なぜダルメシアンは難聴になってしまう?
毛色や皮膚の色、そして瞳の色などはメラニンという色素によって作られています。人間のホクロもメラニンによって作られているものです。ダルメシアンの白い毛の毛根部分には、メラニンを作り出す細胞がないのでメラニンが作られない、ゆえに、毛に色がついていません。
また、メラニンが影響するのは毛色だけではありません。瞳の色にも影響を及すのです。
メラニンが抑制されることで、瞳の色が青いブルーアイとなるのです。
そして、メラニンを作る細胞は色をつけるだけではなく、内耳の蝸牛という部分にも存在していて、正常な聴覚を獲得して維持するためにも働いています。
つまり、メラニンを作る細胞が正常にできていないことが、聴覚障害を起こす大きな原因となっているのです。
内耳の聴覚器の異常によって、片耳もしくは両耳の音が聞こえないという難聴の症状が起きてしまうのです。これはダルメシアンに多く発症するものです。
これらの現象は、メラニンを作る細胞そのものを作るかどうかを決定する遺伝子に異変が起きていることが原因となっていることが分っています。
また難聴になりやすい理由として、人為的な部分もあります。
人間が犬の繁殖をコントロールするようになり、好ましい体系や運動機能、気質などを求め、交配を繰り返してきた結果として、犬種特異性のある疾患が起こりやすくなってしまいました。
また、交配のプロセスを効率よくするために、しばしば近親交配が行なわれたりしました。すると、好ましい遺伝子だけではなく、好ましくない遺伝子までもが固定化されてしまいました。それが、遺伝的疾患として現れてくるのです。
遺伝子疾患として有名なのはコリーの視神経形成障害(コリー・アイ)、ジャーマン・シェパードやゴールデン・レトリバーの股関節脱臼症、チワワの水頭症などがありますが、それらと同じぐらい有名なのが、ダルメシアンの難聴なのです。
難聴だと判明したらどうすれば?
ダルメシアンを飼うときは、難聴に気をつけていかなければなりません。
ダルメシアンは難聴になりやすい犬種になるので、生まれつき難聴であることもめずらしいことではないのです。
生まれつき難聴であるダルメシアンの子犬は1~2%程度いると考えられています。子犬のうちからダルメシアンを動物病院へ連れて行って、難聴であるかどうか診断してもらいましょう。
生まれつき難聴のダルメシアンは、残念ながら治す術がありません。「耳の聞こえないダルメシアン」として大事に受け止めて、よく理解したうえで飼育しなければいけない必要がある、ということを頭の中に入れておいてください。
難聴かどうかを判断する術はないのですが、難聴のダルメシアンは精神的に不安定ですので、よく無駄吠えをしてしまい、その上、他人に対して攻撃的になってしまいます。
いかがでしたか? より美しいダルメシアンを産み出そうと交配を重ねた結果、望まない難聴という病を抱えて産まれてこなければならなくなってしまった遺伝病のダルメシアンがいるということを、深く胸に刻まなければいけないでしょう。
そして、自分の家のダルメシアンが遺伝病の難聴になってしまっていたとしても、変わらずに、いや、より深い愛情をダルメシアンに注いであげてください。
人間の手によって作り出された犬種特有の疾患が、少しでも減ることを願いながら…。
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