信頼の証!「アログルーミング」を知っていますか?

2021.05.24

信頼の証!「アログルーミング」を知っていますか?

多くの人が知っている「グルーミング」。 猫同士で行われるものに「アログルーミング」がありますが、何が違うのでしょうか? 今回は、アログルーミングの意味や理由、猫同士の関係性などを詳しく解説していきます。

【目次】
1.グルーミングとはどんなもの?
 1-1.グルーミングの意味とは?
 1-2.セルフグルーミングは何のためにやっているの?
 1-3.ペットサロンで行うトリミングとは何が違うの?
 1-4.グルーミングをしなくなることもある
 1-5.猫のグルーミングは長い時間
2.お互いに毛づくろいをし合う「アログルーミング」とは?
 2-1.アログルーミングをする理由は?
 2-2.アログルーミングは赤ちゃん期に体験済み
 2-3.セルフグルーミングでは届かないところを中心にアログルーミングをする
 2-4.性別問わずアログルーミングをするの?
 2-5.人間にもアログルーミングをする猫ちゃん
3.猫同士は相手にどうやって気持ちを伝えている?
 3-1.猫は単独行動の生き物
 3-2.あいさつをするときは「鳴き声」「しっぽ」「ニオイ」で
4.アログルーミングをしていない猫同士の関係性は?
5.まとめ

グルーミングとはどんなもの?

毛づくろいする猫

グルーミングという言葉は、一般的にもかなり浸透していて、「猫を飼っている」、あるいは「猫が好き」という人なら、もちろん知っているかと思います。

グルーミングは、猫の「毛づくろい」という意味で使われることが多い言葉です。

グルーミングの意味、グルーミングの目的について見ていきましょう。

◆グルーミングの意味とは?

グルーミングは、猫はもちろん、さまざまな動物がやっている行動です。

自分の体についたゴミやホコリ、寄生生物などを自分自身で取り除いたり、毛並みを整えたりなどのケア全般を意味しています。

◆セルフグルーミングは何のためにやっているの?

体が柔らかい猫は、体をグイっと丸めて、自分で届くところを全般的に舐めることでケアをしています。

猫ちゃんが自分でやるグルーミングのことを「セルフグルーミング」と言います。

このセルフグルーミングには、大きく分けて次のような目的があります。

体を綺麗にしたい
猫の舌は突起状になっているため、ブラシのような役割を果たします。
舐めることで毛についた小さい汚れが取れるので、体が清潔になります。

体の健康を維持するため
定期的にグルーミングをすることで、皮膚の汚れがつきづらくなります。
グルーミングには、皮膚病を防止する役割もあるのです。

気持ちをリラックスさせたい
猫は、緊張や不安をおさえようと自分の体を舐めていることがあります。
グルーミングすると気持ちが落ち着くので、何かしらのストレスから「リラックスしたい」と考えているのかもしれません。

体温を調整する
猫は体に汗腺がなく、汗を放出できるのは足の裏。
暑い時期に、自分の体温を下げることが難しい体の構造です。
グルーミングで体に唾液をつけることで、水分蒸発時にスーッと涼しさを感じます。
このように、体温調整のときにグルーミングをすると言われています。

また、寒いときにはセルフグルーミングで被毛に空気の層をフワッと取り入れ、体温が逃げないようにしているようです。

◆ペットサロンで行うトリミングとは何が違うの?

ペットサロンに行くと「トリミング」と言ったり、「グルーミング」と言ったり…。
ここで、「いったい何が違うのだろう?」という疑問は起こるかと思います。

ペットサロンでグルーミングをすると言えば、ブラッシングやシャンプーなど被毛のお手入れに始まり、爪切りや耳掃除なども含まれます。

つまり、“被毛のお手入れ”だけでなく、体全体をケアするのがグルーミングです。

一方、トリミングの場合、毛をカットすることを指します。

グルーミングは多くの猫ちゃんが必要なお手入れですが、トリミングは短毛の子は特に必要がありません。

◆グルーミングをしなくなることもある

猫にとってはリラックスできる時間なので、成猫で健康的な子の場合、セルフグルーミングをしている様子は、1日のうち何度も見られるでしょう。

ただ、
「年を取っていろいろと無関心になった」
「病気でグルーミングの気持ちがなくなった」
「太って自身でケアができない」

など、セルフグルーミングをやらなくなる子もいます。

◆猫のグルーミングは長い時間

猫の睡眠時間は、12~14時間ほどと言われています。
子猫の場合、成長のために20時間近くも眠るので、1日のほとんどを寝て過ごすことになるでしょう。
そして、起きている時間のうち、数時間をグルーミングに費やしているのだそうです。

