【獣医師監修】猫の肉球が冷たいのはなぜ?知っておきたい原因とチェック方法と対策

2023.12.31

【獣医師監修】猫の肉球が冷たいのはなぜ?知っておきたい原因とチェック方法と対策

猫のかわいさのひとつとも言える肉球。そんな肉球に触れたとき「えっ冷たい!」と感じたら、何かの病気ではないか?と心配になってしまいますよね。フローリングの上を歩いたすぐあとなどは、一時的に冷たくなっていることもありますが、肉球は冷たくても大丈夫なものなのでしょうか?今回は冷たくなる原因や冷たくならないようにするための対策、病気かどうかのチェックポイントなどを詳しくご紹介します。

猫の肉球が冷たいけど大丈夫なの?

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肉球を見たら、かわいくて思わずもふもふしたくなる飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そんな愛猫の肉球をもふもふしているとき「あれ?肉球が冷たい!」と気づいたら、普段意識していなかったのに、急に不安を感じてしまいますよね。

肉球は毛が生えておらず直接床と接触するので、床の温度の影響を受けやすい部位です。
そのためフローリングの上を歩いたあとなどは、肉球が冷たいことがあります。
この場合は一時的なもので、暖かい場所に行くと徐々に温まっていくので心配ありません。

また冬の寒い時期は夏に比べて冷たいことがありますが、これも普通のことなのでご安心ください。

ただ、時間がたっても冷たいままの場合や、あまりにも冷たすぎる場合、その他体調不良が疑われる場合は少し注意が必要です。それについては後ほど詳しくご紹介します。


猫の平均体温

猫の平均体温は38℃から39℃程度で、人間より少し高めの体温です。
子猫の場合は成猫より少し高め、老猫は少し低めの傾向があります。
実際に肉球を触ってみると、「熱くも冷たくもない」と感じることが多いようです。
これは肉球が体の末端にあり皮膚も分厚いので、体温の影響を受けにくいためです。

猫が眠たいときや、運動後すぐなどはいつもより温かくなることもあります。また夏と冬でも、肉球の温度に違いを感じます。


猫の肉球が冷たい理由

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床の温度や季節による温度差で肉球が冷たくなることがあるとご紹介しましたが、それ以外にも体温が低下している場合などに肉球が冷たくなることがあります。

ここでは、肉球が冷たくなる理由について詳しくご紹介します。

◆低体温

体全体が冷えて低体温になっている場合、肉球が冷たくなることがあります。
肉球は体温の影響を受けづらいものの、体温が下がるとそれに応じて肉球も冷たくなります。

低体温の原因はさまざまですが、寒い場所に長時間いたり、体が濡れていたりすると体温が下がることがあります。

通常であればひなたぼっこなどで温まると体温も元に戻ります。
体温が低い状態が続くと体力を消耗してしまい、免疫力が低下する危険がありますので、すぐに温めてあげましょう。

注意が必要なのは腎不全が原因で低体温になっている場合です。その場合は肉球だけでなく体全体が冷えていたり、多飲多尿や嘔吐などの症状が出たりすることがあります。そのような症状がある場合はすぐ動物病院を受診しましょう。

◆冷たい場所にいた

冷たいフローリングの上や暖房の効いていない部屋などにいたとき、一時的に肉球が冷たくなることがあります。

これは肉球に毛が生えておらず直接床と接触するので、床の温度の影響を受けやすいためです。

この場合温まれば元の体温に戻りますので、少し様子をみてみましょう。

◆貧血

貧血によって手足が冷え、その影響で肉球が冷たくなることがあります。

原因はさまざまですが、貧血は病気が隠れていることもあります。
肉球が冷たい以外に、

◎歯茎などの粘膜が白っぽい
◎食欲が低下
◎元気がない
◎疲れやすい

上記のような症状がある場合は一度、動物病院を受診してみることをおすすめします。

◆心臓病

何らかの原因により血液中に血栓ができてしまった場合、血の巡りが悪くなり手足の先まで血流が届かなくなることで、肉球が冷たくなることがあります。

その場合、食欲不振や元気消失、呼吸の乱れ、歩行困難などの症状がみられます。
また血の巡りが悪いときは肉球が白っぽくなることも。
ですが、肉球の色や温度だけで心臓の病気かどうかを判断することはできないので、気になる症状がある場合は獣医師に診察してもらいましょう。

◆ケガによるショック状態

事故などで大きなケガをしたときに、ショック状態になって体温が急激に下がってしまうことがあります。
出血などがない場合でも、体の中での異常や骨折など見た目ではわからないケガを負っていることも。

