【獣医師監修】猫も癌になる?この病気から守ってあげる方法があるのか知りたい!

2021.01.29

【獣医師監修】猫も癌になる?この病気から守ってあげる方法があるのか知りたい!

不治の病としてもっとも恐れられている病気「癌(がん)」。 人間だけの病気と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、猫も患うことがあるのをご存知でしょうか? 猫が癌を患った場合、どのような症状が出て、進行速度はどの程度なのかも気になるところですよね。 もし愛猫が癌と動物病院で診断された場合、飼い主として何をしてあげるべきなのでしょうか。

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癌ってどんな病気?猫もなるの?

ベビーカーに乗った猫

人間だけの病気と思われがちな不治の病「癌」ですが、体が細胞でできている生物であれば、癌を患う可能性があると言われています。

癌は体の元となる正常な細胞組織が何かしらの原因により、異常な細胞を増やすことで発生する病気です。

通常は体の状態に合わせて細胞は増えたり減ったりを繰り返しますが、癌は体の状況を無視して増え続けていくので、その結果周囲の組織を壊し、機能障害を引き起こす要因となります。

そして細胞の核の中にある遺伝子のことを「がん遺伝子」と呼びますが、このがん遺伝子が傷つくことにより、細胞が増殖するとも言われているので、いかに遺伝子を傷つけないかが重要とも言えるでしょう。

ですので癌は人間だけでなく、体が細胞でできている猫も患う可能性は十分にあると言えますよね。

人間と同様、猫も高齢化が進んできていますし、高齢になるということは、体の機能が低下して免疫力が落ち、それぞれの臓器に負担がかかっていることは明確です。

表面上は元気で健康に見えたとしても細胞の異常は目に見えないので、どんどん水面下で症状が悪化し、目で見て判断できる症状が出たころには、手遅れになってしまうケースもあるので注意が必要と言えるでしょう。


猫に多くみられる癌

癌は細胞が増殖する病気となりますが、癌は症状が出る場所によって病名も変わってきます。

猫に多くみられる癌は以下の通りです。

◆リンパ腫

猫の癌でもっとも発症頻度が高いとされているのが、悪性の「リンパ腫」です。

リンパ腫は血液の癌とも言われ、白血球の一種であるリンパ球が悪性腫瘍化した病気となります。

通常リンパ球は免疫に関わる細胞なので、体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体を攻撃する働きをしますが、リンパ球の数が減少すれば、猫の体に様々な異常を来たすことに繋がるのです。

リンパ腫は発生する場所によって、4つの型に分類されます。

リンパ節や骨髄、肝臓などに発生する「多中心型」、心臓や血管などに発生する「縦隔型」、消化管に発生する「消化管型」、リンパ節以外の鼻腔や腎臓、神経などに発生する「節外型」です。

初期症状は食欲低下や体重の減少などが見られますが、症状が悪化するにつれて発生場所のリンパが腫れ(しこり)てきます。

◆肥満細胞腫

免疫に大きく関与する肥満細胞(マスト細胞)が腫瘍化する癌を、「肥満細胞腫」と呼びます。

猫の皮膚癌の中で2番目に多いと言われている通り、皮膚に発生するほか、脾臓や肝臓などの内臓や消化器に発生する癌となります。

病名から肥満が深く関係しているように思われがちですが、肥満気味のネコちゃんが患うわけではなく、膨れた様子が肥満を連想されるとしてこの名前がつきました。

皮膚型の場合は良性のことが多いですが、内蔵型の場合は高確率で悪性腫瘍であることが多いようです。

肥満細胞腫は白血球の一種である「ヒスタミン」を大量放出しますので、アナフィラキシーといった重篤な症状を全身に引き起こすことがあります。

◆扁平上皮癌

肥満細胞腫よりも発症例が多いとされているのが、「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」です。

上皮細胞の一種となる扁平上皮細胞が癌化した病気となりますが、皮膚腫瘍を傷や皮膚炎と勘違いしやすい厄介な癌となります。

とくに猫の顔や口腔内で発症することが多く、扁平上皮細胞がある場所であれば、どの部分でも発症する厄介な癌と言えるでしょう。

そして因果関係ははっきりしていないものの、白い毛並みの猫が発症しやすいことから、長時間日光(紫外線)にさらされることが発症の要因とも考えられています。

急に皮膚にかさぶたができたり、赤く腫れた箇所があったりした場合は、扁平上皮癌を疑った方が良いかもしれません。

◆乳腺腫瘍

猫の乳癌と言われているのが、「乳腺腫瘍」です。

乳腺に腫瘍ができる病気となりますが、未避妊の12歳前後のメス猫が発症しやすいと言われています。

猫が患う乳腺腫瘍は、9割以上の確率で悪性のことが多く、いかに早期発見が大事な癌と言えるでしょう。

腫瘍が2cm以上になってしまうと根治は難しくなるので、それ以上大きな腫瘍ができていた場合は、死亡までの期間は1年前後とも言われています。

この癌は浸潤してほかの臓器に転位する特徴を持っているので、高齢のメス猫と暮らしている飼い主さんは、普段からコミュニケーションをとり、しこりができていないかなどの確認を怠らないようにしましょう。

猫が癌になってしまった場合の治療法は?

