【獣医師監修】猫の目の周りが赤いのは心配ない?原因と注意点も

2022.04.22

【獣医師監修】猫の目の周りが赤いのは心配ない?原因と注意点も

ふと見たら猫ちゃんの目の周りが赤くなっている、気になるようで頻繁に顔を洗っているということはありませんか?もし目の周りが赤くなっている、目が開かない、目やにがすごいそんな状態のときはすぐ動物病院へ連れていきましょう。猫の目の周りが赤い原因や治療・予防法などをご紹介します。

猫の目の周りが赤い!原因は?

リラックスしている子猫

猫ちゃんの目の周りが赤い原因で最も多いケースは、ウイルスの感染・細菌の感染です。

ウイルスや細菌に感染すると、目の周りが赤くなる、涙がたくさん出ている、目が充血しているといった症状が現れます。ヘルペスウイルスやクラミジアに感染して、放置してしまうと慢性化してしまい結膜が赤くなる状態が続きます。結膜の炎症は流涙症になる可能性があり、涙が常に出てしまう状態になります。

刺激のある物質が口や鼻から入ってしまったり、直接目に入ってしまうと目の周りが赤く腫れることがあります。特に原因に挙げられるのが「アレルギー」に関連した腫れです。

「目」が赤くなる主な原因のホコリやごみ、アレルギーは、ただのごみならそのうち涙で流れていくから、放っておいても大丈夫かなと思ってしまいませんか?しばらく様子を見るにしても、猫ちゃんの行動を観察してください。気になって仕方ないのか猫ちゃんが目をこすってしまうと傷ができて、そこからウィルスに感染することがあるのです。

◆結膜炎

一言に「目が赤い」といっても、場所によって細かく別れていて瞼、瞼の裏の結膜、眼球のどの部分が赤くなっているのかで原因や症状が変わってきます。

結膜炎は、瞼の裏にある粘膜が炎症を起こしている状態です。猫ちゃんの目が赤くなっている症状で最も多い症状の一つになります。結膜炎を起こす原因としては、異物の混入、睫毛の混入、目の表面の傷、ウイルスや細菌などの感染症、緑内障などが考えられます。

結膜炎を起こしている場合は、なにが原因になっているのかを確認して治療する必要があります。
というのは、細菌性の結膜炎は抗菌薬を点眼すれば症状が改善して治ります。しかし同じ結膜炎でもウイルス性結膜炎には特効薬がありません。感染したウイルスに免疫ができて自然治癒を待つしかなく、抵抗力が弱が弱っていると感染症で失明する危険もあります。

また、細菌性とウィルス性の結膜炎の判断は獣医師におまかせするしかないのです。

猫の結膜炎はどのような症状が出るのか主な症状は次の3つ。

・結膜が充血している
・涙や目やにが出ている
・目の周りがむくんでいる

このような症状が出ます。これらは結膜炎の大事なサインですので、見逃さず動物病院へ連れて行ってあげてください。

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◆ぶどう膜炎

ぶどう膜炎も結膜炎のように、何かしらの刺激(ゴミやアレルギーなど)が原因で罹患してしまう可能性が高い病気です。

眼球内の「ぶどう膜」という部分に炎症が起り目が赤くなります。目が赤いだけではなく、濁りを伴いなってしまうことも多くある症状です。ぶどう膜炎は、目の外傷から引き起こされる以外にも、目以外の体のどこかの感染症が広がることで炎症を起こすこともあります。

また、白内障との関連も指摘されていますし、腫瘍などによっても発症します。これらの原因がわかっているものもありますが、これだという確証のない原因不明の炎症が特発性に起こることもあるのです。

◆角膜炎

角膜炎の症状は、「目の周りが赤い」「目やに・涙が出ている」「目を気にしてこすっている」「不自然に目を細めている」「目が開けられない」などです。

更に「目の周り」が赤くなることも角膜炎の症状として挙げられます。ちょっと不格好なウインクをしているように見える片方の目だけ開けられず、涙っぽい様子も多く見られます。眼球に潤いがなく猫ちゃんがしきりに眼を痛がる、または目を開けられない様子がみられたら角膜炎の可能性があります。

