム猫

黒っぽいこげ茶色のシールポイントは、シャム猫の毛色の中で最もオーソドックスなものです。
ポイントカラーの中で最も黒く、一番目にする機会の多い毛色です。

◆ブルーポイント

ブルーポイントのシャム猫

ポイントカラーは青みがかかった灰色で、ベースの毛色も青みがかかった薄い灰色です。
全体的に色が薄く、柔らかな印象を与えるブルーポイントは、あまり見かけることのない毛色です。

◆ライラックポイント

ライラックポイントのシャム猫

シャム猫の毛色の中でも非常に珍しい毛色で、ブルーポイントよりさらに薄い灰色のポイントカラーとなっています。

◆チョコレートポイント

チョコレートポイントのシャム猫

シールポイントより少し色が薄く、チョコレート色をしたポイントカラーとなっています。
シールポイントによく似ていて、シールポイントに次いで、よく見かける毛色です。

◆サイアミーズ遺伝子

シャム猫は、「サイアミーズ遺伝子」と呼ばれる遺伝子を持っています。
このサイアミーズ遺伝子の持つ性質により、シャム猫の毛色は温度によって変わります。
サイアミーズ遺伝子は色素形成を抑制する働きを持ちますが、温度が低いとこの働きが抑制されて色素が形成されます。
このため、暑い夏には毛色は薄くなり、寒い冬になると毛色が濃くなるのです。
また、顔や脚先、しっぽなどにポイントカラーが出るのもこれらの部位が体の末端部分であり、体温が胴体より低いからです。
生まれたばかりの子猫にポイントカラーがないのも、母猫の胎内が温かいためと言われています。
子猫自体も成猫より体温が高いため、白猫と見間違うほど真っ白に近い毛色をしており、成長につれてポイントカラーが現れてきます。

◆多くの猫のルーツになっている

シャム猫はそのポイントカラーから、現在知られている様々な猫種のルーツとなっています。
カラーポイントショートヘアバリニーズオリエンタルショートヘア、ジャバニーズなどはシャム猫をベースに様々なカラーや毛の長さを持っている種類となります。
また、トンキニーズはシャム猫とバーミーズを交配させて誕生した種類で、ミンクのような毛並みを持ち滑らかな手触りが人気です。

そして日本でも、野良猫として生活している猫の中にシャム猫のようなポイントカラーの猫を見かけたことはないでしょうか?
これは過去日本での猫の飼育方法が外飼いが主流だったころ、ペットとして飼われていた純血種のシャム猫が野良猫と交配して生まれた子孫だという説が有力です。


シャム猫の歴史

◆「幸運を呼ぶ猫」として古くから愛されてきた

シャム猫の起源は正確には分かっていませんが、タイに古くから伝わる固有種とされています。
シャム猫に関する伝説や物語は多数あり、14世紀、アユタヤ王朝時代に作られた古い詩集には17種の「幸運を招く猫」の一つとして記されています。
王室や富裕層、寺院といった高貴な人々しか飼うことを許されなかったとされ、「ロイヤルキャット オブ サイアム」として知られていました。
ちなみに、タイでは「月のダイアモンド」という意味の「ウィチアン・マート」とも呼ばれています。

◆アメリカ大統領に贈られた猫

門外不出であったシャム猫が世界に知られるようになったきっかけは、1879年、アメリカ領事館を通して、当時のアメリカ大統領ヘイズに贈られたことでした。
その後、1884年にはイギリス総領事にペアのシャム猫が贈られ、血統書付きのシャム猫が初めてイギリスに渡りました。
それに先んずる1871年には、ロンドンのクリスタルパレスショーで初めて披露されましたが、当時の他の品種とはかけ離れていて、賛否両論があったといいます。
1892年にイギリスでシャム猫の最初のスタンダードが確立され、1940年代~1950年代にかけて世界で人気が急上昇しました。
日本でも、1950年代に人気が高まり、猫の純血種と言えばシャム猫とされていたほどです。

◆トラッドスタイルとモダンスタイル

二度の世界大戦によって、一時は個体数が激減したシャム猫ですが、ブリーダーの努力により絶滅の危機は回避されました。
この時、トラッドスタイルと言われる昔からの丸くがっしりとした体型とモダンスタイルと呼ばれるスリムな体型に分かれました。
現在は、モダンスタイルが主流となり、キャットショーで紹介されるのもモダンスタイルです。

◆シャム猫にそっくりの「タイ猫」とは?

タイ猫

シャム猫にそっくりの「タイ猫」という品種があります。
タイ猫は、シャム猫をルーツとし、シャム猫のうちトラッドスタイルに属する猫です。
犬のように、比較的人に懐く傾向がある一方で、猫らしいマイペースな面も持ち合わせています。
感受性が豊かで、繊細でデリケートな側面もあり、シャム猫より穏やかです。
鳴き声は太く、よく鳴く猫として知られています。
基本的には、シャム猫との違いはあまりないようです。

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シャム猫のお手入れ方法

◆ブラッシングの頻度は?