もし健康診断などで癌の疑いがあると獣医師さんから告げられ、病理検査などで癌を患っていると判断されたとしたら、どんな治療を進めていくのかも気になるところですよね。

愛猫が癌を患った場合には、一般的にどのような治療を進めていくのでしょうか。

◆手術による切除

癌の種類や症状によっては、化学療法(抗がん剤治療)の前に外科療法(手術)を行います。

猫の体にしこりができて生活に支障が出ているのなら、切除してあげなくてはいけませんし、表面から見えない部分にも腫瘍ができていて、別の臓器などを圧迫して機能を低下させているのであれば、やはり手術は必要と言えるでしょう。

ですが癌は細胞の病気なので、ほとんどの場合目に見える異物を取り除いても、完治できる病気ではありません。

手術をした後に抗がん剤を使用して、浸潤や転移している癌細胞を破壊させる治療へと進んでいきます。

◆抗がん剤治療

人間の化学療法では一般的に根治を目指しますが、猫の化学療法ではいかに寿命を延ばしてあげられるかを考える先生が多いようです。

抗がん剤は副作用の強い薬となりますので、個体によっては抗がん剤の量を調節し、癌細胞を減らすための治療を行っていきます。

ですがすべての癌に抗がん剤は有効というわけではなく、ネコちゃんの症状によっては効果が期待できないこともありますので、その場合はステロイド剤放射線治療を勧められることがあります。

放射線治療に関しては動物病院によって設備が整っていないこともあるので、しっかりと先生の話を聞き、最良の治療方法を選択するようにしましょう。

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愛猫を癌から守るにはどうすればいい?

おもちゃを見つめるグレーの猫

癌は原因不明で治療が難しい病気でもあるので、できることなら愛猫に癌を患ってほしくないと考える飼い主さんは多いことかと思います。

私たちには癌という病気の知識がありますが、猫自身が癌を患った場合は何も知らない状態で、痛みや辛い症状と向き合っていかなくてはいけませんよね。

なので猫と一緒に暮らす際には、飼い主の責任として長寿を目指し、猫が天寿を全うできるような生活環境を整える必要があるはずです。

愛猫を癌から守るためには、普段からどんなことに気を付ければ良いのでしょうか?

◆完全室内飼いを徹底する

猫に発生する可能性の高い癌であるリンパ腫は「猫白血病ウイルス」「猫免疫不全ウイルス」の感染により、リンパ腫を患う確率が上がると言われています。

感染の確立を上げないためにも、外には出さず、完全室内飼いにすることが一番です。

外飼いは一見猫に自由を与え優しい印象を受けますが、病気のリスクや事故などといった、猫にとって不幸な事態を招く要因になりかねませんので、愛猫の幸せを願うのなら、完全室内飼いを徹底してあげてください。

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また、過剰な紫外線を浴びることによって、皮膚炎から扁平上皮癌に進行していく報告例もありますので、日向ぼっこが好きなネコちゃんや、白い毛並みのネコちゃんにはとくに注意をするようにしましょう。

◆避妊・去勢手術を行う

猫に対して避妊や去勢手術をすべきではないと考えている方もいらっしゃることかと思いますが、不妊手術は寿命を延ばす目的でも有効と考えられています。

望まれない命を増やすことなく、様々な病気のリスクを軽減できますので、ペットとして傍に居てくれるネコちゃんに対して、このような手術を選択することも、飼い主の責任と言えるのではないでしょうか。

また、メス猫の場合、避妊手術をしていない猫は避妊手術をしている猫に比べて、乳腺腫瘍を発生させる確率が7倍ほど高くなるとの報告もあります。

1歳を過ぎてから避妊手術をしたとしても発生のリスクが上がるとも言われているので、できれば発情期を迎える前に、避妊手術をして癌のリスクを軽減させるようにしましょう。

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◆猫のいる空間でたばこを吸わない

体に害があるイメージの強いたばこですが、たばこの煙には有害成分が多く含まれていることをご存知でしょうか。

この煙の中には発がん性物質も含まれているので、実際にたばこを吸わない猫にも害があるのは一目瞭然です。

さらに猫は人間よりも体が小さいので、影響をダイレクトに受けやすいとも言えますよね。

もし猫と一緒に暮らすご家庭に喫煙者の方が居るのであれば、大好きな猫のために、たばこをやめることを検討してもらうのも一つの手段です。

どうしても止められないのであれば、猫のいる空間でたばこを吸わないように徹底し、有害物質が体の中に入らないような工夫をしてあげましょう。

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◆健康診断で獣医さんに診てもらう

癌は体の中の細胞を壊していく病気なので、毎日の食事量が減る、痩せるなどの症状が徐々に見られるようになります。

猫は我慢強い動物なので、飼い主さんも異変に気付くことが遅くなってしまえば、気付いたころにはかなり病状が進行していたとしてもおかしくありません。

人間よりも早いスピードで歳をとっていく猫のためにも、現在の状態を知ることはとても大切です。

なので最低でも1年に1回は健康診断を受けて愛猫の現状を獣医師さんに診てもらい、癌のような病気の早期発見に繋げていきましょう。

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まとめ

癌は重症化してしまう前に発見することが大切な病気なので、日頃から飼い主さんは愛猫のことをよく観察し、コミュニケーションをとって体に異常がないかの確認をすることが大切です。

そのためにも毎年の健康診断は欠かさないようにし、病気の早期発見に繋げていきたいものですよね。

そしてもし愛猫が癌と動物病院で宣告されたのなら、そこからは癌と共存していくために、飼い主さんは強い意志を持たなくてはいけません。

末期の癌でなければ普段通りの生活を送ることも可能なので、猫と一緒に居る時間をより大切にしながらターミナルケアをしていくことが、ネコちゃんの安心へと繋がっていきます。

どんなときでも猫の傍に居てあげられるのは飼い主さんだけなので、不安な気持ちを悟られないように、笑顔で接することを心掛けていくようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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