ただし、心配なのは、「やり過ぎ」です。
同じ部分だけ延々と舐め続けている場合、皮膚に炎症が起こっている可能性もあります。

また、暇つぶしで舐めすぎていることもありますし、「構ってもらえないのが寂しい」「環境が変わってとにかく落ち着きたい」とストレスからのことも考えられます。

あまりにも頻繁だったり、皮膚が赤くなるまで舐め続けている様子が見られたら、原因を見つめ直し、改善してあげることが大事です。
舐めすぎだと感じたら、おもちゃなどで別のことをさせるのもいいかもしれませんね。


お互いに毛づくろいをし合う「アログルーミング」とは?

アログルーミングする猫

自分でやる「グルーミング」に対し、2匹以上の猫同士がお互いにやってあげるのが「アログルーミング」です。

◆アログルーミングをする理由は?

猫のアログルーミングは、好きな相手限定でやる行動です。
「たまたま近くにいるからやってあげるよ」という気持ちで、よく知らない相手や相性の悪い相手にアログルーミングをやることはありません。

相手に大切な自分の身を任せるわけですから、「敵ではない」「信頼しているよ」という気持ちがなければ、お互いにやることはできないでしょう。
アログルーミングは信頼しているからこその行動なのです。

多頭飼いをしている飼い主さんなら、アログルーミングの様子を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

ただ、すべての多頭飼いの家庭でアログルーミングの様子が見られるかと言えば、そうでもありません。

「うちはまったく舐め合わないよ」「いつも離れた場所にいるよ」ということもあるでしょう。
やはり、一緒に暮らしていても、気の合う相手、仲良しさん同士でしか、アログルーミングはしないようです。

“アログルーミングをしてあげる”のも、“アログルーミングをされて身をゆだねる”のも、「君は仲間だね」「信頼しているよ」「仲良くしてね」という証と言われています。

つまり、多頭飼いをしていて、飼い猫たちがアログルーミングを行っていれば、「仲が良いな~」と安心しても大丈夫です。

もし、新しい猫ちゃんを迎えたばかりでアログルーミングをしていたら、先輩猫ちゃんは後輩猫ちゃんを受け入れたというサインです。
飼い主さんとしては、ホッとする瞬間ですよね。

◆アログルーミングは赤ちゃん期に体験済み

アログルーミングは、どんな猫も赤ちゃん期に体験をしています。

生まれたばかりの赤ちゃん猫は、セルフグルーミングができません。
そのため、どんな猫ちゃんも、初めて自分にアログルーミングをしてくれる相手がお母さん猫なのです。

お母さん猫が赤ちゃん猫にアログルーミングをするのは、愛を伝えることはもちろん、皮膚を清潔にしたり、おしっこやウンチを教えてあげたりなどの理由があります。

このように、赤ちゃん期に親から受けたアログルーミングにより、猫は自分以外の相手と上手く関係を築けることを学習します。

◆セルフグルーミングでは届かないところを中心にアログルーミングをやる

いくら猫が柔らかい体だとしても、絶対に舌が届かない部分はあります。
頭の上、首の裏側、耳などはセルフグルーミングではケアできない部分です。
アログルーミングを行うときは、こういった「自分ではやれないところ」を相手のためにやってあげているようです。

◆性別問わずアログルーミングをするの?