食欲不振や嘔吐、下痢その他さまざまな症状が現れます。
ショック状態の猫は冷たい場所に行きたがることもあるようです。

もし高いところから落下してしまった場合などは、一見ケガがなくても様子をみていつもと違うようなら念のため動物病院の受診がおすすめです。


肉球が冷たいときのチェックポイント

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肉球が冷たくなるのはさまざまな理由がありました。
愛猫のためにも、危険な場合とそうでない場合をチェックしてあげたいですよね。
ここでは肉球の冷たさと併せて、危険かどうかをチェックするポイントをご紹介します。

◆健康な肉球とは

健康な肉球は触ってみると、熱くも冷たくもないことが多いです。
眠たいときや起きてすぐ、運動をしたあとなどはいつもより温かく感じることもあります。
また冷たいフローリングを歩いたあとや冬場の寒い時期は肉球が冷たくなることがありますが、通常のことなので心配いりません。

肉球が冷たくなっている場合、まずはそれが一時的なものかどうかというポイントが大切になります。
少し温めてみて、肉球の温度変化を確認してみましょう。

日頃から肉球を観察してあげることで体調不良のサインに気づけることもあります。
とくにシニア猫や持病がある猫の場合は、定期的に触る機会をつくるのがおすすめです。

◆注意したい症状

先ほどご紹介した内容も含め、注意したい症状をまとめてご紹介します。

まず、貧血の場合
●歯茎などの粘膜が白っぽくなる
●食欲低下
●元気消失
●疲れやすい

などの症状がみられることがあります。

心臓病の場合は
●食欲不振
●元気消失
●呼吸の乱れ
●歩行困難

などの症状が現れる可能性があります。

そのほかに
●おしっこの量が少なく色が濃くなっている
●咳をしている
●えずいている

などの症状がみられた場合は、何らかの病気の可能性もありますので早めに動物病院を受診してみてください。


猫の肉球が冷たい時の対処法

猫の肉球が一時的に冷たくなったときや冬の寒い時期などに、肉球を温めたりケアしたりしてあげる対処法をご紹介します。

◆湯たんぽやカイロなどで温める

まずはシンプルに温めてあげるという方法です。
湯たんぽやカイロ、ペット用ヒーターなどで猫の体を温めてあげましょう。
低温やけどをしてしまう可能性があるので、タオルに包んでから温めるなど直接触れないようにしてあげると安心です。

◆肉球ケアをする

ブラッシング

ブラッシングは、抜け毛を取り除いたり毛並みを整えたりするだけでなく、血流改善に役立ってくれるので肉球ケアとしてもおすすめです。
ブラッシングが苦手な猫ちゃんの場合は、飼い主さんの手でハンドブラッシングをするようになでてあげましょう。

肉球マッサージ

肉球マッサージは、肉球を飼い主さんの指で優しくゆっくりクリクリとまわすようにマッサージします。
気持ちがいいと、猫ちゃんはうっとりした表情をすることも。
ですが手足を触られるのは苦手な猫ちゃんも多いので、嫌がる場合は無理にしないようにしましょう。

肉球専用のクリーム

冬の乾燥する時期は、猫の肉球も乾燥します。
そんなときのために、肉球専用のクリームがあります。
シニア猫はとくに乾燥しやすいので、クリームを塗って、併せて肉球の温度確認やマッサージもしてあげられるのでいいですね。

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暖かい場所づくり

普段猫が過ごしている部屋やくつろぎスペースを暖めてあげます。

暖房器具を置いて、普段部屋全体を暖めてあげたり、猫がよく寝ているスペースなどがあればそこに段ボールや猫用ベッドなど保温性のあるものを置いてあげたりしましょう。

部屋を暖める際は、猫が暑がったときに逃げられるよう涼しい場所も準備してあげてください。

そのほかにも、寒いときにもぐりこめるような、毛布やブランケットを置いてあげるのもいいですね。

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まとめ

今回は猫の肉球が冷たくなる理由や、冷たくても問題がないかどうかのチェックポイント、温める対処方法などをご紹介しました。

猫の肉球が冷たくなるのは一時的にはよくあることなのがわかりました。
温めてあげたあと少し様子をみても冷たいままの場合は、その他症状がないかよく観察してあげましょう。

もしチェックポイントに気になるものや、その他何か異変を感じた場合は動物病院を受診してください。

普段から肉球を触っておくことで、普段の肉球の温度や状態を知ることができるので、定期的に肉球のチェックや血流改善マッサージをはじめてみるのもいいかもしれませんね。

肉球を触られることが苦手な猫ちゃんもいますので無理にはできませんが、何度か触っていると徐々に慣れて触らせてくれるようになることもあります。

無理のない範囲で肉球の確認をして、飼い主さんもぷにぷにを楽しみつつ健康管理をしてあげてくださいね!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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