症状は?
目に見えてわかりやすい体表の腫瘍と違い、内臓にできるタイプの腫瘍だとどんな悪いことが起こるのでしょうか?
この腫瘍の困ることは、前述した通り、インスリンと呼ばれる糖を代謝するホルモンを分泌する細胞の増殖のため、インスリンが出過ぎて「低血糖」と呼ばれる状態を引き起こします。
低血糖と言う状態がどうしてよくないかというと、糖はいわゆる体のエネルギー源です。
低血糖になるとエネルギー不足が起こり、元気が消失したり、ひどい場合神経症状まで呈してしまうこともあります。
どうやってわかるの?
他の腫瘍と違い、目に見えてわかる腫瘍ではないため、出来たタイミングなどで発見するのは難しいでしょう。
かといって、一般的な血液検査の項目で引っかかるものではないのです。
前述した低血糖と呼ばれる症状が出て、他に低血糖になる病気を除外して初めてインスリノーマの可能性が疑われるようになります。
そのくらい、あまり見られない珍しい病気なのです。
疑われた場合、MRIなどの画像診断や血中のインスリン濃度を調べる検査を行い、確定される流れとなります。
治療方法は?
ある程度画像にて腫瘍のある部分が特定された場合、一番良いのが外科的切除と言われています。
しかし、すい臓はとてもデリケートな臓器であるため、簡単な手術ではありません。
他にも、原因を解決するためのものではありませんが、低血糖は命につながる症状のため、それを防ぐために、ご飯回数を頻回にしたり、糖の投与をしたりすることも有効と言われています。
また糖を作るためのホルモンやインスリンの分泌を抑制するホルモンの投与などをする場合もあります。
これらのお薬等の方法を内科的治療と言います。
外科手術はもちろん体への負荷もかかるため、その子その子の年齢や他に持っている病気など総合的な条件を判断してどの治療を行うか決定していくこととなるのです。
気を付けておきたいこと
悪性の腫瘍は、出来たことを発見して切除して終わりと言うわけでなく、転移などの可能性も非常に高いので切除後も再発していないか、他の部位への転移があり腫瘍化してきていないかなど経過を追っていく必要があります。
インスリノーマ含め腫瘍発覚後は定期的なかかりつけの先生への受診をされた方が良いかと思います。
また前述のとおり、あまり多い症例ではありませんし、すい臓と言うとてもデリケートな臓器の腫瘍でもあります。
場合によってはかかりつけの先生だけでなく二次診療施設の先生方の力を借りる必要が出てくる可能性も出てくるでしょう。
かかりつけの先生から提案してもらえる場合もあるかと思いますが、ご自身でもお近くの二次診療施設を探してみても良いかもしれません。
この範囲ならば通えるということも伝えるとかかりつけの先生も選択肢が広がるでしょう。
このようにインスリノーマを含め悪性腫瘍の場合、治療の成果はその子の寿命に直結します。
治療方法に関して少しでも不安なことや疑問点があったら、かかりつけの先生に相談できるという信頼関係や症状の緩和と言う意味でも、どんな状態かということを何でも情報交換できる飼い主さんと獣医さんのチームプレイが必要となります。
場合によってはセカンドオピニオンで他の先生に意見を聞いてみることも必要かもしれません。
一番は飼い主さんが後悔の無いように、獣医師の先生と一緒に治療を進めていくということが大切なのではないでしょうか。
– おすすめ記事 –
・犬の角化症って、何が原因で起こる病気なの?!そのメカニズムを知ろう |
・犬に多い泌尿器の病気とは |
・「少しの経過観察が、命も及ぼす危険な病気に…“下痢”にご用心」 |
・海外で犬のマイクロチップ義務化?メリット・デメリットをまとめてみた! |
ワンちゃんの病気防止?去勢・避妊のメリット・デメリットとは?