【獣医師監修】猫の耳にはげができている!脱毛を誘発する4つの原因とは!?

2023.10.28

【獣医師監修】猫の耳にはげができている!脱毛を誘発する4つの原因とは!?

自らの気持ちを表現する可愛らしい猫の耳ではありますが、そんな愛らしい耳に「はげ」ができていたらどうでしょうか。 私たち人間では毛が抜ける脱毛症を患ったときは、ストレスが主な原因となりますが、猫の耳がはげていた場合も、ストレスによってそのような症状が出ているのか、気になってしまう方は多いことでしょう。 猫の耳がはげる原因は何なのか、病気の可能性はあるのかなど、猫のはげに関しての疑問をまとめてみました。

猫の耳にはげが出来てる原因

1328246_s

猫の耳は皮膚が薄く、短い被毛が表面を覆っているため、はげているとなると目につきやすくなり、一緒に暮らしている飼い主さんであれば、すぐに気づいてあげられることでしょう。

猫には春と秋の2回換毛期があるため、その時期に全体の被毛が抜けることは正常となりますが、身体のどこか一部分だけが、はげて皮膚が露出するほど被毛が抜け落ちている場合は、何かしらのトラブルが猫の皮膚上で起きている証拠です。

身体の部位の中でも耳は皮膚が薄いため、何かしらの影響を受けやすくなっています。

猫の耳にはげができるきっかけは、以下のような原因が多いと考えられているようです。

◆紫外線の当たり過ぎ

家の中に居ても時間の経過とともに場所を移動するほど、猫は陽の光を浴びることが大好きですよね。

しかし、太陽からの日射しは「紫外線」と呼ばれる、目には見えない波長の短い光線を放っています。

この紫外線は猫に対しても被害をもたらし、被毛があまり生えていない皮膚や色素が薄い皮膚といった部位に、作用して皮膚炎を起こします。

とくに色素が薄い白猫や、色素の薄い皮膚を持つ猫などは症状が表れやすく、火傷のように皮膚が赤くなり、腫れたり発疹ができたりすることによって、強い痒みを伴うようです。

そのため、猫は自分の耳を執拗に後ろ足で掻くようになり、炎症が進行すると皮膚が剥がれ落ちる、壊死することなどがあります。

●あわせて読みたい
猫ちゃんにとっても紫外線は危険!!日光皮膚炎の症状、治療法とは?

猫ちゃんは、比較的、窓際や縁側などで日向ぼっこをすることが好きな子が多いです。お外にお散歩!という猫ちゃんもいると思います。しかし、私たち人間も同じですが、夏の強い日差しを浴びると日光皮膚炎という皮膚病になる危険性があります。この日光皮膚炎について、紫外線のお話を含めて、どんな病気なのか、その症状やどんな猫ちゃんに発症しやすいのか、予防方法などをまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

記事はコチラボタン

◆ダニ・カビ

家の中にはダニやカビなどが多く潜んでおり、それらの脅威によって猫が脅かされることもあります。

ダニやカビによって猫の耳がはげるのは、なんとも不思議な感じがしますが、湿度の高い耳周りはそれらの住まいとして快適な環境とも言えるのです。

ダニに寄生されると強い痒みが伴い、重症化すれば搔きむしって出血し、さらなる感染症が併発する恐れがあります。

カビが発生するのは耳だけでなく、顔周りや手足などにポツポツとしたはげが見られ、次第にかさぶたになる場合や、カサカサしたフケなどが目立つようになるそうです。

◆ストレス

人間の脱毛症と同じように、猫のはげもストレスが引き金となって起きることがあります。

体調不良や栄養が不足すると被毛に栄養が行き渡らなくなり、パサつきだけでなく抜け毛が増えていくように、毛根組織に対して免疫機能が正常に働かなければ、異常を来たすことは当然ですよね。

この免疫機能の異常を発生させる要因こそが、肉体的、精神的なストレスが素因と考えられるため、猫も人間と同じように感情があることからも、日常生活の中で強いストレスを受ければ、耳などの皮膚の薄い部分がはげても不思議ではありません。

ストレスは心の病気と思われていますが、すべての病気の根源とも言えるので、たかがストレスとして見過ごさないようにしましょう。

◆アレルギー

昨今では猫をはじめとしたペットのアレルギー発生率が、増加傾向にあると言われています。

猫がアレルギーを発症すると、主に皮膚炎といった症状が出やすく、初期症状では顔周りのような被毛の短い部位に痒みが生じ、その後全身へと広がっていきます。

慢性的な痒さが続くため、しきりに耳を掻くことによって脱毛が進み、はげができやすくなるといった仕組みです。

ほかの原因と同じように掻きすぎれば、炎症を起こして出血をし、完治できないまま別の感染症を併発する恐れもあるため、ただのはげだと思って見過ごさないようにしてください。


猫の耳にはげが出来てるのは病気の可能性もある?

