【獣医師監修】猫の後ろ足に力が入らない時の考えられる3つの原因とは!?

2023.11.25

【獣医師監修】猫の後ろ足に力が入らない時の考えられる3つの原因とは!?

俊敏でバランス感覚の優れた猫ではありますが、そんな猫が後ろ足に力が入らないような様子を見せたときは、何が原因なのか、病気の可能性はあるのかと、心配になってしまう飼い主さんは多いことでしょう。 とくに突然そのような症状が現れたときには、緊急性の有無の判断や、すぐに動物病院へ連れていくべきか、と悩まれる飼い主さんがほとんどだと思われます。 後ろ足に力が入らない状態のときや、歩行をしづらそうにしている場合には、どのような原因が隠れているのかをご紹介させていただきます。

猫の後ろ足に力が入らない時の症状

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猫も高齢になればなるほど、身体に不調が現れやすくなり、筋肉や関節の衰えなどによって歩行が困難になっていくことはよくあります。

しかし、普段元気な猫ちゃんやまだ若い成猫などに、突然後ろ足に力が入らないといった様子が見られれば、原因が何だか分からず心配になってしまいますよね。

愛猫がこのような仕草を見せたときには、多少様子をみたとしても問題がないのでしょうか。

◆様子見の場合

急に愛猫の後ろ足に力が入らなくなったときは、どの飼い主さんも驚かれるはずですが、そのときだけなのか、今後も後を引きそうなのかの判断が重要となってきます。

緊急性が高いのに様子を見てしまうようなことがあれば、それこそ症状が悪化して命に係わる危険性もありますし、正直なところ素人判断はとても難しいと言えるでしょう。

後ろ足に力が入らない様子が見られるときにはまず、そのほかに気になる症状が出ていないかの確認をしてください。

体調や身体のチェックと合わせて、元気があるのか、食欲はあるのか、排せつを問題なく行えているか、という点も確認するようにしましょう。

健康面に異常がなく、どちらか片方の後ろ足に力が入らない様子であれば、どこかにぶつけた場合や、足の裏をケガしている場合が多いため、一過性のものとして様子を見ても構いません。

ケガの場合は軽度であれば自然治癒する可能性が高く、緊急性が低いとも言えるため、数日様子を見て改善しなければ動物病院を受診するようにしてください。

◆病院の受診を勧める場合

愛猫の後ろ足に力が入らないだけでなく、そのほかの症状が併発している場合は、緊急性が高い証拠です。

数日間様子を見るようなことはせずに、すぐにでも動物病院を受診するようにしましょう。

併発される症状としては、以下のようなものが挙げられますので参考にしてみてください。

・後ろ足が動かず、立ち上がることができない
・後ろ足を引きずって歩く
・後ろ足が冷たくなっている
・痙攣(けいれん)や麻痺が見られる
・食欲がない
・大きな声で鳴き続ける
・呼吸が荒い
・ぐったりしている(意識がない)

後ろ足に力が入らないといった症状と、これらの症状が併発しているようであれば、猫ちゃん自身はとても辛い思いをしているため、早急に原因を突き止めて適切な治療の開始が必要となります。

特にぐったりとしていて意識がない場合は一刻を争うため、夜間であっても緊急で診てもらえる動物病院へ連れていくようにしましょう。


猫の後ろ足に力が入らない原因

後ろ足に力が入らなくなる原因は多く考えられるため、素人判断では難しいと言えます。

しかし、どのような原因が考えられるかを事前に知っておくことにより、飼い主さん自身がパニックにならずに冷静な行動ができるはずです。

まずは猫の後ろ足に力が入らなくなる原因を知って、理解を深めておきましょう。

◆足や腰の疾患・怪我

猫の後ろ足に力が入らない原因としてまず挙げられるのは、日常的に起こりやすいケガや足腰の疾患となります。

特に高所からの落下やジャンプの失敗による、「捻挫」「骨折」「脱臼」などは、室内で暮らしている中でも注意が必要となりますが、見た目での判断がしやすいため、飼い主さんでも比較的特定しやすいと言えるでしょう。

関節が外れる脱臼の中でも、「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」は、軽度であれば膝蓋骨が自然に元の位置に戻ることがありますが、重症化していれば膝蓋骨が正常の位置に戻らず、腫れや痛みをともなって不自然な歩き方となるため注意が必要です。

また、「足裏のケガ」も猫は患いやすく、その理由として肉球には被毛が生えていないため、常にむき出しの状態であることによって、皮膚炎や擦り傷、火傷、巻き爪などといったケガを負いやすくなっています。

