柴犬の黒が人気? 毛色について徹底分析

2020.05.30

柴犬の黒が人気? 毛色について徹底分析

柴犬といえば茶色の毛をした赤柴を思い浮かべる方も多いと思いますが、最近では黒色の毛をした黒柴の人気が高くなっています。 アメリカの有名な歌手レディ•ガガが黒柴のヨーコちゃんを飼っていることからも、日本国内だけにとどまらない人気の高さがうかがえます。 そんな柴犬の毛色には、赤、黒、白、胡麻の4色があります。今回は、それぞれの毛色についてご紹介していきます。


柴犬の特徴

柴犬は、日本に古くから定着している日本犬の1種類で、もともとは日本海に面した山岳地帯に生息し、鳥や小動物の猟犬として飼育されていました。そのため高い運動能力を持っています。

1936年には天然記念物に指定されていて、柴犬を含めると6種類の日本犬が登録されています。また、「シバ」とは「小さなもの」を意味しているとの説もあり、日本犬の中では1番小型の犬種です。

現在、日本で飼育されている日本犬の登録数の約80%を占め、柴犬が日本の気候風土や居住環境に適応し、飼いやすいということが言えるでしょう。

標準体高(足元から肩までの高さ)は、オス 39.5cm メス 36.5cmです。
標準体重は、オス 9〜11kg メス 7〜9kgです。
寿命は12〜15才といわれ、長寿な犬種になります。

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性格

柴犬の性格は、主人に忠実で従順、素朴で利口です。それと同時に頑固で神経質な面もあり、見知らぬ人には少しそっけない印象を与えるかもしれません。

また、きれい好きで無駄吠えが少ないと言われています。
性格の違いは毛色に関係なく、生まれ持った性質や育てる環境による方が大きいようです。

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被毛

被毛は、かたくて真っ直ぐな上毛と柔らかく密生している下毛を持つ「ダブルコート」という二層構造になっています。

夏と冬を快適に過ごすために、春と秋には毛が生え代わる換毛期があります。
柴犬は基本的には短毛ですが、まれに長毛の柴犬もいたりします。

毛色は、赤、黒、白、胡麻の4色ありますが、すべての毛色にマズルの両側、頬、顎、首、胸、ボディ、尾の裏側に「裏白」と言われる白色の毛が生えているのが標準とされています。ただ、子犬の時には、模様が目立たない事もあります。

また、根元の毛は白く、足の先に向かって色が薄くなっていきます。
換毛期には毛色の薄い時期、濃い時期のような変化が見られ、年齢とともに徐々に色が薄くなっていきます。

赤色と胡麻色の子犬には口周辺に黒い毛が多く生えていることがありますが、6ヶ月齢から2才までには黒い毛は抜けてしまい、ほとんどは普通の柴犬と同じ色になります。
このような子犬は、そうでない子犬と比べて年齢をかさねても色が濃く残ります。それぞれの毛色の特徴をみてみましょう。

◆赤色

キツネのような茶色をしていますが、この色を赤色と呼びます。
柴犬全体の80%以上を占める毛色で、最も柴犬らしい色といえますね。

毛色は「遺伝」によって決まり、赤色が最も生まれやすい毛色です。
裏白といわれる白い毛が生えていますが、その場所には個性があります。

◆黒色

最近では黒柴ブームにより見かけることも多くなりました。
柴犬全体の10%程の珍しい色です。

黒色は「鉄錆色」と言われるような光沢のない燻したような黒色、墨色をしているのが理想とされています。毛は根本に向って茶色、白色と淡い色と変わっていきます。

黒柴の特徴は、何といっても目の上にある白や茶色の麻呂眉のような模様ですよね。
正確には、「四つ目」と言い、四つ目があるように見えることに由来します。
これは、外敵から目を守るためのカモフラージュという説もあり、他の毛色にも見られますが、黒柴にはよりはっきりと確認できます。

眉があることで表情も豊かにより可愛らしく見え、色の珍しさからも人気が高いのではないでしょうか。
ごく稀に裏白のない黒一色の毛色で生まれることもあるんですよ。

◆白色

白柴はさらに少なくなり、5%程しか生まれません。白色というよりクリーム色をしています。
赤柴同士や黒柴同士での交配を続けていくと、白柴が生まれることがあります。白くてモフモフの毛は、とても綺麗で優しい印象ですね。

