「犬が家から1匹もいなくなってしまう」恐怖に耐えられなかった
筆者はトイ・プードルのキャンディス(14歳♀不妊手術済)と、オーストラリアン・ラブラドゥードル(https://psnews.jp/dog/p/13068/)のアニィ(2歳♀不妊手術済)と暮らしています。アニィを迎えたのは、キャンディスが12歳、アニィが4カ月のときでした。
迎えるきっかけになったのは、フレンチ・ブルドッグのハナ(♀不妊手術済、享年11歳)の死です。当時9歳だったキャンディスとハナは本当に仲が良かったので、ハナが死んだ後、キャンディスもがっくり来てしまいました。ハナは脳腫瘍だったので覚悟はできていたとはいえ、主人と、当時まだ2歳になったばかりの息子の悲しみも深く、家中が暗くなってしまったのです。そして、私はふと怖くなりました。
「もし、今、キャンディスも失ってしまったら、私は頭がおかしくなってしまうかもしれない」
ワンちゃんと一緒に暮らしている方ならおわかりいただけると思いますが、犬が家から1匹もいなくなってしまうかもしれないという事実の恐ろしさに、震え上がってしまったのです。
ハナの弔いが済んだ半年後くらいだったでしょうか。私は、後住犬を迎えることをすでに考え始めていました。
先住犬がほかの犬と仲良くやれる性格かが重要です
シニアのワンちゃんがいる家に後住犬を迎える場合にまず考えたいのが、先住犬の性格です。人と同様、シニアになると犬も頑固になるので、若い頃からほかの犬とうまくやっていけない性格だった場合、シニアになってから後住犬を迎えるのは非常に難しいでしょう。先住犬にもストレスになってしまいます。
先住犬、後住犬ともに不妊去勢手術をしておくのが無難です
また、先住犬、後住犬ともに、不妊去勢手術をしておいたほうが無難だと思います。先住犬と後住犬が♀×♂の場合、♀×♀の場合、♂×♂の場合もすべて、不妊去勢手術をしておいたほうがいいと筆者は考えています。手術をしていないワンちゃんはやはり「縄張り意識」が強くなりがちで、その意識が同居犬とのトラブルになるケースが多いからです。
先住犬がシニアで、まだ不妊去勢手術をしていない場合、手術がワンちゃんの負担になってしまう場合があります。かかりつけの動物病院によく相談をしてください。また、先住犬の性格にもよりますが、シニアで不妊去勢手術をしていない場合は、後住犬を迎えるのはあきらめたほうがいい場合もあります。
後住犬が不妊去勢手術をする時期についても、かかりつけの動物病院と相談をしてください。
後住犬は性格と、先住犬との相性が良ければ大丈夫
キャンディスはほかの犬と仲良くできる性格で、不妊手術も1歳半のときに済ませていました。あとは後住犬の選び方です。
ワンちゃんは成長する過程で、犬種の標準から予想されるサイズよりも大きく育つことがよくあります。筆者は、「このワンちゃんは将来、どれくらいのサイズになるか」ということよりも、現時点で先住犬のキャンディスに対して従順かを目安に後住犬を選ぶことにしました。
当時から「将来的にはオーストラリアン・ラブラドゥードルを飼いたい」と考えていたので、何度か「レイクウッズガーデン ひめはるの里」(http://www.lwgarden.jp/)に足を運びました。
そこで、かわいくて愛嬌があり、人やほかの動物に慣れているのはもちろん、初対面のキャンディスにお腹を見せて「服従」を示し、キャンディスもそれを受け入れたアニィを迎えることにしました。
ここでもし、アニィがキャンディスにマウント(ほかの犬の背中に乗ること)をしていたら、アニィはうちの子になっていなかったでしょう。マウントは、乗った自分が乗られた犬より立場的に上であると示す姿勢だからです。
先住犬がシニアで、後住犬を新たに迎えるときは「犬同士の相性が良いこと」「後住犬に“上に立ちたい、リーダーになりたい意識”が薄いこと」が重要だといえます。
この3枚の写真は、いずれもアニィを迎えて1週間以内に撮ったものです。アニィの控えめな性格と、キャンディスの「自分が一番かわいくて偉い」という性格がよくおわかりいただけると思います。これくらい控えめなくらいで、後住犬の性格はちょうどいいと思います。
接し方はとにかく「先住犬ファースト」で
「犬同士の関係を決めるのは犬だから、飼い主はそこに介入すべきではない」「後住犬がシニアになった先住犬にマウントして立場が逆転しても、止めてはいけない」と書かれたしつけ本などをよく目にします。しかし筆者は、人とともに暮らす犬の上下関係を決めるのは、他ならぬ飼い主であるべきだと考えています。家庭内で犬の勝手を許すべきではない、という考えに基づきます。
主人や息子とも相談し、我が家では「先住犬ファースト」。おやつをあげるとき、ご飯をあげるとき、すべてにおいてキャンディスを優先しました。アニィは体重13kg。キャンディスの約6倍です。その気になれば、アニィがキャンディスに喧嘩で勝つことなど造作もありません。「アニィがキャンディスに反抗するという考えを起こさせないようにする」のが目的でした。
後住犬が子犬のうちに「先住犬が上」であることをすり込んでおく
あれから月日が経ち、キャンディスは14歳になり、アニィは2歳です。キャンディスもだいぶ弱ってきて、今はときどきオムツを付けていますが、アニィは相変わらず「キャンディスファースト」です。キャンディスが大好きでいつもそばに行こうとしますが、キャンディスの機嫌が悪く一喝されるとすごすごと引き下がります。キャンディスが受け入れたときは、うれしそうにずっとそばにいます。
後住犬の存在は先住犬のボケ防止にもいい
キャンディスは緑内障で右目を義眼にし、左目は白内障でまったく見えません。全盲ですから目からの脳への刺激がほぼないですし、耳も遠くなってきたので、ボケてしまうかもしれないと思っていました。しかしそれは、杞憂だったようです。
キャンディスが全盲になってから、うちではアニィとキャンディスの散歩を別々にしています。アニィはたっぷり歩き、キャンディスは抱っこして散歩するので、不慮の事故を避けるためです。
主人がアニィだけ連れて散歩に行くと、耳が遠いから物音はあまり聞こえないだろうに、キャンディスはむくっと起き上がり、アニィのクレートに向かいます。
全盲で耳が遠いキャンディスですが、どういうわけかアニィが大好きな主人と散歩に出たことはわかるようで、腹いせにアニィのすみかに自分の痕跡を残すのです。
女の本能、なのでしょうか。
アニィにきっちりと意地悪をすることで、キャンディスの生活にリズムが生まれていますし、アニィと帰ってきた主人にこびを売ることで、彼女の中の女としての本能を呼び起こしているような気がします。
だいぶ歳を取りましたが、ボケずにかわいらしくいられるのは、アニィのおかげといえるでしょう。キャンディスを抱っこして散歩していると「まだ赤ちゃんですか?」と聞かれますが、そのとき、キャンディスは心なしかとてもうれしそうです。
先住犬と後住犬の性格と相性、その後の接し方に気をつければ、先住犬がシニアになっても後住犬を迎えることができますし、先住犬も生き生きと歳を取れます。
この記事が、ワンちゃんと暮らす皆様の参考になれば幸いです。
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