1.猫はにんじんを食べても大丈夫?
2.にんじんの栄養価
2-1.β-カロチン(β-カロテン)
2-2.ビタミンB2
2-3.カリウム
2-4.食物繊維
2-5.ビフィズス因子
3.猫ににんじんを与えるときの注意点
3-1.少量を小さく切って与える
3-2.火を通す
3-3.葉っぱは与えない
4.猫が食べられる野菜
4-1.白菜
4-2.レタス
4-3.キャベツ
4-4.トウモロコシ
4-5.キュウリ
4-6.トマト
4-7.カボチャ
4-8.ブロッコリー
4-9.大根
5.まとめ
猫はにんじんを食べても大丈夫?
結論から言えば、猫はにんじんを食べても大丈夫です。にんじんには、猫が中毒を起こすような成分は含まれていません。
では、にんじんが猫の食事に積極的に取り入れたい食材かというと、そういうわけでもありません。本来、完全肉食動物である猫は、基本的に野菜を必要としていませんし、消化器官も野菜を消化する能力が低いからです。
猫は、植物から得られる栄養素を、獲物となる動物の内臓を食べることで摂取していました。しかし、現在のキャットフード(総合栄養食)には、植物から得られる栄養素も十分に含まれているので、あえて猫ににんじんを与える必要はないでしょう。
にんじんの栄養価
猫に積極的に与える必要はないにんじんですが、人にとっては栄養価の高い食材です。それらの栄養価は、猫にとってどんな影響を与えるのでしょうか?
◆β-カロチン(β-カロテン)
β-カロチンは、人間や犬の体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは脂溶性ビタミンの1つで、猫にとっても必要な栄養素ですが、猫はβ-カロチンをビタミンAに変えることができません。そのため、猫はビタミンAを動物性の食べ物から摂取する必要があります。
しかし、β-カロチンそのものに抗酸化作用と免疫賦活作用があるとされており、猫にとっても、その効果が期待されます。
抗酸化作用とは、過剰な活性酸素を減少させる作用のことです。活性酸素にはウイルスや細菌、体内の悪い物質を攻撃して減少させる働きがあり、体に必要なものですが、過剰になると正常な細胞まで攻撃して、老化を進めたり、ガンなどの病気の原因になったりします。
つまり、にんじんに豊富なβ‐カロチンには、病気の予防やアンチエイジングの効果が期待されるのです。さらに、皮膚や粘膜の健康を維持する作用も期待されます。
◆ビタミンB2
にんじんには、ビタミンB2も豊富です。
ビタミンB2には、皮膚の健康維持や被毛の質を高める効果があります。逆に、不足すると乾皮症が起こることがあります。乾皮症は皮膚の乾燥のことで、角質の剥がれが見られ、痒みを伴います。
また、体内の酵素が十分に働くためにも不可欠な栄養素です。この働きにより、効率よくエネルギーを用いることができます。不足すると栄養をエネルギーとして使えず、脂肪として蓄積してしまいます。ビタミンB2を摂取することで、太りすぎの防止が期待されます。
また、「発育ビタミン」とも呼ばれ、体の細胞の再生を助ける働きもあり、子猫の発育にはもちろん、成猫の健康な細胞の再生にも必要な栄養素です。
◆カリウム
にんじんには、カリウムが豊富に含まれています。
カリウムは、体内のナトリウムと互いにバランスを取り合いながら働き、生命の維持に直接かかわるミネラルです。具体的には、
・pHを維持する
・神経や筋肉の刺激を正常に伝える
・余分なナトリウムを排出する
という働きを持っています。
◆食物繊維
食物繊維は、適度に腸を刺激して蠕動運動を促します。
猫は、他の動物に比べて骨盤にある腸の通る穴が狭く、また水分をあまりとらないため、便秘になりやすいです。食物繊維には水溶性と脂溶性の2種類があり、脂溶性食物繊維は腸に詰まってしまう可能性があるので、猫にはあまりよくありません。一方、水溶性食物繊維は、便通を助けるため、便秘解消に効果的です。
にんじんに含まれる食物繊維は水溶性なので、猫の便秘解消効果が期待されます。
◆ビフィズス因子
ビフィズス因子とは、体内で自前のビフィズス菌を作るために必要な因子であり、リンゴやバナナ、にんじんに豊富に含まれていることが明らかになっています。
良い腸内環境とは、ビフィズス菌などの「善玉菌」が優勢になった状態のことなので、ビフィズス因子には腸内環境を整える効果が期待されます。
猫ににんじんを与えるときの注意点
◆少量を小さく切って与える
にんじんの適量
どんな食べ物でも言えることですが、にんじんを与える際にも適量を守ることが必要です。
にんじんの適量は、個体差はありますが、1日に10g~30gです。
また、初めて与える場合には、少量から与え、食物アレルギーが出ないか様子を見ましょう。
【にんじんの与えすぎによる影響】
にんじんにはカリウムが豊富なため、与えすぎると「高カリウム血症」になる恐れがあります。高カリウム血症になると、心臓の機能が狂い、脈拍が不規則になる「不整脈」が発生することがあり、心停止から死に至る場合もあります。そのほか、四肢のしびれや筋力の低下などの症状も見られます。
腎臓病や糸球体腎炎、尿路結石などの病気がある猫の場合、カリウムの排出機能が低下している可能性があり、注意が必要です。
カリウムのほかにもミネラルが豊富なにんじんは、食べ過ぎると尿路結石の原因となることもあります。