猫の耳がはげる原因として考えられるのは、病気がもとから関係しているケースもあります。

以下のような病気を患っている場合は、はげといった脱毛以外にも別の症状が出ていることが多いため、しっかりと見極めるようにしましょう。

◆皮膚糸状菌症

猫にはげができる原因として、カビがきっかけとなるケースを前述しましたが、原因となるカビの種類はいくつかあり、その一つが「皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)」と呼ばれるカビです。

このカビは猫カビとも言われ、人間でいうところの「水虫」のようなものとなり、水虫と同様で根気のいる治療が必要となります。

初期症状としては皮膚に赤みが出るようになり、次第に白いブツブツとしたニキビのようなできものが出始め、その後まとまった毛の塊が皮膚から浮き上がり、赤い円状のはげを残して耳や手、鼻の上などから脱毛していき、徐々に脱毛範囲が全身に広がっていくようです。

免疫機能が低下していなければ、痒みを伴うことなくフケが一緒に出る程度ですが、免疫が弱り細菌感染をともなってしまえば、全身を強い痒みが襲います。

皮膚糸状菌症は猫同士間だけでなく、人間にも移る「人獣共通感染症(ズーノーシス)」となるため、この病気を疑った時点での早期治療が望ましいと言えるでしょう。

治療法は抗真菌薬といった内服薬を使用した全身療法、塗り薬を使用する外用療法などが用いられます。

◆皮膚真菌症

猫に寄生するカビ(真菌)が原因となる疾患の中には、皮膚糸状菌症だけでなく、「クリプトコッカス症」「ヒトプラズマ症」「カンジダ症」などの疾患も存在します。

これらの真菌が原因となる総称を「皮膚真菌症」と呼びますが、耳といった局所的に感染するものから、全身に感染するものまでさまざまです。

皮膚糸状菌症と同じく、はげやフケなどが主な症状となりますが、真菌によっては膿瘍、潰瘍などが見られたり、呼吸器異常が見られたりすることもあり、感染した部位によってさまざまな症状が出やすいといった特徴があります。

基本的には抗真菌薬を投薬して、治療を進めていくことが一般的です。

●あわせて読みたい
【獣医師監修】猫カビ(皮膚真菌症)は人にうつる!症状や治療法は?

「猫カビ」というものをご存知でしょうか?猫にカビが生える、と聞くと怖い感じがしますよね。猫にカビが生えるのは、「皮膚真菌症」または「白癬」という病気の1つです。皮膚病は命にかかわることは少ないのですが、実は猫にとってなかなかやっかいな病気のひとつとも言えます。 今回は、なぜ猫カビが生え、どのような症状が現れるのか、人にうつることはあるのか、また、猫カビの治療法についてもご紹介します。

記事はコチラボタン

◆ミミヒゼンダニ

カビと同じくダニによる感染も耳にはげができる原因となりますが、主に「外耳道(がいじどう)」と呼ばれる耳の穴から鼓膜までの間に寄生するのが、「ミミヒゼンダニ」と呼ばれるダニです。

特徴的なのが真っ黒な耳垢となり、異臭を放ちひどい痒みをともなうことから、執拗に後ろ足で耳を掻いたり、頭を振ったりするような仕草を見せるようになります。

その痒みに耐え切れず掻きむしることから、耳周辺が傷だらけとなってしまい、化膿すれば外耳炎へと進行していき、耳に血液が溜まれば耳血腫といった疾患を併発します。

ミミヒゼンダニの治療法は適切な掃除を行い、駆除薬を用いてミミヒゼンダニを死滅させますが、素人が綿棒などで耳垢を取ろうとすると、外耳道を傷つける恐れもあるため、ガーゼなどで優しく拭き取る程度に留め、動物病院で続きの処置をしてもらうようにしましょう。


痒がっていないのにはげができている理由は?

猫のはげは痒みがともなっているのか、ともなっていないのかも重要なサインとなります。

グルーミングを日課としている猫は、毛づくろいをしているのか、引っ搔いているのかの見分けが難しいため、外傷ができるほど搔いている場合には、何かしらの原因があると考えて良いでしょう。

基本的にかゆがっていないのにはげができているときは、年齢といった老化で被毛が薄くなっていることが考えられます。


猫の耳がはげてたら病院に連れて行った方が良い?

animal-4812972_640

愛猫の耳にはげができていたら、まずはかゆがっているのか、かゆがっていないかの確認をするようにしましょう。

かゆがっている様子がなければ、そのまま経過観察でもかまいませんが、やはりかゆがる様子が見られる場合は、原因を追究して早期治療を行うべきですよね。

かゆみは精神的疲労にも繋がりますし、放っておけば鋭利な爪で耳が傷つき、別の病気を併発する可能性があるからです。

飼い主さんにできる予防法は、ストレスの発散ができるように爪とぎを多めに設置する、爪を鋭利な状態にしないためにも爪切りといったケアをする、爪とぎも爪切りも効果がない場合はエリザベスカラーを使用するなどではないでしょうか。

愛猫の性格を考慮した上で、適切な予防法を選び、辛いかゆみやはげといった症状から解放させてあげましょう。


まとめ

愛猫の耳にはげができているのを見つけた場合、何が原因で脱毛しているのか、不安になってしまう飼い主さんは多いはずです。

猫の耳は音を聞く以外にも、平衡感覚や感情表現といった役割を担うため、身体の中でも重要な部位であることが分かります。

耳がはげているのを見つけた場合には、まずかゆがっているのかいないのかを確認し、脱毛以外の症状が出ていないかを追究するようにしてください。

万が一かゆがっている場合は、何かしらの原因が隠されているため、判断が難しいと感じたときは早急に動物病院を受診し、獣医師さんに正しい治療を行ってもらうようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

<<コジマ動物病院 獣医師が監修した記事一覧はコチラ>>



– おすすめ記事 –

・【獣医師監修】猫は皮膚病にかかりやすい?4つの原因を認識して対策をしよう!
・【獣医師監修】皮膚病と勘違いしがちな猫の扁平上皮癌ってどんな病気なの?
・猫の皮膚病「スタッドテイル」の症状、原因、対処法は?
・【獣医師監修】愛猫にハゲができた!脱毛の症状が出やすい猫の厄介な病気5選


focebookシャア
ツイート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

関連するキーワード


記事に関するお問い合わせはこちら