足腰の疾患では「関節炎」「椎間板ヘルニア」が挙げられ、加齢だけでなく、肥満、事故、外傷による関節や骨への衝撃などが原因で発症しやすいため、常日頃から愛猫がケガなどをしないような生活環境を整えておくことも大切です。

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◆病気

足や腰特有の疾患、ケガだけでなく、別の病気を患っていることによって、猫の後ろ足に力が入らないといった症状が出るケースもあります。

特定の病気が原因の場合には、早期発見、早期治療が重要となるため、愛猫の様子がおかしいと思ったときにはすぐに動物病院を受診するようにしてください。

後ろ足に力が入らないといった症状が出やすい病気は多く存在しますが、猫では「脳疾患」「神経疾患」「重症筋無力症」「心筋症」「糖尿病」などが挙げられます。

脳腫瘍や脳炎などの脳疾患は神経関係の症状が現れやすく、歩行が困難になるといった症状が出やすいようです。

神経疾患もさまざまな種類がありますが、「特発性多発神経根障害」であれば、初期症状で後ろ足にしびれが出やすいと言われています。

重症筋無力症も神経症疾患の一つとなりますが、神経から筋肉への信号がうまく伝わらず、正常に筋肉が動かなくなってしまうため、後ろ足に力がはいらないといった症状が出てしまうことも否めません。

心筋症もいくつが種類はありますが、猫でよく見られる「肥大型心筋症」を患うと、血管に血栓ができて詰まる「動脈血栓塞栓症」を引き起こしやすいため、後ろ足の麻痺だけでなく、激しい痛みをともないます。

また、血中の糖が増える病気の「糖尿病」でも、後ろ足に影響が出る可能性が高く注意が必要です。

ほかにも、何かしらの病気によって「貧血」といった症状が出ているときには、後ろ足に力が入りづらくなることがあるため、さまざまな方向から愛猫の様子を確認するようにしてください。

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◆高齢による筋力低下

猫も人間と同じように高齢になるにつれて筋力が低下し、身体のさまざまな機能が衰えていくため、今までには見られなかったような症状が現れるようになります。

加齢によって筋肉量が減少し、それにともなって筋力も低下していきますが、猫の場合は後ろ足がほかの部位に比べて衰えやすいとも言われているため、身体のさまざまな部位に負担をかけないような環境作りも大切です。

眠る時間が必然的に増える高齢猫ではありますが、若いときから適度に運動をさせる工夫を心掛け、運動不足解消に繋げるようにしましょう。


かかりやすい猫種

猫の後ろ足に力が入らなくなる原因はケガや病気、老化などとさまざまではありますが、純血種によってはかかりやすい猫種も存在するようです。

遺伝性から猫種によってかかりやすい病気が分かっていますので、以下の猫種を飼育している場合には、発症しやすい病気をしっかりと把握しておき、日常的に観察をしながらケアをしていきましょう。

・膝蓋骨脱臼…アビシニアン・デボンレックス
・椎間板ヘルニア…マンチカン・メインクーン
・重症筋無力症…アビシニアン・ソマリ
・肥大型心筋症…メインクーン・ラグドール・アメリカンショートヘア


猫の後ろ足がおかしいと思った時の対処法

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猫の後ろ足に力が入らないと気付いたとき、すぐに動物病院に連れていくべきか、様子を見るべきか悩まれる飼い主さんは多いことかと思います。

見た目ではっきりとわかる擦り傷や切り傷、火傷のような足裏のケガであれば、素人でも判断しやすいと言えますが、病気が原因によって異変が起きている場合には、原因を特定することが難しく、たくさんの検査が必要になる場合も否めません。

軽度のケガの場合は可能な限り適切な処置をして、数日様子を見ても構いませんが、飼い主さん自身で処置ができず原因の判断ができないときは、早急に動物病院を受診するようにしてください。

その際には後ろ足に負担をかけないように、クッション性の高いタオルや毛布などを用いて、安全に動物病院まで運ぶように心掛けましょう。


まとめ

猫の後ろ足に力が入らないといった症状が出た場合、明確な原因が分からなければ、不安な気持ちでいっぱいになってしまう飼い主さんは多くいらっしゃるはずです。

足裏の軽度なケガであれば応急処置も可能となりますが、目に見えない病気が原因の場合には、原因追及が困難となる上に、早急に病院に連れていかなければ命に係わることもあるため、安易な気持ちで様子見ができない危険な状態と言えるでしょう。

歩行が困難な状態が続くということは、日常生活の色々な場面で支障が出ますし、その煩わしさからストレスを抱えてしまう可能性も少なくありません。

軽度であっても早急に適切な治療を行うことによって、症状が改善する時間も早まりますし、その分猫ちゃんが辛い思いをする時間も短くなるため、どのような場合であっても後ろ足に力が入らないときは、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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