角膜は、眼球内側に光を取り入れる一番外側の透明なドーム状をした膜です。角膜は、角膜上皮、基底膜、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮という5層構造をしています。主な役割は、異物などから眼球を守ることです。

猫風邪や異物などで炎症が起きて目の周りが赤くなるのですが、結膜が腫れてしまい眼球が露出している部分全体をおおってしまい、結膜炎のように見える場合もあります。細菌感染が起こっていると「目やに」も出るため注意しましょう。

角膜炎の原因は、「シャンプー液などの化学物質」が目に入ってしまった場合と、「涙の量が減少する乾性角結膜炎」「猫ヘルペスウイルス性角膜炎」「好酸球性角結膜炎」「角膜黒色壊死症」などがあります。

角膜炎は、猫ヘルペスウイルス感染症との関連も多く、くしゃみや鼻水、結膜炎といった目以外の場所の症状が現れることもあります。様子を見ている間に症状が急激に進むこともあるので注意しましょう。
角膜炎は症状が軽い場合は、症状を緩和させる点眼や軟膏で治療をします。角膜炎は、角膜潰瘍を伴うこともあり、重症になってしまうと手術が必要になることがあります。手術は一般の動物病院で対応できないこともあり、眼科専門の病院へ行かなくてはいけない場合もあります。

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◆アレルギー

猫も人間と同じように様々なアレルギーを持っています。特定の食物に対するアレルギーや、ハウスダスト、紫外線などが原因で個体差がありますがアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。

人間のスギ花粉症に見られるような目の周りが赤く腫れる、かゆみがあるといった症状が猫にも起こります。まずは、動物病院で他の病気かアレルギーかの判断と、アレルギーなら何にアレルギー反応を起こしているのか突き止めることが治療の第一歩です。

◆眼瞼炎

眼瞼(がんけん)は、まぶたのことです。まぶたの炎症を眼瞼炎といい、やはり目の周りが赤く腫れてしまいます。まぶたの炎症は、まつげが抜けてしまったり化膿してしまうことも多いため放置してはいけません。

眼瞼炎の特徴的な症状は、涙がたくさん出てまばたきも多くなります。目の周りが赤く、うるうるした目でぱちぱち瞬きが多いなと感じたら動物病院へ行きましょう。

眼瞼炎の原因は、「まぶたにできた裂傷」「ドライアイ」。涙が過剰に出ることで涙の成分によって皮膚炎を起こす「流涙症」、「角膜炎」などです。

また、真菌や寄生虫が原因のこともあります。眼瞼炎はまず引き起こしている原因を突き止め、治療をしましょう。原因の症状が治まれば自然に眼瞼炎も治まります。


猫の目の周りが赤い時は動物病院へ

猫は外傷や不調な部分があるとすぐに舐めたり引っかいたりします。そのことで余計症状を悪化させてしまうこともあります。目の周りが赤いときは、悪化させてしまわないよう動物病院へ行きましょう。

連れて行くまでに気にして目を触っているようなら、エリザベスカラーをつけて触らないように工夫してくださいね。

◆何らかの異常があるのですぐに病院へ

様々な原因と症状をお話しましたが、すぐ動物病院に連れて行ったほうがいいケースについてご紹介します。

・涙がたくさん出ている
・目を開けていられない
・触れようとすると避けるまたは怒る

このような症状がある場合は動物病院へ行くサインです。

避けたり怒るといった状態の猫ちゃんは、痛みがひどいことが予測されます。角膜炎や角膜に傷ができていると、放置したことで失明してしまうこともあります。

たとえ軽症であっても気にして目をこすると、角膜の表面を傷つけて白く濁ってしまったり、眼球が破裂してしまうといったケースもあります。様子を見ていて手遅れになる前に、早く動物病院に連れて行きましょう。

◆他に出ている症状を把握しておく

目やに・涙・かゆがっているなど

猫ちゃんの「目が赤いけれど目はしっかり開いている」「涙や目やには出ていない」場合は、緊急というわけではないので1日様子を見てもいいかもしれません。しかし経過を観察していて、「充血」してきたり、涙が多くなる、目がしっかり開けられなくなったらすぐに動物病院に連れて行きましょう。その時症状をまとめておくと診療に役立ちます。