シャム猫は短毛種のシングルコートなので、ブラッシングの頻度はあまり多くなくてもよいのですが、独特の光沢をもつ美しい被毛を保つには、まめにブラッシングをしてあげるとよいでしょう。
ブラッシングは、スキンシップの時間にもなります。
1日1回のブラッシングで愛猫とのスキンシップを取ることで、ストレスを解消してあげたり、健康チェックをしてあげたりすることができます。
手で撫でたり、獣毛ブラシを使ったりして、軽くブラッシングをするのがおすすめです。

◆寒さ対策はしっかりと

暖かい地方原産であること、短毛種であること、スリムな体型であることから、シャム猫は比較的寒がりの品種です。
寒い時期には、室温管理に気を配ってあげましょう。
エアコンでの室温管理のほか、冬仕様のベッド、湯たんぽなどあったかグッズも活用するとよいでしょう。


シャム猫と長く一緒にいるために

ブルーポイントシャム

◆寿命はどれくらい?

シャム猫の平均寿命は、15~20年です。
猫の平均寿命は、一般に15年程度と言われており、2017年の保険会社の調査によると14.2歳となっています。
シャム猫は、猫としては長寿の方と言っていいでしょう。

◆特に気を付けたい病気

・肥満細胞腫

肥満細胞という白血球の一種である細胞が、腫瘍化する病気です。
皮膚型と内蔵型の2タイプが存在し、それぞれの発生頻度は同程度です。
猫の皮膚腫瘍では、皮膚型の肥満細胞腫が最も多いです。
よく発症するのは頭部や顎の部分ですが、リンパ節や脾臓への転移がないかをチェックする必要があります。
原因が明確になっていないため、予防は難しいです。
シャム猫は皮膚型が起こりやすい品種なので、皮膚にできものがないかを日常的にチェックしてあげましょう。
転移前に外科手術を行うと、予後(余命)が長くなります。

・白内障

白内障は、目の中の水晶体の一部または全体が白く混濁した状態です。
猫ではまれな病気で、目の病気に関連して起きたり、目に重度の外傷があって発症したりする例がほとんどです。
その他、糖尿病などの他の病気によって両目に発症する例や、先天性の場合もあります。
シャム猫では、先天性白内障の報告があります。

・リンパ腫

リンパ腫は、体の中のリンパ球が腫瘍になったものです。
リンパ球は、免疫反応に関与している細胞で、体内への細菌やウイルスの侵入を阻止する働きがあります。
リンパ腫は、高齢の猫(8~10歳)で発生することが多いですが、猫白血病ウイルスに感染している場合1~3歳の若い猫でも発症します。

・拡張型心筋症

心筋症は、猫の心臓病の中で最も多い病気で、心臓の筋肉に異常が起きることで心臓の働きが低下します。
拡張型心筋症は、心臓の筋肉が薄くなるタイプで、心筋症の10%弱がこのタイプです。
一般的なフードにも十分なタウリンが添加されるようになる前は、拡張型心筋症=タウリン欠乏でした。
現在は、タウリン欠乏による拡張型心筋症は激減し、ほとんどは原因不明です。
症状が出た段階では重症化している場合が多く、早期発見・早期治療が大切です。
シャム猫は、拡張型心筋症が起こりやすい品種です。

・ウールサッキング

ウールサッキングは「異食症」とも言われ、ウールを含む布や段ボール、輪ゴムなどを口に入れるなどの症状です。
ウールサッキングの原因ははっきりしていませんが、東洋系の猫種に多く見られる傾向があります。
シャム猫も東洋系の品種なので、注意が必要です。
また、ストレスが原因で起こることもあるので、ストレスのない生活環境を整えてあげることも大切です。

◆定期的に健康診断を受けよう

拡張型心筋症や肥満細胞腫は、早期発見、早期治療が大切になってきます。
また、他の病気も、早期に発見できれば、予後やQOLをよくすることができます。
日ごろの変化の確認をするとともに、年1回程度の健康診断を受けて病気の兆候を見逃さないようにしましょう。


まとめ

シャム猫という品種名は、原産国であるタイの旧名称「シャム」に由来しますが、日本での呼び方であり、海外ではサイアミーズと呼ばれています。
シャム猫の特徴は、顔や耳、脚先、しっぽにみられるポイントカラーとサファイアブルーの瞳です。
ちょっとわがままな気分屋で、遊び好き、人と触れ合うことが大好きで、寂しがり屋の面もあるシャム猫は、猫の「ツンデレ」なところが好きな人にピッタリの猫です。
活発な分いたずらをすることもあるので、キャットタワーを置くなどしっかり運動ができる環境を整え、誤飲・誤食を防ぐために室内は片づけておきましょう。
新しい品種が増えた現在、逆に歴史のあるシャム猫は珍しくなってきましたが、猫らしい魅力にあふれた気品あるシャム猫と暮らしてみるのもいいですね。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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