入店拒否も・・・聴導犬の認知度の低さとその背景
聴導犬のPR犬候補として「ジロー」君を導入しました!日本介助犬協会さまからのキャリアチェンジです!イベントで見かけたらぜひ応援をお願いします! pic.twitter.com/DDTETvuxR1
— 一般社団法人 日本聴導犬推進協会 (@hearingdogjp) 2016年12月25日
2017年1月26日、Yahoo!ニュースに下記の記事が掲載されました。
聴覚に障害を持つ人々にとって一人で外出することはとても困難なことです。そんな時、持ち前の聴力を活かして聴覚障害者に危険を知らせてくれる存在が聴導犬。聴覚障害者にとって聴導犬は暮らしを支え充実した日々を与えてくれる存在でしょう。
しかし、聴導犬の頭数は全国でわずか67頭。2017年現在実働している盲導犬は966頭ですので、聴導犬はその1割にも及びません。
埼玉新聞によると、実際に聴導犬と生活する人は、次のように語っています。
“2008年から聴導犬と生活する所沢市の東彩さん(46)は「飲食店などへの入店の際に、ペットを連れた非常識な客だと勘違いされ制止されることが多い」と語る。 -埼玉新聞より引用”
厚生労働省が認めている補助犬であるにもかかわらず、世間での聴導犬の認知度と理解の不足から入店を断られるケースもあるといいます。
聴覚障害は見た目ではわかりにくく、聴導犬は犬種や大きさもバラバラであることから、ペットと間違われる場合もあるのです。
聴導犬の認知度が低い要因の一つは実働頭数の少なさにあります。
先に述べた通り、2017年現在盲導犬は966頭が実働しているのに対し、聴導犬の数はわずか67頭と、盲導犬の1割にも及びません。
いずれも補助犬として働くための育成費は寄付によって賄われていますが、聴導犬は知名度の低さから盲導犬に比べ資金が集まりづらく、聴覚障害者のニーズに応えようにも聴導犬の育成が追い付かない状況に陥っています。
聴導犬の仕事を知って、認知を広めよう
♦人の命を安全に保つ仕事
- 睡眠時でも警報機がなれば危険を知らせる。
- 外出時でも警報機がなれば危険を知らせる。
- 家の中で事故が起きたときに他の家族を呼びに行く。
など。
♦生活するうえで必要な音を聞き分け知らせる仕事
- 目覚まし時計の音を聞き、起こしに行く。
- 電子レンジ・洗濯機・風呂などのタイマー音を聞き、鳴っている場所まで導く。
- インターホンの音を聞き、来客を知らせる。
- 電話やFAXの着信音を聞き、電話機まで導く。
- 赤ちゃんや子どもの鳴き声を聞き、知らせ導く。
- 病院などの順番待ち時に、受付の人が慣らす呼び鈴を聞き、受付まで導く
- 火災報知器の音に気付き、伏せをして危険を知らせる。
- 誰かに呼ばれたときに、呼んでいる人のところまで導く。(家屋内に限る)
など。
聴導犬の仕事は、家屋内での音を知らせるだけでなく、屋外にも同伴して、事故や災害に巻き込まれる危険性を回避することです。聴覚障害者の耳の代わりとなり、生命を安全に保つことが求められています。
♦聴導犬候補の犬はどうやって選出されるの?
主に保護犬から採用されます。どんな人にもフレンドリーでいろいろな場所や乗り物にもすぐに慣れるような適応力がある犬が選出されます。
盲導犬においては、日本ではラブラドールレトリーバーが一般的ですが、聴導犬に関しては健康で人が好きで、攻撃性のない犬ならば犬種は問わないことが特徴です。
♦聴導犬になるためにどんな訓練をしているの?
まずは、ソーシャライザーと呼ばれる子犬を育ててくれるボランティアの下で、愛情いっぱいに育ててもらい、社会性を身につけます。
生まれてから1年ほどたったころに、聴導犬になるための訓練に向いているかのテストをします。そこで合格した犬は本格的に音の訓練を始めます。
本格的な訓練といっても、一日中励んでいるわけではありません。犬が集中し続けられる時間は短いため、訓練時間は一日15分ほどしかありません。
訓練内容は「ファン・トレーニング」と呼ばれる犬が楽しんでできるものとなっています。
このファン・トレーニングのほかに、屋外での歩行訓練やバスの乗車、レストランでのマナーなどの練習もします。
♦聴導犬育成のための費用や運営資金は?
聴導犬を求めている人に貸与するまでに必要な訓練費用は100万円程。その後聴導犬を貸与した後のアフターケアの費用もかかるので、総額は200万円程になりますが、これらの費用はすべて寄付や補助金で賄われます。
聴導犬協会の運営や聴導犬の頭数を増やすためには幅広い認知と支援が必要不可欠なのです。
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ご寄付について – 日本聴導犬協会
まとめ
イトーヨーカドー葛西店で募金活動とデモンストレーションを行っています。みなさまに今日がほじょ犬の日であることをPRしています!これをきっかけに沢山の方が興味を持ってくれると嬉しいです! pic.twitter.com/chPxmrTza6
— 一般社団法人 日本聴導犬推進協会 (@hearingdogjp) 2015年5月22日
聴導犬は訓練を経て正式に認定された補助犬です。
盲導犬に比べ世間的な認知度は低く、誤解されやすいのが現状です。
人のために働く犬たちについて理解を深め、聴導犬たちが活躍しやすい環境を作っていきましょう。
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