目の周りが赤くなっている以外の症状を確認しておきましょう。

・目がしょぼしょぼしている
・目やにが多い
⇒角膜炎の可能性があります。

・涙がたくさん出る
⇒常に涙を流している「流涙症」という病気の可能性があります。
流涙症の原因は、睫毛異常や鼻涙管閉塞、眼瞼内反症、角膜潰瘍、アレルギーなどがあります。

・「目」が赤い、充血している
⇒異物が入った、外傷や打撲、アレルギーが考えられます。

・瞬膜が出たまま
・瞬膜が赤やピンク色・腫れがある
⇒チェリーアイ・炎症・ホルネル症候群・腫瘍・体調不良や脱水などによる全身状態の悪化が考えられます。


猫の目の周りが赤い時の治療法

見つめるキジトラ猫

◆目薬を使用する

市販の目薬で対応せず、動物病院で原因を確定させて処方してもらってください。以前同じような症状で処方された目薬があったとしても、再発なのか別の原因なのか自己判断してしまうのは危険です。処方を誤った目薬を使ってしまうと、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

必ず診療して処方された目薬を使いましょう。目薬には点眼薬と塗り薬があります。

◆目薬の差し方

一般的に目の病気の治療では、目薬が処方されることが多いです。人間でさえ目を開けたまま点眼するのが難しいのに、猫ちゃんへの点眼は容易なことではありませんね。猫ちゃんの目薬の点眼のコツをまとめましたので、参考にしてください。

<基本的な目薬のさし方>

注意1 正面を向いて点眼するのはNGです。

1)まず、視線が合わないように猫ちゃんを後ろから抱きかかえましょう。
2)片手で猫ちゃんの顔を動かないように支え、もう片方の手で目薬を持ち準備します。
3)猫ちゃんの顔を上に向かせて、「おでこ」の皮膚を優しく上に引っ張ります。目を開けさせようと「まぶた」を上下に引っ張る必要はありません。
4)猫ちゃんの目が開いたら、目尻側にすばやく目薬を1滴落として終了です。

注意2 目薬は目頭に点眼すると鼻やのどへいってしまう可能性があるのでNGです。

<嫌がって暴れる時>

爪切り、歯磨きなど猫ちゃんが嫌がるケアは多いですが、点眼は最もハードルが高い内容です。動いてしまわないようにバスタオルや目の荒い洗濯ネットで体を保定してみてください。

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猫ちゃんに点眼するときは手を洗い、清潔にしてください。
目薬は雑菌が繁殖しやすく、光や温度に敏感です。保管はしっかり蓋をして、薬の保管方法(常温・冷蔵など)を守り保管をしましょう。

◆日頃の目のお手入れの注意点

普段から目やにが少し出ていて、特に気にもぜすこすらないので目頭に固まったままという子もいます。そんな目の周りの汚れをケアするときは、乾いたティッシュペーパーを使わないでください。

乾いたティッシュペーパーで強くこすると、柔らかい目の周囲の皮膚を刺激してしまい赤くなってしまうことがあります。また、目を開けているときだと目に当たってしまい、角膜を傷つける可能性もあります。

猫ちゃんの目を拭くときは、ノンアルコールのウェットティッシュや、湿った柔らかい布などでまぶたを閉じさせるように上から下に向かって拭きましょう。

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まとめ

猫ちゃんの目の周りが赤い、充血しているときは、病気が原因の場合があります。涙がたくさん出る、目やにが出て目が開かない、腫れているなどいつもと様子が違う場合は早めに動物病院へ行きましょう。病気によっては重症化するおそれがあります。

猫ちゃんは体の不調をよほどの重症にならないと表に出しません。早期発見・早期治療のために、飼い主さんが普段から観察することが大切ですね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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にゃんこ

にゃんこ

長年一緒に暮らした長女猫(17歳)と長男猫(11歳)を看取り、今は脱走癖のある次男猫とちょっとどんくさい次女猫と暮らしています。

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