どんな猫でもアログルーミングはしますが、組み合わせ的に少数なのが「オス&オス」。

縄張り意識を本能的に持っているオスの場合、相手を自分の縄張りに入れて受け入れる気持ちがないようです。

オスの場合、本能的に“縄張り”のアンテナが働いてしまうため、相手に自分の体を舐めさせるのは、よほどの信頼関係がなければできないのでしょう。

とは言え、例外もあります。

「物心つく前の赤ちゃん時代から一緒にいた」
「去勢をしていて縄張り意識が薄い」

などであれば、グルーミングが見られることもあるでしょう。

メス猫は、本能的に母性があるので、愛情を持った相手に対してアログルーミングをするケースが多いです。
自分の赤ちゃんはもちろん、相手がオスでもメスでも、好きなら愛情を表現します。

そのため、猫のグルーミングの性別の組み合わせは、メス同士、もしくはメスとオスが多いと言われています。

◆人間にもアログルーミングをする猫ちゃん

猫のアログルーミングの相手は、猫だけとは限りません。

飼い主さんにアログルーミングをしてくるケースも多いです。

髪の毛をペロペロ…、そんな様子が見られたら、愛情表現をしてくれているときです。
敵意は持たれていませんし、むしろ仲間として理解してくれている信頼の証とも言えるでしょう。

こんなとき、飼い主さんはどうやって応えてあげればいいのでしょうか。

人間が猫を舐めるのはちょっと違う感じもするので、愛情を伝えるために体に触れて撫でてあげると喜んでくれるかと思います。

また、猫が飼い主さんを舐める行動は、要求のこともあります。

顔や手を舐められたときは、「お腹がすいたから食事の準備をして」「暇だからもっと遊ぼうよ」「寂しいから近くにいてよ」という催促のケースも多いようです。


猫同士は相手にどうやって気持ちを伝えている?

言葉で相手に伝えられない猫は、体のあちこちを使って、気持ちを伝えます。
猫の習性やあいさつについて見ていきましょう。

◆猫は単独行動の生き物

猫は、野生化では、赤ちゃん期に親猫や兄弟猫と暮らしますが、いずれ独り立ちします。
単独行動で、あいさつをしなくても生きていくことができるでしょう。

しかし、人間と暮らす猫たちは、同居の猫や飼い主さんとのコミュニケーションが欠かせません。

◆あいさつをするときは「鳴き声」「しっぽ」「ニオイ」で

猫が自分以外の誰かに向けてメッセージを伝えるのは、「相手が人間」「相手が猫」で異なります。

猫同士の場合、

・鼻でニオイを嗅ぎ合う
・お互いの体をこすり合う
・しっぽを絡ませる

などで、「信頼しているよ」と表現することが多いです。

飼い主さんへのメッセージは、

・体をすりつけてくる
・一緒に眠ろうとする
・グルーミングをしてくる
・甘えた声を出す
・ゴロゴロと喉を鳴らしてくる

などが見られるでしょう。

猫は、相手のことを信頼して歩み寄りたい場合、このように鳴き声やニオイ、しっぽなどで気持ちを伝えて
きます。


アログルーミングをしていない猫同士の関係性は?

グルーミングは信頼や愛情のサインですが、やらないからと言って、仲が悪いわけではありません。

本当に仲が悪い場合、「近くにいるたびにケンカ」「いつもシャーシャーと威嚇し合う」という様子が見られるでしょう。

つまり、アログルーミングがなくても、穏やかに過ごしている様子だったら、「適度な距離感がある」というだけで、お互いの存在は認め合っているかと思います。

猫の性格は個体差があるので、一緒に暮らしていて大きなバトルがなければ、それほど心配しなくても大丈夫でしょう。
もしかして、ちょっと不器用で照れ屋さんなだけで、相手のことは認めているのかもしれませんね。


まとめ

子猫を舐める母猫

猫はグルーミングで自分自身のケアができる動物です。
セルフグルーミングはどんな猫ちゃんでも見られる行動ですが、ほかの猫にやってあげる「アログルーミング」も猫の習性のひとつということが分かりましたね。

本来、単独行動で仲間意識を持たない猫でも、一緒に暮らしていくなかで相手に最上級の信頼や愛情を持てばアログルーミングをすることもあります。
身を寄せ合ってアログルーミングをしている姿は、飼い主さんをホッと和ませてくれるでしょう。

また、人間にもアログルーミングをしてくる猫ちゃんもいます。
猫ちゃんからの「大好きだよ」のサインです。
気持ちを込めて、こちらの愛情も伝えてあげてくださいね。



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中岡 早苗

中岡 早苗

可愛い猫ちゃん達に囲まれながら、猫の知識や暮らしを日々学んでいます。 学んだ情報はどんどんお伝えしていきます。楽しいネコライフをおくりましょう。


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