また、β-カロチンの過剰摂取は、肝臓に負担がかかる場合があります。
食物繊維を取り過ぎると、消化不良を起こして下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。
小さく切って
にんじんを与える際には、小さくカットしたものを与えましょう。
大きいままで与えると、消化に悪いだけではなく、喉に詰まる可能性があります。喉に詰まると、最悪、死に至ることもあるので、注意してください。
◆火を通す
生のままでは固く、消化に悪いので、必ず火を通してから与えてください。また、加熱するとβ-カロチンの吸収がよくなります。加熱してから細かく刻んでも、刻んだものを加熱しても構いません。
茹でると水溶性の栄養素がゆで汁に溶け出してしまうので、蒸すのがおすすめです。茹でた場合には、ゆで汁も一緒に与えるとよいでしょう。
生のにんじんをすりおろして与えてもよいと言われていますが、消化不良を起こすリスクがあるので、おすすめできません。
◆葉っぱは与えない
にんじんはセリ科の植物です。セリ科の植物は、猫にとって危険だといわれています。猫が口にした場合の中毒症状としては、流涎、嘔吐、口腔灼熱感、胃腸炎、横紋筋の麻痺、頻脈、呼吸困難などがあり、死に至る恐れもあります。
にんじんの葉っぱを与えたことで中毒症状が出たという報告はないようですが、与えない方がよいでしょう。
猫が食べられる野菜
ここでは、猫に与えても大丈夫な野菜についてご紹介します。
どの野菜でも、与えすぎは良くないので、適量を守ってください。また、食物アレルギーが出ないか様子を見ながら、少量から与えましょう。
◆白菜
白菜は、ほとんどが水分であり、消化が良い野菜です。少量であれば、胃に負担がかかることはないでしょう。
アクが少ないため、好きなネコちゃんも多いです。
与える際には、1/4枚分を茹でて刻んだものを与えましょう。茹でると柔らかくなって、より消化されやすくなります。
◆レタス
ほぼ水分で、マグネシウムなども少ないので、水分補給のために与えてもよいでしょう。ビタミンCによる免疫機能の促進や、ビタミンEによる毛艶の維持、アンチエイジング効果が期待できます。
与える際には、生で1/4枚程度を目安にしてください。
◆キャベツ
キャベツにはリンが豊富なので、腎臓に問題のある猫には負担になる恐れがあります。リンはアンモニウムと結合して、ストルバイト結石や尿結石の原因にもなるので、与える場合には注意が必要な野菜です。
健康な猫であれば、茹でて細かくちぎったものを小さじ1杯程度与えると、食べやすく、水分補給にもなります。
◆トウモロコシ
トウモロコシには猫に対する中毒性はなく、与えても大丈夫です。
トウモロコシの粒は小さくて食べやすそうですが、皮が硬く消化されにくいので、茹でたものを5粒程度にしておきましょう。糖分が高く、与えすぎは肥満につながります。
芯をおもちゃ代わりに与えると、かみ砕いて飲み込んでしまい、喉に詰まったり腸閉塞を起こしたりする可能性があるので、芯は与えないでください。
◆キュウリ
ほとんどが水分なので、与えても問題ありません。草に似た青臭さがあり、好きな子も多いようです。
体を冷やす効果も期待できるので、夏場におすすめです。
千切りにしたもの15g程度が目安です。
◆トマト
普通のトマトもミニトマトも、成分に大きな差はなく、実の部分は与えても大丈夫です。
ミニトマトは丸呑みさせないよう、1個を4等分にカットして与えます。普通のトマトは、1/16程度を目安にしましょう。
◆カボチャ
カボチャの味を好む猫は多いようですが、高カロリーなので与えすぎには注意してください。
茹でて皮と種を取り除いた実の部分を、大さじ一杯程度を目安に与えるとよいでしょう。
◆ブロッコリー
ブロッコリーを食べる子も、ネットではよく見られます。
茹でたものを細かく刻んで、小さじ1杯程度を目安に与えます。マヨネーズなどのついたものは与えないでください。
◆大根
大根は、たんぱく質や脂質、炭水化物を消化する酵素が豊富なので、生のまま大根おろしにして与えるのがおすすめです。また90%以上が水分なので、水分補給代わりに与えてもよいでしょう。
ただし、甲状腺に問題のある猫に与えるのは避けましょう。大根はアブラナ科の植物ですが、アブラナ科植物に含まれる「ゴイトロゲン」という成分は、ヨウ素の吸収を阻害すると言われており、甲状腺ホルモンの分泌に影響して甲状腺に負担をかける可能性があります。
まとめ
にんじんには猫にとって中毒を起こす成分は含まれていないので、与えても大丈夫です。消化に悪いので、必ず加熱して小さく切ったものを与えましょう。目安は、1日に10g~30gです。
与えすぎると、高カリウム血症や尿路結石になる恐れがあります。また、食物繊維が豊富なため、消化不良を起こす場合もあるので、適量を守りましょう。
にんじんは、猫にとって危険だと言われているセリ科の植物なので、葉っぱは与えないようにしてください。
適量を守れば、抗酸化作用や免疫賦活作用、皮膚や被毛の健康を守る効果が期待できます。
いつものフードにトッピングしたり、手作り食に使ったりして、上手に取り入れてみてくださいね。
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