◆胡麻色

赤・黒・白色が混ざった毛色で、柴犬全体の数%程の最も珍しい毛色です。
赤色が多いと赤胡麻、黒色が多いと黒胡麻と呼ばれることもあります。

柴犬の毛色による値段の違いはあるのでしょうか。赤柴の平均価格は17万円程度で、人気の黒柴や白柴はそれよりも高い傾向があります。また、オスよりメスの方がやや高めなのです。

それぞれの毛色の特徴について簡単にお伝えしてきましたが、そもそもこの毛色を決めるものは何なのでしょうか。それは、親からの「遺伝」によるものです。


毛色は遺伝によって決まる

学生の時にメンデルの法則というのを勉強した事を覚えているでしょうか。
メンデルの法則とは、1865年にグレゴール・ヨハン・メンデルによって発見された遺伝の法則で、親の形質は遺伝子によってある規則性をもって子や孫に伝わるというものです。

メンデルの法則の中には優性の法則と分離の法則という考え方があり、これらについメンデルが行なったエンドウ豆の実験を思い出してみましょう。

遺伝子は両親から1つずつ受け継ぎ、2つで1組となります。
この遺伝子には優性と劣性があり、優性のものが形質(特徴)として現れます。

緑色の種子:優性遺伝
黄色の種子:劣勢遺伝
とすると、緑色のエンドウ豆(緑色と緑色の遺伝子を持つ)と黄色のエンドウ豆(黄色と黄色の遺伝子を持つ)をかけ合わせると、緑色と黄色の遺伝子を1つずつ受け継ぐエンドウ豆が出来ますが、これらはすべて緑色のエンドウ豆として現れます。

両方の遺伝子を持っていても優性遺伝子の形質が現れるようになることを、優性の法則と言います。

次に、この緑色のエンドウ豆(緑色と黄色の遺伝子を持つ)同士をかけ合わせると、
緑色のエンドウ豆(緑色と緑色の遺伝子を持つ)
緑色のエンドウ豆(緑色と黄色の遺伝子を持つ)
黄色のエンドウ豆(黄色と黄色の遺伝子を持つ)
が出来ます。

劣性遺伝である黄色のエンドウ豆になるためには、黄色の遺伝子をそれぞれから1つずつ受け継ぐ事が必要になります。このように1世代目には優性の法則により現れなかった形質が2代目で分離して現れ、これを分離の法則と言います。劣性遺伝である黄色のエンドウ豆になるためには、黄色の遺伝子をそれぞれから1つずつ受け継ぐ事が必要になります。このように1世代目には優性の法則により現れなかった形質が2代目で分離して現れ、これを分離の法則と言います。

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これを柴犬の毛色に当てはめてみましょう

柴犬の毛色を決定しているのは、アグーチ遺伝子といわれ、メラニンの量と割合を調節しています。

特にユーメラニン(黒色〜褐色)、フェオメラニン(黄色〜赤褐色)の量の割合により毛色が決定すると考えられます。
このメラニンの生成は、体の場所により一定ではないため背中とお腹の色が異なったり、断続的に起きる事により1本の毛の中でも色が異なるということが起こります。

また、このアグーチ遺伝子座(染色体上の位置)には4つの遺伝子があります。
Ay(赤色)
Aw(胡麻色)
At(黒色)
a(劣性黒)
上から順に優性遺伝するので、Ay/Ay Ay/Aw Ay/At Ay/a のように両親のどちらかからAyを受け継いでいれば、すべて赤柴になります。

柴犬の80%が赤柴になる理由が納得できますね。
胡麻柴は、Aw/Aw Aw/At Aw/a になるとき、黒柴は、At/At At/a になるときです。

a/a ではアグーチ遺伝子が正常に働かないためユーメラニンが過剰に合成され黒一色になります。そして、Awとaを持つ柴犬は少ないと考えられています。

また、毛色を決定するためには、エクステンション遺伝子も重要となります。
これは、アグーチ遺伝子の毛色を発現させるかどうかを決める遺伝子になります。
エクステンション遺伝子座には3つの遺伝子がありますが、柴犬では下記の2つの遺伝子が重要となります。

E(アグーチ遺伝子座の色を発現させる)
e(ユーメラニンを合成させず、フェオメラニンのみを合成させる)
E遺伝子はe遺伝子に対して優性であるため、両親どちらかからE遺伝子を受け継いでいる場合は、アグーチ遺伝子座の遺伝子の色が現れることになります。

それとは逆に、e/eを持つ柴犬ではアグーチ遺伝子座の遺伝子の色が現れず、黄色になります。

しかし、この作用は目には及ばないため黒目になります。
このエクステンション遺伝子座のどの遺伝子を受け継ぐかによって、白柴が生まれるかが決まると考えられます。

一般的に白い毛と聞くと、メラニンが合成されず、赤目に体は白一色のアルビノを想像する人もいるかもしれません。
犬のアルビノでは視覚や聴覚障害を持つこともありますが、アルビノ遺伝子と白柴になる遺伝子は異なります。

白柴はアルビノではありません。これらのことから、赤柴同士からでも赤・黒・胡麻・白柴が生まれる可能性があるということになります。

しかし、白柴同士の交配では生まれてくる子の多くが白色になる可能性が高くなります。赤柴や黒柴の有色柴の保存を目的として、白柴の繁殖は積極的に行われていません。

また、ドックショーでは白柴はミスカラーとして減点されてしまう為、ドッグショーを目的としている繁殖であれば色が濃くなるように交配させていきます。
ペットとして白柴を迎えるなら問題ないでしょう。

口腔粘膜を採取し検査施設に送るだけで、毛色の遺伝子の検査をする事も出来るようです。

愛犬の毛色について深く調べてみるのも面白いかもしれませんね。


柴犬のさらに細かい分類について

柴犬の一般的な特徴、色の種類をお話してきましたが、私たちが一般的に柴犬と言っている犬の中にも更に細かい種類に分けられている事をご存知でしょうか。

柴犬には縄文柴犬、信州柴犬、山陰柴犬、美濃柴犬、川上犬と更に細かい分類があります。
私たちが一般的に想像する柴犬のイメージは縄文柴犬、または信州柴犬の系列が多いと思われます。それぞれの種類による毛色の違い、特徴についても簡単に触れてみたいと思います。

縄文柴犬は一般的に面長でキツネ顔をしており、体格もスマートで野生的な鋭さを持っている場合が多いです。毛色に目立った差はないものの、一般的には赤茶色が多いと思われます。

信州柴犬は赤茶色と黒茶色の2種類の毛色がほとんどで、タヌキ顔でがっしりとした体型の個体が多いです。尾形は巻尾が多く、飼主の家族以外の人には警戒心が強い傾向にあります。

山陰柴犬は、赤茶色の毛色が多く、尾形は信州柴犬や美濃柴犬に比べて差尾(巻いてない尾のこと)が多いです。

美濃柴犬は、濃い赤茶色の毛色が一番の特徴と言えます。尾形は巻尾が多く、他の柴犬に比べて、人懐っこい性格をしている傾向にあります。

川上犬の毛色に差はないとされています。
好奇心旺盛で活発な性格なものの、警戒心が強く、他の種類の柴犬と比べて人に懐くことは少ないと言われています。

縄文柴犬、信州柴犬以外の犬種は飼育頭数が少なく、絶滅の可能性もある為、今現在多くの保存会が存在し、種の保存に尽力している状況です。

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まとめ

毛色の成り立ち方を中心に生物的な観点からお話してきましたが、それぞれの毛色の生まれる確率にはかなりのばらつきがある事がお分り頂けたのではないでしょうか。

近年は柴犬人気により赤柴以外にも多く出会えるようになりました。
確かに黒柴の表情豊かな顔は愛くるしく、柴犬特有の可愛らしさが際立つと思います。

しかし、人気の毛色頭数を増やそうとすればする程、交配や繁殖に生物学的な負担がかかってしまう事もお気づきになられたのではないでしょうか。

毛色だけでなく、遺伝的背景や柴犬の歴史、それぞれの性格や特徴も踏まえて可愛い柴犬を探してみるのも新たな発見があるかもしれませんね。

柴犬は家族に深い愛情を注いでくれる犬種です。大事に育てていけば、必ず良きパートナーになってくれるでしょう。



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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!


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